インタビュー
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vol.17 klala・滝沢緑さん -誰かの記憶や心に残るものを紹介していきたい

写真:神ノ川智早

暮らしにまつわるアイテムやヴィンテージのアイテムを扱うセレクトショップklala(クララ)。東京・三軒茶屋に実店舗を構え、この街で食をメインにしたSUNDAY MARKET(サンデーマーケット)を開催しています。店主である滝沢緑さんにお話を伺いながら、klalaの魅力を探ってきました。

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2015年08月14日作成

家族の夢を叶えるお手伝いをしたい

vol.17 klala・滝沢緑さん -誰かの記憶や心に残るものを紹介していきたい
かわいらしい外観。住宅街の中にひっそりと佇んでいます

かわいらしい外観。住宅街の中にひっそりと佇んでいます

賑やかな東京・三軒茶屋の駅前から少し離れた静かな住宅街に佇むklala(クララ)。小さなお店の前には緑がまぶしい桂の木が豊かな葉っぱを揺らしています。ガラスの扉を開けて入った店内は、器・雑貨・洋服・ヴィンテージアイテムが並び、どこか安らぐ居心地の良さがあります。

「お店ではヴィンテージと現行品を混ぜて飾っています。新しいものばかりじゃなくて、古いものもあったりする。家ってそうなのかなって。この小さなスペースで宝探しをするようにお気に入りのものを見つけてもらえたらと思っています」

と話すのは可憐な雰囲気をまとうklalaの店主滝沢緑さん。「クララ」という店名の音の響きもお店の雰囲気も滝沢さんにあまりにぴったりなので、全て滝沢さんのセンスなのかと思いきや、ライフスタイルショップのバイヤーをしている滝沢さんのご主人が個人で始めたヨーロッパのヴィンテージアイテムを取り扱うウェブショップがklalaの出発点なのだそう。ご主人の「いつかは実店舗を出したい」という夢をずっとそばで見守っていた滝沢さんが自らklalaの店主となったきっかけは、桂の木が目印の今の物件との出合いでした。
ここが宝探しの場所

ここが宝探しの場所

vol.17 klala・滝沢緑さん -誰かの記憶や心に残るものを紹介していきたい
もともと住んでいた部屋からの引越しのため、物件を探していた滝沢さん夫妻は、今のお店の物件を偶然見つけます。「ちょっと見に行ってみようか」と軽い気持ちで見に行くと、大家さんが素敵だったこと、そして何よりその場所が小さなスペースでお店をやりたいと思っていたふたりのイメージにぴったりだったことが決め手となりお店を開くことを決めます。この物件との出合いが実店舗を持つという「いつかの夢」を、「手の届く未来」へと変えたのでした。しかし、ふたりともそれぞれ別の仕事がある身。お店を持つならどちらかが仕事を辞めないといけない。ずっとご主人の夢を追う姿を見てきた滝沢さんは、「家族の夢を叶えるお手伝いをしたい」という思いから店主としてお店をやっていくことを決めたのだそう。

「主人にあの時にやっておけばよかったとか、お店を出しておけばよかったという後悔をしてほしくなかったんです。私自身も応援してあげられなかったことで後悔するのが嫌だったし、やってみようと思いました。でも、不安よりわくわくの方が強かったです。まずやってみよう。そこから先のことはその時に考えようって」

そんな家族への愛情が滝沢さんをklalaの店主にしたのでした。
アンティークのアイテムがさりげなく置かれています

アンティークのアイテムがさりげなく置かれています

こちらは調理道具のスペース

こちらは調理道具のスペース

お店を始めてからふたりのklalaになった

物件契約からわずか3ヶ月後となる2010年1月。滝沢さんが店主となり実店舗を構えたklalaは新たなスタートを切りました。外観も内装もほとんど手を加えず、当時の什器は滝沢さん夫妻が住む家から運んできた棚を使っていたのだそう。

最初はヴィンテージのアイテムが中心でしたが、実店舗を持つことでウェブショップだけでは取り扱うことができなかった作家さんの作品やアイテムを置けるようになり、器や雑貨を中心に洋服や食なども含めた衣食住を取り扱うお店へと成長していきました。
滝沢さんが手にしているのは、オープン当初から取り扱っているスウェーデンの陶芸家ヨナス・リンドホルムのマグカップ

