工場夜景とは、その名の通り、化学プラント、石油化学コンビナート、製鋼所、製鉄所などの大型工場が集中する工業地帯で観ることのできる夜景のことです。

日本を代表する工業地帯、「京浜工業地帯」がある神奈川県川崎市で、2011年の2月に「第1回全国工場夜景サミットin川崎」が開催されてから、工場夜景という言葉は一躍有名になりました。

漆黒の世闇、光を浴びて輝く複雑で幾何学的な構造をした巨大な建物が並び、大きな煙突から立ち込める水蒸気が織りなす景色は、どこか近未来的な雰囲気を漂わせており、まるでSF世界のような光景が広がっています。

太平洋ベルト（※）の最西部に位置する北九州工業地帯を支える北九州市は、九州地方の玄関口となっています。1901年に官営八幡製鐵所の開設以来、日本の経済発展を支える大きな礎としての役割を果たしてきました。


※茨城県から大分県まで続く太平洋側に立地している工業地帯の総称

近年では、バス、クルーズ船などを使った「工場夜景群鑑賞ツアー」がたくさん開催されており、気軽に北九州市の工場夜景見物を楽しむことができます。

北九州市の工場夜景は、日本五大工場夜景（北海道室蘭市、神奈川県川崎市、三重県四日市市、山口県周南市、福岡県北九州市）のひとつに数えられています。その圧倒的なスケールと傑出した美しさは訪れる人々を圧倒し、北九州市観光に欠かせないものとなっています。

1901年に官営八幡製鐵所として創業が始まって以来、数々の優れた鉄鋼製品を生み出し続けている日本製鉄八幡製鐵所は、北九州工業地帯のシンボルともいえる存在です。

日本製鉄八幡製鐵所の夜景は、工場夜景としてのスケールも圧倒的な規模を誇ります。「不夜城」というな名にふさわしい巨大なプラントは、日本の近代化を支えた基幹産業に相応しい堂々たる佇まいをしています。

日鉄ケミカル＆マテリアル（株）九州製造所は、石油化学工業製品のほか、パソコン、携帯電話といった身近な機械の素材を製造しています。大小無数に並ぶ煙突からは白い蒸気が噴き出しており、漆黒の闇夜を背景に迫力ある姿を見せてくれます。

ひびきエル･エヌ･ジー（株）ひびきLNG基地は、私たちの生活に欠かすことができない天然ガスを供給するエネルギー供給所天としての役割を果たしています。高さ54メートル、外径約83メートルを誇る大型タンクが夜空に輝く様は壮観です。

三菱ケミカル（株）福岡事業所は北九州市を代表する化学プラントのひとつです。複雑に入り組んだパイプが白く輝く様は幻想的で、ここを訪れると異次元の世界に足を踏み入れたかのような錯覚を感じます。

北九州市若松区南二島エリアからは、クルーズ船に乗らなくても対岸の工場夜景軍を臨むことができます。蒸気を吹き出す巨大な煙突、七色に輝く幾何学的なプラント、工場群を映し出す静かな海が織りなす抜群の景観はいつまで眺めていても飽きることはありません。

新日本三大夜景（山梨県笛吹川フルーツ公園／山梨県山梨市、若草山／奈良県奈良市、皿倉山／福岡県北九州市）のひとつに数えられる皿倉山からは、標高622メートルの山頂にある展望台から北九州市の工場夜景を一望することができます。

皿倉山はクルーズ船に乗らずに工場夜景を臨むことができるビューポイントとして人気を集めています。また、皿倉山の展望台からは北九州市街地の美しい夜景を工場夜景と併せて見渡すことができます。

黒崎城展望台は、今はわずかな石垣が残されているのみの黒崎城跡にある展望台です。黒崎城跡は、公園として整備されており、市街地から気軽に工場夜景を臨むことができる眺望スポットでもあります。