北欧ガラスのことどれくらい知ってる?
私たちの生活とガラスの関係性は切り離せないほど濃く深いものだということをご存知でしたか?最近では、家電やスマートホン端末などの素材としても欠かせない素材となっています。そのなかでも、天然ガラスの歴史は、なんと石器時代にまで溯り、当時は包丁のような道具として使われていたのだそう。そして8世紀頃になると世界中でさまざまなガラスの製造法が開発されます。
北欧のガラス産業の歴史
北欧には13世紀ごろガラス製造の技術が入ってきました。当時のガラスは、教会のステンドグラスに使われるためのものだったそうで、産業としては生活用品にガラス製品が普及し始めた19世紀頃に発展したそうです。ガラスの溶鉱炉は24時間、昼夜を問わず稼働していたので、当時は豊富な木材が燃料として必須でした。北欧各国では、材料や環境の整った地域に工房が建ち並びました。
出典:pixabay.com
1800年代にはガラスデザインの基盤ができ、フィンランドのiittala(イッタラ)やスウェーデンのKosta Boda(コスタ・ボダ社)とOrrefors(オレフォス)、デンマークのHolmegaard(ホルムガード)など、各国それぞれに知名度の高いブランドが育ちました。特にスウェーデン南東部にあたるスモーランド地方には世界有数のガラスメーカーが集まり、「ガラスの王国」とも呼ばれているほど。そんな北欧のガラスメーカーの中には見学可能な工房もありますので、そのいくつかを紹介します。
北欧ガラスの二大工房"kosta Boda"と”Iittala”を訪ねてみよう
スウェーデンの老舗ガラス工房「Kosta Boda(コスタ・ボダ社)」
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スウェーデンの老舗ガラスメーカーのコスタ・ボダ社は、ヨーロッパで現存する最古のガラスメーカーです。1742年にコスタ社が誕生し、その後コスタ社の職人が独立して工房ボダを立ち上げましたが、再び合併してコスタ・ボダ社となっています。
そのコスタ・ボダ社があるのがスモーランド地方。広大な森林地帯が広がり、湖と川にも恵まれたこの地域は、燃料だけでなくカットグラスの装飾に欠かせない水も豊富で、ガラス産業に必要な条件が揃った理想の土地でした。19世紀後半には90以上の工房があったそうです。現在は10数社にまとまりましたが、変わらずスウェーデンのガラス産業を支える地域となっています。
そのコスタ・ボダ社があるのがスモーランド地方。広大な森林地帯が広がり、湖と川にも恵まれたこの地域は、燃料だけでなくカットグラスの装飾に欠かせない水も豊富で、ガラス産業に必要な条件が揃った理想の土地でした。19世紀後半には90以上の工房があったそうです。現在は10数社にまとまりましたが、変わらずスウェーデンのガラス産業を支える地域となっています。
コスタグラスセンターは、スモーランド地方のちょうど真ん中辺りにあり、工房だけでなく、博物館やホテルも併設した複合施設です。
アート・ギャラリーでは年代ごとの製品が展示されているだけではなく、職人とデザイナーのコラボレーションによるアート作品も陳列されていて、日用品だけでないコスタ・ボダ社の魅力を楽しむことができます。また、アート・ホテルでは、お部屋ごとにデザイナー作品が内装を彩り、特別な空間を楽しむことができます。
そして、もう一つのお楽しみは「ヒットシル(Hyttsill)」と呼ばれる夕食。ヒット(小屋)シル(ニシン)とは、かつて溶鉱炉の余熱を利用した焼き物とお酒を楽しんだガラス職人さんの風習で、現在は観光客向けに企画され、伝統の音楽とともに食事を楽しむことができます。開催日はインフォメーション・センターにお問い合わせくださいね。
アート・ギャラリーでは年代ごとの製品が展示されているだけではなく、職人とデザイナーのコラボレーションによるアート作品も陳列されていて、日用品だけでないコスタ・ボダ社の魅力を楽しむことができます。また、アート・ホテルでは、お部屋ごとにデザイナー作品が内装を彩り、特別な空間を楽しむことができます。
そして、もう一つのお楽しみは「ヒットシル(Hyttsill)」と呼ばれる夕食。ヒット(小屋)シル(ニシン)とは、かつて溶鉱炉の余熱を利用した焼き物とお酒を楽しんだガラス職人さんの風習で、現在は観光客向けに企画され、伝統の音楽とともに食事を楽しむことができます。開催日はインフォメーション・センターにお問い合わせくださいね。
実にガラス職人さんが製品を作る様子が見学できる工房。時には伝統の吹きガラスの製造も見せてくださるので、タイミングよく見学できると嬉しいですね。近くで見ると職人さんの想いが熱とともに伝わってくるようです。
