いつも大勢の参拝者で賑わう清水寺は紅葉シーズンになると夜間特別拝観が行われます。有名な清水の舞台から眺める京都市内の夜景と紅葉も素晴らしいですが、「奥之院」からの眺望は格別です。清水の舞台は、深紅に染まったもみじ約1000本に囲まれており、まるで燃え盛る炎に包まれているかのような迫力です。

豊臣秀吉の正妻、ねねが秀吉の菩提を弔うために建立した高台寺では、秋になると特別拝観が行われます。広い境内が幻想的な灯りに照らされ、漆黒の闇夜に鮮やかに紅葉した樹々が浮かび上がります。特に、波一つない静かな臥龍池の水面が、灯りに照らされた樹々を鏡のように映し出す様は、神秘ささえも感じます。

高台寺境内にある竹林のライトアップも必見です。夜空を覆う青竹はライトを浴びて輝き、まるで緑色に輝くトンネルの中に迷い込んだ気分を覚えます。

本堂前の前に広がる白砂の波心庭では、和傘とライトアップが織りなすモダンアートを楽しむことができます。

1621年に建立された知恩院の三門は高さ24メートル、幅50メートルを誇る巨大な門で、堂々たる姿を参拝者に魅せてくれます。国宝に指定されている三門は、夜の知恩院境内が魅せてくれる幻想的な世界への誘導口です。

圧倒的な存在感を放つ、御影堂（みえいどう）も夜になると日中とは異なる雰囲気が漂います。温かみのある光を浴びて闇夜に浮かび上がる御影堂の姿は幽玄閑寂としており、いつまでも眺めていたくなる不思議な魅力が漂っています。

京友禅染めの始祖宮崎友禅の生誕300年を記念して造られた庭園、友禅染では素晴らしい景色が待っています。東山から湧き出す水を引き入れて造られた池の水面が、鏡のように色鮮やかに紅葉した樹々を映し出す様は、絵画のようです。

光そのものである御本尊の熾盛光如来を祀る青蓮院門跡では、光の美しさを表現する独特のライトアップが行われます。

苔庭には蒼く輝く星が無数に散りばめられます。苔庭の海に浮かぶ光の星は、夜空を乱舞するホタルのようです。

漆黒の闇夜に、輝くように浮かび上がるもみじの枝葉は、京友禅の染柄のようで、芸術的な美しさを醸し出しています。

やわらかい光に照らされた清静を眺めていると、まるで一服の掛け軸を鑑賞しているような錯覚を感じます。

古今集には「もみじの永観堂」と詠われるほど、永観堂（禅林寺）の紅葉の美しさは際立っています。永観堂と紅葉の美しさを一目見るため、いつも大勢の観光客でにぎわっています。

広大な敷地を誇る永観堂では、珠玉の写真スポットが数多くありますが、放生池の美しさは格別です。ライトアップされて闇夜に浮かび上がる色とりどりの樹々を、波一つない静かな放生池の水面が、鏡のように映し出し、この世のものとは思えないほど美しい景色が広がっています。

永観堂では、雅楽の生演奏が行なわれています。煌びやかな雅楽の演奏に耳を傾けながら、錦絵のように素晴らしい紅葉を楽しみ、至極のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。