愛らしい『子供の絵』を、ぎゅっとできる『たからもの』に
目で、耳で、心で、感じたままを描く、子どもたちの絵。ピュアな感性の、一瞬一瞬のキラメキが反映されています。
さて、それは、何をつくるワークショップなのでしょう?
何をつくるの?ヒントは・・・
ぽん!と、紙から「絵」が抜け出してきたように、ぷっくりとした、立体のぬいぐるみに大変身♪
そう、子供の絵をもとに、世界でひとつだけのぬいぐるみを作るワークショップを行っているんです。
そのほか、無地のボディをもとに、親子の共同作業でお人形をつくるワークショップも行っています。
お店で売られているぬいぐるみではなく、親が全て作ってしまうぬいぐるみでもなく、子供もちゃんと作り手になることができ、この頃ならではの感性を反映させたぬいぐるみ。まさに、世界にひとつだけの“たからもの”になります。
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
「100mermaids workshop」とは?
子供の「お絵描き」「子どものならではの視点」を、「ぬいぐるみ」という形にして、ずっと手元に残せるように――。
子供の成長の喜びを感じる“お母さん”に寄り添うような、「100mermaids workshop」の活動。
そう、実はこのワークショップを行う「100mermaids」さんこと、主宰の森牧子さんは、2人の子どもを持つお母さんなのです。
きっかけは、4歳の娘が描いた「人魚」の絵
2010年よりワークショップの活動をスタートされますが、そのきっかけとなったのは、娘さんが4歳のころに描いた、こちらの、人魚の絵。子供の迷いや計算のない無垢な線が、生き生きしています。
森さんは、この絵をお気に入りでずっと壁に貼り続けていたものの、汚れや破れが心配で、どうしたらかわいい絵をそのままの状態で残せるかを考えるようになったそうです。
そうしてたどり着いたのが、その絵を布にプリントし、縫い合わせて、ぬいぐるみにするという方法。
チクチク針仕事をしながら、ボタンなどのアクセサリーパーツをつけたり、刺繍を施したり・・。森さんが作ったぬいぐるみは、周りの人に紹介したところ、人気を呼ぶようになります。
実は、それもそのはず・・!
森さんの本職は、子供向けのアニメーションやイラストを制作するお仕事。NHK Eテレ『おかあさんといっしょ』のうたなどを担当されており、いわば、“こども心のプロ”のお方なのです*
「わたしもやってみたい!」という多くの声に背中を押されて、ワークショップを立ち上げられたそうです。
(森さんは、アニメーションをご担当/絵は、タイの漫画家 ウィスット・ポンニミットさん)
当初はご近所のフリマなど、身近な場所で出店し、だんだん評判が広がり・・今では、愛知や大阪など、関東圏以外のイベントに伺うことも多いそう。
ちなみに、ワークショップ名にある「100mermaids」のmermaidsは、「この絵を残したい!」と、森さんの心を射止めた人魚の絵に、ちなんだもの。「こういうぬいぐるみを100体くらい、たくさん作りたい!楽しいよ!」という、森さんの温かなお人柄が感じられますね。
コンセプトに込められた想い
「こども心」+「チクチクしごと」+「集う」
ついつい「うまく仕上げよう」としてしまう大人たちに対して、何の枠にもとらわれない子どもの目線で生み出される、「100mermaids workshop」の人形たち。とても自由で、楽しげです。
もちろん、作り方に細かいルールはありません。ワークショップ側で用意しているのは、バラエティ豊かな材料、素材。
そして、素敵なコンセプトがあります。
それは、「こども心」+「チクチクしごと」+「集う」。
3つもあるの?と思われるかもしれませんが、とっても親しみやすく、シンプル。森さんは以下のような言葉で、ご説明されています。
「こども心」+「チクチクしごと」+「集まる」
この3つが生みだす面白さを大切に、
新たな何かとであえる、それでいてほんわかとした場所を
つくっていければいいなぁ〜!と思っております。
「こども心」は、お子さんはもちろん、大人に対しても「こども心をたずさえて、自由にやって楽しもう!」という想いが込められています。
「チクチクしごと」は、針仕事。ですが、そのほかの魅力も。⽇常の忙しさから離れて一つのことにとことん集中でき、大人がリフレッシュできる機会にもなります。また、わが子の絵としっかり向き合えるので、すごいじゃん!と、見逃しがちな成長を感じることも。
「集まる」は、ただ“親と子が一緒に”ということではなく、地域や世代を超えた、色んな参加者同士が交流できるということ。家族の話やアドバイスなど、会話が紡がれて、一体感が生まれます。
「こういう方法もあるんですね」「その素材、素敵!」と盛り上がって、親子そろって気づけば数時間作業に没頭・・・ということも少なくありません。
そんな3つの面白さを共有できる。想いを分かち合えるのが、「100mermaids workshop」の空間です。
種類は「プリントタイプ」と「ベースタイプ」
ワークショップは、基本的に東京のアトリエに通うかたちで参加できる「プリントタイプ」、そしてイベント出店で主流となっている、1回完結型の「ベースタイプ」があります。
そのほかに、オーダーメイド用の受注会や、ひなまつりといった季節行事がモチーフの特別な企画も。今回は「プリントタイプ」、「ベースタイプ」にしぼって、その魅力をご紹介します。
「プリントタイプ」のワークショップ
「100mermaids workshop」誕生のきっかけとなった“人魚”のぬいぐるみ作りを、そのままワークショップにしたのが、この「プリントタイプ」。子供の絵を忠実に再現しやすいのが大きな魅力です。
参加者は、まず、実際にぬいぐるみにしたい絵を持参して、どんなぬいぐるみに仕上げていくかを森さんに相談し、イメージをかためたら、絵を布にプリントしてもらいます。
そのため、何回か森さんのもとへ伺う必要があり、基本はアトリエで開催されます。
そして、絵を布にプリントしてもらったら、いよいよ細かい作業開始!
