名言がたくさん。大人のこころを癒す『ムーミン』のやさしい世界へ
⼤⼈のこころも癒してくれるフィンランドの童話『ムーミン』シリーズ。
そっと大切なことを教えてくれる
ムーミン谷のなかまたちに、会いにいってみませんか。
過去最大級! 『ムーミン』の展覧会が、東京・六本木で開催
- Interview - タイナ・ムッリィハルエ ムーミン美術館館長
本展の開催をお祝いするべく、フィンランドから、“世界でひとつ”のムーミン美術館館長、タイナ・ムッリィハルエさんが来日。キナリノ読者の皆さんに知って欲しいムーミンについて、お話をうかがいました。
ムーミン谷のしあわせは、「寛容」によるもの
トーベ・ヤンソン≪イースターカード 原画≫
1950年代 グワッシュ、インク・紙
ムーミンキャラクターズ社
©Moomin Characters ™
性別、年齢、国籍、肌の色、宗教など関係なく、ほかの人たち誰でも拒まず受け入れるという、寛容な心。「みんなと友達になろう」「誰でも家に来ていいよ」というメッセージを読み解けます。
本の1作目を書き始めたのがちょうど戦争中で、戦争の暗い現実から逃避するための意味も含んでいました。”
トーベ・ヤンソン≪「ムーミン谷の彗星」挿絵≫
1946年、1968年(改作)
インク・紙 ムーミン美術館
©Moomin Characters ™
※本画像の中央左寄りにいるのが、スニフ
スニフは、単純にきらきらしているものが好きだったり、おっちょこちょいでおバカさんながところあったりします。でも、そんなスニフのような面白い要素が好きなんです(笑)。
私たちの実際の人生、普通の生活や仕事においても、時にはスニフのように、普通の発想とは“逆”を楽しむことが必要ですよね。”
生まれたてのムーミンは、体が黒かった!?
ムーミンの原型になったと言われる、トーベが子どもの頃に描いたSNORK(スノーク)の落書き
※本画像は、会場の壁に投影されたもの
実は一番最初の頃の原画には、痩せていて、もっと鼻が細くて、体が黒いムーミンもいるんですよ。作品の日付を観ながら鑑賞すれば、より変化していく姿を楽しめると思います。”
トーベ・ヤンソン≪「ムーミンパパ海へいく」挿絵≫
1965年、インク・紙
ムーミン美術館
©Moomin Characters ™
※本画像には、日本の浮世絵の雨を連想させる描写があります
そうですね。ムーミントロールは、トトロや妖怪といった存在に近いかもしれません。実はトーベは2度来日していて、日本のことを愛していたんです。日本の伝統にも興味を持ち、なかには浮世絵の表現に影響を受けたと思われる作品もあります。何か共通点があるかもしれませんね。”
今の私たちに勇気を与える、トーベの“自分らしい生き方”も見つめて
そして、キナリノの読者の皆さんは女性が多いということですので、ぜひ、トーベ・ヤンソンがとても勇敢な女性であったことも、知っていただきたいと思います。”
フィンランドで最初に同性パートナーがいることをカミングアウト*した人のひとりであり、その理解を促す活動も行いました。独立記念日のイベントには同性カップルとして、大統領府に招待されています。
みなさんにも、トーベのように自分らしい自由な生き方をしてほしいということをお伝えしたいです。”
世界中でムーミン作品が愛されていることに対して「物語のキャラクターに自分を重ね合わせることができるからでしょう」とお話された、ムーミン美術館館長 タイナ・ムッリィハルエさん(右)、学芸員のヴィルピ・ニッカリさん(左)。
興味津々!と気持ちが高まるあなたへ、本展のみどころをご紹介します。
- Report - ムーミン展のみどころ
みどころ1. ムーミンの小説9冊 それぞれの展示構成
第一作目の「小さなトロールと大きな洪水」に続き、「ムーミン谷の彗星」、「楽しいムーミン一家」・・・ムーミンの小説のシリーズは全9冊で完結します。
本展では9つの作品ごとに、挿絵・スケッチをご紹介。あわせて、絵本「ムーミン谷へのふしぎな旅」の原画も展示されます。ムーミンの小説をご存知の方は、キャラクターがどう変化しているのかを存分に楽しめますね。
こちらは「ムーミン谷の夏まつり」の挿絵。リトルミイの姉・ミムラねえさんが、ライオンに襲われるシーンの芝居を“本当”と勘違いしたリトルミイ。ミムラねえさんを助けるべく、ライオンに噛み付いています!
