色とりどりのおばんざいに、京漬物。
升に入った黒豆に、ちりめん山椒。

【「京錦 井上」】
搗きたてのお餅に、焼きたてのだし巻き卵。
艶良く煮上げた棒鱈に、身欠きにしん。
若狭の鯖に、保津川の天然鮎。
伏見の銘酒に、上賀茂のすぐき漬け。
京の食の宝庫“錦市場”
京都の目抜き通り「四条通」の一筋北側。東西に伸びる「錦小路」うち、寺町通りから高倉通までの約400mは、“錦(にしき)”と古くから親しまれる、京の台所「錦市場」です。

京都”食べ歩き”スポット「錦市場」…
でも、“食べ歩き”だけでは「モッタイナイ」。
確かに“食べ歩き”は、心弾んで楽しいものです。
けれども、それだけを目的に「錦」に足を運ぶのは、実に“モッタイナイ”話です。
古くから、地元京都人の食卓を彩り、都の食を支え続けてきた“京の台所”です。ありとあらゆる食材や料理、食に関わる様々な商品が集まる、京都きっての商店街です。
観光客相手の新しいスタイルの商品やサービスを提供する店舗も増えましたが、商店街に並ぶ多くの店は、古くから当地で商いを続ける商店や老舗の出店です。地元の人々の暮らしとともに歩んできた店々が扱う商品は、他地域では味わえない逸品、入手困難な品ばかりです。

【春の食卓を彩るのは、やっぱり筍。独特の栽培法で育てられる「京たけのこ(白たけのこ)」は、肌理細やかで色白。柔らかく、風味豊か。京たけのこは、国産筍の最高峰です。】
“揃わぬものがない”食の宝庫「錦」

【「錦 京野菜 川政」の店頭。京野菜は、種類豊富。春夏秋冬、季節それぞれに、色とりどりの野菜が出回ります。画像は、師走の頃の葉物野菜。】
特色ある産物の都
北は舞鶴湾、若狭湾で日本海に面し、北部から中央部にかけて山地や高地、盆地が連なっています。南北に長い府内は、地域それぞれに異なる気候風土をもち、その土地その土地に見合った産業が古くから営まれ、特色ある産物が生産されています。
”食文化”の集積地
古から、内外の名産品や食文化が集積してきた地でもあります。都の外からもたらされた様々な食材や技術を取り込んで、食材の加工技術、料理技能を磨き、今日の日本料理の基礎を築き、発展させてきました。その歩みは、伝統を礎としながらも、けっして留まることはありません。

【「錦」の鮮魚店では、府内や近郊で水揚げされたものだけでなく、全国各地の漁港から旬の鮮魚が様々に取り寄せられ、商われています。】
“揃わぬものがない”食の宝庫「錦」
味噌や酒、豆腐や湯葉、佃煮や漬物といった調味料や加工品はもちろんのこと、煎餅や団子といった和菓子、煮物や焼き物、揚げ物といった惣菜(おばんざい)、全国各地から取り寄せた鰹節や昆布といった高級乾物等など、様々な品々が所狭しと並べられています。

【おばんざいの名店「京錦 井上」】
アーケードを歩めば、歴史ある市場の雰囲気、活気とともに、京都ならではの“食”に関わる品々を、好みのままに購入することが出来ます。
暮らしているように、流し歩いて。
自身の食卓や弁当箱を思い浮かべ、一つ一つ食材や惣菜を吟味し、何を作ろうかと思い浮かべるのは、“食”に興味のある方、料理好きの方なら、実際に“食べる”こと以上に心弾む一時です。
ランチなら、日中の気の張りもあって外食も楽しめますが、夕食のためにわざわざホテルから外出するのは疲れるもの。夕刻早目に「錦」を流し歩き、好きなものを少しずつ買い込み、宿泊先で気楽に頂けば、日中の疲れも癒やされ、京の味も楽しめます。
本記事の目次
紹介するのは、常備すると大活躍の“ご飯のお供”や、“美味しい食材”。車中や宿で楽しむ“惣菜”等などを中心に「錦」ならではの逸品の数々を紹介します。
食材の活用、旅のヒントも合わせて紹介しますので、記事参考に「錦」の買い物を、心ゆくまでぜひ楽しんで下さい。

