出典: ここは、誰もが知っている通り、現天皇の御所や庭園、宮殿が点在する「皇居」です。
出典: 地図や航空写真で分かる通り、水を湛え、緑に覆われている「皇居」は、都心部随一といっても良いほどに豊かな自然環境にあります。【「皇居正門」前に架かる「二重橋」(手前:「正門石橋」,奥:「正門鉄橋」/二重橋向こうは「伏見櫓」】
出典: “豊かな自然環境”といっても、単に木々が深く、草花が多いということではありません。【初秋の「皇居東御苑」】
出典: それは、「皇居」という場所が、江戸期以降の貴重な生態系を保全しつつ、自然環境を豊かに育みながら維持してきたという、類まれなる地であることを意味しているのです。【『シャガ』と『山吹』が咲き乱れる4月下旬の「皇居東御苑」】
出典: 現在でも、「皇居」や皇居周辺では、絶滅危惧種や当地で発見された新種を含め、植物は2千種、動物は6千種を優に超える多種多様な生物を観察することができ、豊かな自然と親しむことが出来ます。
【初夏の頃の苑内。『ネムノキ』の花と『アオスジアゲハ』】
出典:www.flickr.com(@TAKA@P.P.R.S) 「皇居」の“豊かな自然に親しむ”といっても、皇居内への立ち入りは、通常制限されているではないかと思う人も多くいらっしゃるかもしれません。
確かに“皇居”と耳すれば、御所のある「吹上御苑」や、一般参賀で知られる宮殿といった皇室関連施設が点在する「旧西の丸」の二箇所が思い浮かびます。【新年の「一般参賀」(2018年撮影)の皇居内宮殿「長和殿」】
出典: けれども、宮内庁管理下で“皇居”の一部としてみなされているのは、「吹上御苑」と「旧西の丸」の他に、もう一箇所あります。【「平川門(渡櫓門)」】
出典: それは、旧江戸城の本丸、二の丸、三の丸の一部を、宮殿の造営にあたって整備された「皇居付属庭園」で、昭和43(1968)年から“一般公開されている「皇居東御苑」”です。
【旧江戸城の裏門に当たる「平川門」は、皇居東御苑の出入り口の一つ。東西線・竹橋駅から徒歩すぐで、入苑するのに便が良い。(画像は、堅牢な造りの平川門[渡櫓門])】
出典: “一般公開”といっても、「皇居」だけに、入園手続きが面倒だったり、日時が厳しく決められているのではと、ついつい思ってしまう方もいるかも知れません。
確かに、新年や天皇誕生日の「一般参賀」や、春秋の「皇居乾通り一般公開」、事前申請や当日先着順受付が必要の「皇居参観」(皇居見学)が良く知られているように、皇居内へ一般の人々が立ち入るには、相応の手続きを踏んだり、厳粛に決められた日時に参観する必要があります。
【春秋に実施される「皇居乾通り一般公開」は、例年春秋に行われる皇居の一般公開で、坂下門から乾門を貫く「乾通り」を行進する。乾通りが桜のトンネルとなる春季は一際人気が高く、毎年30万人~50万人の人出がある。(4月初旬撮影)】
出典: けれども「皇居東御苑」においては、「皇居参観」や「雅楽演奏会」のような“事前手続きが不要”であり、「一般参賀」や「乾通り通り抜け」のように公開日時が厳格に定められているわけではなく、基本的には、一年を通じて、誰もが“無料”で入園することが出来ます。
【一般参観開催時や桜の季節を除き、「皇居東御苑」内が人で溢れ、混雑することは滅多にない。(4月中旬頃の『ヤマツツジ』や『山藤』が新緑に映える園内散策路)】
出典: つまり、休園日と公開時間外を除けば、思い立ったらいつでも、皇居内の豊かな自然の中で一時を過ごすことが出来るのです。【二の丸庭園に咲くツツジ(4月中旬撮影)】
出典: 今記事では、都心部とは思えない程に、自然豊かな「皇居東御苑」を取り上げます。
当苑の魅力やお勧めの季節、苑内の見所等などを、苑内の景色や季節の花々と共に案内します。また、ランチやカフェ、お土産購入に便利な、リーズナブルで美味しいと評判の、当地ならではのレストハウスやレストランも併せて紹介します。
【サツキとハナショウブが見頃の「二の丸庭園」】
出典: 記事を参考に「皇居東御苑」を訪れて、ゆったりとした一時を過ごして下さい。
