出典: 二十四節気という言葉。聞いたことがあるけれど、意識して生活をしたことがある人は少ないのではないでしょうか。二十四節気は、1年を24の節目に分けた区切りの日。その区切りを意識するだけで、1年の季節の移り変わりを驚くほど意識できるようになります。今回はそんな、二十四節気についてご紹介します。
出典: そもそも二十四節気とは、どういうものなのでしょうか。明治時代初期まで、日本では現在のグレゴリオ暦ではなく、太陽の周期を使った太陽暦が利用されていました。二十四節気はそんな太陽の黄道を二十四分割して、その分割点に名前をつけ、季節を表したものです。
出典: 二十四節気の最初の節気で、暦の上ではこの日から立夏の前日までが春になります。まだまだ寒い季節ですが、この日の後に強く吹いた風が春一番となり、次第に雪が解けて春がやってきます。
九州地方からは梅のたよりが届きはじめ、日差しが少しずつ暖かくなっていきます。立春の前日である2月3日には節分があり、新しい年を迎える前に邪気を払い、新年の無病息災を願って「豆まき=魔滅」をします。
出典: 雪が次第に雨へと変わる頃。ちょうど旧正月頃がこの季節です。春一番が吹いたり、南の方ではうぐいすが鳴き始めるのもこの季節。体感的にも、ようやく春が感じられるようになります。
出典: 地面に日の光が届くようになり、冬眠をしていた虫たちが温かな土の中から出て来る季節です。雷を伴った雨が降るようになり、その雷が虫たちを目覚めさせるように鳴ることから「虫だしの雷」と呼ばれます。雨が降る程に気温が上がり、柳やフキノトウが芽吹き始めます。冬の間はしめていた北窓を開き、春を呼び込みましょう。
出典: 昼と夜の長さがちょうど半分ずつになる日。この日は太陽が真東から出て真西に沈むことから、先祖が極楽浄土に行ける日として、前後7日間に先祖を供養する春の彼岸会を行います。彼岸会には邪気を祓うと言われる朱色の小豆を使ったぼた餅を供え、家族で食します。温かい日が続いていたのに、寒さが戻る寒の戻り・花冷えがあり、体調を崩しやすくなります。
出典: 清明は「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」の略で、すべてのものが穢れなく清らかで生き生きとしているということ。花が咲き乱れ、鳥の声が響き渡り、柔らかな風が吹き、空が青く澄み渡ります。夜はぼんやりと霞みがかかり、月が滲むことから、「朧月夜(おぼろづきよ)」と言われます。
出典: 春が次第に終わりゆく、晩春の季節です。農作を始める季節でもあり、この頃に畑に種をまくと柔らかな春雨(はるさめ)が大地を潤し、作物が良く育ちます。5月2日頃には立春から八十八夜を迎え、茶葉の産地ではその年の初めてのお茶を作るための茶摘みが行われます。
出典: 爽やかな晴れの日が続く頃になり、過ごしやすい気候となる季節。暦の上ではこの日から立秋の前日までが夏になります。各地では1年間の豊作を願い、田植え神事などの祭りが多く開催されます。端午の節句となる5月5日には、魔除けのちまきや子孫繁栄を願った柏餅を食べ、菖蒲湯につかり、夏を乗り切る準備をします。
出典: 陽気がよくなり、草木が生い茂る季節です。秋にまいた麦の穂が黄金色に実ることから、麦秋(ばくしゅう)とも呼ばれています。この頃の梅雨入り前に降る雨を走り梅雨といい、梅雨が近づく合図ともなっています。
出典: 「芒」はイネ科の植物の穂先にあるとげのような毛の部分で、田植えの目安となる季節であることを表します。五月雨が降り続き、南から次第に梅雨入りの報が届くようになります。
出典: 1年の中で最も昼が長く、太陽が一番高く昇る日です。ただし、日本ではまだ梅雨の時期で、日照時間はそれほど多くありません。紫陽花や花菖蒲など、雨に生える花が見ごろを迎えます。ちょうど一年の折り返し地点となり、6月30日には氷に見立てた水無月(みなづき)という和菓子を食べ、残り半年の無病息災を願います。
出典: 梅雨明けが近づき、次第に暑さが増していく季節です。蓮の花が咲き、夏の本格的な到来を告げる蝉の声が聞こえ始めます。この小暑から大暑までの約1か月のことを暑中といい、この間に暑中伺いを行います。
出典: 本格的な夏を迎え、1年で最も暑い時期が始まります。空には入道雲が広がり、梅雨明けには衣類や本などを風に当てて湿気を取る虫干しを行います。うどんやうめぼしなど「う」がつくものが夏バテを防止すると言われており、江戸時代からは立秋前の18日間を表す「土用」の丑の日に鰻を食べて夏を乗り切る習慣があります。
