出典: 内子(うちこ)町は、愛媛県の南西部にある町。松山市から40kmほど、JR松山駅から内子駅まで特急電車なら約25分で到着します。かつて木蝋(もくろう)の生産を中心に栄え、江戸後期から明治時代に財を成した商家が当時のまま軒を連ねる、風情あふれる町です。町のあちこちで出会うノスタルジックな風景は、そぞろ歩くうちにタイムスリップしたかのような気分にさせてくれます。
出典: JR内子駅から徒歩20分ほど歩くと、レトロな建物が並ぶ八日市・護国地区に着きます。このエリアの約600mの通りは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されていて、なまこ壁や漆喰彫刻、建物に施された装飾など、足を止めて眺めたくなる見所でいっぱいです。
街並みを眺めながら歩くだけでも楽しめますが、内子町ならではの歴史や文化に触れられる、おすすめの観光スポットをいくつかご紹介しましょう。
出典: 上芳我(かみはが)家は、国内最大級の製蠟業者だった豪商・本芳我家の分家でした。江戸時代末期に分家したその邸宅は、広い敷地に住居と蔵、木蝋の生産施設である窯場などの10棟が並ぶ豪壮なもの。重要文化財に指定されています。また当時の木蝋生産に使った道具などを展示した資料館も併設。
出典: 主屋の客座敷からは、絵画のような中庭の風景を眺めることができます。
出典: その中庭を回廊が囲み、母屋から仕舞部屋、離座敷などへと続きます。広い炊事場など、当時の生活をうかがい知ることができる主屋の様子は、隅々まで見ごたえがあります。
出典: 江戸時代からの和蝋燭づくりの手法を今も継承しているのが、「大森和蝋燭屋」です。この伝統を守り、作り続けているのは、愛媛県でもこの店だけ。なんとこの店の和蝋燭は、イギリスの大英博物館にも日本のお土産として保管されているのですよ。
出典: ハゼの実をつぶして作った木蝋を、素手ですくい、何層にも塗り重ね、一本一本手作りします。製造の様子を見学させてもらえるので、200年の伝統をその目で見てみてください。その技も、お店の風情ある佇まいも、一見の価値ありです。和蝋燭は、優しい炎でススが少なく、長く燃え続けるのが特徴です。お土産におすすめ。
出典: 内子座は、大正5年に大正天皇の即位を祝って建てられました。木造2階建ての純和風様式の本格的な芝居小屋で、こけら落としは人形浄瑠璃だったそう。
出典: その後も芝居だけでなく、映画館に改装されたりもした後、老朽化で取り壊しとなるところを地元住民が保存に乗り出し、昭和60年に芝居小屋として復元、今も内子町内外の芸術文化拠点として活躍しています。
出典: 様々な建築技術の粋を集めてできた内子座。注目点がたくさんあります。まず、舞台の床に薄く丸い円があるのがわかるでしょうか?「廻り舞台」と言って、舞台を回転させて場面転換を表現する、歌舞伎独特の装置です。客席は「升席(ますせき)」。お弁当やお酒などを持参して、舞台見物をするのが庶民の数少ない娯楽の一つだったそうです。客席の左にある廊下のような部分が「花道」です。
出典: 写真右端の舞台を見下ろす位置が、いわゆる2階席、「大向う(おおむこう)」です。低料金なのでこの席には何度も通う常連が多く、そんな通の人が感心する演技をすれば「大向うをうならせる」ことになるわけです。花道を歩いたり、舞台に立ったり、舞台や花道の下にある「奈落」も見学できるので、必見ですよ。小屋の中をじっくり見学してください。
歴史情緒たっぷりの町並みを飾るのは、観光施設ばかりではありません。文化財をそのまま使った料理屋さんや、築100年を超える古民家を使ったカフェ、レストランもたくさんあります。
出典: 「下芳我邸(しもはがてい)」は築140年の商家を改築した食事処です。地元で採れた野菜を使った料理や、国産そば粉で作ったそばが味わえます。
出典: 建物は登録有形文化財に指定されており、店内のどこも歴史を感じる重厚な佇まい。しっとりと静かな時間が流れるようです。2階はギャラリーとして使われています。
出典: 「野遊び弁当」は、盛り付けも楽しくなんだか懐かしい雰囲気。建物の雰囲気とともに、素朴な味わいを堪能しましょう。
古民家でドイツ料理「Zum schwarzen Keiler」
出典: 「Zum schwarzen Keiler(ツム・シュバルツェン・カイラー)」は、ドイツ人シェフが腕をふるうドイツの家庭料理の店。内子産の肉や野菜を使ったドイツ料理は地元の人にも大人気です。外観からは和食のイメージですが、その意外性がたまりません!