いつでも「皇居」の豊かな世界が、貴方の心と身体をリセットして、新鮮な活力を与えてくれるはずです。
【5月末頃の苑内、ベンチが設けられた遊歩道。】
出典: 1.「皇居東御苑」の4つの魅力
2.「皇居東御苑」をゆったりと味わうなら。
花見客で賑わう桜の頃
訪れるのなら、“晩春から夏の頃”がお勧め。
秋から冬。冬から春も。
3.「皇居東御苑」入園の基礎知識
「東御苑」の3つの出入り門。
アクセス抜群!「東御苑」の最寄り駅
曜日と季節で変わります。「東御苑」の公開日&公開時間。
「東御苑」は、入園無料!です。
皆が楽しむために。「東御苑」の注意事項。
4.豊かな自然も。江戸城も。苑内の必見スポット
5.ぐるりと周って、東御苑を満喫。
散策モデルコース
6.いざ入城!苑内の必見立ち寄り&散策スポット
江戸城の正門「大手門」
特別展示も入場無料!「三の丸尚蔵館」
本丸へ入るには。同心番所(大手三之門跡)・百人番所・大番所(中之門跡)
本丸エリアの遊歩道。野草の島・松の大廊下跡・バラ園・桜の島など
広々と見晴らして。天守台・本丸大芝生
本丸から二の丸へ。汐見坂と梅林坂
武蔵野の面影を追って。二の丸雑木林
東御苑のハイライト。二の丸庭園
木橋の平川橋も渡って。
7.苑内でちょっと休憩。
8.ランチも。カフェも。お土産も。皇居ならではのレストランで。
和田倉噴水公園レストラン・楠公レストハウス・ザ・フォレスト北の丸
旅のおわりに
旅のInformation
出典: 「皇居東御苑」の最大魅力は、水を湛え、木々深い、豊かな自然環境であること。
【初夏の頃の苑内「二の丸雑木林」(6月上旬撮影)】
出典: 第二の魅力は、都心部にありながらも広大な敷地を誇るため、概ね“混雑”することなく、思い思いに“ゆったりと”散策が楽しめること。【4月中旬の「二の丸池」畔の藤棚。藤の見頃は、例年4月下旬から上旬。夏場は、涼やかな緑陰を作る。】
出典: 第三の魅力は、旧江戸城の遺構や日本庭園、茶屋や櫓といった歴史的建造物が、豊かな自然環境の中にしっとりと溶け込んで、洗練された景色を育んでいること。
【牡丹咲く4月下旬の『諏訪の茶屋』。
美しい屋根が印象的な「諏訪の茶屋」は、かつて吹上御苑内にあった茶室を明治45年に再建したもの。東御苑の整備の際に、吹上地区内から移築された。内部の見学は不可だが、風雅な茶室風建物は、周囲の景色と溶け合い、季節季節で異なる雰囲気が楽しめる。ツツジやサツキが咲き揃う初夏の頃は、華やかで苑内人気のスポットとなる。】
出典: そして、第四の魅力は、季節それぞれに趣の異なる景色や風情を楽しめることです。
特筆すべきは、種類豊富な花々です。
年間を通して、多種多彩の花が季節を咲き継いでいくため、いつ訪れても花々を鑑賞出来、花のある景色を楽しめます。
【『クルメツツジ』が咲き乱れる4月中旬の「二之丸庭園」。苑内ツツジの見頃は、例年4月上旬~5月初旬。】
出典: 一年を通して「皇居東御苑」が賑わうのは、3月~4月の桜の季節です。
京都御所同様に、ここ「皇居東御苑」も、ソメイヨシノの他、枝垂れ桜や里桜、八重桜等など、約30品種もの多様な桜が植えられ、春の頃は、雪柳や山吹といった春の花々も共に咲き乱れるため、春の季節を満喫しに多くの人々が足を運びます。
【苑内には、早咲きの『寒緋桜』から遅咲きの『関山』や『普賢象』等、様々な桜が植えられているため、桜の開花時期は長い。画像は、4月中旬の里桜の一種『関山』と『シャガ』が満開の「二の丸庭園」。共に見頃は、4月中旬から下旬。】
出典: 種々様々に春の花々や桜咲く頃は、寒さからも解放され、心浮き立ち、出掛けたくなる季節です。
けれども、ゆったり静かな散策を楽しむには、絶好の時期とは言えません。特に、桜が満開の3月末頃から4月初旬に例年開催されている『春季乾通り一般公開・桜の通り抜け』時は、大勢の人々が苑内へと流れ込むため、平時よりも混雑します。