★本記事の目次★
1.ご飯・お弁当のお供に!
1-1.漬物編(京都の三大漬物とお勧めの逸品)
1-1-1.京都冬の風物詩「千枚漬け」
1-1-2.免疫力向上・腸内環境改善に。「すぐき漬」
1-1-3.紫蘇の風味が爽やか「しば漬け」
1-1-4.わさびと長芋の風味と食感「長芋のわさび漬け」
1-2.多忙なあなたに。ちりめん山椒・佃煮・ぶぶ茶漬け・ふりかけ
1-2-1.上品な味わい“ちりめん山椒”
1-2-2.日々の食卓に。お弁当に。「昆布の佃煮」
1-2-3.京都ならではの絶品「ぶぶ漬け」
1-2-4.コクと風味。胡麻たっぷりの「ふりかけ」
1-2-5.ぶぶ漬けに。普段使いに。“番茶&ほうじ茶”
2.常備すれば活用大!の京都の美味しい食材
2-1.豆の旨味が凝縮。使いたい時にすぐに使える「干し湯葉」
2-2.モチっとした食感がたまらない。「生麩」
2-3.畑の宝石。「丹波産黒大豆」
2-4.ぜんざい作りに。「丹波大納言小豆」
2-5.京の風味を一振りで。“山椒&七味唐辛子”
3.車中やホテルでお気楽に。テイクアウトで楽しむ京の味。
3-1.旬の京野菜を使った“おばんざい”
3-2.ふっくらジューシー。“だし巻き玉子”
3-3.伝統の味「棒鱈煮・にしん煮」&コクたっぷり「うなぎの蒲焼」
3-4.味わいも。彩りも。京都の「お寿司」
3-5.気取らず食べる京都の「生和菓子」
旅のヒント:身軽に楽しく買い物を。宅配便を賢く使いましょう。
旅のおわりに
旅のInformation
※記事内画像で紹介した店舗、レシピについては、記事最後の「旅のInformation」でリンク先をまとめて紹介しています。
1.ご飯・お弁当のお供に!
千年の都・京都は、古くから漬物や甘露煮など、ご飯のおかずとなる保存食や常備食を、特に発達させてきた地域です。中でも、漬物と佃煮の種類は、実にバラエティ豊か。「錦」の多くの店で、色とりどりの漬物や佃煮を店頭に並べて、商いをしています。
1-1.漬物編(京都の三大漬物とお勧めの逸品)
京都では、”漬物”と一口に言っても、その種類は実に様々です。
塩漬け、糠漬け、味噌漬け、麹漬けなど、漬け方や漬け床も多様で、浅漬けから古漬け、長期乳酸発酵させたものまであり、漬け込む期間も、また漬け込む材料も多彩です。

【京都では、糠漬けも良く食され、出盛りの野菜を様々に漬け込みます。(画像は、「錦 高倉屋」の春の頃の店頭。関東ではお目にかからない白菜や壬生菜といった葉物野菜の糠漬けも並ぶ。)】
京都の三大漬物
「錦」には数々の漬物店がありますが、この三種の漬物は大方の店で販売しています。せっかく京都へ来ているのですから、“京の三大漬物”をぜひ味わってみましょう。
店によって味は千差万別。試食して購入しましょう。
漬物は、店それぞれに違いがあり、味わいが異なります。誰かかが美味しいといっても、自身の口に合うとは限りません。特に漬物は、塩加減と酸味(千枚漬けなら甘味)に違いがあり、好みが別れやすいジャンルです。また同じ店のものでも、野菜の収穫期によって味わいが変わりますので、購入の際は、必ず試食してから好みの漬物を買い求めるようにしましょう。

