水彩絵の具のポイントとおすすめアイテム
水彩絵の具は学童用の教材にも採用されているように、使いやすい上に入手しやすく、それでいて多彩な表現が可能な画材。
そんな水彩絵の具は、大きく分けると「透明水彩」と「不透明水彩(ガッシュ)」の二種類があります。どちらとも顔料とアラビアゴムを混ぜ合わせたもので、水で溶いて絵を描く画材です。
特に透明水彩は絵の具と水、筆があれば始められ、パレットの絵の具を出しっぱなしにしていても、後で固まった絵の具を水で溶けばまた描けるようになるなど、気軽に使えるので初心者さんにもおすすめ。不透明水彩は鮮やかな色味と、下の色を覆い隠す被覆力に優れています。デメリットとしては、ムラができやすく、慣れないうちは扱いにくく感じるかもしれません。
学校で使ったチューブタイプの他に、固形(パン)タイプもあります。
固形タイプは、スケッチ先などに持って行きやすく、ケースにまとまったものは贈り物にも人気。一方、濃い色を作るときにはたくさんパンをこすって濃くする必要があります。さっと描くときにはちょうど良いのですが、じっくり描きたいときには扱い辛く色数的にも物足りなく感じるかも。
写真の上の方に見える「水筆」は中に水を入れて、押せば水が出てくる便利な道具。筆に水だけをつけて画面をしめらす技法や、パレット上に少しだけ水が欲しいときなどに大活躍します。
線をはっきり描いてから色を塗るのにも、透明水彩が便利です。水溶性じゃないペンなどでさっと写生して、家に帰ってからゆっくり色を塗って仕上げるのもおすすめです。
水彩絵の具用の筆は、柔らかく水含みの良いのが特長。絵の具と水をたっぷり保持して、制作を助けます。水彩用筆の最高級品は「コリンスキー」というイタチの仲間の毛を使ったもの。弾力性に優れ毛先がスッととがる、それでいて水の含みも◎。塗りと線描どちらもOKの汎用性の高い筆です。現在はセーブル(イタチ)の毛に似た性質を持たせたリセーブルなど人工毛の筆が多く出回っています。
普段使い用に選ぶなら、細かいところを描く「面相筆」、広い範囲を一気に塗れる「平筆」、抑揚をつけて色を載せやすい「彩色筆」のほか、より広い範囲を塗れる刷毛などがあると便利です。塗る場所によってこまめに持ち替えられるよう、使いやすい筆洗と筆立てもあると良いでしょう。
一から道具を揃えるなら、おすすめは「ホルベイン透明水彩」。色数が豊富で取扱店舗も多く、水彩用のメディウム類(マスキング液なども含め)も種類豊富。ユーザーの数も多いので情報交換もしやすい絵の具です。おまけにお値段も比較的安価。最初は12色などのセットで揃えて、好みの色を一色ずつ買い足すスタイルがおすすめです。
画像はイラストレーター・ヒグチユウコさんとコラボしたホルベイン水彩絵の具のセット。
箱を眺めているだけでアーティスティックな気持ちになれそうです。
写真はブロックタイプの水彩用紙・アルビレオ。紙の四辺のほとんどが糊付けされていて、水をたっぷり含ませても波打ちにくくなっています。
油絵の具のポイントとおすすめアイテム
油絵の具は他にない重厚な表現が可能な画材。14~15世紀頃からヨーロッパを中心に広く使われ始め、多くの芸術家を支えてきました。色の元である「顔料」に「乾性油(空気に晒すとやがて硬化する油)」と樹脂を混ぜたものが油絵の具です。乾性油にはリンシードオイルやポピーオイルなど、性質の異なる油がたくさんあり、場合に応じて使い分けます。絵の具を厚くのせることが可能で、不透明で重厚な表現を持ち味にしています。
短所は、乾くまで時間がかかるのに、一度乾くと基本的には剥がせなくなること。パレットや筆は使ったらすぐ洗わないと使えなくなることも。また、油を使うので独特の「匂い」や「ゴミの処理」など、水彩絵の具にはない問題もついてまわります。
こちらはモネの「睡蓮」の拡大イメージ。絵の具の混ざり方が水彩絵の具とは違うのがわかると思います。キャンバスや下地、色を重ねるうちにできる画面の凹凸を使ってかすれたように塗られた部分、絵の具の盛り上がりがわかる部分など、立体的な仕上がりが油絵の魅力。
