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vol.38 TESHIKI-手式- 中田絢子さん 松岡朋子さん 洋服のように、下着にも選ぶ楽しさを

二人の姉妹がデザイナーを務める「TESHIKI-手式-」。シンプルながら遊び心のあるデザインと履き心地で人気のアンダーウェアブランドです。「消耗品」と一括りにされがちな下着ですが、毎日身につけるものこそ、自分が心地良いと思えるものを「選ぶ」ことが大切なのではないでしょうか。そんな「選ぶ楽しさ」を思い出させてくれる「TESHIKI-手式-」が作られたストーリー、これからの「下着」の在り方、アイテムを通して伝えたいことを、デザイナー中田絢子さん・松岡朋子さんのお二人にお伺いしました。(2016年05月20日作成)

写真:千葉亜津子 文:キナリノ編集部

vol.38 TESHIKI-手式- 中田絢子さん 松岡朋子さん 洋服のように、下着にも選ぶ楽しさを

着る、食べる、住まう――生きていく上での基盤となる「衣食住」。私たちは、そこにこだわりや心地良さといった「豊かさ」を加え、日々を重ねています。中でも「着る」という行為の目的は実に多岐に渡るものですが、着ることを楽しむ“衣”のスタートラインとなるのは「下着」なのではないでしょうか。

洗いたての、さらっとした肌着に包まれて眠る安らかな夜。とっておきの下着を身につけると、すっと背筋がのび、気が引き締まる朝。肌着や下着は単なる「消耗品」ではありません。私たちの心と体を健やかにしてくれる、いちばん初めの衣服なのです。
vol.38 TESHIKI-手式- 中田絢子さん 松岡朋子さん 洋服のように、下着にも選ぶ楽しさを

vol.38 TESHIKI-手式- 中田絢子さん 松岡朋子さん 洋服のように、下着にも選ぶ楽しさを

くしゅくしゅ、ころんとした姿かたちがなんとも愛らしい……これ、全部パンツなんです。
「TESHIKI-手式-」は、デザイナーの中田絢子さんと松岡朋子さんご姉妹によるアンダーウェアを中心としたブランド。「毎日着たい、シンプルで着心地の良いパンツ」をコンセプトに、個性豊かでバラエティに富んだデザインと、天然素材使用の抜群の履き心地で、じわじわとファンを増やしています。

「TESHIKI-手式-」のパンツは自分がずっと求めていたもの

洋裁を習っていたというお母様の影響で、子どもの頃からものを作ることや洋服が大好きだったというお二人。縫い物や編み物などは常に身近な存在だったといいます。大人になっても「好き」は変わることなく、姉・松岡さんはアパレルの販売、妹・中田さんはリネン専門店で企画・販売の仕事に携わりますが、「自分で何かしたい」という想いがあった中田さんは仕事を辞め、一人で「TESHIKI-手式-」をスタートしました。
(左)姉・松岡朋子さん、(右)妹・中田絢子さん

(左)姉・松岡朋子さん、(右)妹・中田絢子さん

「自分に合う下着」がずっと見つからなかった
潔くカットされたショートヘアがよく似合う中田さん。なぜ数ある「衣服」の中から下着作りを選んだのでしょうか。

「それまでは、売っている下着で満足したことがなかったんです。服は自分でも作っていましたけど、すでに色々なテイストのものが売っているじゃないですか。でも、下着は気に入るものがなくて、かつ『絶対に欲しいもの』だったので。自分はレースのランジェリーっていう感じでもないですし、かといってシンプルすぎる無地のパンツも味気ない。ずっと自分に合うものを探していたんですけど、仕事を辞めたタイミングで試しに自分で作ってみようと思って。何度か試作を重ねたら、思いのほか良いものができたんです」
ラベルも手作り。一枚一枚丁寧に巻かれています。※ピンクとピンクストライプはイベント用に作られた限定モデルです(画像提供:TESHIKI-手式-)

ラベルも手作り。一枚一枚丁寧に巻かれています。※ピンクとピンクストライプはイベント用に作られた限定モデルです(画像提供:TESHIKI-手式-)