【2018年『春季乾通り一般公開・桜の通り抜け』開催時の皇居内・乾通り。一般公開では、坂下門から入場し、乾通りを乾門へ向かって行進するが、開催中は、途中の「西桔橋」から直接「皇居東御苑」へ入苑出来るため、苑内は多くの花見客で混雑する。】
出典: また桜の頃は、朝晩の寒暖差も大きく、日が傾くと冷え込みます。苑内の緑もまだ早く、花見には絶好でも、豊かな自然を満喫出来るほどの季節ではありません。【『ソメイヨシノ』が見頃の4月初旬の苑内】
出典: ゆったりとした散策、季節の花々と豊かな緑を存分に楽しむのなら、ソメイヨシノの花弁がすっかりと散り落ちた4月中旬から7月中旬の“晩春から夏の頃”がお勧めです。【『ヤマツツジ』と新緑が美しい晩春の苑内(4月下旬撮影)】
出典: この季節は、陽の光も緑も水も、輝きを増していく頃です。
真夏や初秋の酷暑さでもなく、散策するのにも丁度良い季節です。【5月初旬の「二の丸庭園」の藤棚】
出典: その中でも、GWの頃から梅雨にかけての初夏の頃は、緑眩しく、花々も色とりどりに咲き開きます。
【5月末の苑内「二の丸雑木林」に咲く『ウツギ』の花。見頃は、例年5月中旬から5月下旬。】
出典: 特に初夏の頃は、春に負けず劣らず季節の花々が多く、サツキ、ヤマボウシ、ハマナス、ツツジ、スイレンと、様々な花々が次々と咲き開いていきます。【5月中旬の苑内「バラ園」に咲く『カノコ』】
出典: ハナショウブやアジサイが見頃の梅雨の頃も素晴らしく、しっとりとした景色、風情が味わえます。
【6月下旬の「二の丸庭園」の菖蒲田に咲く『ハナショウブ』。】
出典: 晩春から夏がお勧めといっても、他の季節が劣るということでは、けっしてありません。
【初秋の頃の旧本丸跡「芝生園」(9月中旬撮影)】
出典: 秋から冬、冬から春の季節も、皇居ならではの情景を楽しむことが出来ます。
【初秋の苑内に咲く『ヒガンバナ』と『クロアゲハチョウ』(9月末撮影)】
出典: キンモクセイやススキ、ツバキやスイセン、ロウバイやウメなどの季節の花々が、深緑や紅葉、冬木立を背景にして、季節を繋ぐように、次々と咲き継いでいきます。【早春の苑内に咲く『フクジュソウ』】
出典: 誰もが入園可能といっても、宮内庁管理下の施設です。他の公園とは異なり、出入り口が24時間開放されている訳ではなく、守らなければならない注意事項も多少あります。
【東西線・竹橋駅付近の平川濠沿いの遊歩道。奥の濠に架かるのは「平川橋」。右手は、旧江戸城二の丸へ通じている江戸城の裏門「平川門」】
出典: 「皇居東御苑」は、初めに紹介したように、「旧江戸城」の本丸、二の丸、三の丸の一部を整備した庭園です。
出入りは、旧江戸城の門を通り抜けることになりますが、「皇居東御苑」の出入り門は、基本的に「大手門」、「平川門」、「北桔橋門(きたはねばしもん)」の3箇所です。【「大手門」」の渡櫓門(わたりやぐらもん)】
出典: ■「大手門」:
地下鉄「大手町駅(C13a出口)」から徒歩約5分
地下鉄千代田線「二重橋前駅(6番出口)」から徒歩約10分
JR「東京駅(丸の内北口)」から徒歩約15分
■「平川門」:
地下鉄東西線「竹橋駅(1a出口)」から徒歩約5分
■「北桔橋門」:
地下鉄東西線「竹橋駅(1a出口)」から徒歩約5分
曜日と季節で変わります。「東御苑」の公開日&公開時間。
出典: ■休園日:
基本的に、月曜日・金曜日・年末年始(12月28日から翌年1月3日まで)
※但し、天皇誕生日以外の「国民の祝日等の休日」は公開。月曜日が休日で公開する場合は,火曜日が休園日。行事の実施やその他の理由で休園となる場合がある。
■公開時間:
3月1日~4月14日 午前9時~午後4時30分(入園は午後4時まで)
4月15日~8月末日 午前9時~午後5時(入園は午後4時30分まで)
9月1日~10月末日 午前9時~午後4時30分(入園は午後4時まで)
11月1日~2月末日 午前9時~午後4時(入園は午後3時30分まで)
【大手門入り口に掲げられている「皇居東御苑」の苑内案内板。“今日の東御苑”には、現在の見頃の花や「三の丸尚蔵館」の展覧会案内が出ている。】
出典: 「皇居東御苑」は、先に紹介した通り、入園無料。財布を取り出さなくても、気楽に入れます。
