出典: Prolog 『KANAGU』は建具を際立たせ、強度を高める。
様々な飾り金具の製造法には大きく分けて2種類。鋳型に流しこんでプレスされた「鋳造」と、熟練の職人が文様を立体的に打ち出す「彫金手打」の2種類です。そして、一つ一つ浮き彫られた彫金手打金具を手がけることのできる職人はごくわずかなのです。
出典: 日常生活に必要なものを仕舞う和箪笥の引き出しをはじめ、引き戸や扉などの開閉には、引き手金具が必要でした。実用と装飾を兼ねた引き手金具は「かん」と呼ばれ、職人の手によって様々な文様や美しい意匠が生み出されていきました。
出典: 長持の大きく丸い引き手金具。その下に錠前金具。今風に言えばストレージボックスのような、大切なものを納める収納家具です。
出典: 引き出しの四隅には隅金具。そして鉄を打ち出して作られた美しい引き手が付いています。
出典: 匠の技による頑丈で美しい引き手です。一つ一つ丁寧に鉄から打ち出し、滑らかなカーブを描く引き手は、人の手にしっくりと馴染みます。
出典: 中央には錠前、左右の引き手がついているので、両手でしっかり出し入れができますね。四隅には、打ち傷から守る隅金具が打ち付けられ、先祖代々受け継がれる家具となります。
和風の現代家具にも・・・プレス加工された引き手金具にも、伝統的な菊の花の文様が用いられています。
出典: 会津の民芸家具・・・縁飾りが美しい和箪笥。龍の装飾金具で引き締めています。朱と金具の異財の取り合わせが素晴らしいですね。
階段箪笥の縁金具・・・隅には縁飾り「折丁」。小さな引き戸にも縁飾を施した「端ばみ(端ばめ)」が強度を持たせ保護します。
頑丈な建具としての扉に、個性と生命力を吹き込む扉金具。権威ある建造物には、重厚で美しい扉金具の装飾が見受けられます。
出典: 桜門の扉金具・・・優美で重厚な金具は、扉を際立たせ強いインパクトを与えます。権威を象徴する立体感のある彫金細工が素晴らしいですね。
出典: 浅草寺の本堂扉・・・金色に輝く金具が豪華ですね。まさに本堂扉にふさわしい扉金具です。
こうした扉金具にも縁飾りが施されました。装飾的な美しさと強度を持たせる匠の技が、素晴らしい調和を見せていますね。
出典: 京都御所の新御車寄の扉・・・整列する見事な縁金具「端ばみ(端ばめ)」。まるで絵画を見ているような美しさです。
出典: 金具の土台は菱の形。シンプルで実用的な輪っかの引き手です。
出典: 浅草寺の宝蔵門の扉の取っ手金具。ゴージャスな雰囲気ですね。
出典: 門扉之獅・・・獅子の顔をモチーフにした門扉の引き手。獅子が引き手の輪を口にくわえる面白いデザインですね。
出典: 成田山新勝寺・開山堂の紋付大扉・・・開山寛朝大僧正の御尊象を奉安してある威厳のある立派なお堂の扉です。開閉に使われる引き手金具は、小さいながらも経年に耐えうる頑丈さ。
出典: 成田山総門・・・太く立派な欅(ケヤキ)の柱を飾る装飾金具です。枡格子の建具との調和が見事ですね。
出典: 門柱下に施された飾り金具に龍のモチーフ。様々な彫金の技術が活かされています。
出典: 本願寺、門柱下の飾り金具・・・獅子の守り神が魔を祓います。
格式のある城門、武家屋敷などの扉や柱、つり束と長押(なげし)が交差した部分に打ち留めた大釘の大きな頭を隠すための化粧金具が「釘隠し」です。長押とは、柱から柱へ渡して壁に取り付ける横木。金物が表面に見えないように釘隠しをかぶせました。稀に陶製や木製の飾りもあり、鎌倉時代から江戸時代初期には家紋が多く使用されていました。
出典: 武家屋敷の門には秩序ある釘隠しの形・・・江戸時代の金具の意匠は、現代の住空間の中にもインパクトを与えます。
出典: 重厚な木製の扉に釘隠しの緑青(ろくしょう)が染み込み、歴史を感じさせます。
出典: 福田寺の飾り金具山門扉・・・経年からか、上下の釘隠しが脱落したのでしょうか…またそれも味わい深いですね。
出典: 高知白の詰門・・・年に一度、梅の花が咲く季節にしか開かない詰門の扉です。丸い釘隠しの規律ある意匠が素敵ですね。
出典: 九段会館の扉・・・旧称、軍人会館。剣の形が美しい釘隠し。重厚で歴史を感じさせる扉に、風格と威厳を与えています。