その後、家族や友人にもサンプルを履いてもらったところ、続々と「良いよ、これ!」と絶賛の声が。それまでは、お互いに下着の話をすることなどありませんでしたが、下着に関してのお悩みは全員で共通していました。周囲の様々な声を聞き、「やってみるか」と決意した中田さん。デザイナーの「こんなの欲しい!」という想いから、「TESHIKI-手式-」の製品は正式に世に出ることになったのです。
人気ウェアブランド「homspun(ホームスパン)」が主催するワークショップイベントに参加して作ったというフックド・ラグ(ウール地を裂き、フックで刺して模様を描いていく手芸法のひとつ)。展示会やイベントの際などに、看板代わりに使用しているそう

人気ウェアブランド「homspun(ホームスパン)」が主催するワークショップイベントに参加して作ったというフックド・ラグ(ウール地を裂き、フックで刺して模様を描いていく手芸法のひとつ)。展示会やイベントの際などに、看板代わりに使用しているそう

姉が加わって二人の「TESHIKI-手式-」に
10代の頃からお互いに「一緒に何かやりたいね」と話していたというお二人。「TESHIKI-手式-」がスタートして2年後、今までも何かと手伝いをしていた姉の松岡さんが正式に加入することに。「姉を見て、『もっと考えればよかった』ということがたくさんある」と中田さんはいいます。

「自分があまり考えない方なので、姉が正式に入ってくれたことで、また違うやり方を教えてもらってる感覚ですね。どちらかが『これちょっと違うな』って思っても、一人のときには気付けなかったことをお互いに言い合えるので。二人になったから仕事が二倍になったとかではなく、どんどん世界が広がっていくような」
シックなドット柄がおしゃれな二色展開の「Monochrome Dots」。どちらも欲しくなってしまいそう!

シックなドット柄がおしゃれな二色展開の「Monochrome Dots」。どちらも欲しくなってしまいそう!

意外にも、お二人の性格はまったく違うと言います。慎重派で、作業を進める間にも、何度も考え直すことが多いという松岡さん。反対に中田さんは直感派。ブランド開始時のエピソードを聞いていても、そのことがうかがえます。姉妹だからこそ、話し合いがヒートアップすることもあるそう。「結構、踏み込んで話すから、傍から見たらケンカみたいに見えるときもあるかもしれないんですけど(笑)」と二人で顔を合わせて笑います。

お二人のお話を聞いて思わず納得。遊び心があって、機能性も兼ね備えた「TESHIKI-手式-」のウェアは、正反対の二人がバランスよく助け合っているからこそできることなのです。

服の延長で、もっとカジュアルに下着を楽しんでほしい

vol.38 TESHIKI-手式- 中田絢子さん 松岡朋子さん 洋服のように、下着にも選ぶ楽しさを

長年、アパレルで販売に携わっていた松岡さんは、下着のあり方について、少し疑問を感じていました。

「もう少しオープンにしてもいいかなって思うんですよね。神経質になりすぎているというか。極論を言ってしまうと、多少透けたりひびいたりするのもアリなんじゃない? と(笑)。公の場で下着の話ってしないじゃないですか。どうしてもまだ、『触れちゃいけないもの』という感じがありますよね。でも、もう少しカジュアルに服の延長で服屋さんに並んでいてもいいんじゃないかなって。服を買うときに下着も一緒に買ってもいいし、そんなにくっきり分けなくてもいいと思うんです」
おっとりした雰囲気の中にも、一本の芯がすっと通っている松岡さん

おっとりした雰囲気の中にも、一本の芯がすっと通っている松岡さん

この日の撮影スタッフは全員女子チーム。取材の最中にも誰かしらの「うんうん」「わかる! 」という声が飛び交っていました。女性でも下着屋さんに入りにくいときがあること、アンダーヘアのクセ問題……。誰かに言うほどのことではないけれど、密かに皆が気になっていること。自分たちが本当に欲しいものを作っているからこそ、それぞれのアイテムは、デザインの細かいところまで、心をくすぐるポイントがちりばめられています。松岡さんは、こう続けます。

「私はわりと、買う側として製品のことを考えてしまうんですよね。例えば、同じネイビーのパンツを選ぶにしても二色の内から選ぶより、ダーッとたくさん並んでいて『あ~、どれにしよう! 』って悩める方が絶対楽しいと思うんです。洋服を買うときと一緒で、下着を買うときにもそういう楽しさがあっても良いんじゃないかと思って。似た柄で種類を増やしたり、シーズンで変化をつけたり、そんなふうに作っていけたらなあって」
こちらはリラックスウェアのカタログ。深みのあるカラーから、鮮やかなものまで、季節に合わせたものを展開しています