【※入園時に交付される“入園票”は、退園時に返納する必要があるので紛失せぬように要注意。】
出典: 一般公開されている「皇居東御苑」ですが、ここは宮内庁管理下にある区域でもあるため、他の公共施設と異なり、禁止行為や入園制限を受ける人も、定められています。
例えば、集会や募金活動目的、植物の採取や損傷、運動競技や利益目的の写真や動画撮影、飲酒や物販販売等などの禁止行為、泥酔者や動物の連行者(身障者の補助犬を除く)、危険物携行者、禁止行為を目的とする人物などの入園制限や退園命令等などです。
「皇居」内であることを念頭において、常識的な行動を取れば、特に問題はなく、苑内を自由に散策できます。
【初秋の「本丸跡・芝生園」。広大な芝生で過ごすなら、レジャーシートは持参のこと。】
出典: 「東御苑」は、皇居となる以前は、300年もの長きに亘って、徳川幕府の中枢、江戸城があった場所です。豊かな自然環境もさることながら、苑内各所に残る旧江戸城の遺構や、歴史的建造物も見逃せません。
【「皇居東御苑」の出入り門の一つ「平川門」は、旧江戸城・三の丸の正門。本来は、竹橋からの侵入を防御するための橋だが、本丸から最も近い通用門でもあったため、かつては大奥の奥女中らが頻繁に行き来していたため“お局御門”とも呼ばれていた。濠を渡る橋で木造であるのは、江戸城でも「平川門」前の「平川橋」のみ。】
出典: それらは、特に歴史や建築に興味がない方であっても、城郭や門の堂々たる様を目にし、茶屋や庭園の優雅で上品な風情に触れれば、ここが大都市・東京のど真ん中であることをすっかり忘れて、心弾み清々しい心地にきっとなるはずです。
【サツキ咲く5月下旬の「二の丸庭園」。奥の建物は「諏訪の茶屋」】
出典: そして、そうした苑内の見所やスポットを一つ一つ周り回れば、昔日の東京、現皇居を取り巻く、豊かな自然環境と移ろいゆく季節を、五感を通してゆったりと感じることも出来るでしょう。
【苑内「都道府県の木のコーナー」の植えられている、鹿児島県の県木「かいこうず(海紅豆)」(アメリカデイゴ)は、夏に赤い花をつける。(沖縄県の「デイゴ」は、別種である)】
出典: 出入り口は決めれられていますが、苑内は自由に周ることが出来ます。
以下で紹介するコースは、かつての大名らに倣って「大手門」から入って「本丸」へと向かう登城ルートに準じて「本丸」へと向かい、その後は、「東御苑」のハイライト「二の丸庭園」へと向かいます。
苑内には様々なスポットがありますので、訪れてぜひお気に入りの場所を見つけてみましょう。
このページには、「皇居東御苑の略図」と見所が示されています。参考にしてみましょう。
出典: 以下で示すのは、城好き、歴史好きの方でも楽しめる、苑内スポットを隈なく巡る「モデルコース」ですが、苑内の順路が定められているわけではないので、コースはあくまでも目安にして、季節や目的に応じて、思い思いに周って下さい。
【「野草の島」や「果樹古品種園」、「松の大廊下跡」がある本丸エリア内の緑深い遊歩道。手前の大樹は、楠(くすのき)、奥に見えるのは、旧江戸城の「富士見櫓」。(5月中旬撮影)】
【画像は、江戸城配置図(内郭)。左上半分が皇居宮殿や宮内庁施設がある「旧西の丸地区」で、右下半分が旧江戸城があった「東御苑」。画面の最下部から、三の丸、二の丸、本丸が配置されている。】
★大手門→☆三の丸尚蔵館→【本丸エリア】→【二の丸エリア】→★大手門 又は★平川門
【本丸エリア】→★同心番所(大手三之門跡)・百人番所・大番所(中之門跡)→「野草の島」・(★富士見櫓)・「果樹古品種園」→「松の大廊下跡」→「茶畑」→★富士見多聞→「バラ園」→「竹林」・「桜の島」→★天守台→「本丸大芝生」→☆本丸休憩所→「梅林坂」(「汐見坂」)
【二の丸エリア】→「二の丸雑木林」→「都道府県の木」→☆諏訪の茶屋→「二の丸庭園(花菖蒲田・二の丸池)」→新雑木林・秋の七草→二の丸休憩所→「大手門」又は「平川門」
※★北桔橋門(北の丸公園方面)を出口にする場合は、二の丸庭園を先に散策し、天守台→北桔橋門
