「ジュエリーアイス」という言葉を聞いたことはありますか？これは北海道の十勝地方、豊頃町とよころちょうの大津海岸で冬だけに見られる自然現象です。文字通り「宝石」のように透明な氷が海岸にいくつも出現します。この氷の正体は、十勝川の水。川が凍結し、海に流れ出した氷が、波に乗って海岸に打ち上げられるのです。

豊頃町は、帯広や十勝川温泉、とかち帯広空港などから車で約1時間ほどのところにあります。

「ジュエリーアイス」が見られるのは1月中旬〜2月というごく限られた期間。また、雪がかぶると氷が覆われて見えなくなってしまうので、積雪のないタイミングがベストです。

宝石のような透明度が特徴であるジュエリーアイス。観賞の狙い目は、氷に朝陽の光が映り込み、空と同じ色に色づく日の出の時間です。帯広発着の早朝タクシーツアーなども組まれています。

空と海、光と影。凍てついた空気の中、その場にある色すべてが氷の中に閉じ込められたような輝きを放ちます。

早朝だけでなく、夕焼けの時間も素敵なので、日の出・日の入りの時間を前もって調べておくとよいでしょう。また、冬の海辺はかなりの厳寒。コートだけでなく、手袋や帽子、靴などもしっかり防寒対策を。

朝夕だけでなく、フラットに光が回る昼間は、ジュエリーアイス本来のクリスタルのような透明度を堪能できる時間です。

こちらは夜明け前の静謐なひととき。見つめていると時間を忘れそうな透明度です。

こうして沢山集まると、大きさや形、透明度などが違うことがわかります。まるで鉱石の標本みたいですね。

よりアーティスティックな写真を撮ってみたいなら「ロングシャッター」に挑戦してみては？波の軌跡が筋のように残り、とても幻想的なカットに。手ブレしないように三脚やスタンドを持って行くといいですよ。

これから訪れる朝のきらめきを予感させるように、黄金色の朝焼けが海や氷に映り込んでいます。

ひとつだけ、静かに波に洗われるジュエリーアイス。まるで水平線の向こうを見つめているようです。

ジュエリーアイスのもう一つの魅力は「すぐそばまで行ける」「触ってもOK」ということ。花の絶景などと違い、ロープがあって「入れるのはここまで」なんて制限はありません。海岸を自由に歩き、宝探しのように一粒を見つけ出す楽しみがあります。

氷を手に持ってみるのもOK。日ざしにかざせば、天然のサンキャッチャーのようにキラキラと光ります。

氷を重ねてみたり、好きな形のものを見つけて写真を撮ったり。こちらは「ひよこ」に似ているとか…確かにそう見えますね！

豊頃町内のもうひとつの絶景として知られているのが「ハルニレの木」。十勝川の川べりにあり、美しい樹形が北海道の大地に映えます。

店名や店構えは思い切り和風、でも人気商品は「アメリカンドーナツ」なのが「朝日堂」です。一番人気はカスタードで、平日には1日1000個、休日には3000個売れることもあるという人気の品。売り切れないうちに訪問するのがお勧めです。

物産直売所にはパン屋さんもあります。こちらは「3匹のぶたさんセット」色の違いは、ゴマ・かぼちゃ・イチゴの味の違いだそうです。かわいいですね！

以前は小学校だった建物を利用した多目的スペース「とかるね」内にあるカフェ。懐かしい雰囲気を漂わせる明るい空間が印象的です。カフェの他には雑貨店やアンティークショップも入っているので、雑貨好きさんはぜひ訪れてみて。

真冬の海岸で冷えきった体を温めるのにオススメなのが、十勝の恵み「温泉」です。十勝川温泉は日本でも珍しい「モールの湯」。太古の時代の植物がゆっくりと堆積し、地層を通って湧き出してくるもので、ほんのり茶色で肌あたりの優しいお湯は美肌の湯としても知られています。

十勝の小さな町で発見された「氷のアート」。自然条件によって発生するものなので、行けば必ず見られるというものではありませんが、もしも見ることができたら、一生忘れられない体験になりそうです。澄み切った冬の空気の中で、ここでしか出会えない輝きを見つけに行ってみませんか？