オーディオ世界遺産といわれる名店は、道玄坂の中程、百軒店（ひゃっけんだな）のど真ん中にあります。なんとも歴史を感じさせる外観。それもそのはず。創業は1926年。昭和20年の東京大空襲で建物は全焼したそうですが、その5年後にまったく同じ造りで再建し、現在まで営業を継続されています。

店内には1Fから2Fにまで伸びている、3mを超す高さの巨大スピーカーシステムが鎮座。ボックス席以外の座席は、そのスピーカーに向かって全員が同じ方向を向き、パイオニアの技師が特注で組んだ3Dスピーカーから流れるクラシック音楽を静かに楽しみます。所蔵レコードは約5000枚。日替りで3時と7時に定時コンサートがあり、音源を渡してリクエストも可能です。

店内は撮影禁止で、私語は控えめというのがお店のルール（もちろん、携帯電話も禁止）。入店するとメニューと共に今月のプログラムが配布されます。

メニューはコーヒーや紅茶、ソーダ水などのクラシカルな喫茶店メニューのみ。一人黙って考えごとをするには最高の場所。そして、何も考えたくないときにも行きたい場所です。

BGMはもちろんクラシックで、所有レコードは約500枚。何時間でもまったりすごせる空間です。

こちらは2007年11月開店の、まだ新しい喫茶店ですが、実は2005年に惜しまれつつ閉店した東京・中野の名曲喫茶「クラシック」の正当な後継店。

「クラシック」の元従業員が「クラシック」の壁に掛かる古時計や蓄音機などの調度品やレコードを譲り受けて開いた名曲喫茶なのです。

「全席喫煙」「飲み物の持込みはできません」とあります。メニューは珈琲、ジュース（オレンジジュース）、ティーの3種類のみで、「クラシック」と変わらず、食べ物はご自由に持って来てくださいというシステム。ちなみに前金制で、飲み物のお代わりは200円です。

黒板でリクエストを受付けるスタイルは「ルネッサンス」になっても健在。薄暗い店内は深いやすらぎに満ちた、まさに隠れ家といった雰囲気です。リクエストも可能。名曲喫茶にはめずらしく、おしゃべりもOKですが、ひそひそ声程度にしておきましょうね。

ミニヨンのオープンは1961年。1971年に現在の場所に移転しました。先代の深澤千代子さんが91歳で引退した後、その意志を継いだのが、スタッフとしてともに働いていた小林眞理子さんです。

ミニヨンはコンサートサロンやギャラリーも兼ねていて、自主企画や持ち寄り企画の室内楽など、さまざまなサロンコンサートも開催。30席程度の落ち着いた佇まいの店内には、書斎として足繁く通う近所の常連さんの姿も。

フードメニューやアルコールもあり、堅苦しくないそのあたたかさは「日常の中のほっとする時間」を提供してくれます。

名曲喫茶ヴィオロンがオープンしたのは1980年。

明かりが落とされた薄暗い店内には、革張りの椅子のほとんどがスピーカーに向かって並び、クラシックオルガンや昭和初期の壁掛電話機、フロア型蓄音機など年代物のアイテムがあちらこちらに飾られています。

店の奥の大きなスピーカーはマスターの寺元健治さんの手づくりで、アンプも自作！その部品の多くはドイツやフランスに出向いて手に入れたそうで、音響へのこだわりも徹底しています。

ツタの絡まった一軒家の扉をあけると、真空管アンプから流れる澄んだあたたかい音に包まれます。ちなみに「ヴィオロン」とはフランス語でヴァイオリンの意味。寺元さんの大好きな楽器だそうです。

昔の名曲喫茶のシステムと同じで、食べ物の持ち込みは自由。コーヒー、紅茶にはブランデーをちょこっと垂らすか、ミルクを入れるかを選ぶことができます。

オープンは1955年。趣のある古い入口のドアの向こうにいらっしゃるのは、マダムの鈴木冨美子さん。「このように歳を重ねたい」と感じさせる、その上品さと美しさが評判です。

画廊喫茶でもあるため、絵画や彫刻がさりげなく置かれています。リクエストは受けていませんが、持参したレコードをかけてもらうのは可能。自宅で聴くのとお店で聴くのでは、きっとまるで違うはず。

マダムが丁寧にいれてくださる飲み物もまた素敵。深紅のイスに腰かけて一人でゆったりと読書や勉強をしたり、友人と静かに会話を楽しんだりするのに良い雰囲気。席は少しずつ区切られているので、周りを気にしなくてすみます。パソコンは使用禁止です。

1957年創業。国分寺駅北口からわずか数分のところにある、大正時代の米蔵を米蔵を改装した建物です。勇気を出して扉を開けてみましょう。

1974年に開店。すぐ隣にはジャズ喫茶「メグ」があります。

聴きたい曲があればリクエストカードに書き込むことも可能。私語厳禁なので意識を集中して耳を傾けることができます。

コーヒーを飲みながら音楽に耳を傾けてみてはいかがですか？