滝沢さんが手にしているのは、オープン当初から取り扱っているスウェーデンの陶芸家ヨナス・リンドホルムのマグカップ

陶器なのに琺瑯のような質感が特徴。実際に自宅で愛用しているのだそう

陶器なのに琺瑯のような質感が特徴。実際に自宅で愛用しているのだそう

こちらもオープン当初から取り扱っているイイホシユミコさんの作品

こちらもオープン当初から取り扱っているイイホシユミコさんの作品

「お店を始めてからふたりのklalaになった気がします」と言う滝沢さん。店主になってからは実際に使ってみて、いいと思ったものを基準に夫婦で意見を出し合いながらお店に置くアイテムをセレクトしているのだそう。

「誰かの記憶や心に残り、その人に一生寄り添えることができるようなもの、消費されて終わってしまわないものを紹介していきたいです」

そう話す顔は、一段と輝いて見えました。

笑顔が生まれるSUNDAY MARKET

klalaを語る上で忘れてはならないのが、お店がある三軒茶屋で3ヶ月ごとに開催されている「SUNDAY MARKET(サンデーマーケット)」。「食べ物には人を笑顔にする力がある」と取り扱うものは食がメイン。滝沢さんがおすすめする野菜、菓子、パン、ジャムなど全国各地のお店が出店しています。

このマーケットの始まりは大家さんの一言でした。

「この物件の契約が10月だったのですが、『オープンの1月まで時間が空くから、何かスペースを使ってやったらどう?』と大家さんに言っていただいたんです。それでお披露目会のような形で2009年12月に第一回SUNDAY MARKETをここで開催したのが始まりです」
(画像提供:klala)

(画像提供:klala)

(画像提供:klala)

(画像提供:klala)

2014年からは、同じく三軒茶屋でカフェを営むOBSCURA COFFEE ROASTERS(オブキュスラ コーヒー ロースターズ)と「街を盛り上げていこう」という思いの下に共催しています。そのことをきっかけに滝沢さんの心にも変化が。

「今までは自分たちが好きなものを販売することで満足を得られていたんですけど、オブスキュラコーヒーさんと共催するようになって、街と一緒に何かできればいいなという思いが強くなりました。世界が広がったような気がします」

出店者同士、出店者とお客さん、出店者と滝沢さん、お客さんと滝沢さん......。SUNDAY MARKETで、滝沢さんは店主としてお店にいるだけでは知り得なかった、人と人とのつながりを感じることができたのだと言います。そして、そこで感じたものをまたお店へと還元したいと思うようになったのだそう。

「人と人、人とものなど、全てが出会いであり、縁だと思っています。まだふんわりとですけど、将来的にもしお店を大きくすることができたら、ものの販売だけでなく体験や交流が活発に行われるような場にしたいと思っています」

夢を叶えることよりも、行動していくその過程が大事

「お花が好きで家でも飾るようにしている」という滝沢さん。もちろんお店にも

「お花が好きで家でも飾るようにしている」という滝沢さん。もちろんお店にも

店主になったいきさつ、SUNDAY MARKETをはじめるきっかけなど、ここまで抗うことなく、そよそよと風が流れるほうへ身を任せるように進んできた滝沢さん。それは、決して自分がないというわけではなく、しなやかな芯がしっかりとあるからこそできることなのだと思います。

「うじうじと考えることもやっぱりあります。でも、結局はなるようにしかならないかなって。途中で問題が起きたとしても、その時にまた考えて動けばいい。夢を叶えることよりも、行動していくその過程が大事だと思うんです」

儚げでかわいらしい印象の滝沢さんの中にある、たくましく、強い女性の一面。そのギャップを持った店長がいることがklalaの最大の魅力なのかもしれません。
「儚げだと言われることもあるのですが、本当は男っぽいんですよ」と滝沢さん

「儚げだと言われることもあるのですが、本当は男っぽいんですよ」と滝沢さん

「お店に立っていても気負わず、普段と変わらない自分のままでいます。だからお客様にもリラックスして、ゆっくり見ていただきたいと思っています」

自分だけの宝物を探しに、魅力的な店主に会いに。またこの場所にふらりと足を運びたいと思ってしまうのは私だけではないはずです。
klala|クララklala|クララ

klala|クララ

三軒茶屋に実店舗をもつ、食器・オブジェ・生活雑貨のセレクトショップ。暮らしに溶け込み、彩りを与えてくれるグッドデザイン、ヴィンテージ品、国内外の作家の作品など選りすぐりのアイテムを世界各国から集めている。また、実店舗のある三軒茶屋の街でサンデーマーケットを3ヵ月ごとに開催している。

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