インタビュー
vol.73 orSlow・仲津一郎さん -目指すは「年代物」。
デニムへの情熱から生まれるものづくのカバー画像

vol.73 orSlow・仲津一郎さん -目指すは「年代物」。
デニムへの情熱から生まれるものづくり

写真:三東サイ

「orSlow(オアスロウ)」は、19~20世紀に誕生したワーク&ミリタリーウェアを背景にアイテムを展開するファッションブランド。中でもブランドの顔ともいえるのがジーンズやジャケットなどのデニムアイテム。ヴィンテージの味わいある表情はそのままに、現代の日常着として解釈されたアイテムたちは、古着に親しみがなかった人たちからジーンズ愛好家も虜にするほど。orSlowの根底にあるものづくりの思いとは――ヴィンテージジーンズへの並ならぬ情熱とこだわりをもった、代表・仲津一郎さんにお話を伺った。

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2017年11月17日作成
vol.73 orSlow・仲津一郎さん -目指すは「年代物」。
デニムへの情熱から生まれるものづくり
「ヴィンテージ」は、元来ラテン語で「ぶどうの収穫」を意味する言葉。

またワイン界において、醸造された年月や良質なぶどうが収穫された年の製品を指すことから、近代では、古いだけではなく「特定の年に作られた価値のあるもの」として車や楽器、家具、古着などに対して幅広い定義で使用されるようになった。長い年月を掛けて熟成された独特の風合いや、もの言わぬ者たちが体で語るその年代のストーリーは、私たちの心の奥底を掴んでやまない。「orSlow(オアスロウ)」の代表兼デザイナーを務める仲津一郎さんも、そんな「ヴィンテージ」に魅了されたうちの1人だ。

はじまりは1本のオーバーオール

代表の仲津一郎さん

代表の仲津一郎さん

orSlowは「ニューベーシック」をコンセプトとし、素材や風合いにこだわったワーク&ミリタリーウェアを展開するファッションブランド。そのメーカーである有限会社ベースデニムプロダクツでは、仲津さんを含めた9名のチームで企画・パターン制作をすべて自社内のアトリエでおこなっている。
定番アイテムの「STANDARD DENIM 105」(左)と「IVY FIT DENIM 107」(右)。ファイブポケットのアイテムにはすべてに品番がついている。107は裾に向かって細くなる美しいシルエットが特徴で、女性にも人気のアイテム。「リピーターの方が『いつもの105』といえるように、品番訴求に力を入れています」と仲津さん(画像提供:orSlow)

定番アイテムの「STANDARD DENIM 105」(左)と「IVY FIT DENIM 107」(右)。ファイブポケットのアイテムにはすべてに品番がついている。107は裾に向かって細くなる美しいシルエットが特徴で、女性にも人気のアイテム。「リピーターの方が『いつもの105』といえるように、品番訴求に力を入れています」と仲津さん(画像提供:orSlow)

特に、ブランドの顔ともいえるデニムアイテムには、徹底したこだわりとジーンズへの愛が表れている。自身も超が付くほどのマニアで、これまでに収集したヴィンテージウェアはひと部屋分(!)にもなるという仲津さん。本来、ジーンズは作業するためのものであり、丈夫なゆえに生地が硬く、着心地を重視して作られたものではない。orSlowが目指すのは、「私生活で着て苦痛にならず、長く愛着を持って着られるワークウェア」。ヴィンテージ品が醸し出すオーラはそのままに、現代のファッションに幅広く取りいれられるアイテムは、様々な年代の生地や洋服に触れてきた仲津さんだからこそ産み出せるもの。

約6年前にはユニセックスアイテムの展開もスタートした。デニムの知識がない人にもヴィンテージジーンズの独特の風合いを感覚でわかってもらいたいと、インディゴの色目、織り方までにこだわっている。「飽きの来ない日常着」を意識して作られるorSlowのアイテムは、様々なコーディネートを楽しみたい女性にも受け入れられた。サイズ展開の豊富さや絶妙なシルエットで、今まで古着に親しみがなかった人でも取り入れやすいと評判だ。
男女問わず人気の「60'S DENIM JK」。今季は「BLACK」をテーマに掲げ、定番のインディゴの印象を一新。大人のためのワークウェアが揃う

