出典: まさに満天の星。都会の喧騒疲れを癒しに、嫌なことを忘れに、あるいは素敵な思い出づくりに、夜空を見上げてみませんか?
同じに見えるようでいろんな表情があり、ずっとでも見ていられるのが星空の魅力。写真も撮る人、撮る日、撮る場所によって、もちろんいろいろな見え方があります。
出典: 春夏の星とされている北斗七星も、実は一年中観測できます。北の空にひときわ輝く北極星を見つけることができたら、北斗七星も簡単に見つけることができます。
出典: 富士山の真上に輝く北斗七星。思わず息をのむような美しさですね。
冬の星空が特に綺麗なのは、空が澄んでいるのともうひとつ、ひときわ明るい1等星が8つもあるからです。中でもシリウスは「光り輝くもの」という意味の名の通り、地球から見たとき全天で一番明るい恒星で、オリオン座の南で白く輝きます。
出典: 冬の星座オリオン座はとても見つけやすいと思います。上の画像だと右中央にありますね。ベルトにあたる「オリオンの三ツ星」から探しましょう。
オリオン座の肩の位置で輝く赤い星です。近いうちに寿命のため爆発するとの予想もあり、もし爆発すれば史上最大級の天体ショーになるということで、世界中の天文学者が注目しています。
出典: 写真では、オリオンの三ツ星のほぼ真上に輝くのがベテルギウス。赤い巨星であることから、日本では平家の赤旗に見たてて「平家星」と呼ばれることも。
元はアラビア語の「巨人の左足(リジル・アル・ジャウザ)」に由来していることからもわかるように、星座絵のオリオンの左足に位置します。青白く輝く、オリオン座の最輝星です。
出典: こちらの写真では右上。ベテルギウスの対角にあり、青白く輝くリゲルは対照的に「源氏星」とも呼ばれています。望遠鏡でよく見ると傍らに8等級の星が発見できる二重星(接近して二つの星が並んでいる一対の星のこと)です。
オリオン座の右の足元にあるおおいぬ座は、勇者オリオンに付き従う犬と言われ、シリウスはそのちょうど口のあたりに位置します。名前の「焼き焦がすもの」「光り輝くもの」は、ギリシア語の「Σειριος(セイリオス)」に由来し、こちらの呼び方も有名かもしれません。
出典: 写真の左上部にひときわ輝くのがシリウス。リゲルとはまた違った、鋭く力強い光を放ちます。中国では「天狼星」と呼ばれますが、まさに名は体を表したり、といったところでしょうか。
出典:www.flickr.com(@Hubble Heritage) おおいぬ座にある2つの渦巻銀河は、今後衝突し、合体すると言われています。
太陽と同じ黄色をした二重星です。おおいぬ座と同じくオリオンの犬とされているこいぬ座ですが、プロキオンのほかには3等星がひとつ、それ以外はあまり目立つ星がなく、実質プロキオン=こいぬ座と見なされることもあります。
出典: 写真では中央やや下あたりにあるのが、プロキオン。シリウスを少し控えめにしたくらいの感じ。オリオンの猟犬であるという説のほか、ギリシア神話では鹿になった飼い主のアクタイオンを、そうとは知らずにかみ殺してしまった猛犬メランポスが星になったもの。と言われています。
おうし座の顔の位置にあたるオレンジ色の巨星です。顔を成すV字型の星の集まりは「釣鐘星(つりがねぼし)」と呼ばれ、ヒアデス星団とアルデバランで構成されていますが、アルデバランはヒアデス星団の一部ではなく、星団より地球に近い距離で独立しています。
出典:www.flickr.com(@Roman Vanur) 写真の中でひときわ輝く星の右下に輝くのが、アルデバラン。アルデバランも実は、二重星ですが、こちらは肉眼や一般の天体望遠鏡だと観測が難しいと言われています。
出典: 日本では「すばる」の呼び名で知られ、歌などでも有名なプレアデス星団は、おうし座の散開星団です。
ふたつ並んだ良く似た星の、東側でオレンジ色に輝く巨星が弟のポルックスです。2等星にあたる兄のカストルは少しだけ暗く、西側にあるため先に昇ります。
出典:www.flickr.com(@jason jenkins) 左上部で輝くのがポルックス。そのななめ右下の青白い星がカストルです。
