禅(ZEN)の哲学に触れる旅。金沢の「鈴木大拙館」で心洗われる体験を

禅(ZEN)の哲学に触れる旅。金沢の「鈴木大拙館」で心洗われる体験を

スティーブ・ジョブズ氏も思考したという「禅(ZEN)」を、初めて海外に広く知らしめた「鈴木大拙」。 その大拙の思想に触れ、それを体現できる空間が金沢にあります。「鈴木大拙館」は、建築的な美しさは勿論のこと、忙しい日常から離れて自己を見つめる機会を与えてくれる空間です。世界的な仏教哲学者が説く「禅」の思想を感じる旅に、一緒に出かけませんか? 2017年01月19日更新

カテゴリ:
アート・カルチャー
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アート金沢建築
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あなたは、鈴木大拙(だいせつ)という人物を知っていますか?

禅(ZEN)の哲学に触れる旅。金沢の「鈴木大拙館」で心洗われる体験を
出典:
インドから中国を経て、日本に伝えられた「禅(ZEN)」を含んだ東洋思想を、分かりやすく海外に伝えて広めたのが、鈴木大拙(1870-1966)です。

大拙は、学生時代から英語にとても堪能で、説明の難しそうな紹介を分かりやすく英語で書くことができました。
2回の長期渡米を通して、「禅」についての著書を英語で著し、コロンビア大学では客員教授も務めます。
語学が堪能なのは勿論ですが、「禅」をはじめとする仏教思想についての卓越した知識と、西洋の思想にも造詣が深かったため、今でも海外で世界的な仏教哲学者として有名です。

「禅(ZEN)」とは?

「禅(ZEN)」という言葉は、サンスクリット語で「精神集中」を意味しており、それを行う姿勢として万人向けに最も広まったのが「座禅」でした。
出典:unsplash.com

「禅(ZEN)」という言葉は、サンスクリット語で「精神集中」を意味しており、それを行う姿勢として万人向けに最も広まったのが「座禅」でした。

「禅とは信仰ではなく修行である」とよくいわれます。
そこにはいわゆる霊魂や死後の世界といった考え方は採りませんし、特定の教義と か、坐禅に関する教えを説くための経典とか、信仰の対象として崇めるような神な どといったものはないのです。やるべき事はただ古来からの規則に則って坐禅を行 じ研鑽を積むことにより、人が生まれながらにして以っている「本来の面目」に立 ち還ることを目指しているのです。
出典:人間禅 | 禅とは
鈴木大拙が書いたこの本も、英文で書かれ海外で多くの人たちに影響を与えました。
こちらは、それを日本語に訳したものです。キリスト教との比較などを交え、初心者にも一見難しそうな「禅」について優しく語りかける一冊となっています。

鈴木大拙が書いたこの本も、英文で書かれ海外で多くの人たちに影響を与えました。
こちらは、それを日本語に訳したものです。キリスト教との比較などを交え、初心者にも一見難しそうな「禅」について優しく語りかける一冊となっています。

あのアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が、「禅」の思想に影響を受けていたことは有名な話かもしれません。
彼は、大学の図書館で一冊の本に出会い、そこから禅の世界へ傾倒していったと言われています。
出典:www.flickr.com(@Angelo Amboldi)

あのアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が、「禅」の思想に影響を受けていたことは有名な話かもしれません。
彼は、大学の図書館で一冊の本に出会い、そこから禅の世界へ傾倒していったと言われています。

世界的に有名な音楽家である、ジョン・ケージも大学で大拙から禅を学び、その思想に大きな影響を受けました。
彼の代表作である「4分33秒」には、“無”が表現されています。
出典:www.flickr.com(@Nuno Morテ」o)

世界的に有名な音楽家である、ジョン・ケージも大学で大拙から禅を学び、その思想に大きな影響を受けました。
彼の代表作である「4分33秒」には、“無”が表現されています。