男女問わず人気の「60'S DENIM JK」。今季は「BLACK」をテーマに掲げ、定番のインディゴの印象を一新。大人のためのワークウェアが揃う

着心地にも徹底的にこだわる。こちらは「吊り編み機」という昔の機械を使って編まれたスウェット。空気を含みながら時間をかけて編んでいくため、柔らかい手触りとなる。縫製には縫い目の凹凸が少ない「フラットシーマー」というミシンを使用

着心地にも徹底的にこだわる。こちらは「吊り編み機」という昔の機械を使って編まれたスウェット。空気を含みながら時間をかけて編んでいくため、柔らかい手触りとなる。縫製には縫い目の凹凸が少ない「フラットシーマー」というミシンを使用

今季の新作「Hunting Vest」(写真左)と「Quilted No Collar Coat」(写真右)

今季の新作「Hunting Vest」(写真左)と「Quilted No Collar Coat」(写真右)

仲津さんが最初にジーンズに興味を持ったのは、なんと6歳のとき。母親に買ってもらったデニムオーバーオールとの出合いがきっかけだったという。

「その当時は、今みたいに着古したような加工がされていないデニムが主流だったので、そういう服ってすごく珍しいなあと思ったのが最初でしたね。デニムって洗濯と着用を繰り返して色落ちしていく素材じゃないですか。しかも、経年変化で色落ちしていくことによってさらに愛着が沸いてくる。素材そのものにすごく興味を持ったんです」
アトリエにはデニムやジーンズに関わるたくさんの資料が

アトリエにはデニムやジーンズに関わるたくさんの資料が

6歳とは思えない感性の鋭さに驚かされる。父親が海外の文化に興味を持っていたこともあり、無意識に影響を受けていたのかもしれないと語る。特に影響を受けたのは、幼いころに観た数々のアメリカ映画だった。『E.T.』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『スタンド・バイ・ミー』……。映画に登場する子どもたちが着ている服や乗り物に、ただただ「かっこいい!」と目を輝かせた。そんな少年のひたむきな憧れが、すべてのスタートとなった。

ヴィンテージデニムとの出合い

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小学生のときは町の商店街で売られているジーンズを購入していた仲津さんだったが、6歳のときに着ていたあのオーバーオールのような風合いのジーンズとは巡り合えずにいた。中学にあがると、ジーンズに対する熱はさらに加速。大阪出身の仲津さんは、当時多くの古着屋が集まっていたアメリカ村へ友人と共に自転車を走らせた。そこで仲津さんは初めて、アメリカ製ヴィンテージジーンズの存在を知ることになる。ジーンズの本場であるアメリカ古着に触れ、ますますジーンズにのめり込むようになった仲津さんだったが、ある疑問がわいた。
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「古着屋で買ったアメリカ製ジーンズが、友だちのと僕ので、若干色が違っていたんですよ。友だちのは、僕が幼少時代に着ていたオーバーオールと同じような色で、僕のは全体的にのっぺりした色落ちだったんです。何が違うんかずっと謎だったんですけど、高校時代のバイト先で先輩が着ていたデニムが、友だちのジーンズとまさに同じ色だったんです。なぜ色が違うのか聞くと、先輩や友だちが着ていたのは1950~60年代のヴィンテージデニムだった。そして僕のは、80年代のものだったんですね。そこで初めて、昔のデニムは色落ちの仕方が少し違うことに気付いて、すべての謎が解けたんです」

「昔のデニムは、濃淡の差がハッキリ出たり、色の落ち方が全然違うんですよね。うちで作っているものも、その時代の風合いを再現して作っているんですよ」

そういって、ヴィンテージデニムの魅力を語ってくれた仲津さん。製造方法の進化により、近年ではムラのない「きれい」なデニムに仕上げることが可能になった。反対に、昔は技術が発展途上だったため意図的ではないムラができ、筋状に色が落ちる“縦落ち”など独特の味となる。
アメリカ製の「SINGER」ミシン