トーベ・ヤンソン≪「ムーミン谷の夏まつり」挿絵≫
1954年 インク・紙 ムーミン美術館
©Moomin Characters ™
みどころ2. 本では見たことがないムーミンたちの姿も!
トーベがムーミンの小説の前に手がけていた風刺雑誌「GARM(グラム)」の挿絵や、イースターカード、アドベントカレンダーの原画なども。タオルなどのファブリックの図案、リトルミイの洋服のデザインパターンなども並びます。
こちらの画像のように、環境広告のポスターも手がけています。
ムーミンの物語は、何度か舞台にもなり、トーベは舞台用美術や衣装デザインも担当。その後、オペラ、実写テレビシリーズ、パペットアニメーションと、ムーミンはさらに幅広い展開を見せ、それらにトーベも関わり続けます。
トーベが日本の浮世絵に影響を受けたであろうことがわかる、作品の比較展示も。ムーミンの世界に、日本との共通点を見つけられることも、本展のユニークな魅力。
みどころ3. トーベの素顔や創作風景に迫るコレクション
トーベを語るうえで、切っても切り離せない、彼女が愛した創作の場所があります。それは、ヘルシンキ市内のアトリエと、フィンランド南部の小さな離れ孤島・クルーヴ島の小屋。
なかでもクルーヴ島は、トーベが子供のころから親しんでいた無人島であり、大人になってからはパートナーのトゥーリッキとひと部屋の小屋を建て、1967年から25年間毎夏を過ごしたところです。この島暮らしで得たインスピレーションが、創作には色濃く反映されています。
本展では、そんな彼女の創作の場にあった物や愛用品、写真も展示されています。
二人でムーミンの立体模型作品に熱中したことがわかる写真やフィギュアの展示も。トゥーリッキという存在があってこそ、トーベの創作活動が昇華していったことがわかります。
みどころ4. 貴重なムーミンのフィギュア
トーベ・ヤンソンが最後まで手元に残しておいた作品、ムーミンキャラクターズ社保有の貴重なコレクションなど、絵ではなく、“物”の展示が多いことも本展の特徴です。
“まぼろしのムーミン人形”といわれる、アトリエ・ファウニによるハンドメイドのフィギュアも展示していますよ。
ムーミン展をもっと楽しむために!
コラボレーションメニュー
期間中は、ムーミンのキャラクターたちをイメージしたコラボレーションメニューを展開!
リトルミイがちょこんと手を前に出す姿がかわいい「ちびのミイのパフェ」(画像右)、トルティーヤが“スナフキンの帽子”になっているフィッシュバーガー「スナフキンバーガー」(画像奥)、さらには「ムーミンパスタ」、「ニョロニョロの抹茶タピオカドリンク」など・・・どれも笑みがこぼれる可愛さ。同フロアにあるカフェ「Cafe THE SUN」にて提供しています。
オリジナルグッズ
バリエーション豊かな「ムーミン展」公式グッズも見逃せません。
本展の魅力がぎゅっと詰まった図録は、洋書のような豪華な装丁(画像左下)。そのほか、Tシャツやトートバッグなどのファッション、手ぬぐいといった人気のファブリックアイテムもずらり。フィンランドのムーミン美術館で販売されているオリジナルグッズもあり、なかでも原画ポストカードは、要チェックですよ。
ムーミン谷のなかまたちと一緒に写真撮影
そのほか、ムーミン谷のなかまたたちと写真を撮れるブースがあったり、音楽家のコトリンゴさんによる会場音楽、人気声優の櫻井孝宏さんによる音声ガイドなど、女性の心ときめくポイントがいっぱいです。
『ムーミン展 THE ART AND THE STORY』開催概要
2019年4月9日(火)~6月16日(日)
*会期中無休
■開催時間
10時~20時(入館は閉館30分前まで)
*火曜は17時まで
■会場
森アーツセンターギャラリー(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階)
■入館料(税込)
1,800円(中高生1,400円、4歳~小学生800円)
*3歳以下無料
【巡回展】
2019年6月29日~9月1日/大分・大分県立美術館
2019年12月7日~2020年1月19日/愛知・松坂屋美術館(松坂屋名古屋店)
制作年不詳 インク・紙
ムーミンキャラクターズ社
©Moomin Characters ™
(画像提供:「ムーミン展」広報事務局)