【試食する時は、添えてある小さなトングや箸で漬物を摘んで、手の平にのせてから口に運びましょう。(「枡悟」)】
1-1-1.京都冬の風物詩「千枚漬け」
正月料理の一品として知られていますが、酒の肴やお茶請けとしても良く、他の時期でも味わえる上品な漬物です。
1-1-2.免疫力向上・腸内環境改善に。「すぐき漬」
この“ラブレ菌”は、京都出身の岸田綱太郎博士が、「京都の男性は長寿」という記事をヒントに、京都人が好む漬物を徹底的に調べ上げた末、「すぐき漬」から発見され、命名された乳酸菌です。
元々植物性乳酸菌は、過酷な環境に耐えうる強い生命力をもち、胃酸等に死に絶えることなく、生きたまま腸まで到達すると云われていますが、その中でも特に「ラブレ菌」は、生命力が強い乳酸菌で、「すぐき漬」を常食すれば、免疫力向上、ダイエット効果等、様々な健康効果を得られると云われています。

【「京つけもの 高倉屋」の店頭。手前左が『すぐき漬け』。】
漢字で“酸茎”と記すように、すぐき漬けは、自然発酵した乳酸菌由来の酸味が特徴です。シャキシャキとした食感と、乳酸発酵と熟成による独特の酸味と風味がこの漬物の持ち味で、実と茎菜を頂きます。“かぶら”である実の方は、旨味と円やかな酸味が、そして茎菜の方は、キリッとした酸味が楽しめます。
すぐきに使われる酸茎菜(酸茎蕪)は、京都伝統野菜の一つで、かぶの変種。
この野菜は、上賀茂の社家(しゃけ/世襲で続く神職家のこと)から始まり、かつては上賀茂周辺のごく限られた地域のみで栽培され続けてきたものです。現在では京都を代表する漬物になりましたが、江戸期までは上層階級のみが口に出来た高級品だったと云われています。
「すぐき漬」は、「すぐき」の根本や皮などを削ぎ取りした後、一旦塩で荒漬けし、その後“てこ”の原理を利用した“天秤押し”という方法で、圧力をかけて本漬けし、乳酸発酵させ、熟成させます。
【画像は、上賀茂神社「武射神事」に奉納された「すぐき漬け」。重い石を天秤棒の先にぶら下げ、漬け樽に圧力をかけて、本漬けしています。】
1-1-3.紫蘇の風味が爽やか「しば漬け」
「しば漬け」は、全国的に食されている漬物の一つですが、京都・大原が発祥の地。
「しば漬け」は、漢字で“紫葉漬け”と書くように、赤紫蘇と茄子等の夏野菜を塩で漬け込み、乳酸発酵させた漬物です。大原の地に隠棲した建礼門院徳子を慰めるために、村の人々が献上した漬物で、その味わいの良さに感動した徳子が命名したと云わります。
そのまま、口直しやお茶請けとして頂くのも良いですが、美味しく味わうのなら、細かく刻んで醤油をほんの一滴加え、炊きたてのご飯と頂くのが一番。かつお節や納豆に、刻んで混ぜ入れるのもお勧めです。漬物店では、予め細かく刻んだしば漬けも販売しています。
1-1-4.わさびと長芋の風味と食感「長芋のわさび漬け」
長芋の独特の風味とシャキシャキとした食感、わさびのピリッとした辛味がアクセントで、後を引く美味しさです。湯気立つご飯のお供でも、お茶請けでも、酒の肴としても味わえる絶品漬物です。多くの店で扱っていますので、ぜひ好みの逸品を探して下さい。
1-2.多忙なあなたに。ちりめん山椒・佃煮・ぶぶ茶漬け・ふりかけ
1-2-1.上品な味わい“ちりめん山椒”
佃煮類の中でも、筆頭掲げるのは、やはり「ちりめん山椒」。
古くから京の人々に親しまれてきた庶民の味、京都の名産品です。山椒のピリリとした香りと辛味、ちりめんじゃこの旨味と味わいが、ご飯の甘味、美味しさを引き立てます。
けれども、その味わいは、店によって千差万別です。
「ちりめん山椒」を扱う店は、佃煮店から有名料亭まで数限りない程にありますが、はんなりとした上品な仕上がりのものから、濃厚な味付けまで実に様々。その違いは、京漬物よりもずっと大きいかもしれません。
値は張りますが、手間と材料、一回に食する分量を考えるとけっして高額商品ではありませんので、京都に出掛けたのなら、本場ならではの逸品に出会って欲しいものです。漬物同様に、京都の人々は贔屓の店で購入しますので、旅人であっても、出来る限り試食して自分好みのものを探してみましょう。
1-2-2.日々の食卓に。お弁当に。「昆布の佃煮」
「ちりめん山椒」に続くのは「昆布の佃煮」です。
京料理の基本は、昆布出汁。食堂から料亭、各家庭まで、昆布を沢山消費します。京の人々の食は、昆布の旨味とともにあるといっても過言とはならないかもしれません。京都には、古くから昆布を商う店が多く、ここ「錦」にも、昆布を扱う乾物店や専門店が数々あり、店頭には用途に応じた様々な種類の昆布を並べています。
1-2-3.京都ならではの絶品「ぶぶ漬け」
昆布の佃煮では、物足りないという方にお勧めなのは、“ぶぶ茶漬け(お茶漬け)”用の佃煮を購入しましょう。
ぶぶ漬けは、ちりめん山椒や昆布の佃煮でも十分に美味しいものですが、京都ならではのぶぶ茶漬けを味わうのなら、「鰻の佃煮」がお勧めです。鰻なので高級品ですが、手間暇かけて作られた鰻の佃煮は、絶品です。鰻の蒲焼きは、お腹にもたれるという方に特にお勧めの逸品です。

