ナガノチサトさんが描く、せつなく心を揺さぶられるイラスト
色は少なめなイラストは、見る人をいろんな感情にさせてくれる、そんな力を持っている気がします。
ナガノさんの HP のイラストに一言添えられた言葉がなんともシュール。考えさせられる言葉だったり、
イラストと言葉を合わせて見てクスッと笑わせてくれたり…。
そんなユーモア溢れるナガノチサトさんのイラストをご紹介します。
ナガノチサトさんについて
いろいろなお仕事のイラスト
様々なお仕事を手掛けられています。
GOOD DEAL × ナガノチサト
ナガノさんのシュールなイラストが描かれた「MUG CUP」。素敵な色合いの美濃焼きのマグカップに、スタメン待ちでサッカーボールを蹴る人と、toitoitoiと応援する人達が描かれています。ほっこりティータイムが楽しめそうです。
同じイラストが、Tシャツにもなっています。黒いTシャツに黄色い線画、グレーのTシャツに黒いイラストがぐっと映えます。
ナガノチサトさんのイラストがバックに大きくプリントされたTシャツ&ジャケット「Back Print Tee」と「Back Print Coach Jacket」。ストリート感溢れるマイペースに歩く人がかっこ良いです。
サカナクションとのコラボ
サカナクションのイベントやスペースシャワーTVの番組オープニングイラスト、配信カレンダーのイラストなどを描かれています。サカナクション、山口一郎さんのツイッターアイコンもナガノさんのイラストです。
雑誌「CREA」表紙イラスト&挿絵連載
雑誌「CREA」での挿絵連載や表紙イラストなどを描かれています。心の動きや言葉にならない気持ちを、絵で表現されています。
モノトーンで表現されたイラスト。暗闇のに光る星があたたかにきらめいて、抱き合う男女の心の温もりまで伝わるよう。
なんだか心揺さぶられる、イラストたち
そんな構図や余白の使い方に余韻を感じるイラストを見ていきましょう。
「縦横無尽に、感情」
微笑む表情の風船と、悲し気な表情の風船を両手に持つ女の人。にっこり笑いながらどっしりと立つ女の人の両手に揺れる風船が、何か言いたげでじっくり見入ってしまいます。
「もう躍ってしまえばいいじゃない」
踵を返して潔く踊る2人。白い男の人と真っ黒な女の人。正反対な2人からは、踊ることで全てを忘れてしまおう。今は踊って水に流そう。そんなことを考えているように感じます。色のコントラストや跳ね上がる髪からは、意思の強さを感じました。
「すくわれる」
スプーンにすくわれる4人の男女。“すくわれる”と“救われる”がかけられたイラストはとてもシンプルではありますが、イラスト内の白い余白使いや4人の表情から、様々なことを考えさせられます。
落とした鉛筆を拾おうとする人。コマ送りのように動きが変わって描かれているようで、なんともシュールな雰囲気です。
気だるそうにベッドから起き上がる女の人。やわらかな揺れるラインが、朝のぼんやりした気配を感じさせます。
波打ち際にたたずむ男女。静かに打ち寄せる波と、歩きながら話す男女に、想像を掻き立てられます。
色は多くは使いません
多くの色は使っていないのに、見る人の記憶に残る色使いが魅力的です。
「ここにあるということ」
大きなケーキのろうそくを消そうとしている女の子。なんだかどこか寂しげです。ケーキ=お祝い事という考えに結びつかないこちらのイラストを見ていると、とても不思議な感覚に。
揺れるケーキとろうそくの火だけが、印象的に色が使われています。
「踏み出せるか」
タキシード姿の男の人に、何やら耳打ちをする女の人。二人の間からスッと伸びたラインに、躊躇する気持ちが表れているよう。
ぎゅっと抱き合う男女。丸い円が二人だけの世界を作り出しています。線画と、ベージュで塗られた丸い円のコントラストが素敵です。
カフェのテーブルから席を立つ女の人。女の人が手にしたお札と、違う方を見つめる男の人。不安定に揺れる輪のラインが、微妙な関係を物語るよう。