アメリカ製の「SINGER」ミシン

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デニムへの情熱から生まれるものづくり
デニムにはその年代の紡績機や織機でしか出せない素材感もある。orSlowのアトリエにも、ブランド立ち上げ前から仲津さんがこつこつと集めた全20台・16種類のミシンが並ぶ。中には、現在は製造されていない古いアメリカのミシンもあり、それぞれに必要不可欠な役割があるという。少年時代に憧れたヴィンテージジーンズの輝きは、今でも仲津さんの中にくっきりと残っている。だからこそ細部までこだわることに余念がなく、ジーンズファンも虜にするorSlowの、生きたプロダクトが生まれるのだ。
写真は「ユニオンスペシャル」という小さなアメリカ製ミシン。裾上げのステッチなど、ヴィンテージの細かいディテールを出すのに欠かせないミシンだが、今は製造されていない貴重なもの(画像提供:orSlow)

写真は「ユニオンスペシャル」という小さなアメリカ製ミシン。裾上げのステッチなど、ヴィンテージの細かいディテールを出すのに欠かせないミシンだが、今は製造されていない貴重なもの(画像提供:orSlow)

特に裾の処理はジーンズでとても重要なポイントのひとつ。写真は「ユニオンスペシャル」で裾上げしたジーンズ。裏側を見ると鎖のような縫い目ができているのがわかる。これを「チェーンステッチ」といい、洗うことで「パッカリング」という縮みや捻れが生じ、履き込んでいくうちに生地にも独特の表情が生まれる

特に裾の処理はジーンズでとても重要なポイントのひとつ。写真は「ユニオンスペシャル」で裾上げしたジーンズ。裏側を見ると鎖のような縫い目ができているのがわかる。これを「チェーンステッチ」といい、洗うことで「パッカリング」という縮みや捻れが生じ、履き込んでいくうちに生地にも独特の表情が生まれる

アメリカでの決意、国産メーカーへの就職

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デニムへの情熱から生まれるものづくり
本場のジーンズに触れて芽生えた気持ち
高校卒業間近、仲津さんは進路に迷っていた。頭に浮かんだのはアパレル関係、もしくは美容師という2つの道。結果として答えは出せないままだったが、はっきりしているのは「ジーンズが好き」ということだった。――本場のヴィンテージデニムをこの目で見たい。いつしかそう思うようになった仲津さんは、卒業と同時にアメリカへ飛んだ。現地の古着屋へ足を運ぶようになると、そこは仲津さんにとって夢のような場所だった。日本では手に入らないようなヴィンテージジーンズが普通に売られている。自分の求めていたものがここにはある。最初のうちこそホームシックになったが、すぐに「ここにずっといたい」と思うほど、古着屋巡りに夢中になった。しかし、収集を続けるうちに仲津さんの中である気持ちが芽生え始める。
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デニムへの情熱から生まれるものづくり
「ジーンズを集めているうちに、自分で作れるようになりたいなと思うようになったんです。収集するだけでなく、自分で縫製してジーンズを作れたら、こんなにスペシャルなことはないなと思って。そのとき帰国を決意しました」

約1年半の渡米を終えて帰国した仲津さんは、アルバイトをしながら服飾の専門学校に通った。しかし、学校ではデニムを作るためのミシンはおろか、作り方を知る人も存在していなかった。縮率を計算したパターン、加工や専用ミシンの知識など、服飾の中でも特に専門性が高いジーンズ製造。知識が得られる専門学校は全国でも限られていた。
orSlowが取引しているのも、ほとんどが児島地域にある工場(画像提供:orSlow)

orSlowが取引しているのも、ほとんどが児島地域にある工場(画像提供:orSlow)

国産ジーンズ発祥の地へ
専門学校を卒業後、仲津さんは本格的にジーンズ作りを学ぶため、岡山県・児島地域にある国産デニムメーカーに就職する。古くから繊維産業が栄えていた児島は国産ジーンズ発祥の地。デニムやジーンズに精通した工場も多く、デニムを深く知るには絶好の場所。さらに就職先のメーカーは、仲津さんのファースト・ジーンズである、あのオーバーオールを作った会社だった。しかし、仲津さんが就職した90年代はアジアを始めとする海外での大量生産が始まり、歴史ある児島でもジーンズの生産量が減少傾向にあった。
(画像提供:orSlow)