※★平川門(竹橋駅方面)を出口にする場合は、二の丸庭園散策後、梅林坂方向へ戻り→平川門→竹橋駅
※:星印は立ち寄りスポット:★旧江戸城の遺構・建造物 ☆東御苑施設 「 」は、苑内散策スポット
出典: 長禄元(1457)年に、太田道灌によって創築された「江戸城」は、天正18(1590)年に北条氏が滅亡した後、徳川家康の居城と定まりました。以降、家康・秀忠・家光の三代に亘り、西の丸、北の丸の増設、外郭の整備が行われて、江戸城の総講が完成しています。
「東御苑」出入り口の一つ「大手門」は、旧江戸城の正門です。大手町駅が最寄り駅ですが、遠方から上京し、東京観光をしているのなら、JR「東京駅」から歩くのもお勧めです。
【登城する大名らを威圧するような堂々たる「大手門」は、防御力も十分備えた“枡形虎口*(ますがたこぐち)”という構造となっている。最初の門を潜ると枡形の空間があり、90度左側にもう一つの門が設けられ、側面の壁には、矢や鉄砲がかけられるように穴が開いている。】
出典: 【5月初旬の「大手門(渡櫓門)」。
*虎口(こぐち)とは、曲輪(くるわ/城郭の区画)の正面開口のことで、城内外の軍勢の出入り口となるため、攻防の要所となり、厳重に防御力を備える。虎口の様式の一つ「枡形虎口」は、出入り口の前面に枡形の空間を設け、門を二重に構えることで、敵側が枡内部に侵入しても、城内への侵入を阻むことが出来、枡内に留められた敵側は、守備側からの攻撃を正面や側面から浴びることになるという、厳重な構造となっている。】
出典: 「三の丸尚蔵館(さんのまるしょうぞうかん)は、皇室に受け継がれてきた絵画や書などの美術品、皇族の遺贈品等などを収蔵、展示する施設で、現在約9,800点の美術品類を収蔵しています。
特別展示、開館時間等々は、HPで詳細を確認のこと。
本丸へ入るには。同心番所(大手三之門跡)・百人番所・大番所(中之門跡)
出典: 「三の丸尚蔵館」を過ぎた正面に位置するのが「大手三之門」です。
その手前にあるのが「同心番所」、門を抜けた先にあるのが全長50mを超える「百人番所」です。「百人番所」は、大手三之門を警備する城最大の検問所です。江戸城は度重なる火災に見舞われ、城内建物はほとんど焼失していますが「富士見櫓」・「同心番所」・「百人番所」は、現存の貴重なものです。
“番所”とは警備の詰め所のことで、城の奥の番所ほど位の高い役人が詰めていました。「百人番所」には、“*鉄砲百人組”と呼ばれた、根来組、伊賀組、甲賀組、廿五騎組の4組が交代で詰め、各組とも与力20人、同心100人が配置され、昼夜を問わず警護にあたり、同心が常に100名詰めていたため、この名前が付いています。
【*家康は、江戸城が万が一落ちた場合の非常時には甲州街道から甲府城へと逃れる構想を立てていたが、その非常時に動員するのが“鉄砲百人組”で、それぞれの組屋敷は、全て甲州街道沿い(伊賀組=大久保、甲賀組=青山、根来組=市谷、二十五騎組=内藤新宿)にあった。鉄砲組は、大手三之門の守備が主な職務だったが、将軍が寛永寺、増上寺、日光東照宮へ参詣の際には、護衛も務めた。(画像奥が、現存する建物の一つ「百人番所」)】
出典: 大手三之門を抜けると左手に「百人番所」がありますが、その右手に「中之門」があります。
門跡ですので、かつての姿を見ることは出来ませんが、威風堂々たる、中之門石垣を間近で眺めることが出来ます。
特に素晴らしいのが隙間なく積まれた巨石。城最大級を誇るこの石は、一つ一つ丁寧に加工され“切込みはぎ”という技法によって、隙間なく積み上げられています。石は、瀬戸内海沿岸産の白い花崗岩で、西国の大名から献上されたものであると云われています。
現在、先の「同心番所」「百人番所」を含め、旧江戸城の番所は、三つ残っていますが、大手中之門内側の「大番所」は、残りの一つです。ここ「大番所」は、本丸へ入る前の最後の検問所に当たるため、より厳重であり、他の番所よりも格上の与力や同心によって警備されていました。
