網中いづるさんのイラストの魅力をひもとこう!
書籍の装画や挿絵、絵本のお仕事のほか、雑誌、企業広告やパッケージ、ディスプレイなどのお仕事で幅広く活躍されています。
AfternoonTeaやワコールなどのブランド広告やフリーペーパー、グッズで網中さんの絵を見かけたことがある方も多いかもしれません。こちらは、Afternoon Tea ティールームで期間限定でプレゼントされたブックカバーです。おとぎ話のワンシーンのような世界観にうっとり♪ずっと大切に持っていたくなりますね。
プロフィール
網中いづる izuru aminaka
1968年生まれ。アパレル会社勤務を経て2002年にイラストレーターとして独立。エディトリアルの仕事を中心に、ファッションブランドへのデザイン提供など幅広く活動する。1999年ペーター賞、2003年TIS公募プロ部門大賞、2007年講談社出版文化賞さしえ賞受賞。装画に「完訳クラシック 赤毛のアン」シリーズ(講談社文庫)、新装版「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズ(角川書店)、絵本 「ふくはなにからできてるの?」(佐藤哲也・文/福音館書店)、「アンデルセン童話 赤いくつ」(角田光代・文/フェリシモ出版)、「あたしときどきおひめさま」(石津ちひろ・文/BL出版)他多数。
アパレルショップで勤務していたころ、社内のスタッフから絵の才能を見出され、お店のポストカードや印刷物などを描いてみないかと誘われたことがきっかけでデビューに至った網中さん。そんな彼女が描く人物たちは、皆とてもおしゃれでスタイリッシュです。
こちらは幸田真音さんの小説『RUNWAY』の表紙イラストです。ファッションショーの舞台裏でしょうか。ひとりひとりの表情や仕草、立ち方などの動きがリアルに描かれ、こちらにまで彼女たちの話し声が聞こえてきそうです。
好きな服を着てメイクをして、気心が知れた友人同士で「似合う、似合わない」を言い合ったり…こんな華やかなシチュエーションに、女性なら一度は憧れますよね。
網中さんの絵に登場する人物たちは、皆ファッショナブルでありながら自分の人生をしっかり生きている、魅力的な女性たちばかり。女性の憧れを形にしながらも、可愛らしさだけでなく複雑な内面までちゃんと描いているから、見ていると親近感が湧き、心地よくなれるのかもしれません。
愛犬のあんずさん
こちらは個展「calm day」のキービジュアルにも使用された絵です。描かれているのは愛犬のあんずさん。
網中さんの作品には、犬や猫、鳥など多くの動物が多く登場しますが、あんずさんが家にきてから犬好きになったのだそう。毎日SNSで写真をアップするほど、あんずさんが大好きです♪
あんずさん、飼い主さんのイラストを発見!?