参加者みんなで材料が並ぶテーブルを囲みながら、ときにはおしゃべりを楽しみながら、チクチクと手を動かしていきます。
元々はペランとした紙に描かれた絵が、ぬいぐるみとなって手のひらに乗ると、命を吹き込まれたような存在感♪
こんなにひょうきんで、チャーミングなお顔の作品もあります。子供らしい、のびのびとした感性の絵こそ、大切に残しておきたいですよね。
「ベースタイプ」のワークショップ
イベント出店で主流となっているのが、1回だけの参加で完成できる、「ベースタイプ」。あらかじめ、動物モチーフや人形のボディが、中綿が詰まった状態で用意されています。
ときには、こいのぼり、おひなさま、お寺で開催時には、天狗モチーフも!「こんなのあったらいいかも」という閃きで、種類豊富になっているそうですよ♪
生地の組み合わせも、季節やベースの形に合うように、ひとつひとつ考えて作られているとのこと。つまり、下地となるボティ自体も、それぞれ世界にひとつだけという特別感* 創作意欲がかきたてますね。
そのボディから好みの一つを選んだら、あとは、ボタンなどのアクセサリーパーツをつけたり、ペンで顔を描いたり、毛糸で髪を付けたり・・・。テーブルにあるたくさんの材料を使って、納得がいくまで仕上げて完成です♪
のっぺらぼうのボディゆえに、意図したモチーフとは異なる解釈をされる方がいるそうですが、それもまた、楽しさのうちです。
森さんも、参加者からボディのモチーフについて聞かれたら、「自分で見えたものにしてください♪」と伝えて、参加者の想像力にゆだねているとのことです。
仕上がったお人形は、そのままお持ち帰り。
時間が足りなかったり、途中でお子さんが飽きてしまったりして中断したという方には、使えそうな材料を持ち帰ってOKという、優しい心遣いも。初心者さんも、たくさんこだわりがある方も、ゆっくり落ち着いて作業できますよ。
創作意欲がわいてくる* 「カラフルなテーブル」にご注目
「100mermaids workshop」に魅せられた参加者さんが、口を揃えて「よかった!」と言うのが、作業テーブルの上にある、たっぷり豊富なパーツ。
カラフルなスパンコールや、ビーズ、毛糸、チュール、刺繍糸などなど・・・。たとえお裁縫が苦手でも、「これを使って何かを作りたい!」という気持ちが、むくむく湧き上がってきます。
所狭しと並ぶパーツをよく覗いてみると・・「これどうやって使うの?」「この模様初めて見た」という、不思議なものも!
実は、パーツの中には、森さんやご友人が外国に赴いて仕入れてきたものがたくさんあるので、そんな新鮮な発見を楽しめるのです。
森さんに仕入れについて訊いてみたところ、「ここのところ毎年、1週間ほどタイへ仕入れに行っています」とのこと!
遊び感覚でタイに行き始めてその魅力にはまってから、毎年くらいのペースで足を運ばれているそうです。
「暑い中、一週間歩き詰めでハードではあるけれど・・、こんなのみんなが喜びそう!!と思いながら素材探しをするのは、やっぱり楽しいです」と、森さんらしいお返事。嬉しい気持ちになりますね。
また、「机の上でいろんな国を体験できるのが楽しいんじゃないかな」と、今後はタイ以外の国々でも素材探しがしたいということも、教えてくださいました。
布地・パーツのセレクトを見ると、どれも個性が感じられて、森さんの想いを反映しているよう。きっとそれが、大人の参加者でも童心に帰れるような、ワークショップの魅力に繋がっているのでしょう。
「100mermaids workshop」のこれから・参加方法について
“これから”について、森さんにそっと訊いてみたところ・・・「今までの活動は続けていきますが、日本の色々な場所、果ては世界の色々な場所でもワークショップしながら、様々な人たちとコミュニケーションとっていけたら!」と、もっとわくわくするお言葉をいただきました!