【佃煮は、味の好みがはっきり出る食品です。甘味や塩味の加減は店それぞれ。出来る限り試食して、好みのものを探しましょう。(画像は、京都ならではの「稚鮎の佃煮」。)】
ちりめん山椒・佃煮の使いこなしのヒント
たくさん買ったら、冷凍保存で。
旅で購入したものは、つい買ったことに満足して、冷蔵庫でそのまま放置されやすいので、注意が必要です。
気がつけば、賞味期限切れというのでは、旅の思い出も労力も台無しです。佃煮類の保存は、賞味期限内に食べ切れるのならば冷蔵ですが、すぐに使わない分は開封せずに、冷凍しましょう。
1パックを賞味期限内に食べ切れないのであれば、“購入後すぐに”ラップ等に小分けにしてから冷凍し、使う毎に自然解凍しましょう。冷凍保存期間は、開封しなかったものは、1ヶ月程度、開封後にラップしたものは、2~3週間が目安です。
1-2-4.コクと風味。胡麻たっぷりの「ふりかけ」
胡麻は、料理に欠かせない大事な食材です。特に胡麻とご飯の相性は抜群。
禅宗寺院が多く在する京都は、精進料理が発達した地。胡麻は、精進料理になくてはならない食材の一つで、古くから様々な料理や菓子に用いられてきました。「錦」には、胡麻の専門店や乾物店、珍味店で、白胡麻や黒胡麻、金胡麻など種類様々に販売されています。
1-2-5.ぶぶ漬けに。普段使いに。“番茶&ほうじ茶”