出典: 大きな一枚板のカウンターや高い天井、風情ある灯り、窓から見える格子など、古民家ならではの魅力ある空間です。
出典: 内子豚を使って作ったドイツソーセージは名物のひとつ。いろいろな種類のソーセージが食べられる盛り合わせも人気です。
出典: こちらも名物料理、「内子豚のシュニッツェル」。ドイツの家庭料理の定番で、カツレツのようなもの。お店オリジナルのパプリカソースがたっぷりかかっています。
出典: ランチは土日限定のみですが、名物のドイツソーセージかシュニッツェルが、ワンプレートランチでいただけます。
出典: 本場のドイツビールも様々な種類が!フルーティーなものやスパイシーなものまで幅広くあります。ドイツワインもたくさん揃っていますよ。もちろんソフトドリンクもいろいろあります。
出典: 「文化交流ヴィラ高橋邸」は、少し趣の異なる施設です。日本の麦酒業界の繁栄に貢献し、通産大臣として戦後の経済復興に貢献した高橋龍太郎翁を育てた屋敷がこの屋敷です。元アサヒビール株式会社会長でもあった龍太郎翁の長男が、郷土の内子町へ思いを寄せていたことから、その遺族によって高橋邸は町へ寄贈されました。母屋に喫茶コーナーが設けられ、お茶を飲んでのんびり休憩できます。また、離れは一日一組限定の宿泊施設になっています。
出典: 明るい光を取り込む大きな窓のそばに椅子が置かれた洋風のつくりですが、この手前は畳敷きの広い座敷になっています。
出典: お茶とお菓子を楽しんで、建物の様子や、アサヒビールから寄贈された展示品もゆっくりと見学してみてくださいね。
出典: 町並みを見下ろす丘にあるお宿「オーベルジュ内子」。風にそよぐ緑や鳥の声に包まれて、静かな時間と美味しい料理を満喫できる素敵な場所です。
出典: 部屋は全室離れのヴィラ形式。大きなガラス窓と地元名産の和紙をふんだんに取り入れたインテリアは、日の光が柔らかく入る優しい空間演出です。
出典: 出典: 食事は内子町の旬の食材を使った、オリジナルのフランス料理「ヌーベル・ウチコ・キュイジーヌ」。野菜や果物、内子豚、チーズ、卵、ジビエやワインまで、内子産食材の数々が揃います。さっぱりとした味付けで、素材の良さがダイレクトに伝わってきますよ。
出典: ダイニングルームは、昼間はガラス越しに、季節ごとの表情を見せる豊かな自然を眺めることができる、和モダンな雰囲気。
出典: 夜はランプと和蝋燭の灯りだけで、幽玄の世界となります。
日頃どれだけの音や光に囲まれて生活をしていたのだろうと、驚きを感じるほどの、まるで別空間へ来たかのような気分になります。
部屋にはテレビも時計もありません。喧騒から離れた静かな時間を、心ゆくまで味わってください。
出典: こちらは町並みから少し離れた車で20分弱ほどの場所、石畳地区。水車があったり、屋根付きの橋があったり、日本の農村の原風景のような懐かしさに溢れています。ここにある「石畳の宿」は、古民家を移築・改築してできたお宿です。
出典: 入り口はとっても風情があり、まるでおばあちゃんの家に遊びに来たよう。
出典: 柱や床板、建具など、すべてが歴史を感じさせる深い色に変わり、木造の日本家屋の良さがしみじみと感じられらます。食事は地元農家のおかあさんたちが用意してくれます。囲炉裏を囲んで、煮物や山菜の天ぷら、打ちたての蕎麦、水車小屋で精米したお米で炊いたご飯など、素朴でしみじみと美味しい料理の数々を味わえますよ。
出典: 囲炉裏では川魚を焼いてくれたりもします。こんな経験、滅多にできません!
出典: 宿に隣接して、毎週土日限定で、古民家カフェ「ひぬるわ」も営業しています。
出典: すだれがかかった縁側、向こうに見える山の緑。畳の上に思いっきり手足を伸ばして寝転びたくなりますね。
出典: 手作りスイーツやドリンク、丁寧に淹れたコーヒーなど、景色を眺めながらホッと一息つくにもぴったりな場所です。
内子 / 旅館・民宿
- 住所
- 喜多郡内子町石畳2877
- 営業時間
- ■ 営業時間
カフェ:毎週日曜日(11:00~16:00)
- 定休日
- 平均予算
データ提供: 慌ただしい日常からちょっと離れてゆったりしませんか?
出典: いかがでしたか?まるで時間がゆっくりと流れているかのような内子町。自分の表情や気持ちが、知らず知らずのうちに柔らかくなっていくのが感じられる不思議な場所です。ちょっと疲れたなと思うような時には、またぜひ、訪れてみてくださいね。
内子(うちこ)町は、愛媛県の南西部にある町。松山市から40kmほど、JR松山駅から内子駅まで特急電車なら約25分で到着します。かつて木蝋(もくろう)の生産を中心に栄え、江戸後期から明治時代に財を成した商家が当時のまま軒を連ねる、風情あふれる町です。町のあちこちで出会うノスタルジックな風景は、そぞろ歩くうちにタイムスリップしたかのような気分にさせてくれます。