パティスリークリエーターとして活躍している田中博子さんの考案したフルーツケーキは、しっとりとして上品な甘さ。深煎りの味わい深いコーヒーと相性抜群です。

1977年創業の長い歴史を持ち、多くのコーヒー通が足を運ぶ福岡の名店「珈琲美美」。エチオピア産モカコーヒーの第一人者で、ネルドリップの達人としても名高い森光宗男さんがマスターをつとめており、昨年末にご逝去されましたが、現在は奥様が変わらない味を守っています。

店舗はかつて今泉にありましたが、現在は赤坂のけやき通り沿いに移転しています。けやき並木を楽しむ散歩ついでに訪れてみるのもいいですね。1階には焙煎室があるほか、焙煎したてのコーヒー豆の販売も。2階に上がるとカフェスペースがあります。

抽出方法は、香りが引き立つネルドリップ式。長年研究を行って辿り着いた自慢のモカコーヒーを一杯ずつ丁寧に淹れてくれます。コーヒーの命ともいわれる香りが、なんともいえないくつろぎをもたらしてくれますよ。

白金茶房といえば「パンケーキ」と言われるほど、その美味しさは有名。風味と味わいが楽しめる香り豊かな福岡産の小麦粉を使っていて、しっとり、ふっくら…。これは絶対に外せませんね。コーヒーは満月の夜に汲み上げた水とこだわりの豆で、一杯ずつ丁寧にドリップしてくれます。

深い色みの木製家具や漆喰を思わせる白壁、障子…。小ぢんまりとした和モダンな店内は、居心地の良い雰囲気で満ちています。まさに一人で過ごしたい時にぴったり。きっと至福のひとときになるはず。

カウンター席、テーブル席のほかに、小上がりの座敷スペースも一箇所用意されています。靴を脱いで、家に帰ったような気持ちでリラックスできます。

深煎りのブレンドコーヒーにあわせて、手作りスイーツはいかがでしょう。人気のシフォンケーキをはじめ、アップルパイ、和菓子セットなどが味わえます。写真のアップルパイはほんのり甘いカスタードとシナモンが口に広がり、コーヒーとよく合いますよ。

カウンター席は寿司屋やバーのような落ち着いた雰囲気。季節の花々もそっと活けられていて、空間のセンスが光ります。椅子はヴィンテージものが揃えられており、座り心地が良いのでついつい長居してしまいそうです。

丁寧にドリッパーで入れてくれるコーヒーは専門店ならではの本格派。同じ敷地内にある「和菓子 葡萄家」とコラボレーションしたロールケーキも一緒にいただけます。ロールケーキは卵からこだわった、とても上質な味わいです。

自分にとって心安らげる、お気に入りのカフェを見つける――。つい自分のことは後回しでなおざりにしがちですが、忙しい現代を生きる私たちにとって、とても有意義なことになるはず。福岡でちょっと自分の時間をつくれそうな時、今回ご紹介したような大人カフェで、良質なコーヒー一杯と、そこに流れる至福のひと時も手に入れてみませんか。