【茶の量り売りの店「茶・やまだしや」】
京都を含め、関西地方では、「ぶぶ漬け(茶漬け)」を、関東と比較してよく食します。また、関東では“茶漬け”の場合、湯や出汁を用いることが多いのに対して、関西ではその名の通り“茶”をかけて頂くのが一般的です。
京都では、番茶から玉露まで好みに応じて用いていますが、家庭で気楽にお茶漬けを頂くのなら、ほうじ茶や番茶がお勧めです。
特に、漬物やちりめん山椒、昆布の佃煮といったものなら、具材の味わいを引き立てるので、味わいの軽い「ほうじ茶」「番茶」「玄米茶」がお勧め。先に紹介した、鰻の佃煮といったコクのある具材には、濃いめの「煎茶」や「玉露」の方が、味のバランスがとれます。
2.常備すれば活用大!の京都の美味しい食材
以下で紹介するのは、京都の食には欠かせない食材です。常備すれば、和食に限らず、様々な料理で使え便利。美味しく頂け、いつもの料理がワンランクアップします。

【生麩の老舗「麸房老舗」の生麩と生湯葉】
2-1.豆の旨味が凝縮。使いたい時にすぐに使える「干し湯葉」
湯葉は、京都の名産品です。
良質な水が湧き出る京都では、水が美味しさの決め手である豆腐作りが盛ん。豆乳をもとに作るのは、豆腐ばかりではありません。京都名物の湯葉も、豆乳を加熱し、出来た皮膜を掬い上げたものです。
自宅使いなら「折れ湯葉(湯葉の端切れ)」がお特。
下拵えなしでも使えるので、普段の吸い物やみそ汁の具にぴったり。汁物なら、調味後に加え、ひと煮立ちさせるだけで食べられます。
2-2.モチっとした食感がたまらない。「生麩」
生麩は、小麦粉に含まれるでんぷん質を水で洗い流し、グルテンを形成したタンパク質を取り出して、もち粉を加え、加熱したもの。焼き麩は、グルテンに小麦粉を再度加えて焼き上げたものです。でんぷん質を洗い流す作業には、大量の水を使うため、良質の水なくしては生まれない食品です。
生麩の美味しさは、なんといっても食感です。モチモチとした「生麩」特有の食味は、一度味わうとクセになるものです。京都では、煮物や汁物など、様々に生麸を使いますが、生麩の美味しさをストレートに味わうのなら、生麩の田楽が一番です。味噌が生麩の食味を引き立て、たまらない美味しさです。
2-3.畑の宝石。「丹波産黒大豆」
料理好きの方なら、ぜひ買い求めて欲しいのが「丹波産黒大豆」です。
艶々と丸々とした“丹波産”の黒豆は、黒大豆の最高級品として、全国的に知られています。ここ「錦」には、乾物店や専門店で、丹波産の黒大豆の他、黒豆の甘納豆や炒り豆、黒豆茶や黒豆スウィーツ等、様々な黒豆商品が販売されています。
血液サラサラ、コレステロール低下、眼精疲労回復、精神の安定等が、黒豆の健康効果としてあげられていますので、美味しさだけでなく美容や健康のためにも、定期的に口にしたい食品です。
乾燥豆は、下処理に手間と時間がかかりますが、煎った豆を使えば、水に浸したり下茹ですることなく、米と一緒に浸水してから炊き上げることが出来ますので、ぜひ挑戦してみて下さい。
2-4.ぜんざい作りに。「丹波大納言小豆」
「大納言小豆」は、丹波地方だけでなく、小豆の一大産地北海道でも栽培されていますが、丹波産と北海道産では、味も見た目も、価格も、大きく異なります。丹波産の大納言小豆は、道産に比較して豆の大きさが1.5倍程あり、艷やか。調理した際の膨らみ方や食感も異なります。
丹波産大納言小豆で、美味しい「ぜんざい」を作りましょう。
丹波産は外皮が破れにくいため、豆の風味、食感がきちんと残り、汁も澄んで上品に仕立てられます。丹波大納言小豆を手に入れて、風味豊かな「ぜんざい」作りにぜひ挑戦してみましょう。
「ぜんざい」も所変われば…
2-5.京の風味を一振りで。“山椒&七味唐辛子”
山椒の効いた「七味唐辛子」も、京都の名物です。
七味唐辛子も、山椒粉も、うどんや蒲焼きだけでなく、みそ汁といった汁物や鍋物、焼き鳥やすき焼き、中華料理等様々な料理に使え、一振りかければ、ピリッと料理が引き締まります。
七味唐辛子も山椒粉も、空気に触れると香りが抜け、湿気てしまいますので、沢山買うのならば、大袋のものよりも小袋入を幾つか買う方が賢明です。「錦」には、その場で好みの味に調合してくれる専門店もありますので、辛味好きの方はぜひ立ち寄って、関東や信州のものとは異なる京都の七味も味わってみましょう。
3.車中やホテルでお気楽に。テイクアウトで楽しむ京の味。
「錦」には、焼き魚や煮魚、練り物や玉子焼き、おばんざい等など、帰りの車中や、宿泊先で気楽に頂ける、惣菜の数々が様々に並んでいます。
気になる料理を少しずつ購入して、宿泊先や座席に座ってゆったりと味わうのも、偶には楽しいものです。また京都近郊に住まわれている方なら、帰宅後の食卓で、旅の余韻を味わえます。
3-1.旬の京野菜を使った“おばんざい”
「錦」の惣菜店では、京野菜や湯葉等、京都伝統の食材を使った色とりどりの“おばんざい”が並んでいます。
京都の食は、「普段は質素、ハレの日に贅沢」という食のスタイルであると云われていますが、質素といっても、旬の食材を用いた料理は、彩り良く、味わい深く、食材の持ち味が活きた、実に贅沢なものです。季節感や手仕事を失いつつある現代の食生活においては、口にしているような気がしているだけで、実際においては、思う程味わっていないかも知れません。

