そもそも、「ヨガ」って何だろう?
ヨガ?それともヨーガ?
ヨガの正しい発音はヨーガとされています。しかし、日本語で「ヨーガ」と発音するには長母音の「ー」が少し長く、「ヨゥガ」がインド人の発音に近いと言われています。実際にはヨガ、ヨーガのどちらも使われていますが、街中では「ヨガ」を使う場が多そうですね。
ヨガとはサンスクリット語の動詞の語源「yuj」から派生し「Yoga」になりました。コントロールする、調和をとる、つなぐといった意味があります。
ヨガのはじまり
数千年もの歴史をもつヨガのはじまりは諸説あり、いまだ謎のベールに包まれています。ここでは、ヨガ流派について少し触れていきましょう。
大きく分類すると、インドで最も多く行われている信愛のヨガ「バクティヨガ」、主に瞑想のヨガ「ラージャヨガ」、目の前の事に奉仕していく行動のヨガ「カルマヨガ」、哲学的なヨガの「ジニャーナヨガ」の4つになります。
この4つのヨガがさらに広がり、近代ヨガの根源となりました。
近代ヨガといえば、まずハタヨガ。ここから派生していき、アシュタンガヨガやアイアンガーヨガといった現代のヨガが出来上がってきたのです。ポーズに重きを置き始めたのは20世紀前半と言われ、それまでは瞑想や哲学的なヨガが主流だったとの説もあります。
アロマヨガやリラックスヨガなどは現代のハタヨガがベースになっていることが多いです。古来のヨガはなんだか遠い気がしますが、こうやって今でも伝えられ続けているのですね。
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
ポーズはヨガの一部?
少し深くヨガのことを掘り下げていきましょう。
ヨガというとポーズを思い浮かべると思いますが、ポーズのことをアサナもしくはアーサナ(Asana)といいます。
そのアサナはヨガ全体でみると、ステップとしては4つ目。ヨガ=ポーズと思われることもありますが、実は8つの段階で成り立っている奥深い世界なんですね。
アサナ以外のヨガって一体?さらにヨガを楽しむために、その他の段階についてご紹介します。
8つの段階で自分軸をつくろう
ヨガをするにあたっての8つの段階をヨガの専門的な言葉で言うと、「賢者パタンジャリによるヨーガ経典「ヨーガスートラ」における八支則」。簡単にいうと、ヨガを通してより良い生き方をするための8つの段階式訓練法です。
一段階目…ヤマ=禁戒(きんかい)
盗まない、無用な暴力をふるわないなど慎むべき部分。
二段階目…ニヤマ=勧戒(かんかい)
感謝の気持ちを持つこと、清潔さを保つなど自分自身の生活態度を見直す。
三段階目…アサナ=対位法
ヨガの特徴ともいえるポーズのこと。動く瞑想。
四段階目…プラーナヤーマ=呼吸法
呼吸法によって生命力(プラーナ)をコントロールする。
五段階目…プラティヤハーラ=制感(せいかん)
意識的に動作を鎮めて、五感を内に向かわせ瞑想に入ること。
六段階目…ダーラナー=凝念(ぎょうねん)
さらにマインドを納めて集中していくこと。
七段階目…ディヤーナ=静慮(じょうりょ)
集中していた意識が同化し始め、直感が起きてくる。日本では「禅」とされる。
八段階目…サマディ=三昧(さんまい)
全てから解放された状態。悟りの境地。
数千年の歴史があるヨガは体の健康のためだけではなく、八段階目にあたるサマディーに向けて実践されてきたのです。
掘り下げていくとどんどん難しく感じますが、道徳的な部分を土台に、体を動かし心を鎮め、一つに集中していくと考えるとシンプルでわかりやすいかもしれません。
ヨガの代表的経典『ヨーガスートラ』を、インド哲学を学び続ける「向井田みおさん」がやさしく解説しています。これからヨガ哲学を学んでみようという方に、おすすめの一冊です。
「アーユルヴェーダ」とヨガの関係
はるか昔のヨガ行者たちはヨガを通して心や体を癒してきましたが、それには食事内容や日々の過ごし方も大切と考えました。
アーユルヴェーダもヨガのどちらも根っこの部分や目的まで共通点が多いため、自然と触れる機会も多いかもしれません。
インド・スリランカ伝統療法のアーユルヴェーダはヨガ実践者にとって日々の在り方や食事のヒントを与えてくれます。これらを通して自身の自然治癒力を高めたり、また予防することができます。
アーユルヴェーダでは、人は風のエネルギー(ヴァータ)、火のエネルギー(ピッタ)、水のエネルギー(カパ)に分けられるとされています。これらの3つの要素は、宇宙の五元素をもとに生成されます。
風のエネルギーは空と風、火のエネルギーは火と水、水のエネルギーは水と地というように、それぞれ2つの要素が組み合わさります。
自分がどれに当てはまるかドーシャ体質診断で知ることができます。
アーユルヴェーダで重用される、ミラクルオイル「ギー(Ghee)」
これだけは、知っておきたい。よく耳にするヨガワード3選
ヨガクラスでよく耳にするヨガワードをご紹介します。ヨガ用語はほとんどがサンスクリット語です。覚えておくとレッスン中の理解度がより深まりそうですね。
よく耳にするヨガワード1.『プラーナ』
プラーナとは生命エネルギーの事を指します。プラーナヤーマは呼吸法ですが、それによって心とプラーナが結びつくと言われています。
よく耳にするヨガワード2.『スーリア』
スーリアとは太陽を意味します。太陽礼拝を「スーリアナマスカーラ」と聞くこともあるのではないでしょうか。
発音は「スーリャ」「スリア」「スーリヤ」ということも。呼吸法やポーズ名にも時々出てくるので、イメージしながらポーズをとれば活力がみなぎりそうですね。
よく耳にするヨガワード3.『シャンティ』
平和の意味があるシャンティ。三回唱えると心に平和がやってくると言われています。
ヨガクラスの最後に「オーム シャンティ シャンティ シャンティ」と唱えることも。三回のシャンティは、自分へ、周りの人へ、環境にと思いが込められています。
「ヨガ」は、10人10色。
ヨガの始まりを知ることや八支則などは、つまりはあなたのヨガの旅の道しるべでしかありません。
結局のところ、ヨガを続けながら出てくる変化や気付きが自分のヨガを支えているのです。
ポーズをとることだけに偏る時期があっても、また美容のためとせっせと励む時があっても、そのどれもがあなたのヨガです。続けていく先に見えてくるものがきっとあるはず。
しかしダイエットや単なる健康法というより、最終的に真我に気付くための道筋であって、ダイエットなどの見た目の変化はその結果にすぎません。
人生を通して長期的に自分自身を見つめられることがヨガの一番の楽しさなのかもしれません。
ヨガをした後の心身のスッキリ感はどこからくるのでしょうか。体を動かすから、呼吸が深まるから、リラックスできるから…。体は軽くなり、心のスピードが落ち着いて視界が開けていくように思えませんか?
ヨガを始めるきっかけは人それぞれ。健康や美容、心の安定など入口は人によって違いますよね。ヨガを続けていくと、「週に〇回通っている」「難しいポーズもできる」といった見た目にわかりやすい結果を求めることもありますが、実際ヨガ本来の目的は別のところにあるものです。
そもそもヨガって何なのだろう?難しいポーズをとれるようになることがゴールではないの?
古来のヨガ行者からの教えをもとに、もっとヨガの効果を得るためにも本来の目的を探ってみましょう。