「女の友情」について描かれた映画たち
【旅するジーンズと16歳の夏】
【あらすじ】
カーメン、ブリジット、リーナ、ティビーは共に育ち、喜びも悩みも分かち合ってきた仲良し4人組。16歳の夏、別々に旅に出ることになった彼女たちは、ある日全員にぴったり合う不思議なジーンズを見つける。このジーンズがまるで友情の絆そのもののように思えた4人は、素晴らしいアイディアを思いつく。
それはこれから数カ月離れ離れになってもこのジーンズを友情の絆とし、1週間はいて、その間に起きた素晴らしいことを報告するのと一緒に、このジーンズを次の相手に送るというものだった。
その結果・・・ジーンズは彼女たちのひと夏に、思いがけない変化を巻き起こすことに・・・!
将来の夢、家庭問題、恋愛、コンプレックス、そして生と死...。
4人の少女が支え合い、時には対立し、前に進んでいく姿はリアリティがあり感動的。誰もが焦りながら手探りで過ごした思春期を思い出す、ティーンの友情を丁寧に描いた作品です。
【チアーズ!】
次にご紹介する【チアーズ!】は、高校のチアリーディング部を舞台にした作品です。スポーツに青春をかけた友情、困難を乗り切ってチームとしてまとまっていく姿に、エールを送りたくなります。一見華やかに見えるチアリーディングの影には、危険で過酷な練習と努力の日々、ライバルとの熾烈な戦いがあるのでした。
【あらすじ】
全米大会で常勝の高校チアリーディング部。念願かなってチア・リーディング部「トロス」の新キャプテンに選ばれたトランス(キルスティン・ダンスト)は益々張切るが、大会直前に部員のケガ、彼氏の浮気、同期の反乱などトラブル満載。
それに加えて、チーム伝統の振付が前キャプテンによる盗作だということが発覚。自分たちの実力を正当に評価してもらうべく、気持ちを切り替えて新作で挑む事になるが。。。
コメディ要素もあり、とにかくキラキラと明るく元気が出る映画ですが、意外にもラストで泣いてしまった人も多いとか。困難なことがあっても、友情や信念が進むべき道を指し示してくれる、ということを思い出させてくれます。
今やベテラン女優のキルスティン・ダンストも、フレッシュで元気全開です。ダンスアクションや音楽も躍動感があり、見応えがありますよ。テーマソングの「Mickey」は日本でも大ヒットしました。
【マルタのやさしい刺繍】
青春映画の次にご紹介する映画【マルタのやさしい刺繍】の主人公は80歳。一念発起して自分の夢を追うマルタを励ますのは、3人の親友たちです。女友達の存在はいくつになっても心強いんです。
【あらすじ】
スイスの小さな村、トループ村に住む80才のマルタは、最愛の夫に先立たれ生きる気力をなくし、意気消沈しながら毎日をただ何となく過ごしていた。そんなある日、彼女は忘れかけていた若かりし頃の夢、“自分でデザインして刺繍をした、ランジェリー・ショップをオープンさせること”を思い出す。
しかし保守的な村では、マルタの夢はただ周りから冷笑され軽蔑されるだけ。それでもマルタは友人3人とともに夢を現実のものとするために動き出す。スイスの伝統的な小さな村に広がる、夢に向かって頑張るマルタと彼女を支える仲間たちの夢と希望の輪。
マルタの刺繍が、人々の心をやさしくあたたかく紡いでゆく―。
ポジティブな気持ちは伝染するのでしょうか。夢を追う友人を応援することで、親友たちにも変化が現れるのが面白いところ。良い友人関係は様々な幸せをもたらしてくれるのですね。
主演のシュテファニー・グラーザーはスイスのベテラン女優さんだそう。眼差し一つにしても深みを感じる演技が素敵です。本国スイスだけでなく、日本でも大ヒットし、ミニシアターランキング洋画部門第1位(2008年)を獲得しています。牧歌的なスイスの自然、可愛らしいファッションと刺繍に心がほっこりすること間違いなしですよ。
【ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密】
【ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密】は、長年に渡る女の友情の素晴らしさを伝えてくれます。ニューヨークで暮らす若手劇作家の主人公は、雑誌インタビューで母親を非難するような発言をしてしまい、母と大喧嘩の果て絶縁になります。そんな時に田舎から訪れてきたのは、何と母の親友たちでした。
【あらすじ】
そこには、娘の知らなかった若い日の母がいた。色あせたスクラップブックのタイトルは『ヤァヤァ・ シスターズの聖なる秘密』。
ページをめくるたびにあふれだす、母とその3人の親友たちの輝 く日々、そして秘密。セピア色の写真、色あせた手紙、チケットの半券、ドラ イコサージュ……。ヤァヤァ・シスターズの4人組---は、ひとり ひとりが眩しいほどの個性で、若い日を懸命に生きていた。
そして、娘はその時はじめて知る、母になる前の母にも欲しかった愛があったことを。生きたかった夢があっ たことを。わがままで非常識で尊大で、周囲の人間を傷つけずにいられない--そんな母もまた、傷ついた心を抱えた一人の女であることを。そんな大切な母のことを教えてくれたのは、8歳の時に結成してから50年以上にわたって、人生のあらゆる悲しみと困難をともに乗り越え、支え合ってきた母の特別な友達、ヤァヤァ・シスターズだった。
破天荒な仲裁劇は、過去の話を辿りながら進みます。主人公と一緒に知られざる母の姿を追体験していく中で、人生を取り巻く絆の輝きに、思わず涙が止まらなくなるかもしれません。
原作は、母娘の葛藤と愛を描き全米ベストセラーになったレベッカ・ウェルズの同名小説です。二世代に渡る女性たちの鮮烈な物語は、役柄にそれぞれファンクラブができるほどの「ヤァヤァズ・ブーム」を全米で巻き起こしたそう。サンドラ・ブロックをはじめベテラン女優の競演と、アメリカ南部のゆったりした空気が楽しめます。
【テルマ&ルイーズ】
映画【テルマ&ルイーズ】は、親友同士の気晴らし旅行が思いがけない逃走劇になってしまうアクション・ロードムービーです。相次ぐトラブルの中、性格の全く違うテルマとルイーズが支え合いながら続ける旅路にハラハラドキドキさせられます。
【あらすじ】
ドライブ旅行へ出かけた平凡な主婦のテルマとダイナーの中年ウェイトレス・ルイーズ。だが、途中のバーでレイプされそうになったテルマを救うため、ルイーズは男を射殺してしまう!二人の旅は一変して悪夢のような展開に──!