【画像の手前が「中の門跡」で、石と石の継ぎ目が横に一直線となるように積む“布積み”という石積がなされている。奥の建物が「大番所」。】
本丸エリアの遊歩道。野草の島・松の大廊下跡・バラ園・桜の島など
出典: 大番所をすぎると、旧江戸城・本丸の大芝生の西側には、花も緑も楽しめる遊歩道が天守台へ向かって伸びています。遊歩道の各所には、テーマに従って、野草や果樹、茶やバラ、桜や竹林など植えられています。大芝生で寝転ぶのも良いですが、植物好き、散策好きならぜひ歩いてみましょう。
【6月下旬の「富士見多聞」付近の遊歩道。この辺りは、苑内の紫陽花の名所となっている。“多聞”とは、長屋造りの防御施設で、かつて城内には数々の多聞があったが、現在あるのは、この「富士見多聞」と「伏見櫓」の左右にある多聞のみ。】
出典: 「富士見多聞櫓」と「本丸芝生園」の間に位置するのは、平成天皇陛下の御立案で整備された「バラ園」です。
【5月下旬の「バラ園」(手前)と「本丸芝生園」(奥)。画像のバラは、花の一部が欠けて見える様子が“十六夜の月”に似ていることから名付けられた「イザヨイバラ」】
出典: 『イザヨイバラ』や『カノコ』、『ハマナス』や「サクラバラ』等など多種類のバラが植えられていますが、大半のバラは、昭和天皇が吹上御所でお育てになられたものを移植したものです。
【バラの開花時期は、概ね5月からだが、見頃は種類によって異なる。『ハマナス』は5月上旬から下旬だが、『コウシンバラ』は、5月中旬から開花し、12月中旬まで花をつけている。画像は、5月中旬の「バラ園」に咲く『シロハマナス』】
出典: 天守閣は残っていなくても、やはり「天守台」は、当苑で訪れるべきスポットです。
【天守閣は、初代・家康、二代・秀忠、三代・家光が、それぞれ建立したが、家光建立の天守が消失した以降、再建されず、天守台のみ残っている。】
出典: 「天守台」で見逃せないのは、本丸ならではの格調高き“石垣”と、天守台から望む“広々とした眺め”です。
先に「中之門」に用いられている石について述べましたが、「天守台」には「中之門」よりも上質な御影石が使われ、石一つ一つの表面は、ノミで丁寧に化粧が施されています。全体に統一感があり、実に格調高く美しい石垣です。
出典: 「天守台」の前に広がるのが、本丸跡の「大芝生」です。
特に良いのが、初夏から初秋の頃。芝生も木々も青々として、夏の強い日差しの下では、気持ちの良い木陰も楽しめます。
【6月下旬の「天守台」からの眺め。丸の内のビル群を背景にして、眼前に本丸跡の「大芝生」が広がっている。】
出典: 本丸から、二の丸へ向かうルートは通常「汐見坂」を下りますが、早春の頃に訪れるのなら、紅白の梅が植えられている「梅林坂」を歩いてみましょう。例年12月下旬頃から早咲きの品種が咲き始め、2月中旬頃が見頃となります。
一方の「汐見坂」は、本丸から白鳥濠を右手にしながら二の丸へと向かう坂道で、家康が築城した頃は、海岸線が近くにあり、ここから海が臨めたため、“汐見”と名が付いています。【2月初旬の「梅林坂」】
出典: 江戸城ならではの重厚な雰囲気、雅な「二の丸庭園」も素晴らしいですが、ゆったりした自然散策が好みなら、この「二の丸雑木林」が「東御苑」のハイライト。心身をリフレッシュするのに最高の場所です。
【現在「二の丸雑木林」には、コナラやクヌギを主として、イロハモミジ、アカンデ、ヤマザクラ、ウツギ等などの紅葉が楽しめる樹種が多く植林されている。(6月中旬の「二の丸雑木林」)】
出典: ここは、かつての東京“武蔵野”の自然を再現するために造成された雑木林です。「東御苑」開苑当時は、芝生だった当地区は、昭和天皇のご発案によって昭和58年から、落葉樹や下草類が植えられてきました。現在は木々が育ち、都心部でも稀有な規模を誇る雑木林となり、四季を通じて、野草や野鳥など、様々な動植物を観察することが出来ます。
【この雑木林の土壌も、造成の際に武蔵野の雑木林から移したもの。土に混じり、様々な植物の種や根、昆虫や土壌生物なども一緒に運ばれたたため、エゴノキやクヌギ、コナラといった木々の他、下草や昆虫などを含めた武蔵野の雑木林が復元された。】