(画像提供:orSlow)

(画像提供:orSlow)

(画像提供:orSlow)

「やっぱり、自分が幼少時代に履いていたオーバーオールへの思い入れと、産地である児島への興味が強かったんです。あとは国内メーカーの勢いが弱まっていることを知って、昔あんなに良いものを作っていたのにもったいないなあという気持ちがあって。自分が入社することで何か変えられれば、という思いから就職しました」

メーカーでの約5年間は、仲津さんにとって感動の連続だった。

「当時はとにかくジーンズを作りたいっていう気持ちがすごかったんですよね。専門学生時代、大阪のミシン屋さんに作り方を聞きに行ったこともあったのですが、ジーンズを縫ったりしないので、詳しいことはなにも掘れなかったんです。インターネットもないから、独学でジーンズを分解してみたり、頭の中で想像するしかなかった。だから、就職先の研修で実際の工場を見学したときは感動しましたね。社内にはデニムを作るうえで必要なすべての工業用ミシンが揃っていますし。自分は企画として入社したんですけど、携わった製品が実際にラインになって生産されているところを見たときや、サンプル室でパートさんに縫い方を教えてもらったことは今でも大切な思い出です」

ひとつひとつの壁を乗り越えて

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デニムへの情熱から生まれるものづくり
メーカー退職後は岡山で独立し、3年間OEM中心の企画生産をおこなっていた仲津さん。しかし、売り上げにも波があり、同じようなことをしている会社は同県内にも少なくない。仲津さんにとってそれは「スペシャルなこと」ではなかった。長年の夢を叶えるべく、地元大阪に戻り、2004年、orSlowの前身となるブランド「slowdenim」を立ち上げた。

ブランドは今年で創立12年。当初は持ち込み営業や展示会に参加するも、思うように製品が売れずしばらくは苦しい時期が続いたという。仲津さんは広く営業することをやめ、自分の好きだったショップに絞って持ち込みを続けた。ジーンズを愛した仲津さんが作る「本物」に、同じ感性をもったブランドや、古着に目が肥えたバイヤーたちが共感してくれた。
毎シーズン、約50型ほどのサンプルが作られる

毎シーズン、約50型ほどのサンプルが作られる

ブランド設立から3年がたったころ、仲津さんは海外への合同展示会にも積極的に参加した。

「ハンドキャリーでサンプルを持ち込んで展示していました。当時は円安だったので、製品の価格もすごく高くなっちゃったんですよね。ジーンズ1本350ドルとか(笑)。物は気に入ってもらえても値段で拒否されたりとか。今は少し購入してもらいやすい値段になってきているので、流れは変わって来たんですけど。ロットの関係で縫製工場もなかなかみつからなかったり、いろんな壁があったんです。国内でも海外でも、ひとつひとつ壁をつぶして、それを2008年頃からずーっとやり続けまして。スタッフも増えて環境も整ってきて、やっと今、自分が本当に作りたいと思うものを形にしやすくなってきました」
アトリエ前で、「orSlow」スタッフの皆さんと

アトリエ前で、「orSlow」スタッフの皆さんと

(画像提供:orSlow)

(画像提供:orSlow)

今では海外でも、orSlowのクオリティの高さは評判になっている。ジーンズの歴史と同じように、小さな挑戦をこつこつと積み重ねてきた仲津さん。ときには地味で、誰も気付かないような努力もあっただろう。しかし見る人が見ればわかる光るものがある。そんなブランドの歩みは、質実剛健なorSlowのジーンズによく表れている。

「吟味しながら、オリジナリティのあるものづくりを」

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デニムへの情熱から生まれるものづくり
「originalityのある服を吟味しもの創りする。
めまぐるしい速さで流れていくファッションの世界で、ゆっくりと進みながら自分らしさを見つめ直していく」
orSlowのブランド名には、こんな意味が込められている。ブランドを立ち上げた2000年代は、ファストファッションの登場によりアパレル業界が変革の中にあった。仲津さんはブランド名の由来についてこう話す。
ブランドロゴは、立ち上げ当時に仲津さんがマウスで描いたもの。ネームのデザインも、すべて仲津さんがイラストレーターで作成しているのだそう

