芸術の秋、アートを感じよう
実在する天才画家たちの生き方を描いた映画
フィンセント・ファン・ゴッホ「永遠の門ゴッホの見た未来」
今や誰もが知る世界的画家フィンセント・ファン・ゴッホですが、彼の作品は生きているうちに評価されることはありませんでした。作品が世の中に理解されずとも、筆を握り続けた不器用な生き方。名画を残した天才の生涯が描かれています。美しい映像で、ゴッホの感性そのものを彷彿させます。
ジャン=ミシェル・バスキア「バスキア」
友人だったジュリアン・シュナーベル監督が映画化したバスキアの栄光と孤独を描いた作品。バスキアと交流のあったアンディ・ウォーホルは、デヴィッド・ボウイが銀髪のウィッグを付け、なりきっている事でも話題となりました。
27歳で亡くなった天才ジャン=ミシェル・バスキアの伝記映画。1980年代のNYでアーティスト志望のバスキアが美術評論家のルネに見出され、アンディ・ウォーホルらに認められることで掴んだ成功と孤独。そして、薬物によって短い生涯となった彼の全てが描かれています。
ポール・ゴーギャン「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」
ゴッホとも交流があり、19世紀の天才画家として名を馳せたポール・ゴーギャン生誕170周年の記念として制作された作品。ゴーギャンを演じるヴァンサン・カッセルが、芸術家としての狂気を見事に体現していると評価されています。
作品が売れず行き場を失っていたゴーギャンが都会生活から脱出し、絵画制作の場をフランス領タヒチに求め、妻子を捨てるようにして島に渡った彼の愛と苦悩が描かれています。現地で出会ったテフラをモデルに、評価を受けることになる後期の代表的な傑作を生み出した背景がわかります。実験的な色使いで、近代美術に大きな影響を与えた作品たちを映画を通して、改めて見てみるのも面白いかもしれません。
エゴン・シーレ「死と乙女」
オーストリアの画家エゴン・シーレ。20世紀初頭に独特な作風で脚光を浴びたシーレを、モデル出身のノア・ザーヴェトラが演じています。代表作の一つ「死と乙女」誕生の裏側、後半生が描かれています。
グスタフ・クリムトに師事し、ゴッホに影響を受けたシーレ。死や性行為など倫理的にタブー視されるテーマを強調した作品を生み出し、少女誘拐で逮捕されるなど、最も挑発的な画家とも言われています。スペイン風邪で亡くなる28歳までのモデル女性たちとの関係。芸術家ならではの歪みが感じ取れる作品です。
熊谷守一「モリのいる場所」
南極料理人などの作品で人気が高い沖田修一監督が手掛けた作品で、日本の画家である熊谷守一夫婦の晩年の1日を描いています。山崎努と樹木希林が夫婦役として挑み、沖田監督ならではの独特の空気や世界観を見事に演じています。
97歳で死去するまで生涯現役だった熊谷守一。30年もの間、ほとんど自宅から外出する事なく庭の生命を描き続け仙人と言われた彼の元には、不思議と人々が集い、豊かな人生とはどんなものであるかを教えられる作品です。
フィクションならではの面白さ!絵画にまつわる映画
アキレスと亀
第65回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品し、日本が世界に誇る北野武監督作品の1つとして喝采を浴びました。俳優としても演じ、樋口可南子が妻役として抜擢されています。
全く作品が評価されない中、夫婦二人の創作活動は街や警察をも巻き込むほどにエスカレート。家庭崩壊の危機にまで直面してしまう苦悩と崩壊が描かれています。芸術家として成功する才能や運は、一握りであることを改めて感じさせられる作品です。
ミッドナイト・イン・パリ
アカデミー賞に史上最多の24回ノミネートされたウディ・アレン監督が手掛けたパリを舞台にしたラブコメディ。ゴールデングローブ賞などに輝いた作品でもあり、奇想天外さが見所の映画です。
1920年代のパリに迷い込み、ヘミングウェイ、ピカソ、ダリなどの偉人が次々と現れるユーモアとロマンは、まさに憧れ。アート好きには溜らない芸術を彩った街の世界を垣間見ることができ、フィクションならではの面白さで、華々しい時代を味わえます。
ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像
フィンランドの名匠クラウス・ハロ監督が手掛けた作品。絵画の真価が問われると言っても過言ではない”美術商”にスポットを当てたヒューマン映画です。
作者不明の運命の絵に魅せられた老美術商とその家族。人生で大事なことは何なのか?芸術がもたらす本当の意味。丁寧なストーリーで語りかけてくれます。実話ベースとは異なる大切なことを教えてくれる感動作品です。
ザ・フォージャー 天才贋作画家 最後のミッション
天才的な腕を持つ贋作画家を取り巻くクライムアクション作品。主演はジョントラボルタ。そして、クリストファー・プラマーやタイ・シェリダンなど豪華実力派俳優陣が揃った映画です。
ボストン美術館に展示されているクロード・モネの名画を偽物とすり替え、盗み出すことを命じられた刑務所帰りの贋作画家が、親子3世代で名画強奪に挑みます。絵画にまつわる映画作品の中では、やや異色な内容なので、刺激が欲しい方は是非。
「潜水服は蝶の夢を見る」を手掛けたジュリアン・シュナーベル監督による作品で、2018年の第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で主演のウィレム・デフォーがゴッホを演じ、男優賞を受賞しました。