古くから日本各地で受け継がれてきた伝統工芸と、そこで培われた高度な職人技術から生まれた生活雑貨。
デザイナーが細部にまでこだわり、使いやすさをとことん追求した美しいキッチン道具やテーブルウェア。
今回はそんな日本の伝統技術や作り手のこだわりなど、その製品が出来上がるまでの過程を大事にしたいと思わせる、“メイド・イン・ジャパン”の素敵な日用品10選をご紹介します。
物語を紡ぐように出来上がる一つ一つのアイテムは、どれも現代のライフスタイルを豊かに彩る素晴らしい名品ばかりです。

素朴で温かみのあるお洒落な「古伊賀土鍋」は、トウジキトンヤの人気商品のひとつです。土鍋の素材には、焼成すると多孔性の素地になる伊賀の陶土を使用しているため、土鍋本体がしっかりと熱を蓄えて食材の芯までじっくりと火を通します。食材の旨みを最大限に引き出して料理をまろやかに仕上げる土鍋は、冬の定番メニューである鍋料理はもちろん、ご飯を炊く・煮る・蒸すなど、様々な料理に活躍します。

ぽってりとした愛らしいフォルムが特徴の「ご飯鍋」も、土鍋と同じ伊賀の陶土を使用しています。遠赤外線効果の高い伊賀焼のご飯鍋は、お米の芯までしっかりと熱を伝え、お米本来の甘みを感じられる美味しいご飯が炊けます。さらに蓄熱性・保温性にも大変優れているので、好条件でご飯を上手に蒸らすことができます。

ご飯鍋は内蓋・外蓋の二重仕様になっており、程よく圧がかかり吹きこぼれがしにくいのもポイントです。また、良質な伊賀の陶土で焼いた土鍋とご飯鍋は、どちらも原料に特別な耐火成分を追加していないため、使用する過程で貫入(表皮の細かいヒビ)が入りやすいという特徴があります。こうした陶土の特性も魅力の一つとして、使い込むほどに増す独特の味わいも楽しむことができます。

柳宗理が1960年代に製作した不朽の名作「ステンレスボール」は、洗練されたスタイリッシュなフォルムと、使いやすさを追求した機能的なデザインが特徴です。ステンレスボールを開発する際には、多くの料理研究家や主婦の方々の意見を取り入れ、長年の研究を重ねてそれぞれの用途に合わせてデザインされました。そのためサイズによって形が微妙に異なり、用途に応じて使い分けられるよう工夫されています。

こちらの23㎝のステンレスボールは、サラダやお菓子作りの時に重宝するサイズ。つや消し仕上げのステンレスは高級感があり、傷などが目立ちにくいのも特徴です。素材は耐蝕性に優れた18-8ステンレスを採用しているので、丈夫で錆びにくく衛生的に使用することができます。

サイズは13～27㎝が展開されており、写真のように重ねるとコンパクトに収納できます。真の使いやすさをとことん追求し、何度も試作を繰り返すことで生み出される柳宗理のキッチン道具。女性の様々な意見を基に、機能性を重視して開発されたステンレスボールは、長く愛用できる普遍的で美しいデザインも魅力です。

日本の職人によって、ひとつひとつ丁寧につくられる東屋の「ジューサー」。シンプルでおしゃれなデザインと、細部にまでこだわりぬいたクオリティの高さが特徴です。ジュース作りはもちろんのこと、ドレッシングやポン酢など、幅広い用途に使える“使い勝手の良さ”も魅力です。

透き通るような白磁が美しいジューサーは、国内で最高級とされる天草陶石(熊本県産)を使用し、長崎県波佐見町の窯で焼き上げた純国産の磁器製品です。ジューサーとポットは上・下に分かれ、コンパクトで収納スペースを取らず、簡単にサッと洗えて清潔に保てます。

最後の一滴までストレスなく絞りきれるよう、何度も実験を繰り返し、ようやく完成した絞り器のかたち。レモンの種などは上の受け皿に残るので、果汁だけを綺麗に濾しとれます。ポットの容量はレモン一個を絞っても余裕があるので、そのまま醤油や出汁を合わせてタレやドレッシングなどを作ることも可能です。お洒落なデザインと機能性を両立させた東屋のジューサーは、日本の手仕事ならではの繊細さと温かみを感じることができる逸品です。