鈴木大拙氏の、言葉です。
「人間が、空なる存在を自覚する、ということが仏教の、そして禅の、目的なのである。」(鈴木大拙)
出典: » 鈴木大拙 art-tokyo
「禅とは自己の存在の本性を見抜く術であって、それは束縛からの自由への道を指し示す。

言い換えれば、我々一人一人に本来備わっているすべての力を解き放つのだ、ということもできる」
出典:禅とは何か?鈴木大拙の言葉より|禅|禅・座禅を経営に活かす株式会社シマーズ

「禅」の世界観を体現する、鈴木大拙館へ

大拙が生まれた金沢に、「禅」の思想に出会える場所があります。
出典:

大拙が生まれた金沢に、「禅」の思想に出会える場所があります。

「鈴木大拙館」は、特別名勝の兼六園からも歩いて10分ほどのところです。
出典:www.flickr.com(@Kentaro Ohno)

「鈴木大拙館」は、特別名勝の兼六園からも歩いて10分ほどのところです。

D. T. Suzukiとして世界で知られる鈴木大拙は、金沢が生んだ仏教哲学者。生誕地そばに建つ当館は、「玄関棟」、「展示棟」、「思索空間棟」を回廊で結ぶとともに、「玄関の庭」「露地の庭」「水鏡の庭」によって構成。大拙の考えや足跡をたどりながら、来館者自らが思索できる場となっています。設計は国際的な建築家・谷口吉生氏です。
出典:鈴木大拙館 | 博物館・美術館の検索 | 美術館・博物館・イベント・展覧会 [インターネットミュージアム]

谷口吉生設計の建築

無駄のないシンプルなデザインで、美術館の建築に定評のある世界でも有名な建築家です。
谷口氏の建築の中で、鈴木大拙館が一番好きだという方もいるほど。
また、谷口氏の父、吉郎氏が金沢生まれということもあり、金沢は谷口家にとって縁のある土地のようです。
谷口吉生:丹下健三に師事した国際的な建築家。
数々の建築賞の受賞歴があり、日本的な美を表現したモダ二ズム建築の作り手。繊細で美しいフォルムの建築として定評があり、さまざまな美術館や公共建築を手掛ける。
出典:www.flickr.com(@lawtonjm)

谷口吉生:丹下健三に師事した国際的な建築家。
数々の建築賞の受賞歴があり、日本的な美を表現したモダ二ズム建築の作り手。繊細で美しいフォルムの建築として定評があり、さまざまな美術館や公共建築を手掛ける。

「建築は、「玄関棟」「展示棟」「思索空間棟」を回廊で結ぶとともに、「玄関の庭」「水鏡の庭」「露地の庭」によって構成されています。この3つの棟と3つの庭からなる空間を回遊することによって、来館者それぞれが鈴木大拙について知り、学び、そして考えることが意図されています
出典:施設概要 | 鈴木大拙館

鈴木大拙について『知り』、『学び』、そして『考える』。

鈴木大拙館における展示は、単にものを鑑賞する場とせず、来館者が自由かつ自然な心で鈴木大拙と出会うことにより、そこから得た感動や心の変化を、自らの思索に繋げていくことを基本方針としています。
展示空間で配置される書や写真、著作など鈴木大拙を真っ直ぐに伝える芯のある資料から大拙を「知る」ことに始まり、学習空間で鈴木大拙の心や思想を「学ぶ」ことを通し、さらに、思索空間で自ら「考える」ことに至る3つの行動を、施設計画と一体となって展開する構成としています。
出典:展示計画の方針 | 活動内容 | 鈴木大拙館

「水鏡の庭(Water Mirror Garden)」

鈴木大拙館の見所の一つである「水鏡の庭(Water Mirror Garden)」。
静寂に包まれた、建物の影が映りこむ水面をずっと眺めていたい気持ちになります。
出典:

鈴木大拙館の見所の一つである「水鏡の庭(Water Mirror Garden)」。
静寂に包まれた、建物の影が映りこむ水面をずっと眺めていたい気持ちになります。