こちらはリラックスウェアのカタログ。深みのあるカラーから、鮮やかなものまで、季節に合わせたものを展開しています

「その人の好みによりけりですよね。レースの下着は世の中でも数が多いので、選ぶ楽しみがあるかもしれないんですけど。ゴージャス、セクシーなものが苦手だったり、似合わないという方でも楽しめるような下着、というところを目標に作っています」と中田さん。

服と同じように、沢山の選択肢の中から下着を買うことをもっと楽しんでもらいたい。「TESHIKI-手式-」のアイテムは、「選べる」という純粋な楽しみをベースにして作られています。

「選べる楽しさ」を大切にしたデザイン

絶妙に違う模様と豊富なカラー展開。とにかく選ぶのが楽しくて、実物を目の前にすると長い時間迷ってしまう「TESHIKI-手式-」のアイテム。特別奇抜だったり派手な色を使っているわけではないのに、どこかワクワクするデザインは、どんなところから着想を得て、どんなことにこだわって作られているのでしょうか。
従来のコットンより軽量なライトウェイトコットンで作られた、春夏にぴったりの爽やかなシリーズ

従来のコットンより軽量なライトウェイトコットンで作られた、春夏にぴったりの爽やかなシリーズ

たとえば、2015年S/Sのモデル「Trip」。少しメンズっぽさもあるブルーのラインがなんとも爽やか。売り切れのお店が続出するほど大人気だったこのコレクションは、それぞれの柄に世界の都市の名前がつけられています。

「これは、先にすごく良い生地を見つけたんです。まず『ニューヨーク』と『バルセロナ』。ラインのちょっとした違いなんかが、国っぽいねっていう話を二人でして。一つ一つに名前があったら選ぶときに面白いし、私自身も自分の好きな都市があったら買いたくなってしまう方なので(笑)」と、常に買い手目線を忘れない松岡さん。
2015年のコレクション「Trip」。左からTOKYO、NEWYORK、LONDON、BARCELONA、AMSTERDAM。生地の下には、イメージの元となった各都市の写真が貼られています

2015年のコレクション「Trip」。左からTOKYO、NEWYORK、LONDON、BARCELONA、AMSTERDAM。生地の下には、イメージの元となった各都市の写真が貼られています

デザインを考えるときは、イメージから始まることが多いのだそう。イメージが固まったら、まずは作ってみる。そして、大量の修正が入る。これの繰り返し。

「逆にそこに時間を多く掛けられるんです。ほんのちょっとしたことなんですけど『ここを1cm減らしてみよう』とか、試作を何度も作って。色々な体型の人に着てもらいたいので、最終的に知人に一週間着てみてもらったりとか。ひとつの工程にすごく時間を掛けて仕上げてます」

「企業じゃ考えられないよね(笑)」といたずらっぽく笑うお二人。大手のメーカーなら考えられない「ロスタイム」は、二人だからこそできる時間の掛け方なのです。
こちらは花の色からインスピレーションを受けたもの。左からPuff、Geranium、Muscari。最初に見つけたピンクの生地が、「ゼラニウム」の花の色に似ていたことから、他のカラーも植物に寄せて模索していったのだそう

こちらは花の色からインスピレーションを受けたもの。左からPuff、Geranium、Muscari。最初に見つけたピンクの生地が、「ゼラニウム」の花の色に似ていたことから、他のカラーも植物に寄せて模索していったのだそう

デザインの楽しさはもちろん、履き心地も「ストレスフリー」。締め付け感を少なく、どんな糸を使えば痛くないか、縫い代(ぬいしろ)の始末にも気をつけて、違和感なく快適に履けるアイテム作りを大切にしています(画像提供:TESHIKI-手式-)

デザインの楽しさはもちろん、履き心地も「ストレスフリー」。締め付け感を少なく、どんな糸を使えば痛くないか、縫い代(ぬいしろ)の始末にも気をつけて、違和感なく快適に履けるアイテム作りを大切にしています(画像提供:TESHIKI-手式-)

