みんなに“ちょうどいい”理想の写真屋さんを探し求めて
全国のフィルム写真愛好家から厚い支持を得ている写真店「monogram(モノグラム)」。その店長である東尚代さんの口をついて出たのは、意外にもそんな言葉だった。
「強いこだわりを持っていらっしゃる素敵な写真屋さんは、他にも沢山あります。だからこそ、うちは間口を広く、誰にでも気軽に来てもらえる存在になれたらいいなって、そう考えているんです」
一見して写真店だとは分からないほどの瀟洒な店構え。窓ガラスにさりげなく描かれた「monogram」の文字が目印。
「写真のデジタル化が進んだことで写真屋さんがどんどん減ってしまい、「プリントしたくてもできない」と困っている方が多くいらっしゃったんです。また、自分たち自身も写真への興味が深まるにつれ、求めているような写真店がみつからないという思いが強くなって…」
ユーザーや自分たちにとって、ちょうどいい“理想の写真屋さん”がない。そう感じたことが、お店をスタートするきっかけになったのだという。
店内に入るとまず目に飛び込んでくるのは、お洒落なカメラグッズの数々。その奥に写真ラボスペースが設けられている。
「お客様との触れ合いを大事にしたい、よりお客様が求める写真を再現したい。そんな思いから、何よりもコミュニケーションに重きを置いたお店作りをしたいと考えたんです」
2Fには「ギャラリー」と「ライブラリー」を併設。プリントやグッズ販売以外にも、写真との新たな関わり方を提案してくれている。
対話から生まれる“特別な一枚”をつくり上げるために
フィルムを見つめる真剣な眼差し。目には見えない、音・匂い・空気・時間…、そんな一人ひとりの大切な記憶を写真の上に写しだしていく。
常にユーザー視点に立ち、何よりも“お客様に喜んでもらいたい”と考えるmonogram。そんな真摯な姿勢が周囲の人たちにも伝わり、お店を訪れる客層も、時とともに変化していった。
写真ファンにも地域の人にも、全ての人に開かれたお店を目指して
スタッフ同士の仲がいいのもmonogramの特徴。取材中も明るい笑い声が絶えなかった。
こんな風に、お店の存在が新たに写真を楽しむきっかけづくりになることもあるのだとか。
写真愛好家から支持されているお店と聞けば、どうしても敷居が高く感じられ、訪れる側もつい構えてしまいがち。しかしmonogramの一番の魅力は、“気負わずに写真を楽しんでもらいたい”という、写真に興味を持つ人すべてに開かれた優しく温かな姿勢にあるのではないだろうか。
訪れた人達が自由に書き込める「みんなのノート」は既に5冊目。monogramが多くの人に愛されていることがよく分かる。
“楽しんでほしい”という気持ちから生み出されるカメラグッズ
機能性に優れ、センスも良いカメラグッズが並ぶ店内。写真好きな人へのプレゼント選びで訪れる方も多いそう。
スタイリッシュで存在感抜群のフォトフレームは、写真を飾ることが楽しくなるような素敵なものばかり。
ここでも、お客様の思いに応えたいというユーザー第一主義の姿勢は変わらない。
「カメラグッズは使い勝手の良さも重要ですが、持っていて楽しくなる、一緒に連れてお出かけしたくなるような素敵なものであることも大切。やっぱりカメラは、外に持っていって使ってもらうことが第一歩なので、持ってお出かけしたくなるようなアイテム作りを常に意識しています」
写真を撮ること、プリントすること、飾ること、そこに必ず“楽しい”という気持ちを感じてもらいたい。そんなシンプルで純粋な気持ちが、商品作りにも込められているのだ。
リクエストによって生まれた「スリムカメラストラップ」。どんなコーディネートにも馴染むミニマルなルックスで男女問わず人気が高い。
中判カメラやスマートフォンでの写真に最適な「ましかく」の木製フォトフレーム。こちらも“みんなの声”から生まれたアイテムだそう。
みんなで写真を楽しむ場として
2Fの「ギャラリー」では、写真や絵画等ジャンルを問わず様々なアート作品を展示している。時期によって展示内容が変わるため、訪れる際には開催予定を確認しよう。
写真のプリントや商品の販売だけでなく、人と人とが繋がるための機会も提供したい。そこからも、写真を通しての楽しみや喜びをお客様に感じてもらいたいという、このお店らしい思いが伝わってくる。
こちらはフォトブックが展示されている「ライブラリー」スペース。写真をプリントする間の待ち時間に訪れる方も多い。
ライブラリーには、一般の方が持ち込んだフォトアルバムも展示されている。
お客様に喜んでもらえる限り、応え続けていきたい
そう屈託なく柔らかな笑顔で話す東さんの言葉には、なんの気負いやてらいもなく、少しでも多くの人に写真を楽しんでもらいたいという純粋な温かさが溢れていた。
左から2番目が店長の東尚代さん。こぼれるような笑顔からも、温かい人柄が伝わってくる。
お店があるのは東急東横線「学芸大学駅」から歩いて1分ほどの住宅街。