今回は、そんな友達とのやりとりを描いた絵本を中心に、素敵な二人組や三人組の出てくる作品を集めてみました。子供に読み聞かせるのにはもちろん、大人が読んでも微笑ましい気持ちや忘れかけていた大切なものを想う気持ちが呼び起こされるでしょう。
何気ない日常をともに楽しく過ごす友達
「ふたりはいっしょ」 アーノルド・ローベル (著) 三木 卓 (訳) 文化出版局
「リサとガスパールのであい」 アン グットマン (著) ゲオルグ ハレンスレーベン (イラスト) 石津 ちひろ (訳) ブロンズ新社
おしゃまなおんなのこリサと、仲良しのおとこのこガスパールの日常はちょっとわんぱくが過ぎることもありますが、相手を思いやるやさしさにあふれています。多くのシリーズが刊行されていますが、柔らかなタッチのイラストとともに、無邪気なリサと落ち着いたガスパールの活躍ぶりがどの作品でも楽しめますよ。
※筆者撮影(仏語版になります)
「バムとケロのにちようび」 島田 ゆか (著) 文溪堂
犬のバムとカエルのケロは仲良しのお友達。ちょっとやんちゃなケロちゃんに振り回されつつも、お料理やものづくり、冒険の旅やお買い物など、常にあたらしいことにチャレンジする愉快な毎日が描かれます。1ページごとにちょっとした発見があり、大人も子供も楽しめる絵本です。
※筆者撮影
友達の作り方
「ともだちや」 内田 麟太郎 (著) 降矢 なな (イラスト) 偕成社
寂しがり屋のきつねがはじめた商売は「ともだちや」。「ともだち いちじかん ひゃくえん」。おきゃくさんになってくれたのは…?説教くさくならず、「本当の友達とは何か?」をユーモラスに教えてくれる絵本です。
「ともだちがほしかったこいぬ」 奈良 美智 (絵と文) マガジンハウス
友達のためなら頑張れる!
「いちばんのなかよしさん」 エリック・カール (著) アーサー・ビナード (訳) 偕成社
「なかよし」って ひとりじゃなくて ふたりからはじまるんだ...大の仲良しのふたりでしたが、突然遠くへ行ってしまった女の子。男の子は「もう一度会いたい」気持ちを携えて旅に出ます。花畑や山、星空などいく先々の景色の美しさも魅力的です。微笑ましい友情をつなぐ、旅への原動力の力強さに心が暖かくなります。
勇気をくれる友達と一緒に♪
「ラチとらいおん」 マレーク・ベロニカ (著・イラスト) とくなが やすもと (訳) 福音館書店
主人公のラチは臆病で弱虫な、飛行士になりたいおとこのこ。ある日ライオンがやってきて、ラチに強くなる方法を教えてくれます。らいおんのサポートで成長していくラチ。友情が人を強くすることを教えてくれる物語です。
※筆者撮影
「よるくま」 酒井 駒子 (著) 偕成社
ある晩、ぼくはよるくまに出会います。よるくまのお母さんを探して、真夜中、旅に出るのです。不思議な旅を行く小さな二人に頼もしさを感じます。
「はっぴぃさん」 荒井 良二 (著) 偕成社
のろのろなぼくとあわてんぼうのきみ。願い事を聞いてくれるというはっぴぃさんに会いに、それぞれのペースで色鮮やかな旅路を進みます。やがて出会った二人が見つけたものとは?ひたすら“願う”ことから、お互いの心に芽生えた感情にほっこりします。あらゆるものが美しくキュートなタッチで描かれ、ずっと眺めていたくなります。
友達と作る素敵な結末
「すてきな三にんぐみ」 トミー=アンゲラー (著) いまえ よしとも (訳) 偕成社
なんだかおそろしげな三人組の正体はどろぼう。馬車を襲って宝物を奪います。そんな三人が襲った馬車に乗っていたのが、みなしごのティファニーちゃん。いじわるなおばさんに引き取られるよりも面白そう!と三人組の隠れ家について行きます。ティファニーちゃんと仲良くなった三人組は、これまでに集めた宝物の最高の使い道を見つけます。
予想外のラストは、三人組とティファニーちゃん、それにたくさんの子供達の幸せな未来を思わせ、感動的。大人になってから読み返したい絵本です。
「あおくんときいろちゃん」 レオ・レオーニ (著) 藤田 圭雄 (訳) 至光社
「火星にいった3人の宇宙飛行士」 ウンベルト エーコ (著) エウジェニオ カルミ (イラスト) 海都 洋子 (訳) 六耀社
かけがえないのない友達との忘れられない時間
「くまとやまねこ」 湯本 香樹実 (著) 酒井 駒子 (イラスト) 河出書房新社
大好きな小鳥を亡くしたくま。悲しい気持ちを抱えたまま日々を過ごしていました。やってきたやまねこがくまに語りかけます。喪った友への気持ち、慰めてくれる友の優しさ、大人にこそ読んでもらいたい優しい世界観の絵本です。
「夏の庭」などで知られる湯本 香樹実さんと絵本作家としておなじみの酒井駒子さんによる、宝物のような一冊になる絵本。
※筆者撮影
仲良しがくれるたくさんのもの
仲良しの二人組・三人組をテーマに絵本を集めてみましたが、様々なタイプの物語がありましたね。仲良しの友達との日常、冒険などを通じて、どんな気持ちが生まれていくのでしょうか。楽しさ、嬉しさ、悲しさ、悔しさ、切なさ、様々な気持ちが生まれては新たな表情を作り出し、絆を育てていきます。そしてそれはきっとその人のひととなりを形作っていくはずです。
子供にとっても大人にとっても新しい経験を与えてくれる、友達との日々を描く絵本をどうぞ手にとってみてください。
大人になると、仕事や子育てに追われ、友達とのやりとりが減ったり、疎遠になってしまうこともありますが、友達との冒険や、何気ない会話、慰めあったことや、喧嘩したことが、自分という人間を形作る上で大事なベースになっているはず。大人になってからも気のおけない友達はありがたい存在ですね。