Prolog / 幻想的な世界の時空を旅する画家
マニュエル・リュバロのプロフィール
21世紀フランス画壇を代表する画家、マニュエル・リュバロ。1958年、パリ郊外の街で生まれ育ちました。マチエール(質感)を大切にするリュバロはフランスはもちろん、各国に多くの愛好家を持ち、日本にも2011年に来日しています。一瞬の動きの軌跡を描くブーケ、そしてベニスやプロバンスの幻想的な風景に独特の美しさを感じます。2017年は、札幌三越にて「リュバロとフランス絵画展」が3月28日~4月3日まで開催予定ですよ。リュバロの作品を実際に見れる貴重な機会です!
オフィスでペンを走らせるリュバロ。ブーケの線画が描かれた原稿に手を入れている様子です。
カメラに向かって、少しはにかむリュバロの様子に、誠実でひたむきな人柄を感じますね!合気道の有段者でもあるリュバロは、日本の禅や武道の精神性を理解した親日家でもあります。
来日展でのエピソード
有名なギャラリー「ギャルリー・ドゥ パヴェ」での個展ポスター。走るような動きのあるタッチで描かれたブーケ。その背景に輝く光と影のコンストラストに神々しさを感じますね!
2003年、「ギャルリー・ル キャードル ノワール」での個展ポスターです。糸杉を囲む幻想的な風景はリュバロ独自の世界です。このような格調の高い老舗ギャラリー、そしてサロンなどでリュバロの作品は高い評価を受けています。
マニュエル・リュバロの作品ギャラリー
ベニス
「ベニスのセントジョルジュ」・・・4漕のゴンドラが少し寂しげに停泊しています。リュバロが描くゴンドラには人の気配がなく、風景の中の重要なモチーフとして効果的に配置されています。
「ベニスの日没」・・・太陽が沈む直前の光の集まる水面と共に大きく揺らぐ3層のゴンドラ。強いインパクトを与えていますね!静から動へ時間から時間へ飛び越したような不思議な風景です。
「中世のベニス」・・・あたりを霧が立ち込め、静かに進むゴンドラ。馬に乗った騎士が橋の上に現れそうです。どんなストーリーが描かれているのでしょうか?見る者の想像力をふくらませてくれます。
「ゴンドラ」・・・・強い風に波立ちランタンもゴンドラも揺れています。慌ただしく飛び交う鳥たち。静寂から喧騒へ時間が風のように走り去っていきます。
「リアルト橋」・・・ベニスを象徴する橋、白く堂々と存在感のあるリアルト橋を描きながら、どんな物語を描き込んだのでしょう。
「ベニスの運河」・・・リュバロが描くイメージの世界。ここは、まさにリュバロの夢の国。
ブーケ
「黄色い花びら」・・・シェイプされた黄色い花と花器。その右下にはデザイン的なリュバロのサインによってバランスが保たれています。難しい構図ながら、素晴らしいプロポーションですね!
「風の中のブーケ」・・・丸くてぷっくりとした花の輪郭。可憐なブーケは、風車のように羽がぐるぐると回り出しそうです!
「優しいブーケ」・・・背景、左下のオレンジ色の色彩が陽だまりのような暖かさを与えていますね。リュバロの、特徴あるマチエール。その独特の質感と大胆で勢いのある色彩の乗せ方、重ね方が見事ですね!
「ヴァレンタインのブーケ」・・・青と黄色のコントラストが美しいブーケです。グレーの背景に与えた緑の色彩がブーケに溶け込み、冷たさを消しています。
「ブーケ 」・・・黄色を基調としたブーケの背景に黒く影を重ね、黄色いブーケが柔らかく浮き立つことで優しさと暖かさを表現していますね。
「赤い輝き」・・・強い主張のある赤でまとめられたブーケには、情熱と力強さを感じます。元気が湧いてきそうです!
「白いブーケ」・・・白い色が与える静寂とクールなイメージ。可愛らしいオレンジの花がポイントとなり、清楚でとても美しいブーケです。
「デリケートなブーケ」・・・すくっと立つ姿は、素直で、でもどこか危なげな、繊細で美しい女性を見ているかのようです。
「ブーケserie5」・・・まるで、鳥の羽のように軽やかな花びら。蝶の羽のようにも見えます。
「放射するブーケ」・・・花器に生けられたブーケは、タイトルのごとく、生命の輝きとパワーを放射線状にみなぎらせているようですね!
糸杉
「プロヴァンスの山麓」・・・野に咲く赤と黄色の花と糸杉、そして白い壁の家。そこに続く小径に咲く野の花。リュバロが好んで描く作品スタイルです。
「花咲くプロバンス」・・・リュバロの魅力の一つである、インパクトのある大胆な構図の取り方と勢いある色彩とのタッチ。
「山麓の小道」・・・一見、無彩色に見える風景の中に赤と青の色彩がひときわ美しさを添えていますね!
「葡萄畑とヴィラ」・・・現実にはないイメージの世界。ここには人の気配をあまり感じさせませんが、上に伸びる勢いある4本の糸杉。その力強い生命力を感じさせる作品ですね!
「鐘楼とブーケ」・・・こちらもリュバロのイメージを描いた風景。教会のカリヨンが遠くに見える美しい村の景色ですね!
「糸杉」・・・荒涼とした風景の中に立つ2本の糸杉が力強く描かれています。
「引き潮」・・・風の音だけを感じる静かな風景です。まるで遠くに蜃気楼を見ているかのような不思議な錯覚にとらわれますね!
プロバンス
「プロバンス」・・・思い切った構図と強い色彩表現がとても大胆ですね!ここにも白壁に黄色の屋根の村が見えます。私には、この家そのものが人に見えるのです。自分の思うままに描く画家、対して私たちは絵を見て自由に想像力を膨らまします。その両者があるから面白いのです。
ゴンドラと糸杉のモチーフをハッピーのシンボルに!
Epilog / 現実と幻想の狭間を独創的なタッチで描き切るスタイル
街の中のお洒落なギャラリー。さりげなく掛けられたリュバロの絵が素敵ですね!リュバロの描くブーケを見ていると、その花の描き方が、もう既に美しいフラワーアレンジメントを見ているようで、うっとりしてしまいます。プロバンスやベニスの風景も花も、その全てが、まるで精密な美術工芸品を組み立てるようにスタイリッシュなのです。繊細な職人気質と大胆な芸術家気質を合わせ持った画家リュバロは、正確な絵画を組み立てていきます。私にはそんな風に感じられました。あなたは、何を感じましたか?
マニュエル・リュバロが描く「プロバンスの村」。白い壁に小さな窓と黄色の屋根。不思議な集落を取り囲む丘と糸杉と草花。絵の中に動と静を見事に調和させるリュバロの美しい幻想の世界をご紹介しましょう!