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インタビュー
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vol.16 kurosawa・黒澤洋行さん – 毎日が愛おしくなる優しくユーモラスなレザーアイテム

レザーブランド「kurosawa(クロサワ)」の黒澤洋行さんが生み出すのは、単に機能的で使い勝手が良いなだけではなく、持っていることで日々の暮らしが楽しくなるような”ちょっと特別”な革のアイテムたち。遊び心と暖かさにあふれた黒澤作品の創作の原点と、そこに込められた想いについてお話を伺った。(2015年08月07日作成)

写真:松木宏祐文:キナリノ編集部

「とにかくやってみよう」とゼロ地点から飛び込んだ革の世界

しっとりと手になじむやさしく柔らかな肌触り、使い込むほどに風合いが増し、持ち主と共に時を重ねていく「革」のバッグや小物は、多くの人にとって“ちょっと特別”な存在。長く大切に使い、時間をかけて一緒に思い出を積み重ねていくものだからこそ、ミニマルで機能的なだけでなく、そこにちょっとした遊び心や暖かみを感じたいもの。

「シンプルで使いやすく、使うほど手になじんでいくものを作りたい。でも、ただシンプルなだけじゃなく、そこにほんの少しのユーモアをプラスすることで、使う人に楽しさも感じてもらえると嬉しいですね」

そう語るのは、レザーブランドkurosawa(クロサワ)の黒澤洋行さん。そんな黒澤さんが生み出すのは、使い勝手がいいだけの単なる”物”ではなく、持っていることで毎日が愛おしくなるような、暖かでやさしいレザーアイテムだ。
見るからに丁寧な造りであることが伝わってくるkurosawaのバッグ。

見るからに丁寧な造りであることが伝わってくるkurosawaのバッグ。

こちらが黒澤洋行さん。穏やかで暖かい人柄が、作品にもそのまま表れている。

こちらが黒澤洋行さん。穏やかで暖かい人柄が、作品にもそのまま表れている。

黒澤さんが革の世界に足を踏み入れたのは、実はちょっとした”思いつき”が始まり。当時乗っていたオートバイのレザーシートを、自分の好きな形に変えようと考えたことがきっかけだった。気軽な気持ちで始めてはみたものの、いざ取り組んでみると革の扱いは想像以上に難しく、思うように作ることができなかったのだが、しかしその難しさゆえにレザーアイテムの奥深さに興味が湧き、革の魅力にどんどん引き込まれていった。

「革に興味を持ち始めた頃、ちょうど近所に革製品のお店ができたんです。そのお店に通っていたところ、職人さんが足りていないという話を聞き「だったら自分がやってみよう!」とすぐに応募しました。それまでは全く畑違いの仕事に就いていたので素人同然だったんですが、革製品を自分で作ってみたいという強い気持ちが芽生えていたので、迷うことなくこの世界に飛び込みました」
自然豊かな環境を求めて、5年前に東京から移り住んだ千葉の工房。大きな窓から見える美しい景色も創作の源。

自然豊かな環境を求めて、5年前に東京から移り住んだ千葉の工房。大きな窓から見える美しい景色も創作の源。

全ての工程を手作業で、たった一人で行っている黒澤さん。そのため、工房内には様々な道具や素材が所狭しとあふれている。

全ての工程を手作業で、たった一人で行っている黒澤さん。そのため、工房内には様々な道具や素材が所狭しとあふれている。

思いがけず訪れた人生の転機。革職人としての技術を一から学びながら、仕事ではもちろん、プライベートでも革製品の制作に没頭する日々が続いた。

「仕事で手がけていたのは男性向けのアイテムでしたが、プライベートで妻のためにバッグを作ったことがきっかけで、女性向けの作品にも興味を持ち始めました。仕事で作る男性向けの商品よりも、女性向けのアイテムの方がデザインの幅が広く自由度も高いので、作っていて自分自身も面白さを感じるようになりましたね」
こちらは奥様が愛用中のバッグ。淡いベージュだったヌメ革が、5年の使用でこんなに美しいあめ色に。

