関東地方の「ご当地うどん」を食べに出かけよう
寒くなると恋しくなる、温かいうどん。奈良時代から食べられていたと言われるほど、私たちの食生活に古くからなじみのあるうどんは、全国各地に特色があります。そこで今回は、関東エリアの「ご当地うどん」をご紹介。ひとことで「うどん」といっても、形や食感、具や味付けなど、その食べ方はさまざま。お気に入りの名物うどんを探しに出かけてみませんか?
水沢うどん(群馬県渋川市伊香保町)
讃岐や稲庭と並ぶ、日本三大うどんのひとつ「水沢うどん」は、弾力とコシがある太めで透き通った白さが特徴。今から400年ほど前に、群馬県渋川市の伊香保町から約4㎞ほどのところにある「水澤観音」で、参拝客向けに提供されたことが始まりとされています。ざるうどんでいただくことが多く、製法や材料などに特に決まりはありません。つけ汁はお醤油や胡麻だれなどお店によって異なる味を楽しめます。
田丸屋
大澤屋第一店舗
ひもかわうどん(群馬県桐生市)
群馬県桐生地方に伝わる「ひもかわうどんは」は、平たいことから“平打ちうどん”とも呼ばれています。名前の由来は、きしめんのルーツでもある「芋川(いもかわ)うどん」がなまったものという説もあるそうです。うどんの幅は、5mmから15cmを超えるものまでさまざまで、厚さは1㎜程度と薄いのも特徴です。つるんとしたのど越しが魅力で、冷たいざるうどんから温かいうどんまでいろいろな食べ方があります。
麺処酒処ふる川 暮六つ
田沼屋
おっきりこみうどん(群馬~埼玉秩父)
季節のお野菜と手打ちの幅広うどんを煮込んだ「おっきりこみうどん」は、群馬県と埼玉県秩父地方に伝わるうどん料理で、“おきりこみ”や“煮ぼうとう”とも呼ばれています。打ち粉がついたまま生麺の状態で煮込むため、つゆにとろみがついているのも特徴。山梨県の郷土うどん「ほうとう」との違いは、うどんの幅の広さで、おっきりこみうどんは3㎝ほどあります。また、お味噌またはお醤油、もしくは両方で煮込むという点にも違いがあります。
おっきりこみのふる里(北群馬郡吉岡町)
大黒屋(埼玉県秩父郡長瀞町)
耳うどん(栃木県佐野市仙波地区)
「耳うどん」は、栃木県佐野市の仙波地区に江戸時代終期から伝わる、耳の形をしたうどんです。耳うどんを悪い神さまの耳に見立てて食べることで、家の話を聞かれたり、よそからの悪口が聞こえなくなることから、魔除けになると言い伝えられてきました。うどんというよりはすいとんに近い感じで、季節のお野菜と一緒に濃いめのお醤油のつゆでいただきます。もともとはお正月の保存食として食べていたことから、今でも伊達巻などおせち料理の食材を入れて食べることもあります。
野村屋本店
武蔵野うどん(東京都多摩地域~埼玉県)
「武蔵野うどん」は、東京都多摩地域から埼玉県で食べられている手打ちうどんです。武蔵野台地の地粉を使っていて、太く茶色がかった色が特徴です。足踏みで作ったうどんはコシがかなり強く、小麦の味がしっかりと感じられます。かつお出汁をメインにしたつゆに、うどんをつけて食べるスタイルが多く、数種類のきのこ入れた「きのこ汁うどん」や豚肉を入れた「肉うどん」など種類が豊富です。
満月うどん(東京都武蔵村山市)
手打うどん庄司(埼玉県比企郡川島町)
寒い冬は「ご当地うどん」で温まろう♪
日本各地にあると言われる「ご当地うどん」は、それぞれ個性豊か。ご当地うどんが誕生した歴史や文化を知ると、より味わい深くいただけそうですね。今回ご紹介した関東エリアだけでも、さまざまなご当地うどんがあり、わざわざ足をのばして食べに行きたくなるお店がたくさん。まだまだ続く寒い季節を、アツアツのうどんを食べて乗り切りましょう!
水沢うどんの元祖と言われる「田丸屋」は、天正10年(1582年)創業の老舗です。趣きのある外観と大きな布袋さまの石像が目印。向かい側に駐車場があるので、車で訪れても安心です。