1996年にグッドデザイン賞を受賞した「銘木椀」シリーズは、薗部産業を代表するロングセラー商品のひとつです。木の選別・乾燥・形成・塗装仕上げの全工程を薗部産業の職人が行い、お椀一点が完成するまでに数か月という長い時間を要します。銘木椀に使われている素材は、さくら・けやき・ぶな・くり・くるみ・ならの6種類。同じ種類の木材でも木目や色合いが異なり、一つ一つ違う印象を楽しめるのも魅力です。

シンプルでナチュラルな銘木椀は、お味噌汁はもちろんのこと、コーンフレークやサラダなど和洋問わず使えるのも魅力です。天然木ならではのナチュラルな風合いと愛らしいデザインが、毎日の食卓を温かく演出してくれます。職人さんが一つ一つ丁寧に、長い時間と手間をかけて作る上質なお椀は、長く大切に使い続けたいと思わせてくれる逸品です。

真鍮と銀のコントラストが美しいFUTAGAMIの「カトラリー」シリーズ。テーブルコーディネートを引き締めるスタイリッシュなデザインと、真鍮鋳肌ならではの心地よい肌触りが特徴です。ぬくもりのある優しい輝きが魅力の真鍮は、使い込むことで現れる“経年変化”を楽しむことができる素材です。艶やかなゴールドから渋い色合いへと少しずつ変化し、なんともいえないアンティーク風の独特の味わいが出てきます。

素材には鉛を含まない独自配合の“鉛レス真鍮”を使用し、加工性・強度・色味をコントロールしています。また、口に触れる部分には抗菌性に優れた銀メッキが施され、口に含んだ時の心地よい感触も特徴です。

カトラリーの種類はスプーン(大・中・小)、フォーク(大・中・小)、ナイフ、スープスプーンを展開しています。熟練の職人によって一つ一つ丁寧に作られるカトラリーは、細部にまでこだわりぬいたディテールの美しさも魅力です。真鍮鋳肌を活かしたモダンで上質なカトラリーは、ワンランク上のおしゃれな食卓を演出してくれます。

平安時代から伝わる山形鋳物の伝統美を活かした「ティーポット(急須)」は、丁寧に仕上げた鋳肌の美しさと、コロンと丸みのある愛らしいデザインが特徴です。鉄でできた丈夫なティーポットは保温性に優れているため、お湯の温度を保ち、茶葉の味と香りをじっくり抽出します。シャープな注ぎ口はお茶切れが良く、ティーポットの内側にはホーロー加工が施され、錆びにくくお手入れしやすい工夫もされています。

美しいデザインと機能性を融合したティーポットは、大きく分けて3種類の形を展開しています。持ち手の素材をステンレスや真鍮に変えたもの、着色をしたものや蓋の素材を磁器にしたものなど。魅力的な商品ラインナップから自分のライフスタイルや好みに合わせて、お気に入りの逸品を選ぶことができます。

鉄瓶は南部鉄器が有名ですが、“薄肉美麗”と呼ばれる山形鋳物は、南部鉄器とは異なる繊細さが特徴です。山形鋳物の伝統美をモダンに昇華させた鋳心ノ工房のティーポットは、鋳物独特の風情と素朴な味わいも魅力。手作りならではのぬくもりが感じられ、使い込めば使い込むほどに愛着が増していきそうです。

江戸時代創業の石塚硝子グループ・アデリア株式会社と、THEのコラボレーションにより誕生した「THE 醤油差し」。食卓に上品になじむ美しいデザインでありながら、“一切液だれしない”という実用性も備えた逸品です。醤油差しで一番気になる“液だれ”の問題をクリアするために、注ぎ口を一から設計し、何度も試作を繰り返して完成しました。醤油差し特有の「くちばし」がないにもかかわらず、気持ち良いほどの“醤油切れの良さ”を実現しています。

赤い蓋に円錐形ガラスという昔懐かしい醤油差しを基に、素材・容量・サイズの3点も改良を加えています。素材にはガラスの中でも特に透明度の高い「クリスタルガラス」のみを使用することで、プラスチックと篏合させるねじ込みが不要になり、より衛生的ですっきりとした見た目に。容量は醤油の鮮度が落ちないうちに使いきれる80㎖に設定し、高さは113㎜と小ぶりなサイズ感ながらも、底面を厚くすることで倒れにくい構造になっています。

