Prolog / 「土鈴(どれい)」の囁きに耳を傾ける
KARA KORO KORORO 土の音
土鈴の起源・歴史
第二の道具
音を奏でる楽器土鈴
親しまれてきた郷土玩具
貝の形の土鈴・・・ハマグリなどの貝の形のモチーフは縁起物として用いられ、“貝合わせ”は平安時代から伝わる貴族の遊びでした。
亀の土鈴・・・昔話にも出てくる、こうした身近な小動物をモチーフに、子供の小さな手に馴染む親しみやすい土鈴が人気でした。
“福”と“ふぐ”を掛け合わせた「ふくふぐ土鈴」・・各地でみられる郷土玩具のひとつです。大きな丸い目がなんとも愛らしいですね。
土鈴のミュージアム
ころころ、とそれは軽く乾いた音を歌う。
表面に紫陽花が描かれたそれは、古い土鈴だった。
萩野(はぎの)が誕生日、十夜(とおや)に貰った物だ。
萩野は今年で十一歳。
可愛い物、綺麗な物に目がないお年頃だ。
縁起物として
太宰府天満宮(福岡)の天神雛・・・コロンとした丸い形にデフォルメされた天神雛の愛らしさ。桃のお節句のお飾りとして置いてみたいですね!
上から見ると・・・・どこかおっとりとした表情が可愛いらしいですね!
後ろから見ると・・・ぽってりとした姿がまた愛らしいですね!
干支の土鈴
清三宝荒神の辰絵馬土鈴(兵庫県宝塚市)・・・龍を描いた絵馬の形の土鈴です。願いを込めて吊り下げてみたいですね!
酉が集合!・・・左は松原天満宮(兵庫県西宮市)、右の黄色いクチバシの白い酉は住吉大社(大阪市)、中央の黄色い酉は深大寺(東京都調布市)、それぞれ特徴がありなんだかユーモラスですね!
雪うさぎ・・・コロンとした白い雪で作った雪うさぎの土鈴です。赤いお目々は南天の実。お耳は笹の葉、愛らしいですね。
瑞宝之辰・・・災いを跳ね返し幸福の宝を招く、ありがたい瑞宝の辰。白く美しい土鈴です。
巳年の土鈴・・・一筆の勢いで描かれた蛇の図の土鈴です。
ねずみ土鈴・・・多産を象徴し、繁栄を意味するネズミの干支土鈴。きっと可愛い音色でしょうね。
談山神社(奈良県桜井市)の羊土鈴・・・くるんとした巻き角が印象的な羊の土鈴。どんな音色なのか気になりますね!
福鈴
おかめ ひょっとこ・・・笑いと幸福の象徴ですね!童謡おてもやんを思い起こさせる、楽しい縁起の良い対の土鈴です。
出雲古金鶏(島根)・・・神話の国、出雲安来の郷に“金鷄塚”と言う丘があり、金色の鷄が住んでいたという言い伝え。この金鷄の美声に触れれば、分限者となり一生幸福に暮らせるといわれています。この鈴を振って厄を除けて福を招くというわけですね!
米俵にねずみ・・・米俵は五穀豊饒(ごこくほうじょう)の神様である大黒様を思わせます。その大黒様のお使いであるネズミ。米俵を守るかのようにしがみつく姿が愛らしいですね。
御神鈴
浄瑠璃寺(京都)・・・吉祥天女の容姿が美しい土鈴です。
橿原神宮(奈良)の釣鐘の形・・・綺麗な釣鐘に象徴的な橿の木の葉の模様が印象的です。
コロンと転がして小さな土の釣鐘の音色を楽しみましょう。
岡寺(奈良)の天女鈴・・・表には岡寺の別名・龍蓋寺(りゅうがいじ)のレリーフ。
裏面には美しい天女のレリーフ。四角く平らな瓦の形が珍しい土鈴ですね。
浄瑠璃寺(京都)の宝珠土鈴・・・桃のような形。彩色もなく簡素な土の素焼き。裏には浄瑠璃寺の刻印があり、表には吉祥天を意味する梵字(ぼんじ)が描かれています。“宝珠”とは、仏像の持ち物を模したもので、この珠はあらゆる願いを叶えてくれるありがたいお守り。まさにラッキーアイテムですね!
身代わり鈴の音切り
表には“魔除け”の文字。コロンと小さな手毬(てまり)のような形ですね。
大日寺(高知)西国二十八番札所の土鈴・・・鈴には神霊を呼び出したり持ち主から厄を払う力があるとされ、身代わりになって鈴が割れるといわれています。“音切り”とは、鈴の音で厄を除けると言う意味。そういえば、白装束に身を包んだお遍路さんは杖と鈴を持って歩いていますよね!
厄除け二面土鈴
お多福と般若の二面土鈴・・・陰陽異なる2つの顔を持つ珍しい土鈴です。能面を思わせますね。
お多福の面は、愛嬌、笑い、幸福、豊かさを表しています。
般若の面は、嫉妬や恨みの鬼女の顔を表しています。一見怖そうですが、般若には災いや厄を払う力もあるんですよ!
様々な土鈴
宮島 平家物語(広島)・・・一面には平氏家紋である揚羽蝶の紋が入っています。色鮮やかで優美な土鈴です。
もう一面には源氏の笹竜胆の紋が入った土鈴です。
後楽園の植物館(岡山)・・・お花のワンポイントが付いた土鈴です。古民家のような形ですが、植物園の建物を形どったのでしょうか。振れば、ころころと素朴な音色が聞こえてきそうですね。
北国のアイヌ面土鈴・・・九谷の福々しい土鈴です。両面アイヌの顔がモチーフです。
はにわ土鈴(宮崎)・・・古墳から出土される“はにわ”面が、とってもユニークな土鈴です。
「東大寺大仏殿の鴟尾(しび)土鈴」(奈良)・・・奈良時代から平安時代の寺院や仏殿建築の棟飾りに見られる鴟尾(しび)は、建物を火災から守るお守り。大きな魚の尾が天上に向けて突き出ている様は、屋根を海に見立て、水中にある建物は燃えないというわけですね、なるほど!
素焼きの吊り下げ土鈴・・・古来より人々は、たくさんの土鈴を樹木や民家の軒先に吊り下げて、その音色を楽しみました。空洞の中には土製の丸玉や小石、豆などを用いました。