20世紀を代表する巨匠アンリ・マティス
マティスは1869年にフランスのル・カトー・カンブレジで生まれ、当初は絵画とは無縁の法律を学び、法律事務所に勤めていました。
そして21歳の時に、盲腸炎をこじらせ療養している間に絵を描き始めました。そこがマティスの画家人生の始まりとなっています。
初期のマティスは写実的なものからスタートし、印象派、新印象派から影響を受けながら試行錯誤を重ね、自らのスタイルを模索していました。
その後、ラッセルやゴッホといった後期印象派の影響を受け、自由な色彩による表現に出会い、のちにフォービズムと呼ばれることとなる自らの絵画のスタイルが生まれました。
マティスが描くフォービズム
マティスは、目に映る色をそのまま描くのではなく、マティス自身の内側にある色彩で表現していくこれまでに類を見ない奔放なスタイルを身につけます。
「緑のすじのあるマティス夫人」
こちらは初期の代表作「緑のすじのあるマティス夫人」。顔の真ん中に太い緑色の線を中心に左右それぞれ異なる色彩と筆使いで描かれており、マティス自身の内面を表現していると言われています。
「ダンス」
MoMAに所蔵されている有名な「ダンス」。音楽やダンスはマティスの作品の中で多く描かれているテーマです。わずか3色で描かれたこちらの作品は簡潔ではありますが、躍動感を感じます。
「大きな赤い室内」
さらにマティスが多く描いたカテゴリーのひとつ「室内」。引き込まれるような鮮やかな赤が特徴のこちらの絵は、一見平面ともとれるような構図で、よく見ると奥行がある室内を描いています。
マティスのドローイング
晩年のマティスの作画スタイル
癌を患い車椅子生活となってしまった晩年のマティスは、絵を描く代わりに色を塗った紙を切り抜いた切り絵で、新しい表現スタイルを生み出しました。
「ジャズ」
その切り絵作品で代表的なものが、切り絵の挿絵本「ジャズ」。サーカスやサンゴ礁、ハート形といったユーモアのあるモチーフの切り絵作品が集められています。
絵画以外にもさまざまな作品があります
ロザリオ礼拝堂
マティスの彫刻作品
いかがでしたか?
最晩年まで芸術に対する情熱を失うことなく、さまざまな手法で作品を発表し続けていたマティス。その情熱は、マティスが描く線や色彩から存分に伝わってきます。枠にとらわれることなく自由を追求してきたそのスタイルは、多くの人々を長きにわたり魅了してきました。最近では気軽にインテリアとして楽しめるマティスの作品のポスターがありますので、この機会に数多くの作品の中から、感性に触れる作品を選んでみてはいかがでしょうか。
20世紀前半を代表するフランスの画家アンリ・マティス。自然を愛し、緑を中心とした色彩溢れる世界を描き続けた「色彩の魔術師」。