【「京錦 井上」の旬の野菜をたっぷり使った“おばんざい”の数々。春なら断然『若竹煮』。】
料理好きの方なら、食材のもつ本来の旨味を活かした味わいや味付けが参考になるはずです。料理のレパートリーを増やしたいのなら、まずは、参考となる料理を頂いてから。幾らレシピを参考にしても、味わってみなければ、ご自身の力量は上がりません。たとえ全てを口に出来なくても、惣菜店に並ぶ料理の数々を眺めるだけでも、食材の組み合わせ方がよく分かり、料理の参考になるはずです。
3-2.ふっくらジューシー。“だし巻き玉子”
玉子焼きの味わいは、地域によって異なります。
関西、特に京都の玉子焼きは、「だし巻き」と言われる“出汁”をたっぷりと含んだスタイル。ふっくらとした食感と出汁の味わいが特徴です。口に含んだ時に広がる、出汁の旨味と甘味、玉子のコクの絶妙なハーモニーが堪らない美味しさです。
“玉子焼き”に目のない方は、ぜひ購入して、本場関西のだし巻きを味わってみましょう。初めて買うのなら、プレーンの「だし巻き」がイチオシ。店それぞれに、出汁の味わいと、焼き加減が微妙に異なるので、店を迷うのならば、小さい出汁巻きを一本ずつ購入するのもお勧めです。
3-3.伝統の味「棒鱈煮・にしん煮」&コクたっぷり「うなぎの蒲焼」
「棒だら煮」は、京都のおせちに欠かせない料理。また「にしん煮」も、京都名物“にしんそば”で良く知られる京都を代表する伝統の味です。しっかりとした骨太の味付けが、ご飯のお供、酒の肴にぴったりです。