醤油だけでなくオリーブオイルやお酢など、何を入れてもサマになる美しい醤油差しは、和食器にも洋食器にも似合うシンプルで上品な佇まいも魅力。また、高級感のある桐箱入りなので、自分用はもちろん、大切な方への贈り物にもおすすめです。デザイン性も実用性もこだわりぬいた「THE 醤油差し」を、ぜひ食卓の“新定番”に加えてみませんか？

中央に織り込まれた“FINE LINEN CLOTH”のロゴデザインと、しなやかでありながらしっかりしたリネン特有の質感が魅力の「ロゴクロス」。麻100％でできたシンプルなスクエアデザインのキッチンクロスは、ALDINを代表する人気アイテムのひとつです。日常使いしやすい程よい厚みと、上品な柔らかさも特徴です。

清潔感溢れる白いリネン生地に、ネイビーとレッドのラインが映える美しいロゴクロス。ALDINのリネンは使い込むほどに柔らかくなり、吸水性が高く乾きやすいのも特徴です。しなやかで毛羽立ちにくいので、普段使いの食器はもちろん、漆器やガラス製品など大切な器の拭きあげにも活躍します。

シンプルでおしゃれなデザインが目を引くロゴクロスは、テーブルセンターや棚の目隠しとしてインテリアに取り入れても素敵です。ALDINのリネンは昔ながらの機械を使い、熟練の職人さんが一枚一枚丁寧に織り上げています。使い込むほどに味わいを増す国産の美しいリネンクロスは、生地の変化を楽しみながら長く愛用したくなる逸品です。

コロンと丸いフォルムが可愛い松野屋の「トタン豆バケツ」。バケツの素材には屋根材や壁材に使われるトタン材を使用し、耐久性に優れ、サビに強く腐食しにくいのが特徴です。どこか懐かしいレトロな佇まいと、日常使いしやすい小ぶりなデザインも魅力です。サイズは大・小の2種類が展開されており、2つを重ねて収納することができます。

手に馴染みやすい木製の持ち手は、しっかりしていて軽いので持ち運びも楽ちん。お掃除はもちろんのこと、グリーンや花を生けたり、収納にも活用できる汎用性の高さもポイントです。ストックしている野菜を入れたり、お庭のプランターに使ったり。アイディア次第でいろんな使い方が楽しめますよ♪

壊れにくく、丈夫で使いやすいトタン豆バケツは、永く愛用できるシンプルなデザインも魅力です。軽くてどこにでも持ち運べるので、窓拭きや床の雑巾がけもスムーズ。おしゃれで使い勝手の良いトタン豆バケツは、毎日のお掃除の時間をさらに楽しくしてくれそうです。人々の生活に根差した昔ながらの荒物雑貨には、現代のライフスタイルを豊かに彩る“素朴な美しさ”があります。

上質な素材と職人の技が光る「籐脱衣かご」と「籐バスケット」。籐工芸の老舗『ツルヤ商店』と、新潟で伝統産業と“今”を結び、職人技術を活かした新しいプロダクトを提案する『エフスタイル』のコラボレーションによって誕生した逸品です。懐かしくもありモダンさも感じる脱衣かごとバスケットは、塗装をかけずに仕上げているので、経年変化により飴色に変化していく楽しみがあります。

脱衣かごのデザインは角型・楕円の2種類が展開されており、どちらも“曲げる・巻く・編む”という、手仕事の丁寧さと素晴らしさを感じることができる逸品です。脱衣かごとしてはもちろんのこと、来客用の荷物置き、日用品の収納など幅広い用途で活躍します。

編み物セットや雑誌をまとめるのに最適なバスケットは、北欧インテリアにも馴染むおしゃれな丸型のデザインが特徴です。籐製品ならではの優しい風合いが、玄関・リビング・寝室など、お家の中の様々な空間を明るく演出します。脱衣かごとバスケットはどちらもメンテナンスを受け付けているので、お手入れをしながら長く使い続けることができます。使い込むほどに愛着も風合いも増す『ツルヤ商店』の籐製品は、次世代へと受け継ぐことのできる名品です。

伝統工芸で培われた高度な職人技術を活かし、現代の生活に合わせてデザインされた「日本の日用品」。
作り手の思いやこだわりが詰まった数々の名品は、手仕事ならではの繊細さと素朴な美しさも魅力です。
現代のライフスタイルを心地よく、豊かに彩る“メイド・イン・ジャパン”の日用品を、ぜひ暮らしの中に取り入れてみませんか？