実は今、大人にものづくりの楽しさを知ってもらおうとするプロジェクトにも関わっていて、この4月には、アメリカ・ポートランドへDIY事情の視察にも向かわれる予定とのこと。
「そして、来る人たちもまた、ワークショップに参加したら様々な場所を感じられる!!なんていいんじゃないかな〜?とこっそりと思ってます」というコメントもいただき、ますます活動が楽しみです。楽しい時間、自由な空気をたくさん吸収されるかと思いますので、今後も要チェックです。
先述のとおり、一回の参加では完成させるのは難しいので、通えそうな方におすすめです。
たいていは月1回くらいで、東京・世田谷区桜にある専用アトリエ(100mermaidsスタジオ)で行っており、チクチク仕事が好きな、顔なじみのママさんたちが毎回集まる、アットホームな場になっているそうですよ♪
ときどき、他の場所でも開催したり、1回のみのドロップインができそうな場合も。気になる方は公式サイトで最新の情報を確認してみてくださいね。
フェスなどのイベントでの出店、また、不定期ですが専用アトリエなど都内の場所で、「ベースタイプ」のワークショップに参加可能です。
1回で完成させることができるので、こちらのほうが、気軽に参加しやすいワークショップになります。
スケジュールは確定次第、公式サイトで告知されますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
3⽉21⽇(⽊・祝)/ゆるり市 @⾼尾⼭・みどり幼児園
3⽉27⽇(⽔)/アトリエワークショップ @世⽥⾕区桜アトリエ
3月29日(金)/POPO NIGHT MARKET @新代田POPO
3月30日(土)・31日(日)/春風 @代々木公園
4月19日(金)~21日(日)/オーガニックライフTOKYO @3331 Arts Chiyoda
4月27日(土)/DIGINNER GALLERY WORKSHOP @自由が丘
4月28日(日)~5月6日(月・祝)/太陽と星空のサーカス @二子玉川RISE (5月1日・2日はおやすみ)
5月31日(金)~6月2日(日)/森、道、市場 @愛知蒲郡ラグーナビーチ
最後に ~筆者親子が、ワークショップに参加してみて~
子どもたち自身の言葉にできない頭の中を、自由に目の前にアウトプットしながら「ぬいぐるみ」を作れる、夢のような時間。
「100mermaids workshop」は大人でも楽しめる魅力がたくさんありますが、大人は子どものサポート役。いや、むしろワークショップの間は、仲間のような距離感で接してあげると、子ども心が反映された、唯一無二のたからもの作りを楽しめるように思います。参加費の元をとろうと、あれこれと大人が口を出してしまわないように・・。
どうして、ここまでコメントをするかというと、実は、2年ほど前、筆者親子がイベントに出店されていた「100mermaids workshop」のブースに、参加しました!
5歳と2歳の娘とともに、「ベースタイプ」に参加しました。
お姉ちゃんのお人形のマネをして、最初は髪の毛やお洋服も、同じような素材を選び始めた2歳の娘。
「せっかくなら全然違ったものを作ったらいいのでは?」と諭す筆者(母)に、「でもきっと仕上がりは別物になりますよ」と森さんが声をかけてくださいました。
そして見守っていくと・・・徐々に、姉とは異なる、妹ならではの「好き」がお人形に詰まっていきます。
最後に「どんなおめめにしようか?」と問いかけると、お人形にペンで目を描きます。そして、ペンの縁取りに合った大きさのボタンを、筆者が縫い付けます。
こうして仕上がったお人形は、お姉ちゃんのそれとはまったく別の命が吹き込まれたものになったのです。
親子でたからものを紡ぐ・・かけがえのない時間
子供の自由な発想と方法で形にしていく・・。
たとえ奇想天外な組み合わせで、ビックリするようなものでも、それがきっと、その子ならではの感性のキラメキ。一瞬の殴り書きのようでも、とても大切にしたいものなのです。
親子それぞれに「たからもの」を与えてくれる素敵な時間を、ぜひみなさんも味わってみてくださいね。
幼いわが子の「お絵描き」。
計算せず、純粋無垢な心で描かれていて、ついつい手元に残しておきたくなりますよね。それがたとえ、殴り書きだったとしても・・。