日本の棚田百選とは、1999年7月26日に農林水産省が選定した全国177市町村・134地区の棚田のことです。

今や失われつつある日本の原風景ともいえる、農村部の里山風景と棚田が織りなす景色はどこを切り取っても絵になり、思わずカメラに収めたくなるほどの美しさです。

山を切り開き、用水路を通して造り上げられた棚田は、昔の人々による知恵と苦労の結晶です。棚田と里山が魅せる素晴らしい景色を眺めていると、この美しい風景を次世代に残したいという思いが募ってくることでしょう。

新潟県十日町市にある狐塚の棚田は、約19ヘクタールの敷地に84枚の水田が敷かれています。棚田の宝庫でもある十日町市においても、日本の棚田百選に選ばれているのは、ここ狐塚の棚田のみとなります。

北五百川の棚田は、平成11年に「日本の棚田百選」に選定された棚田で、標高1293メートルの栗ヶ岳麓に広がっています。周囲の里山と棚田が見事に融和し、北五百川の棚田周辺を散策しているとまるで日本昔話の世界に迷い込んだような気分を覚えます

北アルプスに抱かれた長野県白馬村の青鬼集落にある青鬼棚田は、日本棚田百選の中でも特に素晴らしい景観を持つ棚田の一つです。

標高約760メートルに位置する青鬼集落に一歩足を踏み入れると、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような錯覚を感じます。のどかな里山と、点在する古民家が織りなし、ここでは時代劇のロケ地のような景色が広がっています。

棚田に水が敷かれ、稲の植え付けが行なわれる直前の棚田の美しさは傑出しています。波ひとつない棚田の水面が、鏡のように周囲の雄大な北アルプスを映しだす様は、まるで一枚の絵画のようです。

標高550メートルから460メートルの高低差に造られた姨捨棚田には約1800枚の水田が敷かれています。

素朴で懐かしい佇まいをしている姨捨棚田は、日本の棚田百選に選定されているほか、その景観の美しさから、国の名勝、重要文化景観にも指定されています。

姨捨棚田は、古くから月の名所としても広く知られており、水田に映る月の美しさは「田毎（たごと）の月」と形容されるほどです。

稲倉棚田では、「ほたる火まつり」が開催されます。畔に燈された灯が、棚田をやさしく照らし、周囲は幻想的な雰囲気に包まれます。

福島新田の棚田は、約10ヘクタールの敷地面積で、棚田としての規模は大きい方ではありません。しかし、周囲の美しい里山風景と150枚に及ぶ水田が見事に調和した風景の美しさは傑出しています。