こちらは奥様が愛用中のバッグ。淡いベージュだったヌメ革が、5年の使用でこんなに美しいあめ色に。

職人としての経験を積み作品の幅も広がっていく中で、シンプルで機能的なものよりも創造的で楽しいものを作ることの方に面白さを見出していった黒澤さん。徐々に仕事で作るものとプライベートでの作品に隔たりができてきたことで、より自由に創作できる環境を求めて独立を決意。今後の展望をしっかりと見据えての選択ではなかったというが、黒澤さん自身が追い求める作品への探究心と情熱が、自然とその道を選ばせたのだろう。

もの作りの真ん中にあるのは身近な人を想う気持ち

独立のきっかけとなったバッグは奥様のためにと作られたものだったが、実はkurosawaの代表作ともいえるベビーシューズも、最初は商品としてではなくご自身の娘さんのために作られたものだった。
人気のベビーシューズはデザイン豊富でどれを選ぶか迷ってしまうほど。全て革で作られているため、小さなお子さんの足にもやさしくなじむ。

人気のベビーシューズはデザイン豊富でどれを選ぶか迷ってしまうほど。全て革で作られているため、小さなお子さんの足にもやさしくなじむ。

自然を愛する黒澤さん。使われているモチーフも、蜂、白鳥、うさぎ、しろくま、ひまわり、ちょうちょなど、動植物をテーマにしたものがほとんど。

自然を愛する黒澤さん。使われているモチーフも、蜂、白鳥、うさぎ、しろくま、ひまわり、ちょうちょなど、動植物をテーマにしたものがほとんど。

「娘が生まれた時に、一足目の靴は自分で作ろうと決めていたんです。最初は自分の子供用にと作っていたんですが、周囲から思いのほか反響があって注文していただくようになり、いつの間にか定番商品になりました」

評判が評判を呼んで徐々にオーダーが増え、それに伴いカラーもデザインも豊富に。今では、kurosawaといえばベビーシューズを思い浮かべる人も多いほどの代表作となった。ベビーシューズも、独立のきっかけとなった奥様のためのバッグも、黒澤さんのもの作りは常に“身近な人を喜ばせたい”というシンプルな発想が出発点。

「使ってくれる人のことを思い浮かべて作ると、やっぱり良い作品ができますよね。何かひねり出そうと無理やり考えている時って、納得のいくものはなかなかできなくて。自然と思いついたものをそのまま形にしていくのが、自分のスタイルには一番合っています」
黒澤さんのお子さん達が愛用していたシューズ。履きこまれて、革独特の味わい深い表情に。幼い頃の記憶がギュッと詰まった、家族の大切な宝物だ。

黒澤さんのお子さん達が愛用していたシューズ。履きこまれて、革独特の味わい深い表情に。幼い頃の記憶がギュッと詰まった、家族の大切な宝物だ。

日々の生活の中で、使う相手のことを想って自然と生まれるものだからこそ、作品そのものにも暖かさが滲み出ているのだろう。ブランドのトレードマークとなっている蜂も「かばんに蜂が留まっているように見えたら面白いな」とふと思いつき、刺繍をしてみたのが始まり。その遊び心の向こうに思い浮かべているのは、作品を手に取ってくれる人たちの楽しそうな笑顔だ。
鹿革の糸で刺繍されたトレードマークの蜂。手縫いのため、一匹ずつ表情が違うのも味がある。

鹿革の糸で刺繍されたトレードマークの蜂。手縫いのため、一匹ずつ表情が違うのも味がある。

使用する部分によって糸の太さを変えているため、ぷっくりと立体的な仕上がりに。

使用する部分によって糸の太さを変えているため、ぷっくりと立体的な仕上がりに。

「ただ機能的なものよりも、少しでも引っ掛かりがあるというか「なにこれ?」と面白がってもらえるものが好きなんです。そのアイテムを持っている人にも、それを目にした周りの人たちにも存在感を感じてもらえるものを作りたい。手に取った人に面白いと思ってもらえる作品の方が、自分自身も作っていて楽しいんです」

そう言って屈託無く笑う黒澤さん。全ての作品に共通して感じられる暖かなユーモアは、”使ってくれる人を楽しませたい”という気持ちはもちろん、黒澤さん自身が作品作りを楽しんでいるからこそ生まれるものなのだ。
蓋を開くと白鳥の顔が覗くペンケース。楽しい遊び心に思わず頬がほころぶ。