今年の春夏コレクションより「Drape Coat」。軽いヘリンボーンリネンで作られています。着れば着るほど生地はふんわり、ドレープラインは柔らかになるそう

今年の春夏コレクションより「Drape Coat」。軽いヘリンボーンリネンで作られています。着れば着るほど生地はふんわり、ドレープラインは柔らかになるそう

下着に特化した「絶対的」なブランドを目指して

vol.38 TESHIKI-手式- 中田絢子さん 松岡朋子さん 洋服のように、下着にも選ぶ楽しさを

当初は、納品する数もまだ少なかったため、ただひたすらに自分で製品を縫っていたという中田さん。自分で店舗に足を運び、その場で履いてもらい、製品を置いてくれるお店を探し、徐々に取扱店を増やしてきました。ふわっと軽く、心にも体にもフィットするようなその心地良さは、少しずつお客さんの間でも話題になり、今では下着はすべて「TESHIKI-手式-」で統一するユーザーもいます。ブランド立ち上げの頃を振り返りながら、中田さんはこう話します。

「お店のスタッフさんから『こういうところが良かったみたいだよ』って、お客さんの声を聞くことがあるんですけど、下着に対する悩みや、自分の作ったアイテムにこれだけ共感してくれる人がいたんだって、うれしかったですね。家族や友人だと、どうしても同じようなものが好きな人が集まるので、製品が世に出たときにどんな反応が返ってくるんだろうっていうのはずっとあって。レースだけではなく、こういうテイストの下着が欲しかった人は、自分だけではなかったんだなって」
ブランドを始めた当初からずっと変わらない「TESHIKI」のロゴは、判子によるもの。タグにも一つ一つ手押しされています

ブランドを始めた当初からずっと変わらない「TESHIKI」のロゴは、判子によるもの。タグにも一つ一つ手押しされています

「TESHIKI-手式-」は今年で5年目を迎えました。今後はもっと下着に特化したブランドを目指していきたいという中田さん。

「私たちの製品を知らない方も多いと思うんですけど、このテイストを好きになってくれる人はたくさんいらっしゃると思うんです。もっと多く、そういう人たちに知って欲しいという気持ちはありますね。『あそこのパンツだったら、選ぶのも楽しいし履き心地も良いし、絶対だよね』って思っていただけるように。今、パンツは型が一つしかないので、もっとバリエーションも増やしたいです」

たしかにアンダーウェアの幅を広げたい、と、すかさず相槌を打つ松岡さん。アトリエも欲しいし、パンツとお揃いのブラジャーやメンズアイテムも作りたい……。こうして取材をしている間にも、二人の間ではやりたいことやアイディアがぽろぽろと尽きることなく溢れ出します。
vol.38 TESHIKI-手式- 中田絢子さん 松岡朋子さん 洋服のように、下着にも選ぶ楽しさを

自分が良いと思ったものを身につけたいし、届けたい。できれば、風通しがよく、なるべく楽しいかたちで。

二人の気持ちは、いつだってリラックスしていて、とてもシンプル。デザイナーであり、母としての顔も持つお二人ですが、楽しそうにブランドのこれからを語るのを見ていると、ものづくりがただただ大好きだった、少女の頃の姿が見えるようでした。
vol.38 TESHIKI-手式- 中田絢子さん 松岡朋子さん 洋服のように、下着にも選ぶ楽しさを

今日食べるもの、会う人、着るもの。私たちは、毎日何かを選択しながら生活を繰り返しています。どんなに忙しい毎日でも、自分が心の底から心地良いと思えるものと出会い、選びながら、日常を豊かにしていくのは楽しいものです。

ブランド名である「TESHIKI-手式-」は、“手を動かして作る”や、私たち“式”という言葉のイメージから作られたもの。何か一緒にすることがあったら、と二人の間でずっと決まっていた名前でした。

「式」という漢字には、一定のやり方、作法、手本といった意味があります。きれいなリズムで、黙々と、まず自分たちが胸を踊らせながら作ること。それは、自分の内面に一番近い「下着」という衣服を作る上で、もっとも大切な作法なのかもしれません。

(取材・文/長谷川詩織)
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「毎日着たい、シンプルで着心地の良いパンツ」をコンセプトに、天然素材で作られたアンダーウェアとリラックスウェアを中心に展開するブランド。妹・中田絢子さん、姉・松岡朋子さんご姉妹がデザイナーを務める。シンプルながらも、遊び心のあるデザインと、ストレスフリーにこだわった着心地の良さで人気を集める。現在アイテムは、HPに掲載されている取り扱いショップにて購入することができる。

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