フィンランドを代表するブランド「Iittala(イッタラ)」
日本でも人気のガラスブランド、イッタラ。1851年にフィンランド南部のイッタラ村にスウェーデンのガラス職人が立ち上げました。「自然を愛し自然と共に共存する」という精神のもと、鉛を使用しない高品質な製品作りで知られています。この地域も木材に恵まれ、イッタラの歩んできた道は、まさにフィンランドガラス産業の歴史といえるでしょう。
イッタラの魅力の一つはアルヴァ・アアルトやカイ・フランクをはじめとした多くのデザイナー作品。芸術的な作品が比較的入手しやすい価格で提供されていて、フィンランド人にとって欠かせないアイテムとして長く親しまれています。
イッタラの魅力の一つはアルヴァ・アアルトやカイ・フランクをはじめとした多くのデザイナー作品。芸術的な作品が比較的入手しやすい価格で提供されていて、フィンランド人にとって欠かせないアイテムとして長く親しまれています。
イッタラ・ガラス・センターは創業の地にあり、広大な敷地には工場、博物館、アウトレットショップに加え、クラフトショップやチョコレート、はちみつ専門店などもある巨大施設です。
歴史博物館では歴代の作品や代表製品アアルト・ベースの木型も展示され、イッタラの歴史や精神に触れることができます。
また、カフェレストランではイッタラのテーブルウエアで食事を楽しむこともできるので、実際に使い勝手の良さを体験するよい機会となるかと思います。
歴史博物館では歴代の作品や代表製品アアルト・ベースの木型も展示され、イッタラの歴史や精神に触れることができます。
また、カフェレストランではイッタラのテーブルウエアで食事を楽しむこともできるので、実際に使い勝手の良さを体験するよい機会となるかと思います。
*著者撮影
製造の様子は工場の2階から見学することができます。
かなり熱気があるので、さぞかし現場は熱いのだろうと思ってしまいますが、聞いてみたところ見学スペースに熱気が上昇しているものの1階の現場はそれほど熱くないのだとか。女性の職人さんも在籍しており、手際よくガラスを形作る佇まいが素敵です。
かなり熱気があるので、さぞかし現場は熱いのだろうと思ってしまいますが、聞いてみたところ見学スペースに熱気が上昇しているものの1階の現場はそれほど熱くないのだとか。女性の職人さんも在籍しており、手際よくガラスを形作る佇まいが素敵です。
*著者撮影
イッタラの素晴らしさは、鉛を使わずして透明度の高いガラス製品を提供しているところ。環境に配慮したイッタラの精神は、世界中のファンを魅了し続けています。
かつ、デザインも水紋や雫がモチーフとなったシリーズを皮切りに、自然に寄り添うものも多く、それでいて高い実用性を保持しているので、一度使ってみると手放せなくなる製品ばかりです。
まさにその最前線にあるガラス工場。機会があればぜひお立ち寄りください。
かつ、デザインも水紋や雫がモチーフとなったシリーズを皮切りに、自然に寄り添うものも多く、それでいて高い実用性を保持しているので、一度使ってみると手放せなくなる製品ばかりです。
まさにその最前線にあるガラス工場。機会があればぜひお立ち寄りください。
数々の素敵な北欧ガラスアイテムをご紹介
さて、食卓やお部屋にガラス製品をさりげなく活用したい季節、夏がやってきました。
数年前にストックホルムに旅行した際、某雑貨店の老齢の店主が、「うちの孫はコスタ・ボダ社のタンブラーにアイスクリームを入れて食べるのが好きなんだ。タンブラーは厚手で丈夫だし、アイスクリームの美味しさも引き立ててくれる」と話してくれたことが。タンブラーは、飲み物を入れるものと決めずに自由な発想で愛用する北欧らしい生活を垣間見た気がしました。ぜひ色んなアイデアで北欧ガラスを楽しんでくださいね。
数年前にストックホルムに旅行した際、某雑貨店の老齢の店主が、「うちの孫はコスタ・ボダ社のタンブラーにアイスクリームを入れて食べるのが好きなんだ。タンブラーは厚手で丈夫だし、アイスクリームの美味しさも引き立ててくれる」と話してくれたことが。タンブラーは、飲み物を入れるものと決めずに自由な発想で愛用する北欧らしい生活を垣間見た気がしました。ぜひ色んなアイデアで北欧ガラスを楽しんでくださいね。
「Frutter(フルッタ)」by Iittala (イッタラ)
イッタラの中でも希少価値の高いと言われるのが「フルッタ」。60年代にフィンランドの企業が別注し、一度だけ生産された作品でしたが、現在は復刻した商品を入手することができます。もちろん無鉛ガラス。