水鏡の庭では、定期的に波紋が発生します。偶然ではない、必然的な波紋により水面はいったん乱れ、また元の静寂へと戻っていきます。しかし、戻ったように見えても先ほどまでの景色とは違います。水も、一箇所にはとどまらず絶えず変化しているのです。
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水鏡の庭では、定期的に波紋が発生します。偶然ではない、必然的な波紋により水面はいったん乱れ、また元の静寂へと戻っていきます。しかし、戻ったように見えても先ほどまでの景色とは違います。水も、一箇所にはとどまらず絶えず変化しているのです。

日が落ちて、ライトが灯るとまた昼とは違った雰囲気に。一日中、静かな時間が流れています。
出典:

日が落ちて、ライトが灯るとまた昼とは違った雰囲気に。一日中、静かな時間が流れています。

「思索空間(Contemplative Space)」

谷口氏の、素晴らしい設計が作り出した「思索空間(Contemplative Space)」。
水鏡の庭に浮いているように佇んでいます。
出典:

谷口氏の、素晴らしい設計が作り出した「思索空間(Contemplative Space)」。
水鏡の庭に浮いているように佇んでいます。

内部は腰を落としてゆっくりできるようになっています。
真ん中にあいたスペースは、「見えない四畳半」と呼ばれているそうです。思策空間から見える長方形に切り取られた景色を、ただぼーっと眺めるだけで「禅」の思想に一歩近づいたような気がするはずです。
出典:

内部は腰を落としてゆっくりできるようになっています。
真ん中にあいたスペースは、「見えない四畳半」と呼ばれているそうです。思策空間から見える長方形に切り取られた景色を、ただぼーっと眺めるだけで「禅」の思想に一歩近づいたような気がするはずです。

ここに身を置き、鈴木大拙との出会いで得た感動や心の変化を自ら静かに「考える」ことが大事です。
出典:

ここに身を置き、鈴木大拙との出会いで得た感動や心の変化を自ら静かに「考える」ことが大事です。

「内部回廊」

玄関から展示棟までの内部回廊。幻想的な、世界へと誘うようです。
出典:

玄関から展示棟までの内部回廊。幻想的な、世界へと誘うようです。

「展示空間」と「学習空間」

「展示空間」と「学習空間」は、書や写真、著作など大拙を真っ直ぐに伝える資料から鈴木大拙を、「知り、学ぶ」空間となっています。
出典:

「展示空間」と「学習空間」は、書や写真、著作など大拙を真っ直ぐに伝える資料から鈴木大拙を、「知り、学ぶ」空間となっています。

「学習空間」は、鈴木大拙の心や思想を『学ぶ』空間です。
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「学習空間」は、鈴木大拙の心や思想を『学ぶ』空間です。

いかがでしたか?

忙しい日常を離れ、自分自身を見つめる。そんな旅ができそうな金沢にある「鈴木大拙館」。
静寂に包まれた、美しい空間に身を置くだけでも、心が洗われそうです。
ぜひ、あなたも日本古来から伝わる「禅」の思想を感じに、訪れてみてはいかがですか?
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忙しい日常を離れ、自分自身を見つめる。そんな旅ができそうな金沢にある「鈴木大拙館」。
静寂に包まれた、美しい空間に身を置くだけでも、心が洗われそうです。
ぜひ、あなたも日本古来から伝わる「禅」の思想を感じに、訪れてみてはいかがですか?

禅(ZEN)の哲学に触れる旅。金沢の「鈴木大拙館」で心洗われる体験を
出典:www.flickr.com(@chinnian)
鈴木大拙館
金沢が生んだ世界的・仏教哲学者である鈴木大拙(D. T. Suzuki)。その書や写真・著作を通し鈴木大拙の考えや足跡を広く伝える文化施設。大拙を「知る」「学ぶ」、そして思索空間で「考える」。建物は国際的な建築家である谷口吉生氏の設計。本多の森を巡る散策路もおすすめ。

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