ブランドロゴは、立ち上げ当時に仲津さんがマウスで描いたもの。ネームのデザインも、すべて仲津さんがイラストレーターで作成しているのだそう

「ちょうどそのときに感じていたことで。昔と違って、世の中にはいろんな服が溢れているじゃないですか。自分もそうでしたが、買ったけど全然着ない服と、よく着るから残しておきたい服ってありますよね。その『残しておいてもらえる服』を作りたいという思いがあったんです。そのためには丈夫で洗濯にも強くて、いろんな服に合わせやすいということが重要だと思うんですけど、やっぱりそれを兼ね備えているのがジーンズだと思うんです。カジュアルなものが流行っているときも、モードな時代が来たとしても、ジーンズってスタイリングの中にあるじゃないですか」
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デニムへの情熱から生まれるものづくり
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デニムへの情熱から生まれるものづくり
「ジーンズは絶対残っていくんやろうなと思いますけど、」
力強くそういった仲津さんはこう続ける。

「でも、服の作り方自体は変わっていくと思います。自分たちは今の作り方を変えないですけど。今はホールガーメント® 横編機とかね、コンピューターでニットを編み上げたりするじゃないですか。それと同じように、いろんな服が3Dプリンターとかで作られるようになったり、転換期が来るだろうなと思っていて。そうなってくると、今後残っていく服も変化していくと思うんです」
(画像提供:orSlow)

(画像提供:orSlow)

(画像提供:orSlow)

(画像提供:orSlow)

昔ながらの製法や手作業に携わっていると、どうしても技術やマシンに対してアレルギーを持ったり、懐疑的になりがちだが、仲津さんは新技術にも肯定的だった。

「やっぱり裁断したときにはぎれとか結構出るので、そういう技術が出てくるといろんな“無駄”がなくなってくるので。それはもう良いことだと思いますよ。いろんなことあるかもしれないですけどね」
これまでに作られたネーム。アイテムや年代によって色やデザインを少しずつ変え、リピーターの人も楽しめる仕様になっている

これまでに作られたネーム。アイテムや年代によって色やデザインを少しずつ変え、リピーターの人も楽しめる仕様になっている

vol.73 orSlow・仲津一郎さん -目指すは「年代物」。
デニムへの情熱から生まれるものづくり
orSlowが単なるヴィンテージのレプリカとは異なり、「ニューベーシック」なアイテムを産み出せるのは、仲津さん自身が新しいものを取り入れつつ、自分のペースをぶらさずにいるからこそ。そして、仲津さんにはひそかな夢がある。

「人間は寿命が決まっていますけど、自分が死んだ後も残していけるようなブランドにしたいと思っています。もちろんブランドにも寿命があると思うんですけど、長く継続していって、数十年後に『何年代のorSlow』っていわれるようなアイテムを作っていけたら。何年も着用して同じものを買いたいと思ったとき、そこにorslowの服が変わることなく存在するものでありたいと思っています」

ヴィンテージの本当の価値とは、それを手にした人がまた新しい価値を加えていけることなのかもしれない。「長く着てもらうこと」を前提とし、時代に流されないペースで生み出されるorSlowのアイテムには、その余白が充分に残されている。いつかの仲津さんのように、「orSlowのヴィンテージ」を手にした少年が目を輝かせる、そんな日が訪れるかもしれない。

(取材・文/長谷川詩織)
orSlow|オアスロウorSlow|オアスロウ

orSlow|オアスロウ

2005年、仲津一郎氏によって創業されたファッションブランド。ワークウェアやミリタリーウェアをもとにしたデザインを中心に、昔から変わらない普遍の良さを追求している。「ファッションの分野においてゆっくりと(SLOW)成長し自分らしさを見つめなおしていく」というコンセプトのもと作られるアイテムはどんなシーンにも合わせやすく、特にデニムアイテムにはファンが多い。

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