「今日だけの空」でもっと引き立つ、映画の世界観。
「今日の空」×「映画世界」を融合させる、映画鑑賞の楽しみ方
ふと気づく「雨のにおい」や、思わず灯りを消したくなる「月明かりの夜」…そんな、「今日この瞬間」の空気にマッチした一本は、儚さを増してよりロマンチックに感じられたり、迫力が何倍にも感じられたりするはず。
登場人物と同じ空気の中で過ごした時間は、映画と現実世界の境目さえも曖昧になるような錯覚さえ覚える特別なひと時になるでしょう。
さぁ、今日の空のご機嫌にあうのは、どの一本?
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
特別な余韻を味わえる、「空のご機嫌」に合わせて観たい映画
それでは、窓の外をチェックして。 天候(空のご機嫌)別に、世界観が合う映画作品をご紹介します。たとえ悪天候だって気分が弾みますよ*
お家にあるorレンタル用のDVD、あるいはネットフリックス(Netflix)、アマゾンプライムなどのネット動画配信サービスを準備して、現実と作品世界の“ちょっとした融合”体験を楽しみましょう。
《晴れ~曇り》
日差しが眩しい日に観たい映画は…
「ホノカアボーイ」(2009)
日々生きる中で誰もが出会う、人や風景、恋の感情や、日々の営み―。
ハワイ島の町、ホノカアを舞台に、そんな数々の出会いや日常を優しくゆるやかに描く「隠れた名作」。のんびりとしたホノカアに吹き渡る風と日差しの美しさに目を奪われます。
心が温かくなるストーリーにどっぷりと浸るのはもちろん、“考え事をしながら”“家事の合間に”“雑誌をめくりつつ”・・・そんな風に力を抜いて気ままに作品と向き合っても大丈夫。ふと目をやるといつもそこにある優しい風景とゆっくりと流れる時間―そんな安心感に満たされた楽しみ方も時にはいいはず。
夏の名残の日差しがまだまだ眩しい昼下がりに、カーテンを開けて、ぜひ。
大きな雲が見える日に観たい映画は…
「時をかける少女」(2006)
これまで何度も実写映像化された筒井康隆のファンタジー小説「時をかける少女」。細田守監督による映画は、これをそのまま原作としたのではなく、その約20年後を舞台にした続編なのをご存じですか?
踏切事故をきっかけに時間を跳躍する能力を得た、高校2年生の紺野真琴のひと夏の出来事を描いたこの青春映画は、当初全国21館のみの上映だったものの、口コミでその評判が広がり、延べ100館以上でロングラン公開されることとなったのも有名です。
メインビジュアルにもある「入道雲」は、細田監督の代名詞ともいえる存在で、主人公の成長する様子をモクモク大きくなっていく雲に託しているのだとか…。
広い真っ青な空に大きな雲が見える日は、そんな思いを重ねながら映画を楽しむなんていうのも、素敵ですね。
空がグレーに染まった、曇りの日に観たい映画は…
「ムーンライズ・キングダム」(2013)
どんよりと幾重にも重なる灰色の雲になんとなく心も憂鬱になりがち…そんな日にオススメなのが「ムーンライズ・キングダム」。
12歳のサムは、小さな島で過ごすボーイスカウトのキャンプから脱走します。なんとその理由は…駆け落ち!それに気づいた大人たちは大慌てで二人を引き離そうとして…。
60年代を描いたレトロ感、画面全体にうっすら靄がかかったような色合いは、どこか窓の向こうのグレイッシュな空を思わせる独特の映像美。ちょっとシュールでクスッと笑えるストーリーは、曇り空の憂鬱も吹き飛ばしてくれるはずです。
《天気が大荒れする予兆》
ドカンドカン!「雷鳴」が轟く日に観たい映画は…
「風の谷のナウシカ」(1984)
言わずと知れた宮崎アニメの傑作、「風の谷のナウシカ」。この夏、改めて劇場で上映されて、初めてスクリーンで見る機会に恵まれた方も多いのではないでしょうか。
もうテレビやDVDなどでセリフを暗記するほどリピートした「ナウシカ」ですが…激しく雷鳴が轟く中鑑賞してみると、驚きの迫力に…。特に物語後半に風の谷に襲い掛かってくる王蟲の群衆やそれを必死で抑えようとするクライマックスシーンでは、その爆発音と雷鳴の区別がつかなくなるほどのハマリ具合なのです!
