圧倒的なスペクタクル。いつまでも色褪せない金字塔的作品
インターステラー
2001年宇宙の旅
SFファンにとっては、金字塔的な名作「2001年宇宙の旅」。私たちは何者で、どこから来たのかという普遍的な人類の問いにある種の答えを導いてくれる。その真意は分からなくても、罠にはまったような感じがして、筆者は子どもの頃にこの映画を見たときに、なんとも言い難い怖さを感じたことを思い出します。今日でも決して古びず、むしろ新しい驚きを持って見られるのは、映像のスケール、音楽の美しさもあるでしょう。まずは、難しく考えるよりも、素直な感動に向き合って、見ていただきたい作品です。
未知の存在に触れる。スリリングな作品
惑星ソラリス
独特の映像センスと美しい世界観で魅了するタルコフスキー監督の1972年の名作「惑星ソラリス」。巨大な海に表面を覆われた惑星ソラリスの宇宙ステーションで起こる奇怪な出来事。まるでそれ自体が知的生命の塊のような惑星の途方もなく巨大な力に翻弄される登場人物たち。今見ているのは現実なのか、幻想なのか、鑑賞している私たちまで惑わされます。未来都市の光景として、当時の日本の首都高速がロケ地に使われているところもご注目を!
コンタクト
地球外生命探査プロジェクトに関わる研究者エリーが、ある日、惑星ヴェガから発信される信号を発見して...。科学や宗教を巻き込み、世界中に賛否を巻き起こしながら、彼女が最後に真実と信じ得たものとは?ジョディ・フォスターの知的で生き生きとした表情がなんとも魅力的です。未知に触れることは恐ろしいけれど、素晴らしい。人間至上であることの怖さも含め、深く考えさせられる名作です。
メッセージ
最近、「ブレードランナ−2049」でも注目された気鋭の映画監督、ドゥニ・ヴィルヌーブ。今回ご紹介するのは、地球外生命(異星人)との接触を描いた「メッセージ」。この映画が特殊なのは、異性人の方があるメッセージを携え、人間に接触してくること。そのメッセージの真意を知る時、主人公の個人的なもう1つの物語も重みを増していきます。何度か見返すほど、ストーリーの巧みさに驚かされる秀逸な作品。
絶体絶命!?宇宙飛行士の運命を描いた作品
オデッセイ
火星探査中の事故でクルーは撤収、1人取り残された主人公マーク。誰もが彼のことを諦めていたけれど...奇跡的に、火星でサバイブしていた!?飢えをしのぐため、野菜まで栽培しているのには驚きですが、これはNASAの技術を参考に演出されているのだとか。果たして無事地球に帰還することができるのか?ひたむきな生きる努力に心を打たれます。
ゼロ・グラビティ
スペースミッションに初めて参加した医療技師ライアン。宇宙空間で次々に起こる絶体絶命の危機に翻弄されながらも、一縷の望みをつなぎとめて...恐怖と孤独、希望と愛、様々な感情が織り交ぜになって、ドキドキ、ハラハラが止まらない。深夜、できる限り無音な環境で鑑賞してみてはいかがでしょうか?
月に囚われた男
月の裏側で、地球にエネルギー資源を供給するため、採掘作業に励む男、サム。企業から派遣され、たった1人の孤独な作業。楽しみは録画メッセージでの家族とのやりとり。ようやく任期が終わりに近づき、地球に帰るのを心待ちにしていた頃にアクシデントが。そして、思わぬ出来事に遭遇して...。本作は、デヴィット・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズ監督の長編デビュー作。シンプルな設定が一転、スリリングに展開していく様は目が離せません。登場人物とセットを最小限にした演出の効果で、一種の目眩のような錯覚すら感じさせる映画。SFミステリーの新境地と呼ぶべき野心的な作品です。
想像力を刺激する。仮想の世界を描いた作品
未来世紀ブラジル
徹底的な管理社会に置かれた20世紀のどこかの都市。情報記録局に務める主人公の小さなミス(タイプミス)で、無実の男が逮捕されて...。そこから展開していくストーリー。理想の女性を追う冒険の影で、謎のテロリスト。隠喩的なシーンやキャラクターに、既視感のような不思議な感覚を覚えます。主人公の置かれる状況の切なさを一層際立たせるのは、この映画の象徴的な音楽「ブラジル」の甘美なメロディー。テリー・ギリアム監督ならではの風刺が効いたSFファンタジー。ディストピア映画の中でも特におすすめしたい作品です。
ガタカ
適正者と不適正者。遺伝子で人生の行く末が決まってしまう近未来。不適正者のヴィンセントは、ある日ブローカーから適正者の生体IDを手に入れて...。戦う前から勝ち負けが決まっている世界で、果敢に上昇しようとする主人公。夢や希望が抑制されるほど、強く求めるのが人間なのだと気付かされます。イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ、名優たちの美しく切ない表情も必見です。
鬼才クリストファー・ノーラン監督によるSF超大作「インターステラー」。異常気象によって大地が荒廃し、人類存続が危ぶまれる近未来。ある偶然に導かれて、人類の新天地を探すため宇宙へ旅立つことになった元宇宙飛行士クーパー。鬼気迫る自然描写やワームホールは圧倒的なスケールで描かれ、ニュートン力学や相対性理論など難しい科学理論を用いた演出も見事です。序盤からいくつもの伏線が張り巡らされ展開していくストーリーは、この監督ならではの巧みさ。そして、その根底に流れる深い人類愛には胸を打たれずには入られません。SF界の真骨頂と呼びたくなる作品です。