【乾物の棒鱈や身欠きにしんを、水で戻したり、煮付けたりするのは、手間がかかり、調理も味付けも少々年季がいります。美味しいものを味わいたいのなら、本場の「錦」で煮上げたものを購入するのが一番。(画像は「身欠きにしん」】】
にしんならではのコクは、焼酎やビールのアテにぴったり。酒呑みならきっと好きになるはず。
また京都名物「にしんそば」は、にしん煮さえあれば、簡単に作れますので、ぜひ仕入れて帰りましょう。「錦」では、海産乾物店や惣菜店、珍味店や佃煮店などで販売しています。日持ちする真空パックのものも販売しています。
庶民価格で絶品の蒲焼きを。
「錦市場」は、元々川魚や野鳥を扱う鮮魚店が集まって始まった市場です。現在でも「錦」には、川魚を専門に扱う店があり、店頭では、鮮魚の他、鯉こくや稚鮎の佃煮、雀焼きやうなぎの蒲焼等など、様々な川魚や野鳥を使った惣菜が並んでいます。
どれも、酒の肴にぴったりですが、一人旅の方にお勧めなのは、うなぎの蒲焼き弁当です。リーズナブルな価格で美味しい鰻が堪能できます。
3-5.味わいも。彩りも。京都の「お寿司」
京都で「お寿司」と言えば、日本海から運ばれる鯖を用いた、京都名物の“鯖寿司”。熟れた鯖と昆布の旨味が、酢飯と渾然一体となった味わいは、格別。鯖寿司でしか生まれない食味です。
3-6.気取らず食べる京都の「生和菓子」
有名店を訪ね、高級和菓子を味わうのも一興ですが、「錦」へ行くのなら、地元の方々が普段頂く、気取らない和菓子も楽しんでみましょう。
旅のヒント:身軽に楽しく買い物を。宅配便を賢く使いましょう。
錦で沢山買い物をしたら、手荷物が増えてしまうので困るという方は、積極的に宅配便を使いましょう。
錦市場周辺には、宅配便の営業所があります。コンビニや郵便局と異なり、クール便も受付け、専用のダンボール箱も用意されています。好きなだけ購入して、そのまま受付所へ行けば、重たい思いをせずに旅路を楽しむことが出来ます。

錦市場近隣の宅配業者営業所
両者共に冷蔵・冷凍の発送を扱っていますので、買い物に応じて賢く利用しましょう。場所や営業時間、料金等の詳細は、直接以下のサイトを訪れて確認して下さい。宅配便サービスを積極的に活用して身軽で楽しい旅をしましょう。
ヤマト運輸
佐川急便
旅のおわりに
湯気の立ったおばんざい。番茶や削り節の芳香。
餅搗きの合いの手。はんなりとした京ことば。
鮮魚の包丁さばき。だし巻きの職人技。
せっかく「錦」へ行くのなら、話題の食べ歩きだけで終始しては、実にもったいない話です。記事を参考に「錦」で買い物を楽しんで、旅のおわりをしめくくりましょう。
旅のInformation
今記事で紹介した店舗一覧

★漬物:枡悟 本店・京つけもの 錦高倉屋・打田漬物
★佃煮・惣菜:京こんぶ 千波・野村佃煮 錦店・不二食品・京錦 井上・錦 平野
★海産乾物店:島本海苔店
★豆・雑穀:京丹波 錦市場本店・黒豆茶庵・北尾 錦店・椿屋
★珍味・胡麻・香辛料:櫂・杵つきごま本舗 ごま福堂 錦市場店・おちゃのこさいさい
★湯葉・生麩:湯波吉・近喜商店・麸房老舗
★だし巻き玉子:三木鶏卵・田中鶏卵
★青果:錦 京野菜 川政・京野菜 かね松老舗
★鮮魚・川魚・焼魚:鮮魚 木村・大國屋・のとよ 西店・魚力
★茶:やまだしや
★寿司:伊豫又
★和菓子・餅:幸福堂 錦市場・錦 もちつき屋
(※店舗は、順不同)
【「枡悟」の旬の野菜を漬け込んだ「京漬物」】