「日本さくら名所100選」のほか、「飛騨・美濃さくら33選」にも選定されている霞間ヶ渓の桜は、土砂災害が多かった鎌ヶ谷に土砂崩れを防ぐために植栽された桜が発端となります。

明治時代以降になっても、ソメイヨシノ、ヤマザクラ、シダレザクラといった桜の植樹が続けられ、現在は約1500本から2000本もの桜があります。渓谷と桜が織りなす霞間ヶ渓の渓谷美は格別で、国の名勝と天然記念物に指定されています。

根尾谷・淡墨公園にある淡墨桜は樹齢1500年を超えるエドヒガンザクラの古木です。幾度となく枯死の危機に晒されながらも、悠久の時間を刻み続けてきた淡墨桜は、国の天然記念物に指定されているほか、日本五大桜の一つに数えられています。

夜になると、淡墨桜は日中とは異なる趣を漂わせます。夜になると、漆黒の闇夜に、ライトを浴びた淡墨桜が白く浮かび上がり、眼前に一枚の水墨画が現われたかのような錯覚を感じます。

岐阜県各務原市をとうとうと流れる新境川の両岸には約1200本にも及ぶ桜並木があり、この地にソメイヨシノを寄贈した歌舞伎役者、市川百十郎にちなんで「百十郎桜」と呼ばれています。

桜が見頃を迎える3月下旬から4月上旬にかけては、新境川堤周辺は、各務原市内外からやってくる大勢の花見客で賑わいます。

徳川家康生誕の地である岡崎城址の岡崎公園には、約800本の桜が植栽されています。

岡崎川畔の桜並木は見事で、「日本の都市公園100選」にも指定されている岡崎公園の美しさを引き立てています。

毎年、桜の開花時期に合わせて「岡崎の桜まつり」が開催され大勢の花見客で賑わいます。藍色の夜空、無数のぼんぼり、光を浴びて輝く桜が見事に調和し、公園内は幻想的な雰囲気に包まれます。

競うように花を咲かせる桜が、空を覆い尽くす様は、まるで春そのものが大地に舞い降りたかのようです。

山梨県内で唯一、「日本さくら名所100選」に選定されている大法師公園は、甲府盆地の南西端に位置する大法師山中腹に佇む公園です。公園内には、ソメイヨシノ、サトザクラ、シダレザクラなど約2000本の桜が植栽されており、毎年3月下旬から4月上旬にかけて見頃を迎えます。

大法師公園から眺める富士山の美しさは傑出しています。白く冠雪した富士山、山麓の豊かな緑と満開に咲き誇る桜が織りなし、絵画のような景色を作りだしています。