都心から気軽にタイムスリップ！昭和レトロ漂う「熱海」おすすめお出かけスポット7選

熱海は、大型陸上火山のひとつである、多賀火山の山体の東側半分が浸食されてできた、険しい地形の上に築かれた都市です。
自然が魅せる美しさと目の前に広がる海、そして温泉街としても知られています。

熱海といえば花火も有名です。なんとその歴史は昭和27年から続くという歴史ある花火大会なんです。
春から夏、秋にも何回も花火大会が開催されています。3面を山で囲まれた地形のため、迫力ある打ち上げの音やホテルや旅館の窓からも花火の景観を楽しむことができます。

夏の熱海のビーチは人・人・人！どこか南国の雰囲気も漂います。
でも、熱海の魅力はこれだけじゃないんです。昭和の匂いが漂う、懐かしさあふれる街、それが熱海。

高度経済成長期時代には、新婚旅行のメッカとなり商店街は歩けないほどの人で賑わった街、熱海。
そんな黄金時代の、昭和レトロ香る建物や喫茶店が今もなお現役で残っています。
都心からも小一時間で訪れることのできる熱海に、タイムスリップの旅に出てみませんか？

MOA美術館は、熱海駅の山側にあります。駅からはバスも運行されていて行きやすいのも魅力。創立者である岡田茂吉は、東洋美術の優品の蒐集に努めて海外への流出を防ぐとともに、「美術品は決して独占すべきものではなく、一人でも多くの人に見せ、娯（たの）しませ人間の品性を向上させる事こそ、文化の発展に大いに寄与する」という考えのもと、日本の優れた伝統文化を世界の人々に紹介するために1982年にMOA美術館を開館しました。

300mほどの高台にとっても立派な建物がどっしりと構えています。美術館からの眺めも伊豆大島や海が広がっていて、まるで1枚の絵画のようです。

館のエントランスの円形ホールは、未来的な印象を受ける空間が広がります。

その一方で茶の庭の「一白庵」、尾形光琳の屋敷を復元した「光琳屋敷」、「樵亭」「唐門」「片桐門」など見どころ満載です。なんと能楽堂もあります。茶会が開かれたり、和の伝統と自然に溶け込む風景も楽しむことができます。

2017年2月には、日本を代表する現代美術作家・杉本博司氏の設計でリニューアルオープン予定。ロビーエリアや展示空間などが、和風モダンの新しい空間へと生まれ変わるのも楽しみです。

日本家屋の前庭にあった擁壁を兼ねた地下室部分を利用し、離れの増改築の設計を行ったのがドイツ生まれの建築家ブルーノ・タウトです。彼は20世紀初頭にヨーロッパで見られた建築様式、「表現主義」の建築家と呼ばれていました。彼が設計した建物で現存するのは日本ではここが唯一です。

起雲閣は大正8年に別荘として建てられ、「熱海の3大別荘」と言われる名邸が元となっています。戦後、旅館として生まれ変わり、山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治、舟橋聖一、武田泰淳など名だたる文豪たちから愛された建物です。

美しい日本家屋の本館（和館）と離れの洋館とで構成され、熱海駅から徒歩20分とは思えない緑豊かな庭園も見どころの一つです。
和館の座敷、畳廊下の窓ガラスには職人によって一枚一枚流し込んで作られた「大正ガラス」が今も残っています。

座敷の壁の鮮やかなブルー。実はこれは、後になって塗り変えられたのだそうですが、畳の縁と色があっていて意外としっくりくるんです。

ヨーロッパのデザインを基にした洋館「玉姫」(たまひめ)の天井には、日本の神社・仏閣に見られる建築様式が用いられています。唐草模様の彫刻もアジアを彷彿とさせるデザインです。

レリーフやステンドグラス、ドアノブやタイルに至るまで、細かいディテールにも凝った空間美が素晴らしいです。
当時の贅の限りを尽くしたと思われる、一見の価値ありの建物です。ボランティアのガイドさんもいらして詳しく説明を聞きながら見学可能。ゆっくりと時間を取って観たい場所ですね。

熱海からはちょっと離れますが、ここ伊東にも歴史を感じさせる美しい建物があるので是非足を伸ばしてみてください。
それは東海館。昭和3年に稲葉安太郎氏によって創業された旅館です。伊東線の開通に伴い、訪れる人も増え、増改築を重ねてきました。平成9年、長い歴史に幕を閉じ、建物が市に寄付され現在は一般に公開されています。

東海館の玄関口です。唐破風の木彫りの装飾が堂々としていて重厚感がありますね。昔の建物って本当に素敵。いつまでも残しておきたいですね。

床から壁まで前面タイル張りの大浴場です。黒錆色の唐獅子は、地元出身の彫師・森田東光作によるものだそう。土、日、祝日は立ち寄り湯として入浴も可能なんだそうです。
漫画「テルマエ・ロマエ」に登場する「伊藤温泉　東林館」のモデルにもなったんですって。入ってみたい・・・。

この組み木の美しい建て具！書院造りの部屋の障子と欄干です。これだけでも芸術だとは思いませんか？他にもいたるところにこのように凝ったディテールがたくさんあります。日本の美を堪能してください。

創業1959年という老舗の喫茶店。いわゆる純喫茶といった雰囲気があります。入り口に置いてあるガラスのショーケースなんてなんだかとっても懐かしくなりませんか？

店内の雰囲気も期待通りの昭和レトロ感漂う純喫茶。中央にある白いオブジェの下には小さな池があって鯉が泳いでいるという、なんとも不思議な世界観ですが、なんとも言えず居心地が良い。

具材は玉ねぎ、ピーマン、ソーセージ…これぞ由緒正しいという感じの昭和のナポリタン。食べたい！

1952年創業の老舗の純喫茶BONNET（ボンネット）は、熱海銀座の繁華街にある風情溢れる映画館「熱海ロマンス座」隣にあります。三島由紀夫や谷崎潤一郎、越路吹雪などの文豪や歌手が足繫く通った喫茶店としても有名です。

重厚感のある、これまたレトロな椅子とテーブル。この内装だけでもわくわくする人もいるのでは？80代の現店主が銀座の米軍将校クラブで働いていたこともあり、店の雰囲気やメニューもアメリカンな感じです。

これが三島由紀夫も愛したというハンバーガー！野菜は添えられていてお好みで挟んで食べるようになっています。これは、野菜がダメな人への配慮なんだとか。オニオンのピリッとした辛さとジューシーなパテがマッチして美味です。

今や熱海は、都心からも近くて気軽に行けるリゾート地として再び人気が高まる場所です。
ビーチや温泉もいいですが、せっかく熱海へ来たのなら、東京では味わえない自然豊かな景観や、歴史ある建物や美術に触れる旅も、きっと素敵な思い出になりますよ。是非皆さんも、今年の夏は熱海でバカンスを過ごしてみてはいかがでしょう。