蓋を開くと白鳥の顔が覗くペンケース。楽しい遊び心に思わず頬がほころぶ。

大切にしたいのは作品を通して生まれるコミュニケーション

Kurosawaの製品は、基本的には受注販売のみ。個展やイベントに足を運んで、実際に商品を見てもらったお客さんに販売するという方式をとっている。この販売方法を選んでいるのにも黒澤さんらしい理由が。

「使っていただく方と直接お会いできる機会を大切にしています。とくにベビーシューズは、購入していただいた後に実際にお子さんが履いている写真を送ってくださる方や、僕の作ったシューズを履いて、またイベントに会いに来てくださる方もいらっしゃるんですよ。自分の作品をこんなに喜んで使ってくださっているというのが伝わって、本当に嬉しいんです」
もの作りにおいて何よりも丁寧さを大切にしている黒澤さん。使う方のためにと、全ての工程に心を込めて丹念に仕上げていく。

もの作りにおいて何よりも丁寧さを大切にしている黒澤さん。使う方のためにと、全ての工程に心を込めて丹念に仕上げていく。

この作品たちを手にした人たちにも、そのやさしさはきっと伝わるはず。

この作品たちを手にした人たちにも、そのやさしさはきっと伝わるはず。

黒澤さんの作品はすべての工程を手作業で丁寧に仕上げているため、一つの作品を作るのにもかなりの労力と時間を要する。ベビーシューズなら1日に2足、大きなバッグなら1つ作りあげるのにも3日以上はかかるという。そうして手間暇かけて丁寧に作っているものだからこそ、その作品を使ってもらう方とのコミュニケーションも大切にしたいと考えているのだ。人気のため、商品によっては半年以上待たなければならないものもあるほどだが、黒澤さんのこうした暖かな人柄やもの作りへの真摯な姿勢が伝わるからこそ、購入者側も商品が“届くまでの時間”さえも楽しく待ち遠しく感じられるのではないだろうか。

丁寧なもの作りを続けながら創作の幅を広げていきたい

こちらも定番アイテムの一つ、刺繍ヘアゴム。可愛らしく存在感抜群の蜂が、多くの女性から人気を集めている。

こちらも定番アイテムの一つ、刺繍ヘアゴム。可愛らしく存在感抜群の蜂が、多くの女性から人気を集めている。

これまでは、お子さんや奥様のためにとの想いから自然と女性や子供向けの作品が多かった黒澤さん。

「今後は男性が持ちやすいユニセックスなものも増やしていきたいですね。自分自身でも使えるような作品をもっと作りたいと思っています」

”自分以外の誰かのために”という発想でのもの作りが当たり前となっていたことで、男性向けのアイテムが少ないというのも、なんともお人柄がよく表れたエピソード。そんな黒澤さんが作るアイテムは、男性向けのシンプルで機能的なものであっても、きっとやさしく暖かいユーモアを感じられるものになるのだろう。
お話し中、終始ニコニコと穏やかな笑顔だった黒澤さん。作品について楽しげに語るその瞳は、少年のように輝いていた。

お話し中、終始ニコニコと穏やかな笑顔だった黒澤さん。作品について楽しげに語るその瞳は、少年のように輝いていた。

革職人としての経験によって培われた高い技術とセンス、そして黒澤さん自身が生来持っている自由でユーモラスな発想力が融合したことにより生み出されるkurosawaの遊び心あふれる作品たち。手に取った人たちの楽しそうな様子を思い浮かべて作られるやさしいアイテムは、これからもたくさんの人達に笑顔を運んでくれることだろう。そして持ち主と共に日々の物語を積み重ね、それぞれの人にとっての宝物のような記憶を共有する、”特別な存在”になってくれるはずだ。
Kurosawa | クロサワKurosawa | クロサワ

Kurosawa | クロサワ

Kurosawaは、革職人である黒澤洋行さんが2008年に立ち上げたレザーブランド。シンプルで使い勝手が良く、ほかにはない遊び心あふれるデザインで、大人から子供まで幅広い層の支持を得ている。商品は基本的に受注生産だが、イベントや展示会への出展時には直接購入が可能。展示会などの出展情報は、公式サイトやブログでぜひチェックを。

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