あなたは、鈴木大拙(だいせつ)という人物を知っていますか?
インドから中国を経て、日本に伝えられた「禅(ZEN)」を含んだ東洋思想を、分かりやすく海外に伝えて広めたのが、鈴木大拙(1870-1966)です。
大拙は、学生時代から英語にとても堪能で、説明の難しそうな紹介を分かりやすく英語で書くことができました。
2回の長期渡米を通して、「禅」についての著書を英語で著し、コロンビア大学では客員教授も務めます。
語学が堪能なのは勿論ですが、「禅」をはじめとする仏教思想についての卓越した知識と、西洋の思想にも造詣が深かったため、今でも海外で世界的な仏教哲学者として有名です。
大拙は、学生時代から英語にとても堪能で、説明の難しそうな紹介を分かりやすく英語で書くことができました。
2回の長期渡米を通して、「禅」についての著書を英語で著し、コロンビア大学では客員教授も務めます。
語学が堪能なのは勿論ですが、「禅」をはじめとする仏教思想についての卓越した知識と、西洋の思想にも造詣が深かったため、今でも海外で世界的な仏教哲学者として有名です。
「禅(ZEN)」とは?
出典:unsplash.com
「禅とは信仰ではなく修行である」とよくいわれます。
そこにはいわゆる霊魂や死後の世界といった考え方は採りませんし、特定の教義と か、坐禅に関する教えを説くための経典とか、信仰の対象として崇めるような神な どといったものはないのです。やるべき事はただ古来からの規則に則って坐禅を行 じ研鑽を積むことにより、人が生まれながらにして以っている「本来の面目」に立 ち還ることを目指しているのです。
出典:人間禅 | 禅とは
鈴木大拙が書いたこの本も、英文で書かれ海外で多くの人たちに影響を与えました。
こちらは、それを日本語に訳したものです。キリスト教との比較などを交え、初心者にも一見難しそうな「禅」について優しく語りかける一冊となっています。
出典:www.flickr.com(@Angelo Amboldi)
あのアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が、「禅」の思想に影響を受けていたことは有名な話かもしれません。
彼は、大学の図書館で一冊の本に出会い、そこから禅の世界へ傾倒していったと言われています。
出典:www.flickr.com(@Nuno Morテ」o)
世界的に有名な音楽家である、ジョン・ケージも大学で大拙から禅を学び、その思想に大きな影響を受けました。
彼の代表作である「4分33秒」には、“無”が表現されています。
鈴木大拙氏の、言葉です。
「人間が、空なる存在を自覚する、ということが仏教の、そして禅の、目的なのである。」(鈴木大拙)
出典: » 鈴木大拙 art-tokyo
「禅とは自己の存在の本性を見抜く術であって、それは束縛からの自由への道を指し示す。
言い換えれば、我々一人一人に本来備わっているすべての力を解き放つのだ、ということもできる」
「禅」の世界観を体現する、鈴木大拙館へ
出典:www.flickr.com(@Kentaro Ohno)
「鈴木大拙館」は、特別名勝の兼六園からも歩いて10分ほどのところです。
D. T. Suzukiとして世界で知られる鈴木大拙は、金沢が生んだ仏教哲学者。生誕地そばに建つ当館は、「玄関棟」、「展示棟」、「思索空間棟」を回廊で結ぶとともに、「玄関の庭」「露地の庭」「水鏡の庭」によって構成。大拙の考えや足跡をたどりながら、来館者自らが思索できる場となっています。設計は国際的な建築家・谷口吉生氏です。
谷口吉生設計の建築
無駄のないシンプルなデザインで、美術館の建築に定評のある世界でも有名な建築家です。
谷口氏の建築の中で、鈴木大拙館が一番好きだという方もいるほど。
また、谷口氏の父、吉郎氏が金沢生まれということもあり、金沢は谷口家にとって縁のある土地のようです。
谷口氏の建築の中で、鈴木大拙館が一番好きだという方もいるほど。
また、谷口氏の父、吉郎氏が金沢生まれということもあり、金沢は谷口家にとって縁のある土地のようです。
出典:www.flickr.com(@lawtonjm)
谷口吉生:丹下健三に師事した国際的な建築家。
数々の建築賞の受賞歴があり、日本的な美を表現したモダ二ズム建築の作り手。繊細で美しいフォルムの建築として定評があり、さまざまな美術館や公共建築を手掛ける。
「建築は、「玄関棟」「展示棟」「思索空間棟」を回廊で結ぶとともに、「玄関の庭」「水鏡の庭」「露地の庭」によって構成されています。この3つの棟と3つの庭からなる空間を回遊することによって、来館者それぞれが鈴木大拙について知り、学び、そして考えることが意図されています
出典:施設概要 | 鈴木大拙館
鈴木大拙について『知り』、『学び』、そして『考える』。
鈴木大拙館における展示は、単にものを鑑賞する場とせず、来館者が自由かつ自然な心で鈴木大拙と出会うことにより、そこから得た感動や心の変化を、自らの思索に繋げていくことを基本方針としています。
展示空間で配置される書や写真、著作など鈴木大拙を真っ直ぐに伝える芯のある資料から大拙を「知る」ことに始まり、学習空間で鈴木大拙の心や思想を「学ぶ」ことを通し、さらに、思索空間で自ら「考える」ことに至る3つの行動を、施設計画と一体となって展開する構成としています。
「水鏡の庭(Water Mirror Garden)」
「思索空間(Contemplative Space)」
「内部回廊」
「展示空間」と「学習空間」
いかがでしたか?
出典:www.flickr.com(@chinnian)
「禅(ZEN)」という言葉は、サンスクリット語で「精神集中」を意味しており、それを行う姿勢として万人向けに最も広まったのが「座禅」でした。