地球から見た明るさではポルックスの方が明るいため1等星とされていますが、より正確な明るさの尺度である「絶対等級」というランクに照らすと、実は兄のカストルの方がやや明るいという、ある意味納得の序列になっています。
冬の1等星の中ではシリウス、リゲルに次いで明るく、最北で黄色に光ります。名前の意味は「小さな雌山羊」。星座絵で見ると、ぎょしゃ座は山羊を抱いた王様の姿で描かれていますが、そのちょうど山羊の部分がカペラです。
出典:www.flickr.com(@Neal Simpson) ちょうど写真の道の上に輝くのがカペラ。肉眼や天体望遠鏡で観測することは難しいですが、カペラも二重星です。
出典: この中にカペラがありますが、なかなか素人が見つけるのは難しいですね。星座早見表などを使って、ゆっくり探していきましょう。
全天で2番目に明るく、310光年という遠い距離で非常に強い光を放っています。日本や中国では地平線近くに見えることから観測が難しく、古く中国では吉兆・長寿の星として「南極老人星」と呼ばれました。
カノープスは南天の星なので東北地方中部より北の場所からは見ることができませんが、冬を代表する星として頭の隅においてもらえればと思います。
出典:www.flickr.com(@Anirban Nandi) 画像、右下で輝くのがカノープス。カノープスの所属するりゅうこつ座の「竜骨」とは、船に欠かすことのできない船底の骨子のことで、いわば船の背骨です。もとは「アルゴ座」という大きな船をかたどった星座が4つに分かれ、りゅうこつ座、とも座、ほ座、らしんばん座ができたとされています。
オリオンの三ツ星からシリウスを見つけ、それを目印にすると探しやすいでしょう。
こうしてひとつずつ見ていくといろいろな色の星があるのがわかります。都会ではなかなかぼんやりとも星空を見ることは難しくなっていますが、少し山の方に行くだけでも見えやすくなるので、空気の澄んだお天気の良い日などはしっかりと防寒のうえ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
出典: 東京都内にも意外と星のスポットがいろいろあります。
これらの1等星を繋いでできるのが、冬の大三角形と冬の大六角形、通称冬のダイヤモンド。オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンを結んだものが大三角形です。
出典: 出典: 中央あたりの若干色の違うオレンジがかった星が目印にしやすいベテルギウス(オリオン座の一等星)、画像やや左下の明るく大きめな星がシリウス、そしてそこから左斜め上をみるとプロキオンです。冬の大三角形は赤のベテルギウス、青のシリウス、黄色のプロキオンとカラフルで見ごたえがあります。
出典: 大三角形を見つけたらベテルギウスの右肩方面におうし座のプレアデス星団(すばる)を見つけることもできます。肉眼でも5個~7個は集まっているのが見え、実際には約150もの恒星が集まってできています。天体望遠鏡では精度によって20~70くらいの間で見えるそうです。
冬の大六角形はおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、オリオン座のリゲルを結びます。その宝石のような形を「冬のダイヤモンド」と呼び習わします。
出典: ほぼ中央に位置するベテルギウスを目印に、シリウス、そこから時計まわりにプロキオン、ポルックス、カペラ、アルデバラン、リゲルと結ぶと六角形になります。
出典: 冬の大三角形・大六角形が見事に写っています。どこにあるかわかりますか?
写真集で見る、綺麗に切り取られた星空も良いですが、肉眼で見る星空の壮大さと美しさはまた格別。厳しい寒さを良い思い出に変えるという意味でも、観測シーズンである今のうちにたくさん星空を見てみてはいかがでしょうか。
まさに満天の星。都会の喧騒疲れを癒しに、嫌なことを忘れに、あるいは素敵な思い出づくりに、夜空を見上げてみませんか?