若い男を道連れにしたり、逃亡資金を工面する日々を過ごすが、警察の追跡は次第に激しくなる…!
追い詰められていくようでいて、次第に大胆になっていく二人。越えられない男性社会の壁や抑圧から解放されていくテルマとルイーズの、悲しい自由に胸を打たれます。壮絶でいてどこか爽快感さえ感じさせる二人の友情は、多くの映画ファンの心を捉えました。
【ルームメイト】
時として、女同士の関係は心温まるものだけではありません。【ルームメイト】は歪んだ友情によって追い詰められていくスリラー映画です。第一印象も良く、順調に思えた新しい女友達ですが、次第にその態度は豹変していきます。
【あらすじ】
マンハッタンのアパートに住むワーキング・ウーマン、アリソンは恋人サムと別れた寂しさに耐えかねルームメイトを募集、シャイで野暮ったい娘ヘドラと共同生活を始めた。二人の生活は順調に進むかに見えた。
ところが、アリソンがサムとヨリを戻した頃から、へドラは心の奥底に潜んでいた狂気を徐々に露わにし始める。服装、髪型すべてが自分と生き写しになっていくヘドラに怯えるアリソン。遂に狂気を剥き出しにして自分への愛を求めるヘドラと追いつめられたアリソンとの、死を賭けた闘いが始まった!
映画【ルームメイト】の関係は行き過ぎですが、女の友情には、真似したい、独占したい、自分だけは特別だと思いたい、という感情が芽生えることもあったりしますよね。そうは言っても自分は自分、お互いの個性や距離を大事にして尊敬し合うことこそが、友情の在り方なのかもしれません。
原作はジョン・ラッツのサイコミステリー小説の「同居人求む」。ルームメイトのジェニファー・ジェイソン・リーがどんどん変貌し、主人公のブリジット・フォンダそっくりになっていく過程が見所です。映画公開当時「ストーカー」という言葉もなかった中、ジェニファー・ジェイソン・リーの怪演はメディアでも評判になりました。
【アップタウンガールズ】
最後にご紹介するのは、NYのハイソサエティな社会を舞台にした【アップタウンガールズ】。大人になりきれない元セレブの主人公が、やむなくベビーシッターをすることになったのは、大人びた8歳の少女でした。
【あらすじ】
今は亡き伝説的ロックスターの娘、モリーは、ある日父親の遺産を会計士に持ち逃げされてしまい、一文無しになってしまう…。日々の生活費にさえ困る身分となってしまったモリーは、生まれて初めての職探しを始めることに。ところが今まで気ままなお嬢様暮らしをしてきたモリーに、そう簡単に良い仕事が見つかる訳もなく……。
こうして行き着いたのは、まだ8歳なのにすでに人生を達観しているかのような可愛げのない少女、レイのベビーシッターだった。レイは両親の愛情を受けることなく育ったせいで、「甘える」という事を全く知らない女の子。
初めは何から何までソリが合わず、衝突し合う2人。だが、いがみ合い、本気でぶつかり合っていくうちに、いつしか誰もが想像だにしなかった、かけがえのない友情を築いていくことに──。
一緒に過ごす内に互いを気にかけ、向き合うことで、心と心を通じ合わせていく二人。全く対照的な性格でいがみ合っていたのに、いつの間にか一緒に笑ったり泣いたり。友情には年齢は関係ない...年の差があっても世代が違っても、大切な友達同士になれるって素敵なことですね。
【アップタウンガールズ】の主演は、惜しまれつつ早世したブリタニー・マーフィー、相手役には天才子役と呼ばれたダコタ・ファニングが出演しています。全編を通して映し出されるNYの景色も、おしゃれなアクセントとなっています。
複雑、そして貴重な女同士の絆
様々な女の友情を描いた映画には、心を揺さぶるリアリティがありますね。素敵な友情は、いざという時の力になり、人生を輝かせてくれます。そのどれもが頂きもののご縁だと思って、感謝しながら過ごしたいですね。
最初にご紹介するのは、16歳の少女たちの一夏を描いた【旅するジーンズと16歳の夏】です。多感な時期に迎える「夏休み」という特別な時間の中で、不思議なジーンズがそれぞれの体験を繋いでいきます。