出典: 二の丸、三の丸には、かつて将軍世子や大御所の居する御殿があり、二の丸には、*小堀遠州が造園し、三代将軍・家光が改修したと伝わる庭園がありました。
【5月中旬の「二の丸庭園」内の「二の丸の池」。二の丸の池には、コウホネやヒツジグサ等の睡蓮も生育している。初夏から秋にかけてが開花し水面を彩る。
*小堀遠州は、安土桃山~江戸前期に活躍した人物。大名、茶人(遠州流の祖)、建築家、書家等など様々な顔をもち才能豊かだが、特に作庭家として名高く、仙洞御所や南禅寺の方丈庭園、青蓮院門跡などが現在でも残り、国指定名勝や特別名勝となっている。】
出典: 慶応3(1867)年に二の丸御殿が焼失した後は、荒廃の一途をたどりましたが、当園公開の昭和43(1968)年に、再び造園され、今に至っています。現在の庭園は、九代将軍・家重の頃に作成した庭園の図面を基にして復元された“池泉回遊式庭園”です。【しっとりとした風情も魅力な雨の日の「二の丸庭園」(5月末撮影)】
出典: 園内は、多種の木々、季節折々で見頃を迎える花々が植えられ、春夏秋冬、季節を問わず楽しめますが、特に素晴らしいのが、水辺を彩る『ハナショウブ』が咲き揃う頃。雅な風情、しっとりとした情景が楽しめます。【6月初旬の菖蒲田】
出典: 先に「平川門」について触れましたが、平川門前に架かる「平川橋」も、旧江戸城の風情を今に伝えるスポット。
ゆるやかなカーブを描いたこの橋は、江戸ならではのキリッとした印象もあり、実に魅力的です。地下鉄・竹橋駅を利用するのなら、ぜひ「平川橋」を渡ってみましょう。
【現在の「平川橋」は、昭和63年に改めて架けられたものだが、初代は、慶長9(1614)年と古い。その後、寛永12(1635)年に枡形櫓門(ますがたやぐらもん)と番所が造設されている。】
出典: 「皇居東御苑」は、広大です。散策好きでも、休憩や水分補給は適宜に取りましょう。特に、初夏から夏の頃は、日差し強く、熱中症に注意が必要です。
苑内には、三の丸尚蔵館傍の「大手休憩所」、白鳥濠の展望台近くの「本丸休憩所」、二の丸庭園の南端に位置する「二の丸休憩所」の三つの休憩所が設けられているので、積極的に利用しましょう。
【風情ある佇まいと、雑木林の眺めが素晴らしい「二の丸休憩所」内部】
出典: 「大手休憩所」は、売店が併設の休憩所です。皇居ならではの菊の御紋入の記念品や土産菓子も購入できるので、ぜひ立ち寄ってみましょう。
出典: 「大手休憩所」で人気が高いお土産は、種類豊富に揃った『牛革製財布』と、味も形もパッケージも好評な『菊最中』。
出典: “菊の御紋”型の最中は、しっとりとしたつぶ餡が中に入っています。サクサクした食感の皮生地との相性が絶妙で美味しいと評判です。
8.ランチも。カフェも。お土産も。皇居ならではのレストランで。
出典: せっかく皇居へ足を運ぶのなら、当地ならではの眺めも楽しめるレストランへ行ってみましょう。
皇居外苑の「和田倉噴水公園」は、平成天皇のご結婚を記念した大噴水を徳仁親王と雅子妃殿下の御結婚を機に再整備して出来た公園です。
園内にある「和田倉噴水公園レストラン」は、大噴水と皇居や周辺の緑、丸の内ならではの広々とした景観が楽しめる憩いの空間です。
【「東御苑」大手門から歩いて5分、東京駅まで徒歩7分で、アクセスも抜群の「和田倉噴水公園レストラン」】
出典: リサイタルや結婚式も行われる店内は、天井高く、広々。開口部が大きいため、開放感があり、眺めが良く、ゆったりと過ごせます。
ランチ、ティータイム、ディナーと時間帯によって提供されるメニューが変わりますが、人気は、多種多彩な料理やスウィーツが豊富に並ぶビュッフェランチです。
パレスホテルの直営で味が良く、値段もリーズナブルで最高と評判高いランチです。
【画像は『ランチビュッフェ』のローストビーフやキッシュ等など。(*ビュッフェランチは、平日:11-14時。土日祝:11-12時半・13-14時半の90分の2部制)】
