江戸文化が薫る、長野の小さな町「小布施」へ
執着ともいえる凄まじい情熱で、生涯一筋、画業に生きた江戸時代の絵師・葛飾北斎。
その北斎晩年の肉筆画を多く所蔵するのが、今回ご紹介する町「小布施」。
北斎の集大成を目にしようと、年中観光客が訪れる人気の旅行先です。

「小布施」は江戸時代、交通と経済の要所として栄えた町。遠方からの客人をおもてなしするような、大人の旅を充実させる魅力に満ちています。
歴史ロマンが薫る小布施を、ゆっくり旅してませんか。
《今回の旅プラン》町内周遊バス「おぶせロマン号」を利用しよう
そこで、「小布施駅」から、町内周遊バス「おぶせロマン号」に乗車する、気軽に楽しめる観光コースをご提案します。

今回の観光モデルコースはこちら
1. 小布施駅から歩いて「北斎館」へ
【信州小布施 北斎館】
そのあと、小布施の豪商・高井鴻山(たかい こうざん)に招かれたことで、北斎は83歳の頃、初めてこの小布施の地を訪れます。そして、4年間ほど滞在したとされています。
なんとこのとき、高井鴻山は37歳だったといわれており、年の差に驚きですね。ですが、2人は「旦那さん」「先生」と呼び合う、良好な関係を築けていたそうです。
高井鴻山の庇護(パトロン関係)があったからこそ、この小布施の地に、数々の北斎の作品が遺されることとなりました。鴻山の功績は大きいですね。
*ちなみに北斎の小布施滞在には、葛飾北斎の三女、お栄[画号:葛飾応為]も付き添っていたとされています。
北斎は90歳(諸説あります)で亡くなったとされており、小布施は北斎ファンにはたまらない、最晩年の肉筆画作品に出会える場所となっています。

そのような歴史的背景のもと、「北斎館」は昭和51年、町内に遺されている葛飾北斎作品の散逸を防ぎ、収蔵・公開するための美術館として開館しました。
「北斎館」では、葛飾北斎が小布施滞在中に描いた肉筆画を中心に、版本や錦絵、そして2台の祭り屋台(上町祭屋台・東町祭屋台)を常設展示しています。

約30回も改名し、主な号を5度も変えている北斎。
「北斎館」の展示では、北斎の生涯も辿れるようになっていますよ。

ここで、知る人ぞ知る情報を。来館アンケートを記入して、受付に持っていくと、北斎の絵葉書を2枚いただけます。何のポストカードかは、その都度のお楽しみですが、よいお土産になりますよね。
もちろんオリジナルグッズのショップも併設されていて、ポストカードはもちろん、手ぬぐいや文具なども豊富。ぜひチェックしてみてくださいね。
【栗の小径(こみち)】*北斎館と高井鴻山記念館を繋ぐ小道

ところどころに、丁寧に手入れされた花を楽しむこともできます。
ちなみにこの小径は、「北斎館」そばの周遊バス乗り場に行くにあたって通るルートでもあります。
【オープンガーデン】
2. 北斎館から、周遊バスで「岩松院」へ
【曹洞宗 梅洞山 岩松院(がんしょういん)】

本堂大間の天井にあるのは・・・北斎最晩年の大作「大鳳凰図」。21畳敷きの天井いっぱいに、大きな鳳凰が色鮮やかに描かれています。嘉永元年(1848年)、北斎が89歳の時の作品とされています。
大きさに圧倒されますが、さらに驚くポイントが。これまで小さな補修はあったものの、全面的な塗り直しが、一度もされていないのです。つまり、当時そのままの色を、今も目にできるということになります。色鮮やかで、きっと衝撃を覚えるはず。
そして、肝心な魅力がもう一つ。鳳凰の、鋭い目に注目すると・・・「どこからみても、目が合う」という不思議な感覚を覚えることでしょう。“八方睨みの鳳凰”ともいわれているんですよ。

