挫折や迷い、そして孤独…そんなときにはドキュメンタリー映画!
【ファッション】パワーとインスピレーションで元気に!
アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー(2014)
マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年(2017)
NYを舞台にしたドラマの主人公が愛したピンヒールとして、爆発的に有名になったマノロ・ブラニク。ドキュメンタリー映画といえば職人やデザイナーの情熱的な内容が多いかと思いますがこちらの映画は、うっとりとした優雅な映像美が印象的。マノロが趣味としているガーデニングのシーンでは花々が香り立つように美しく、何度でも観たくなる作品です。
ビル・カニンガム&ニューヨーク(2010)
2016年に87歳の生涯を終えたニューヨーク・タイムズ紙のファッション・カメラマンのビル・カニンガムのドキュメンタリー。青いシャツと自転車でNYの街を移動し毎日シャッターを切り続ける一切の妥協を許さない徹底した仕事ぶりで、「彼に撮られることこそがステータス!」とニューヨーカーを常に虜にしていました。「タダで着飾った有名人には興味がない」と一般人でも有名人でも常に等しく接する姿勢は世界中のファッショニスタの記憶に残り続けることでしょう。
ファッションが教えてくれること(2009)
ファッションドキュメンタリー映画としては、必ず押さえておきたい一本です。言わずと知れたアメリカ版『ヴォーグ』の名物編集長アナ・ウィンターと周囲の人々に密着した映像ですが、長年彼女の右腕といわれてきたエディター・スタイリストのグレース・コディントンの作り出す幻想的な世界感も圧巻です。
【アーティスト】魂の表現、情熱に目覚めよう!
ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣(2016)
バレエ界では天才であり異端児といわれたセルゲイ・ポルーニンの生い立ちと挫折、復活までを追ったドキュメンタリー。彼は天才だったのではなく、幼少期から天才であり続けなければならなかった。プレッシャーと共にあった心のバランスは徐々に壊れ始め…心身ともにボロボロになるほど努力を重ね、挫折から這い上がってきたからこその力強い表現はまさに圧巻です。
ヨーヨー・マと旅するシルクロード(2015)
世界的チェリスト、ヨーヨー・マが2000年に立ち上げた「音の文化遺産」を世界に発信する「シルクロード・アンサンブル」を追ったドキュメンタリー映画です。シルクロードに息づくさまざまな民族楽器とその演奏者とのアンサンブルは類を見ないほど力強く、芸術の力や可能性を大いに感じられる音楽映画です。
フジコ・ヘミングの時間(2018)
60代後半で脚光を浴び、80代になった今もなお年間60本ほどのコンサートをこなす人気ピアニストのフジコ・ヘミングの2年間を映像に収めた。「魂のピアニスト」と呼ばれる心が震えるような情熱的な演奏も、犬や猫、個性的なファッションを自然体で楽しむ私生活の姿も、音楽のように美しく、ゆったりと過ごしたい時間におすすめです。
グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独(2009)
バッハに深く傾倒しペダルをほとんど使用しない独特な奏法など、さまざまな偉業を成し遂げたピアニスト、グレン・グールド。一方で、コンサート活動を早々と引退し、レコーディング等の活動をメインとするなど独自の音楽活動を行ってきた彼の人間性にスポットを当てた作品です。交友関係は少なかったものの当時の恋人たちのインタビューから彼の人間性に迫ります。
フラッシュバックメモリーズ(2012)
交通事故の後遺症により、記憶障害を持つディジュリドゥ奏者GOMA。事故前の記憶や映像、現在とこれからの未来を巡るドキュメンタリー作品です。劇場では3D映像として上映されましたが、2Dでも十分映画のメッセージは体感できます。単なるドキュメンタリーではなく、フラッシュバックする事故前の記憶、現在の視線を織り交ぜた映像は上映当時のGOMAさんそのものを表現しています。
【職人たち】鍛錬とチャレンジの日々に襟を正す
世界一美しい本を作る男-シュタイデルとの旅-(2010)
デザインから印刷、製本まで全てを自社で行う、ドイツの地方都市にある「シュタイデル」は世界的アーティストや作家からも信頼を寄せられ、コレクターまで存在する、まさに「世界一美しい本」を作っている出版社です。経営者のシュタイデルは自ら工場に立ち続け「直接会う方が仕事が早く終わる」と世界中のクライアントに会いに行き、その仕事へのこだわりは手触りや質感だけではなく、ページをめくる音や匂いにまでこだわるなどまさに完璧主義そのものです。
二郎は鮨の夢を見る(2011)
世界最高齢の三つ星料理人、「すきやばし次郎」の店主、小野二郎をアメリカ人監督が撮影したドキュメンタリーです。心地よい音楽と映像で「すきやばし次郎」のたんたんとした日々が美しく描かれています。鮨を握る手の動きは美麗そのもの。その当たり前のことをただ毎日丁寧にこなしていく姿は美しく、キリッとした気持ちになりたいときや、日本美を再発見したい人におすすめです。
MERU(2015)
世界初、メルー峰の岩壁の直登に成功した3人の冒険家の映像とインタビュー集です。20日間、命がけでほぼ垂直の壁岩を登り続けるというチャレンジは私たちには「なぜそんな危険なことを…」という疑問が浮かぶはずです。しかしインタビューで彼らの今までの道のりをひもといていくと挑戦を続ける強い気持ちも伝わります。決して真似できることではありませんが、人はここまで強靭な精神力を持てるものなのか、と圧倒されます。
【シンプルライフ】生活を見直してみよう
聖なる呼吸 ヨガのルーツに出会う旅(2011)
ヤン・シュミット=ガレが、ヨガのルーツを辿り、インドを旅するドキュメンタリーです。南インドの美しい風景や貴重な映像が収められており、ヨガ上級者でも満足な内容と評判の作品です。「マットに上がれば、そこは小宇宙だった」――生活や衝撃的なニュースに疲れたときには、目を閉じて呼吸を感じるだけで神聖な気持ちを取り戻せると知ることができます。
365日のシンプルライフ(2013)
クリエイター、ペトリ・ルーッカイネンは、増えすぎた自分のモノと向き合うため、所持品全てを倉庫に預け、1日に1つだけ必要なものを取り出すという実験を1年間行う決意をします。365日の間、ペトリの心境の変化とともに、思いもよらぬトラブルに見舞われることや、新たな出会いや別れなどの大きな転機も重なります。ペトリの実験は決して簡単にお手本にすることはできませんが、モノが増えすぎて悩んでいる人は背中を押してもらえる作品です。
モバイルハウスのつくりかた(2011)
熊本を拠点に作家、画家、ミュージシャン等でマルチに活動をされているアーティストの坂口恭平。坂口さんは、2012年にはホームセンターで購入した資材2万6千円で「モバイルハウス」を作成し、住まいの在り方について問う活動をしていました。私たちは当たり前のように決して安くない金額を支払い、居住地を持ちます。しかし果たしてそれは必要なことなのか?住宅のことだけではなく、常識に従って生きて人は幸せに暮らせるのか、問題提起は非常に考えさせられます。
94歳のファッションアイコン、アイリス・アプフェルの着こなしは、高級なものから雑貨屋さんのアクセサリーまで。可憐に着こなすコーディネートの天才でショッピングに行きたくなってしまうこと間違いなしです。インテリアデザイナーとして華々しい経歴を持つ彼女ですが「人生はあきらめることも大切」のような印象的なセリフが多く、生き方や容姿などにコンプレックスを持つ人々の背中をそっと押してくれる一本です。