チーズケーキに一旦ハマるとなかなか抜け出せない。しかも、どんどんその好みが本物志向へと進化していってしまう。一口一口味わう毎に、チーズに包まれていく幸せ、食べ終わった時に感じる充足感。意識せずともどうしようもなく惹かれてしまう、チーズケーキの誘惑。

今回ご紹介するのは、グルメな人も満足させること間違いなしの逸品。神戸に工房を持つ「ARUKUTORI（歩く鳥）」のチーズケーキは、シンプルなスタイルでありながら、ビジュアルからもチーズの香りが漂ってきそうなほどの力強さを感じます。

実は、「ARUKUTORI(歩く鳥）」は実店舗を持っていません。売るのはただ1種類のチーズケーキ。基本的に、電話やインターネットでの受注宅配販売のみで、オーダーを受けてから日々コツコツと丁寧に作ります。2014年にオープンして以来、評判が評判を呼び、神戸や関西地方のみならず、今や全国にファンが急増中。一体、このお店の人気にはどんな理由があるのでしょう？

「ARUKUTORI（歩く鳥）」のチーズケーキのクオリティの高さは、まず店主が吟味して選んだ最高の食材を差し置いては語れません。クリームチーズはフランス産の高級チーズを採用。卵・小麦粉・バター・生クリーム・サワークリーム、砂糖は、国産品に拘って使っています。

クッキー生地に使う北海道産の発酵バター。濃厚なコクと酸味と香り、バターの風味が口の中に広がった時の贅沢感がたまりません。

そのまま口に運んでも美味しそうなフレッシュなサワークリームも国産物。‘口どけ滑らか、濃厚だけど後味さっぱり’の大事なポイント。

卵は、淡路島の「北坂養鶏場」から。祖先が全て日本の鳥、つまり純国産鳥の卵。日本の風土の中で自然に生き残り育ってきたもの。できるだけ新鮮なかたちで提供したいから、朝採れ直送の卵を使っています。

香りづけに使うのは、マダガスカル産の最高級のバニラビーンズ。クリームチーズがよりリッチに芳醇な味わいになります。

「ARUKUTORI（歩く鳥）」のチーズケーキは、届いてすぐのフレッシュな状態で食べるのも最高だけど、ちょっと寝かしてみるとまた違った味わいを楽しめます。作りたての状態は、キャラメリゼ（砂糖が焼成することで飴になる状態）による、クッキー生地のしゃりっとした食感が特徴的。それが数日冷蔵庫で寝かせると、キャラメリゼが溶け、程よく生地全体に沁み込み、しっとりと風味豊かな味わいに変わります。すぐに完食してしまいそうなところをちょっと我慢すれば、2度美味しい体験ができるのです。

外箱を空けると中には、外国産の高級なチーズが入っていそうな丸い木箱が。あまりにかわいらしいので、チーズケーキを食べ終わった後も再利用。小物入れやちょっとしたディスプレイに使ってみてもいいかも。。そんなことを考えながら、また無性にチーズケーキを食べたくなってしまうのです。

手土産やプレゼントにもお薦めです。おしゃれで食通のあの人も、きっと喜んでくれるはず！

菓子職人と「歩く鳥」。この「歩く鳥」に込められた作り手の想い。飛ぶ鳥も、たまにはゆっくり歩いてみることで、景色が変わる。お菓子を愉しむ時間は、とても自由な時間。ある意味、日常にある余白のような...。そんな時間をゆっくり楽しんでみては？という豊かな心が伺えます。

甘いものを食べるつかの間の時間を存分に満喫してもらいたいから、丹精込めて、拘り抜いて作るチーズケーキ。それを、ちょっとずつ、ゆっくり味わいながら食べる幸せ。作り手の愛情がじんわり伝わってきます。

「ARUKUTORI(歩く鳥）」は、神戸元町にあるおしゃれなコーヒースタンド「Lima Coffee（リマコーヒー）」に時々出没するそうです。美味しいコーヒー＆チーズケーキをテイクアウト。しかも、そのどちらもなかなか他では出会えない特別な味。神戸の人が羨ましくなってしまいます。

職人が1つ1つ丁寧に作る「ARUKUTORI（歩く鳥）」のチーズケーキ。厳選されたすばらしい素材が溶け合って、他にはない特別な余韻を残します。その余韻もゆっくり味わいながら、過ごす時間もまた格別。自分へのとっておきのご褒美に、気の効いた手土産に、覚えておきたい素敵なチーズケーキ屋さんです。