寝転んでおもちゃの飛行機を手にする人。丸く描かれたラインが、空想の世界に入り込んだ心を映し出しているよう。
添えられた言葉はなんともシュール
シンプルでシュールな言葉からも、様々なことを考えさせられます。
「その好奇心、希望」
双眼鏡をかまえる2人。ぐっと近づいて、凛とのぞく姿に、何が見えているんだろうと想像を掻き立てられます。
「何のために、ひたすらに」
プール?海へ?川へ?飛び込む3人。一心不乱にひたすらに泳ぐ姿。自分のためでもあり誰かのためでもあるのか。どんなことだとしても、ひたすらに進もうとする姿は心を動かされます。
「誰とも目が合ってないんだよ」
人ごみの中、電車の中、周りにたくさん人がいるのに「誰とも目が合ってないんだよ」。誰もがきっと感じたことのある違和感。
風を切って走る男の人の背中に、ぎゅっとつかまる女の人。男の人の険しい表情と、女の人の不安げな表情から、それぞれの想いを想像させられます。
日常を書いたブログやSNSの言葉も素敵
ブログ
インスタグラム
「聞き返さないで」
「これはたぶん、昨日の今日」
ツイッター
2017年11月には個展「生活の線」が開かれます
2017年11月3日から、約2年ぶりに「B-gallery」にて個展「生活の線」が開催されるそうです。
Life line=生活の線、という勘違いから生まれたタイトルだそう。
空想の中に逃げ込むクセ
学生時代によく時間を持て余し、有り余るエネルギーを持て余し
そんな日々に突然襲われる 切なさ
それから早10数年
あの頃と違うのは、日々は目には見えないかもしれない程度のグラデーションのように
1日たりとも同じことはないのだと知りました
完璧な日なんてないのだと知りました
苦しいくらいに満腹になっても明日はまた腹が減る
そんな繰り返しが愛おしい
桜で春を知り、陽にジリジリ照らされる夏、独特な秋の匂い、冬の夕焼けの切なさ
そんな日々はトクベツで、私にあなたにとってトクベツであればいいんだと
そう思いました
大声で話せる人間ではないけれど、小さな声で大きく伝えたい
ぜひ多くの方に見に来ていただきたいです
初めての作品集も発売されるそうですよ。
タイトル : 生活の線 著者 / 発行 : ナガノチサト
デザイン : 小熊千佳子
ナガノチサト 展覧会『生活の線』
「誰かの日記やエッセイを読むことが好きだ。美術館へ行くと大きな有名な絵画よりも、ドローイングに こころ惹かれる。どこか未完成で不安定だけれど、とても正直で、まっすぐどこかへつながっている言葉や線は、生活のようだと思った。 私は、すぐそこにある泣いたり喜んだりする儚い日々を『生活の線』として描き続けた。」ー ナガノチサト
期間 : 2017 年 11 月 3 日 ( 祝・金 )〜26 日 ( 日 ) 11:00~20:00 ( 会期中無休 )
場所 : 〒160-0022
東京都新宿区新宿3-32-6
ビームス ジャパン 5階
Bギャラリー
tel 03 5368 7309
【ライブイベントのお知らせ】
ナガノチサトによるドローイングと世武裕子の音楽による初のライブセッション !
日時 / 会場 : 2017 年 11 月 4 日 ( 土 ) 17:00~18:30 / B ギャラリー ( ビームス ジャパン5F)
予約定員制 : 先着 40 名様 ※ご予約は B ギャラリーまで
ゲスト : 世武裕子 ( 音楽家 )
ナガノチサトさんのイラストの魅力にひたってみてくださいね
いろんな思いに向き合うきっかけになったり、くすっと笑わせてくれる素敵ユーモアを感じることのできる作品が、他にもたくさんあります。ぜひ注目してみてくださいね。
2008年よりフリーランスで活動を開始されたイラストレーター、ナガノチサトさん。
鉛筆と製図用インクで描かれ、それにパソコンで着色した絵は、言葉で表せない心の微妙な揺れが表現されたような、どこかせつなさが伝わる、余白のあるものが線で描かれています。