その美しさはなんといっても注ぎ込んだ飲み物から浮かび上がる透明な可愛らしい果物たち。
製品には個体差がありますが、それは一つ一つ職人さんの手で作られた証でもあるのです。
その美しさはなんといっても注ぎ込んだ飲み物から浮かび上がる透明な可愛らしい果物たち。
製品には個体差がありますが、それは一つ一つ職人さんの手で作られた証でもあるのです。
出典:www.instagram.com(@scope_japan)
デザイナーはフィンランドをを代表するガラスアーティストのオイバ・トイッカ。これまでに数々のデザイン賞を受賞し北欧ガラスの第一人者でしたが、残念ながらこの4月に87歳でこの世を去り、世界中にいるファンがショックを受けました。
イッタラではバード(鳥)の作品を数多く発表し、またカステルヘルミ・シリーズやフローラシリーズなどの人気シリーズを輩出しています。そして優しいフォルムと可愛らしいデザインのフルッタは、彼の残してくれた名作の一つです。
イッタラではバード(鳥)の作品を数多く発表し、またカステルヘルミ・シリーズやフローラシリーズなどの人気シリーズを輩出しています。そして優しいフォルムと可愛らしいデザインのフルッタは、彼の残してくれた名作の一つです。
「Flora(フローラ)」 by Holmegaard (ホルムガード)
デンマーク王室御用達のホルムガード。そのシンプルで気取らないデザインから、日本でも人気上昇中です。ホルムガードの代表格といえばフラワーベースのフローラ。どんな植物にも合わせやすいのが特徴で、一つ持っていると大変重宝する逸品です。
ホルムガードは優雅な曲線が美しいのも魅力。「URANIA(ウラニア)」というスマートフォン用のガラス製スピーカーなども発表するユニークなメーカーなので、いろいろ探してみてくださいね。
ホルムガードは優雅な曲線が美しいのも魅力。「URANIA(ウラニア)」というスマートフォン用のガラス製スピーカーなども発表するユニークなメーカーなので、いろいろ探してみてくださいね。
「Bruk.(ブルック)」by KOSTA BODA (コスタ・ボダ)
コスタ・ボダ社の定番、「Bruk.」はスウェーデン語で「使う」という意味。
日常使いの器なのに、フォルムはどこまでもエレガント。色使い厳選されていて、お料理を引き立ててくれます。シンプルでありながらモダンなシリーズなので、飽きることなく長く使えるテーブルウェアです。
日常使いの器なのに、フォルムはどこまでもエレガント。色使い厳選されていて、お料理を引き立ててくれます。シンプルでありながらモダンなシリーズなので、飽きることなく長く使えるテーブルウェアです。
「POND(ポンド)」by Orrefors (オレフォス)
オレフォスはスウェーデンを代表するガラスブランドです。
1726年にスモーランド地方で創業した当時は鉄工所でしたが、1898年にガラスの生産を開始しました。特にクリスタルガラスの分野でその名を広め世界中で愛されています。
ポンドシリーズはインゲヤード・ローマンのデザイン。オレフォスの工房周辺にある池から連想した曲線が美しく、その模様は一つ一つ丁寧に描かれたものです。
なにより素敵なのが、サイズ違いで重ねた時に波紋のように見えるところ。いろいろなアイテムを集めて柄を楽しみたいシリーズです。
1726年にスモーランド地方で創業した当時は鉄工所でしたが、1898年にガラスの生産を開始しました。特にクリスタルガラスの分野でその名を広め世界中で愛されています。
ポンドシリーズはインゲヤード・ローマンのデザイン。オレフォスの工房周辺にある池から連想した曲線が美しく、その模様は一つ一つ丁寧に描かれたものです。
なにより素敵なのが、サイズ違いで重ねた時に波紋のように見えるところ。いろいろなアイテムを集めて柄を楽しみたいシリーズです。
透明感のある北欧ガラスで、ハイセンスで爽やかな夏の暮らしを!
冷んやりメニューが美味しい夏はガラスのテーブルウェアが欠かせませんよね。
北欧ガラスは色違いやサイズ違い、そしてシリーズ違いで一つ一つ集めるファンも多く、お部屋のコーディネイトが楽しくなる製品ばかりです。丈夫だし気取らない雰囲気だけれど、色や形がとっても素敵な北欧ガラス。この夏は、ぜひ北欧ガラスをお部屋に取り入れて、爽やかな夏をお過ごしくださいね。
北欧ガラスは色違いやサイズ違い、そしてシリーズ違いで一つ一つ集めるファンも多く、お部屋のコーディネイトが楽しくなる製品ばかりです。丈夫だし気取らない雰囲気だけれど、色や形がとっても素敵な北欧ガラス。この夏は、ぜひ北欧ガラスをお部屋に取り入れて、爽やかな夏をお過ごしくださいね。
画像のご提供ありがとうございました!
*著者撮影