白く小さな命の美…神々しさすら身にまとう木彫りの生き物たち
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
制作者・土屋仁応さんてどんな人?
土屋仁応(つちやよしまさ)は、東京藝術大学で彫刻を学んだ後、同大学大学院にて保存修復彫刻の博士課程を修了。そして現在は、実在の動物から神話や想像上の動物までをモチーフに、伝統的な仏像彫刻の技法を使った木彫作品が近年国内外で大きな注目を集めている新進気鋭の日本人彫刻家です。
幼少期から、虫、鳥、動物などを図画工作するのが好きで、幼稚園の卒園文集では将来就きたい職業について「ちょうこくか」と答えていたようです。
東京藝術大学、同大学院在学中に本格的に古典彫刻への道を歩み始めたそうです。その後、仏像彫刻の手法を取り入れた幻想的な動物作品たちを次々と発表。数多くの個展やアルファ・ロメオなどの企業企画コラボレーション、作品集の刊行など幅広く活躍中。今後の期待を集めるアーティストです。
土屋作品の魅力
仏像の技法を用いて作られる静的な美しさを堪能しましょう。
とても優しい柔らかな曲線が特徴的です。力の抜けた姿勢に普遍的な美と静かな存在感を感じます。
静かに輝く瞳には、玉眼という仏像の技法を用いて水晶が嵌め込まれるそうです。
ふわりとしたフォルムは生物と植物の狭間をたゆたうかのようです。
心が魅入られてしまう、不思議な世界感
「鹿」
鹿はいろんな作品もモチーフになっているそう。
「人魚」
淡い青が色合いがなんとも美しい作品。
「小鹿」
美しいフォルムに圧倒されます。
「一角」
しなやかな身体つきのユニコーン。白い肢体とねじれた角が魅惑的。
「花」
幽玄な蓮の花と葉ですね。
「夢をたべる獏が 夢みる夢」
背中に人を乗せて、獏は夢の中を歩いているのでしょうか。
「子犬」
すやすやと眠っている様子がなんとも可愛らしい作品です。
「聖観音菩薩立像」
少し翳りのある表情が土屋さんらしいですね。指先まで丁寧な細工の仏像です。
土屋仁応プロダクトをご紹介
土屋仁応xLAMMFROMM「ぬいぐるみ 子猫 Kitten」
【※】現在は完売しております。
土屋仁応さんの初の作品集『聞耳の森(ききみみのもり)』
彼がこれまで生み出した作品たちの世界に、そっと聞耳をたてるような繊細な一冊。写真も非常に美しいです。
刊行記念の際にはオリジナル木彫作品入り限定特装本も出版され、即完売したそうです。
『聞耳の森(ききみみのもり)』
求龍堂 B5変形 上製本 88頁(カラー図版39点)
本の表紙としても人気
小川洋子『人質の朗読会』
(中央公論新社、2011年)
土屋さんの「小鹿」が表紙に使用されています。
今村夏子『こちらあみ子』
(筑摩書房、2011年)
辻村深月『使者(ツナグ)』中国語版
(北京・人民文学出版社、2011年)
こちらに紹介した他にも星新一『イヴ叢書X 月の光』、星野智幸『無間道』、村田喜代子『この世ランドの眺め』、星野智幸『アルカロイド・ラヴァーズ』など表紙使用多数。
個展情報・土屋作品の美しさを体感してみよう!
木彫りとは思えない滑らかな質感、瞳の輝き、何より世界観の美しさがたまりません。
さまざまなシーンで活躍する小さな作品たち。その繊細に作られて慈しまれた木彫りの姿はこれからも日本独特の美として、現代アートを牽引していくことでしょう。
寓話から生まれ出でたかのような柔和な質感と、静謐(せいひつ)な存在感。
ふとしたポーズや垣間見せる表情には、どことなく寂しさを感じさせるものもあります。
ですが、実はこの作品たちは全て木彫りの彫像。あまりにも優しい、命の吹き込まれた彫像たちなのです。
こんな作品たちを生み出す土屋仁応さんとは、どんな方なのでしょうか。ご本人と、なんとも愛らしい作品たちをご紹介します。