油絵用の筆は触ると硬くてゴワゴワしています。この硬い筆がたっぷりと絵の具をのせるのにぴったりなんです。多くは豚毛を使用していますが、描いているうちに筆先が磨耗してどんどん短くなっていきます。
筆先の形は、ラウンド、フィルバート、フラット、ブライト、アングルなど実に様々。扇型の「ファン」はぼかしをかけるのにぴったりな筆です。最初は「ラウンド」、「フィルバート」、「フラット」があると便利。お好みで色々な筆を試してみましょう。
また、ペインティングナイフは画面を盛り上げながら色を塗るときに便利。エッジの効いた塗り方や凹凸を生かした描き方にぴったりです。パレットナイフのようにパレット上に残った絵の具をお掃除するのにも使えます。
いいとこ取りのアクリル絵の具とおすすめアイテム
最初に買うのは、初心者向けのセットもおすすめですが、水彩用のパレットや筆、筆洗をそのまま使えるので、絵の具のみの買い足しで事足りることが多いかもしれません。
アクリル絵の具には多くの種類がありますが、手軽に買えて使いやすいメーカーは、「リキテックス(Liquitex)」「ホルベイン」「ゴールデンアクリリックス」「ターナーアクリルガッシュ」などが有名です。
中でもリキテックスは、一度は試してみたくなるメディウムの種類や色数、粘度の違う商品など、ラインナップの豊富さが強みです。
メディウムというのは、下地として使ったり、好きな色と混ぜて新しい質感を作ったりと、オプションとして使える画材です。
「セラミックスタッコ」はザラザラとした土壁のような表面を作ることができますし、「グロスメディウム」はつやを出します。
メディウムシリーズとともに売られている「ジェッソ」は白い絵の具の代わりとしても使えますが、下地材として使われることが多いです。ジェッソの下地は油絵の具にも有効なので、乾燥の早い下地材としても重宝されています。
絵以外にも、植木鉢や木材などを塗る際、先に白のジェッソで下塗りをすると透明度の高い色も綺麗にのりますよ。
気軽に使えて細密画もOK。色鉛筆とおすすめアイテム
色鉛筆にはいくつか種類があります。
ワックスで固めた「油性色鉛筆」と、水に溶ける「水溶性色鉛筆」はそれぞれ軟筆と硬筆があり、また、パステルのように柔らかい芯のパステル色鉛筆もあります。
油性色鉛筆は揮発性油などで滲ませることができ、水溶性色鉛筆は水で滲ませることができます、パステル色鉛筆の場合は、擦筆という紙を巻いて鉛筆の形にしたものなどでぼかすことができます。
線での細やかな表現が得意な色鉛筆は小さな作品におすすめ。ポストカードサイズのスケッチブックと、お気に入りの色鉛筆をバッグに忍ばせて、休日クロッキーに出かけてみませんか?
色の混ざり合いが楽しいチョークアートとおすすめアイテム
色鮮やかなチョークが並ぶ様は可愛らしくて、宝石箱のよう。
子どもの頃ように自由にお絵かきしてみよう♪
絵を描くのは、形を追いかけたり、色を選んだり...無心になって集中する時間が癒しにもなります。ストレスフルな毎日の中でも、ちょっとしたすきま時間を見つけてお絵かきをはじめてみませんか?好きなもの、好きな景色をじっと眺め、形や色を写し取るだけでも、新たな発見がありますよ。自由な創作の世界を楽しみ、芸術の秋を楽しみましょう。
次回、応用篇では、基本から一歩すすんで、使いこなすのがやや難しい中級者向けの画材や、基本の画材を使ったさまざまな技法をご紹介します。お楽しみに♪
内でも外でも過ごしやすい秋は、外でのスケッチにも、お部屋でのじっくり制作にもぴったりの時期です。
今回は、“子供のころ以来絵を描いていない”という人や“絵を描くのは好きだけれども一歩踏み出せない”という方にもおすすめの、使いやすい画材を中心にご紹介します。
使っている画材が変われば画風や楽しさも別物に。これまで絵を描き続けてきた人も、これから始める人も、基本的な画材の特長を知って、新鮮で楽しいお絵かきをはじめてみませんか?