日本百名山に選定されている乗鞍岳は、標高3026メートルの最高峰、剣ヶ峰をはじめとする山々の総称です。

乗鞍岳から臨む日の出の美しさは格別です。眼下いっぱいに広がる雲海から朝陽が顔をのぞかせ、空と雲が白んでゆく絶妙の色合いは、この世のものとは思えないほど神秘的です。

乗鞍岳で眺める夜空は、まるで天然のプラネタリウムのようです。夜空に輝く無数の星は、藍色のベルベットに宝石を散りばめたような美しさです。

乗鞍高原の一部で、標高約1600メートルの位置にある白樺峠は、「タカの渡り」を見ることができます。

春から夏にかけて子育てを終えたタカたちは、越冬のために9月頃から南国へ渡ってゆきます。頭上には、サシバやハチクマといった雄々しい猛禽類が上昇気流にのって高度を上げてゆく様子は迫力満点です。

広大な敷地を誇る乗鞍高原では、豊かな原生林が生い茂っています。色鮮やかな緑に包まれた森の中で、ハイキングを楽しんでみるのもおすすめです。

原生林の森を散策するとき、ときどき上を見てみましょう。森に差し込む木漏れ日が、樹々の美しさを引き立てています。

原生林の森では、様々な落葉樹が自生しています。秋になると、樹々が一斉に紅葉し、森の中を歩いていると色鮮やかなトンネルに入り込んだような気分を覚えます。

原生林の森を通り抜け、乗鞍岳山頂を目指す途中で神秘的な光景を目にすることができます。突如、高い樹木がなくなり、眼前に広がる植物や背の低い樹木と高山植物のみとなる様からは大自然の畏怖さえも感じ取ることができます。

乗鞍高原を代表する景勝地、一ノ瀬園地はよく整備された散策道があり、気軽にハイキングを楽しむことができる場所として人気があります。

大小様々な池が点在する一ノ瀬園地の中でも、牛止池は乗鞍岳を臨むビューポイントとして人気があります。池の周囲は静寂に包まれ、乗鞍岳を背景に、波ひとつない水面が周囲の森を映しだし、絵葉書のような素晴らしい景色を臨むことができます。

乗鞍高原内には、日本の滝百選にも選定されている三本滝があります。水脈が異なる落差50メートルほどの滝が3つ並んで流れ落ち、見事な渓谷美を作り出しています。

時間に余裕があれば、乗鞍高原から少し足を延ばし、白骨温泉に立ち寄ってみるのもおすすめです。乳白色の湯は、治癒効果が高く、その昔「白骨の湯に三日入ると三年は風邪をひかない」と言われていたそうです。