ちなみに、岩松院の庭には、俳人・小林一茶が「やせ蛙 負けるな一茶 是にあり」という句を詠んだとされる、『蛙合戦の池』がありますよ。
岩松院の入り口あたりに投句箱があるので、帰り際、一茶のように俳句を詠んでみてもいいですね。
少し歩いて・・パワースポット「浄光寺」の参拝もおすすめ
3. 岩松院から、周遊バスで「北斎館」へ *目的は、高井鴻山記念館
【高井鴻山記念館】

北斎館周辺エリアに戻ったら、もう一箇所、北斎ゆかりの場所を訪れましょう。葛飾北斎を小布施に招いた、高井鴻山(たかいこうざん)の足跡を伝える記念館。もともとは鴻山の隠宅「ゆう然楼」として使用されていた建物です。
高井鴻山は栗菓子の老舗としてお馴染みの「小布施堂」、「桝一市村酒造場」を経営する、市村家12代当主となった方。それだけでなく、書家、画家、思想家、文人としても優れていた文化人。
展示されている鴻山の作品は、北斎に師事したというのも納得の、素晴らしいものばかり。
ユニークな妖怪画もありますよ。作品から鴻山の多才さを実感できて、見ごたえ十分。

この畳の上で北斎が作品づくりに没頭し、この縁側で北斎とお栄がのんびり庭を眺めていたのかな・・と考えると、また味わい深く感じられますね。
4. 北斎館周辺の、“栗”を味わえるお食事処・カフェで、ひとやすみ。
小布施には栗菓子の御三家「竹風堂」「小布施堂」「桜井甘精堂」が、本店を構えています。食べたいもの別に、おすすめのお店をご紹介していきます。
『竹風堂小布施本店』
『桜井甘精堂 泉石亭 本店』
『小布施堂本店』 *2018年分の「栗の点心 朱雀」は提供終了しました
『栗菓子の小布施堂 えんとつ』(小布施堂の「モンブラン朱雀」 専門店)
『桜井甘精堂 栗の木テラス 小布施店』
あたたかい季節なら・・周遊バスで「フローラルガーデンおぶせ」へ
【フローラルガーデンおぶせ】
帰る前に余裕があれば・・ほっと一息&おやつにおすすめのお店
コーヒーブレイクを楽しむなら、『マルテ珈琲焙煎所』
帰りに美味しい一口を♪『パンと焼菓子 ohana』、おやきの『信濃製菓』
5. 帰る前に、ぜひ。「お土産探し」におすすめのお店
“栗”のお土産を探すなら・・『小布施堂』『桜井甘精堂』『竹風堂』
お土産を配りやすいように、個包装のタイプからおすすめを取り上げます。
いろんなお土産を探すなら・・『小布施 きなり旬粋』
おわりに。~荷物が増える帰りは、周遊バスで駅までらくらく~

いかがでしたでしょうか。観光地に行くと、どうしても時間の都合で、食事をせかせかといただいてしまったり、途中で走ったり・・。心に余裕をもてないことも多いもの。小布施の観光では町内周遊バス「おぶせロマン号」を利用すれば、きっと心強い味方になってくれますよ。お土産を少し多めに買ってしまったとしても、駅まで周遊バスに乗っていけるのもうれしいところです。
一人旅でも、家族旅でも。気軽に小布施へ行ってみてはいかがでしょう♪
「おぶせロマン号」は、このチケットの画像のような、コロンとした愛らしいバス。地元の高齢者の方など、地域の足としても活躍しています。
「おぶせロマン号」のチケット代は、一日乗り放題で、300円。良心的な価格設定ですよね。チケットはいざとなったら、バスの運転手さんが販売のやりとりをしてくれます◎
ちなみに長野電鉄、長電バス共通の「ながでん2DAYフリ-切符」をお持ちの方は、その切符を提示すれば無料乗車できるそうですよ♪