こちらは『Numero TOKYO』の1カット。女性誌の挿絵も手がけられています。
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
様々な本の装丁画のお仕事をご紹介
代表作、林真理子さん作『野ばら』の装画
林真理子さんの『野ばら』は、若く美しい女性2人が恋愛や友情に悩みながらも成長していく姿が描かれた作品です。
網中さんの描く乙女的な装画が、作品世界と絶妙にマッチ。読者から多くの反響を呼び、注目の的に―。
こちらは、文庫版の装丁画です。ちょっと物憂げそうな2人の少女が可愛らしくて印象的です。周りを取り巻くグリーンも見ていてとても心地いいですね。
エッセイスト酒井順子さん作品の装画から
様々な小説家の装丁画を描く網中いづるさんですが、エッセイスト酒井順子さんの週刊現代の人気連載をまとめた『その人、独身?』シリーズは10年以上続いている代表作です。まるで本そのものがグッズのように可愛らしい世界観になるよう、いつもキレイな色彩を意識して描いているそうですよ。
1枚で小説全体の印象を伝えるのが装画ですが、ばらばらに描いたモチーフが素材になって、ひとつの装画になることも。ペンやマーカー、水彩で描かれたリボンやドットなど、何十枚もの絵が組み合わさってこの世界観が生まれたのだそう。
セーラー服に紙ふうせん、田園風景と河童etc... 一見なんの接点もなさそうな組み合わせも、こうして一緒になるとしっくり溶け込むから不思議。古き良き日本のノスタルジーを感じる絵なのに、やっぱりとってもおしゃれです。
『女も、不況?』というドキッとしてしまうタイトルですが、赤いワンピースにリボンをつけた骸骨、キラキラの宝石箱など、可愛らしさだけではないちょっと毒のあるストーリー性を感じる絵です。
絵本『ふくはなにからできてるの?ーせんいのはなしー』 佐藤 哲也
毎日着ている服は一体何からできてるの?そんな素朴な疑問に答える1冊です。色々な材料から、細くて長いふわふわした「せんい」を取り出し、紡いで織って縫って...一着の服が生まれるストーリーを繊維にまでさかのぼってご紹介しています。アパレル会社での勤務経験もある網中さんが描く可愛らしい絵が作品世界とぴったり合っていて、子どもも大人もきっと乙女心がくすぐられることでしょう。
その他たくさんの装画からいくつかをピックアップ
フェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」シリーズ11巻『赤いくつ』(角田光代・文)から。赤い靴に身も心も奪われてしまった女の子の悲しい物語。美しさの中に潜む闇もしっかり描かれていてぞくっとします。
林真理子さんの恋愛短編集『失恋カレンダー』の文庫表紙絵。1月から12月までのちょっとほろ苦い失恋をテーマにしています。心がゆれる瞬間を切り取ったような、繊細さを感じる装画です。
朝倉かすみさん作『てらさふ』の文庫表紙絵。少女同士のはかなくも強い絆で結ばれた友情を描くのが、ピカイチにうまいです。
石津ひろさん作『あたし ときどき おひめさま』から。「お姫様になりたい」そんな淡い憧れを表現したロマンチックな装画に酔いしれて。生まれながらにして女の子は、みーんなお姫様なんですから。
『婦人之友』の表紙絵や挿絵
2017年1月号から『婦人之友』の表紙も担当されています。
明るい色合いと柔らかいタッチが雑誌の世界観にマッチしていますね。
目次でも、網中さんのイラストが楽しめます。
冬の凍えるような朝、ピリリと引き締まる冷たい空気はもちろん、新しい朝の心地よさやワクワクを運んできてくれそうですね。
網中さんの最新の活動情報♪
別府の共同温泉に壁アート!?
男湯には、別府湾や別府タワーが明るく伸びやかなタッチで描かれています。女湯には、ご近所の桜並木と猫ちゃんが。曖昧なかたちと鮮やかな色から自由に想像して、温泉や町の思い出をみなさんに語り合ってほしいという思いから、あまりリアルには描かなかったのだそう。
脱衣所にも網中さんの絵が。実際に訪れて探してみたくなりますね♪
網中さんデザインのマグカップが当たる!?
原画をじっくり堪能しよう!
網中さんはギャラリーで個展を開催されたり、企画展にも参加されています。
こちらは、2016年9月に代官山ギャラリースピークフォーで開催された、網中いづる展 「ストロール」の様子です。
原画はもっと素敵です。近くでじっくり鑑賞されたい方は、ぜひ展覧会へ!
いかがでしたか?
網中さんの展覧会のお知らせなどの活動情報は公式サイトからチェックできます。
また、フリッカーやタンブラー、インスタグラムも公開しているので、もっと作品を見たいという方は、ぜひ覗いてみてくださいね。
イラストレーターの網中いづるさんをご存知ですか?
伸びやかで大胆かつ繊細な甘いタッチで、風景や少女、童話の世界などのイラストを描き、大人の女性から人気を集める注目のアーティストです。