出典: 神社の六葉釘隠し・・葉と葉との間には猪目と呼ばれるハート型の隙間ができます。6片の葉の形をしていることから「六葉釘隠し(ろくようくぎかくし)」と呼ばれています。なんだか不思議で可愛らしい小窓ですね。
出典: 丸亀城・・・一の門の扉金具にふさわしい、お椀型の釘隠しです。
出典: 柔らかで優雅な六葉。細部にまでこだわった彫刻とディテールが美しいですね。
「蝶番(ちょうつがい)」とは、開き戸など、開く建具を支え開閉できるようにする部品。蝶の形がそのの由来で、現代では当て字「丁番(ちょうばん)」を用いています。蝶番の種類は、一般的な「平蝶番」から「旗蝶番」「抜き蝶番」「裏蝶番」「隠し蝶番」「なつめ蝶番」「自由蝶番」など、様々なものが用途によって使われています。
出典: 木製の扉と蝶番の質感のコントラストが印象的ですね。
出典: 門金物の中で、とりわけ八双金物は、その意匠によって建築の威厳を高める重要な金具です。地方によって多少かたちは異なり、鯖の尾のような形は同じですが、絵様刳形といわれる装飾部分がそれぞれの様式で作られています。
こちらは大手門の柱と門扉をつなぐ蝶番。風格のある八双金具が素晴らしいですね。
出典: 隋心院門跡・・・経年による錆がしっくりと馴染んだ門扉。釘隠しと八双金具との取り合わせが渋いですね。
出典: 瑞泉寺の山門扉・・・山門を補強する力強い縁飾り金具。簡単には破られない頑丈なつくりです。
出典: 約150年前の蔵戸錠・・・大切なものを仕舞う蔵は、重要な保管場所として江戸時代に多く建てられました。多くは松葉形をした板バネを鍵により絞って開錠する「落とし」と呼ばれています。こちらの錠前はキの字、四方向絞り落としバネ鉤です。
出典: 出典: 蝶のモチーフが珍しい扉錠。錠をしっかり補強する幅広で頑丈な扉金具板。
出典: 経年によって光沢を増した使い込まれた家具の木の表面。十字架を連想させる鍵穴金具は時代を物語ります。
美しい飾り金具の数々・・・人の手が紡ぐ豊かさと強さ、そして美しさを感じますね。
素敵なインテリアに、飾り金具は欠かせないアクセント。リフォームや家具のリサイクル、そしてリニューアルには是非オシャレな金具を使いたいものです。いつもの家具の引き出しや、見慣れた扉、棚などに付け替えるだけで、お部屋の雰囲気が素敵に生まれ変わります。
出典: 真鍮の止め金具・・・アンティーク風の家具のアクセントにぜひ使ってみたいですね!
出典: 真鍮のカンヌキ金具・・・インテリアの建具や小物入れなどに使うとレトロ感な雰囲気に。
出典: 真鍮製のフック金具・・・アンティーク調の風合いたっぷりのかけ金具です。
出典: 真鍮の取っ手・・・アンティーク調のお花の形が素敵ですね!ドアノッカーとしても使えます。
出典: 縦型の取っ手ハンドル・・・縦型で丸い輪を引っ張ります。引き出しなどに取り付ければオシャレでレトロな雰囲気になりますよ!
出典: 重厚感のあるロートアイアンのプルハンドル・・・扉や家具の引き出しなど、アンティークやインダストリアル風のインテリアの取っ手としていかがでしょう。
出典: ブラスハンドル・・・落ち着きのあるアンティークゴールドの取っ手。見慣れた家具の取っ手を取り替えて素敵にリニューアルしてみませんか?
出典: 真鍮の蝶番・・・使い込まれたアンティーク風の蝶番です。存在感のある素敵なデザインですね。
出典: アローヒンジのセット・・・蝶番として扉をセンスアップできますよ!
出典: 真鍮製のレトロ錠・・・鎖の付いたアンティーク風の錠金具です。色々な用途に使えそうですね!
出典: 鎖付き木製のバッグ・・・飾り金具がポイントのインテリア小物入れ。隅金具の施しが丁寧で、小さくてもしっかりしています。大切なものを仕舞うケースとして置いてみたいですね!
出典: 木製 クスリ箱・・・レトロな隅金具を施し、まるで和ダンスのミニチュアのようですね!アクセサリーケースや裁縫箱にもなりそうです。
出典: 様々な飾り金具によって、伝統的な日本の建築様式がより高度で素晴らしいものになりました。職人の卓越した技によって支えられてきた建具と飾り金具の関係。いつまでも受け継いでいきたい伝統と文化ですね。美しき国、日本。繊細な感性と意匠の素晴らしさを日本人として誇らしく思います。
長持の大きく丸い引き手金具。その下に錠前金具。今風に言えばストレージボックスのような、大切なものを納める収納家具です。