まるで風の谷で、村人と一緒にナウシカの姿を見守っているかのような錯覚に陥る新たな楽しみ方を、ぜひ味わってみてください。
強く風が吹く日に観たい映画は…
「ネバーエンディング・ストーリー」(1985)
ファンタジー作家の巨匠ミヒャエル・エンデの不朽の名作「果てしない物語」を原作にしたこちらの映画を、「幼いころ見た」という方も多いはず。
いじめられっ子の少年バスチアンは、古本屋で立派な装飾を施した一冊の本に心惹かれる。それこそが「はてしない物語」。本の中の世界「ファンタージェン」、勇敢な少年アトレーユ、そして彼が繰り広げる冒険に魅了され、校舎でたったひとり物語を読み進めるバスチアンだったが・・・。
現代とは比べ物にならない当時のSF技術ですが、それをも問題にしないほどにワクワクさせてくれるストーリー展開に心奪われてしまうはず。大きなファルコンに乗って風を切りながら空を舞うバスチアンの姿には、大人になった今でも憧れを抱き、そして思わず笑みがこぼれます。
ぜひ、窓を開けて、風を浴びながら。本の世界に惹きこまれるように、そしてファルコンに乗ったかのように、ファンタジーの世界にどっぷりと浸ってみてはいかがでしょう?
《雨》
しっとりと雨に濡れる日に観たい映画は…
「言の葉の庭」(2013)
「君の名は。」「天気の子」で、その名を確実なものとする直前、2013年に新海誠監督が手掛けたのが「言の葉の庭」。
雨の朝に学校をサボる高校生・タカオは、日本庭園で夢に向かって靴のスケッチを描いている。そこで出会った年上の女性・ユキノ。雨の日だけの再会を重ね、徐々に心を通わせていく二人だったが、一方で梅雨は明けようとしていた…。
この映画で何よりも注目してほしいのは、新海監督ならではの実写を思わせる映像美。降りしきる雨、木々の瑞々しさ、湿った空気、雨に閉ざされた自分(あるいは二人)だけの世界…。現実世界を写実的に、むしろさらに美しく切り取り描かれた画面の一つ一つに、思わずハッとさせられます。
ついため息をつきがちな雨の日も、思わず立ち止まりその景色を見つめたくなるほどに美しい描写。加えてそれにピッタリの音楽が、窓の外の雨の風景をも一変させてくれることでしょう。
《月夜》
月明かりが差し込む夜に観たい映画は…
「月とキャベツ」(1996)
田舎に移り住んだかつてカリスマ的人気を誇ったミュージシャン・花火の前に、突然現れた少女・火花。ふたりの切ないひと夏の恋を描いた本作品は、歌手の山崎まさよしの初主演映画。
主題歌となった『One more time、One more chance』は、映画とは関係のないずっと前のタイミングで出来上がっていた曲とのことですが、まるでこの作品のために書き下ろされたのではないかと思うほど…。山崎まさよしが担当した音楽は、そんな運命すら感じさせるほどに映画の世界観にこの上なくマッチしています。
恋愛映画というよりも、もはやファンタジーに近いほどの透明感で描かれた美しい映像は、夜空が見える窓のそばで、月明かりを浴びながら鑑賞するのがオススメ。あなたの中に、ずっと大切にしたいほどの余韻を残してくれることでしょう。
一カ月に一度の満月で観たい映画は…
「E.T.」(1982)
地球探査に訪れ、置き去りにされてしまったE.T.は、10歳の少年エリオット兄妹と知り合いに。しかし、そこにNASAの追跡の手が及んでいき…。
宇宙と地球にそれぞれ生きるもの同士の心の交流をテーマにした名作、「E.T.」。きちんと見たことがないというあなたも、自転車に乗った少年とE.T.が満月に浮かび上がるあの名シーンはきっと目にしたことがありますよね。
まるで夢を見ているかのような2時間の物語を終え、エンドロールの後には、思わず満月を見上げたくなるはずです。
番外編:《秋の夜風》
秋の風が吹き始める夜に観たい映画は…
「マイ・ブルーベリーナイツ」(2007)
夜の帳が下り、少し涼しい風が肌をなでる秋の入り口は、心地よくも少し人恋しいもの。そんな空気にピッタリなのが「マイ・ブルーベリーナイツ」。
主演がノラ・ジョーンズというだけで、あの歌声が秋の夜長にピッタリなのは、想像がつくはず。
失恋に傷付き旅に出た女性と、彼女を優しく見守り包み込む男性の恋の行方が描かれた本作品は、そのストーリーはもちろん、音楽も映像も甘く、まるで夕食後のデザートのような余韻が残ります。
ちょっと肌寒くなり始めた秋風が吹く夜に…ぼんやりと美しい映像と優しい音楽に身を委ねて過ごしてみてはいかがですか?
最後に:エンドロールの後も、余韻を楽しんで
まずは窓を開けて、吹き渡る風を、降り注ぐ光を、あなた自身の肌で感じてみて。
「空のご機嫌」をうかがいながら…さぁ、今だけの一本を。
自分の日常から遠く離れたところに連れていってくれる「映画」。何となく映画の世界観に身を委ねたい時、ただひたすら映画のストーリーに没頭したい時など―― 処方箋のように、自分の心が求めている作品を選ぶことが多いですよね。
でも時には、作品選びをちょっと"新鮮"に。あなたの心だけではなく、窓の向こうに広がる「空」にも相談してみませんか?
今回ご提案するのは「今の空、今日の天気はどんなだろう?」という問いかけから始まる―― 《空のご機嫌》にあわせた映画の選び方。