出典: 皇居の正門「二重橋」や「皇居外苑」へも足を伸ばすのなら、楠木正成像傍にある「楠レストハウス」もお勧めです。
出典: 団体利用で満席の時もありますが、空席状況や混雑具合、お勧めのメニュー等が、公式ツイッターで呟かれますので、訪れる前にチェック出来ます。【個人利用でもゆったりと食事が頂ける。明るく広々とした店内】
出典: 一般客向けのメニューで人気なのが、お膳形式の“ランチメニュー 一汁三菜”。お膳形式のランチで、メイン料理の他、一汁三菜がセットになっています。【都内近県から仕入れている新鮮な有機野菜で作られている、ランチの“一汁三菜”(3種のお椀(温・冷・香の物)とごはん・自家製お味噌汁)。菊の御紋入の塗り箸は、持ち帰りOK。】
出典: 一汁三菜のメインは、日替わりの他、焼き魚や唐揚げ、旨煮等。人気は、『日替わり』と『八丈島産むろあじメンチカツ』、『八丈島産トビウオのフライ』等。財布に優しい庶民価格で、食材の質も高く“穴場”と評判です。
【画像は、『八丈島産むろあじメンチカツ』。一汁三菜の他、全てのランチメニューにドリンクバーが付いています。】
出典: レストハウス内には、皇居ならではの土産物や、東京土産をずらりと並べた土産物売り場も併設されています。
出典: 酒や調味料等。コーナーには様々に並んでいますがが、やはり人気なのは、、大手休憩所でも紹介した『菊最中』です。自身で食べても、誰かにお土産にしても、喜ばれるイチオシの和菓子です。
出典: 「北桔橋門」から出入りするのなら、北の丸公園、武道館すぐ傍らの「ザ・フォレスト 北の丸」もお勧め。
カジュアルで開放的な空間は、ナチュラルで居心地が良いと評判。店内では、種類豊富に揃う、ハンバーガーやサンドイッチ、パスタ等の軽食が、リーズナブルな価格で頂けます。
【揚げたてのフィッシュもパンもボリューム満点で美味しいと評判の『東京都八丈島産フィッシュサンド』】
カジュアルな施設でも、メニューは豊富です。HPメニューをチェックしてみましょう。
出典: 緑葉が透けて光り輝く新緑の頃も。
地面に木陰や葉陰を落とす夏の頃も。
黄色・橙色・赤色が溶け合う晩秋も。
落葉に地が覆われる冬木立の頃も。
【5月下旬の苑内「松の大廊下跡」付近の遊歩道】
出典: ここ「皇居東御苑」は、どの季節に訪れても、それぞれに味わい深く、伸び伸びとした心地良い一時過ごます。
桜の春を見送ってしまっても、ここではいつでも、貴方を癒やす無数の生命が光り輝いています。ぜひ「東御苑」を訪れて、心も身体もリセットして、貴方の日々をリフレッシュいたしましょう。
【苑内「富士見多聞」付近のアジサイ。天守台北側でも鑑賞出来る。見頃は、例年6月上旬から7月上旬。】
出典: 出典: 季節の花々の開花状況や花カレンダー等、花の情報が満載です。
出典: ■「皇居参観」は、休止日を除いて、毎日午前午後各1回ずつ行われています。事前申請受付と、当日受付とあります。
■「乾通り一般公開」は、例年、春と秋に、受付なしで一般公開されています。毎年日時が異なり、開催されない年もあります。参観、一般公開ともに、詳細を以下のページで確認した上で出掛けて下さい。
【画像は、『春季乾通り一般公開』時の皇居内乾通り(画像左は「門長屋)】
「京都御所」といえば、京都のかなめ。明治2年まで歴代天皇のすまわれていた所です。天皇陛下のおすまいだった「清涼殿」や「紫宸殿」を始めとする歴史ある建築や、外国の貴賓をお迎えする「京都迎賓館」などの他にも、お花見や紅葉狩りを楽しんだり、夏の送り火を見たりするのにもぴったりなロケーションで、季節によって、また目的によって幾通りもの楽しみ方ができます。一度は訪れてみたい「京都御所」の見どころのほか、御所付近のランチ・カフェや観光スポットなど、のんびり巡る「京都御所」散策をご案内します。
皇居巡りの次は、京都御所へ行こう。明治2年まで歴代天皇のすまわれていた京都屈指のパワースポットで、日本文化に触れながら、身も心も癒されてみませんか?
ここは、誰もが知っている通り、現天皇の御所や庭園、宮殿が点在する「皇居」です。