出典: 暑い日は続いていますが、暦の上ではこの日から立冬の前日までが秋になります。一年で最も暑い時期ということは、この頃を境に次第に寒くなっていくということ。時候の挨拶も暑中から残暑となります。空には夏の雲のさらに上に、秋のいわし雲が広がるようになります。8月15日頃には先祖の霊を慰める盂蘭盆会(うらぼんえ)が行われ、各地で送り火や精霊流しが行われます。
出典: 暑さが次第に和らぎ始める頃で、朝晩は涼しく初秋の気配が感じられます。秋桜や萩など秋の花も咲きはじめ、野分(のわき)と呼ばれる台風が近づいてきます。
出典: 次第に秋が深まり、草木に白い露がつきはじめる季節です。空が高くなり、朝晩はやや肌寒さを感じるようになります。実りの秋が近づきますが、同時に本格的な台風シーズンを迎えます。9月9日には重陽(ちょうよう)の節句として、菊の花を飾ったり花びらを浮かべた酒を飲んだりして、長寿を願います。
出典: 昼と夜の長さがほぼ同じになる日で、この日から昼よりも夜が長くなります。この日の前後7日間が秋の彼岸となり、春の彼岸と同じく魔除けとなる朱色の小豆を使った「おはぎ」を供えます。両者は実は同じもの。小豆をそれぞれその季節に咲く「牡丹」と「萩」の花に見立てて、季節によって呼び方を変えています。
出典: 秋の長雨が終わり、草木に本格的な露が降り始めます。稲刈りも終盤を迎え、農作物の最盛期を迎える頃です。各地では秋の祭りが多く開催され、北から順に紅葉の便りが届き始めます。
出典: 晩秋の季節となり、早朝には霜が降り始めます。朝晩の冷え込みが強くなり、山では紅葉する木々が多くみられるようになります。
出典: 木枯らしが吹き、日の光が次第に弱くなっていきます。暦の上ではこの日から立春の前日までが冬になります。木枯らしが吹き、山々から初冠雪(はつかんせつ)の便りが届きます。火事が多くなる季節でもあるため、各地の寺社では鎮火祭が行われます。11月最初の亥の日(いのこ)に火を入れると火事を防げると言われており、この日に炉開きを行って本格的な冬支度を開始します。また、多産の猪を模した亥の子餅を食べ、子孫繁栄や無病息災を願います。
出典: 日差しがますます弱くなり、各地で初雪が観測されます。冬枯れの木立が増え、本格的な冬の到来を予感させます。
出典: 雪が本格的に積もりはじめ、朝晩には氷が張る季節です。山はすっかり雪をかぶり、平地には霜柱が立ち始めます。動物は冬ごもりをはじめ、人々も師走を迎えて何かと慌ただしい季節となります。
出典: 一年の中で、最も夜が長い日です。陰陽思想では太陽が最も弱くなることから陰の力が最も強くなる日とされており、この日に夏=陽の季節に収穫したかぼちゃを食べて陽の気を補ったり、柚子湯につかって禊を行ったりして、邪気を祓います。また、翌日からは次第に日の力が強まることから、古くはこの日を1年の始まりとし、運気向上の起点と考えられてきました。
出典: 池の氷が厚みを増し、寒さがますます厳しくなる季節です。この日から節分までを「寒」と呼ぶため、別名「寒の入り」とも呼ばれます。1月10日頃には茶道の初釜(はつがま)が行われ、新春を祝う花びら餅がふるまわれます。新年に挨拶ができなかった人には、小寒から大寒までの約1か月間に、寒中伺いの挨拶を行います。
出典: 二十四節気の最後となる季節で、1年の中で最も寒くなります。この時期に作り始めたものは腐りにくいとされ、味噌や醤油、酒などを仕込む時期にもあたります。鶏卵の量が一定ではなかった時代には、寒さのために餌を豊富に食べた鶏が栄養価の高い卵を産む時期となっていました。そのことから、大寒に産まれた卵は金の卵と呼ばれ、無病息災・金運上昇のご利益があると言われています。
移ろいゆく季節の目安となる、二十四節気。少し意識するだけで、春の小さな芽吹きや夏のあたたかな風、秋の木々の色づきや冬の冷たい空気など、小さな季節の変化を一足先に感じることができます。季節を感じながら、毎日の暮らしを少しだけていねいなものにしてみてくださいね。
二十四節気の最初の節気で、暦の上ではこの日から立夏の前日までが春になります。まだまだ寒い季節ですが、この日の後に強く吹いた風が春一番となり、次第に雪が解けて春がやってきます。
九州地方からは梅のたよりが届きはじめ、日差しが少しずつ暖かくなっていきます。立春の前日である2月3日には節分があり、新しい年を迎える前に邪気を払い、新年の無病息災を願って「豆まき=魔滅」をします。