工場夜景とは、その名の通り、化学プラント、石油化学コンビナート、製鋼所、製鉄所といった大型工場が集中する工業地帯で観ることができる夜景のことです。

日本を代表する工業地帯、「京浜工業地帯」がある神奈川県川崎市で、2011年の2月に「第1回全国工場夜景サミットin川崎」が開催されてから、工場夜景という言葉は一躍有名になりました。

漆黒の世闇、光を浴びて輝く複雑で幾何学的な構造をした巨大な建物が並び、大きな煙突から立ち込める水蒸気が織りなす景色は、どこか近未来的な雰囲気を漂わせており、まるでSF世界のような光景が広がっています。

日本の工業を支える京浜工業地帯の一部となっている川崎市の臨海部には、製鋼所、製油所、石油精製工場、火力発電所、など無数の工場が集中しています。そのため、川崎市における工場夜景の規模は、全国でも傑出しています。

かつては「無機質な景観」でしたが、2008年から開始されている工場夜景ツアーによって、川崎市臨海部における工場夜景は一躍有名になりました。

東京都心からのアクセスの良さ、バスツアーなどによる利便性、圧倒的な数と規模を誇る工場群などが追い風となっている川崎市は、今や工場夜景の聖地ともいえる場所となっています。

日本五大工場夜景（北海道室蘭市、神奈川県川崎市、三重県四日市市、山口県周南市、福岡県北九州市）となっている市町村が「全国工場夜景サミット」を毎年開催する程、人気を集めています。川崎市の工場夜景は圧倒的な規模と迫力があり、一部は夜景遺産に登録されているものもあります。

貨物ヤードがある千鳥町は、川崎市の工場夜景の中でも特に人気のあるスポットです。すぐ目の前に迫るライトアップされた巨大プラントは、臨場感にあふれており写真スポットとしても人気がある場所です。

千鳥町の貨物ヤード前での工場夜景は、川崎市を代表する工場夜景です。光り輝く工場群の魅力を貨物路線の駅が引き立てており、千鳥町の貨物ヤードはいつも大勢の観光客で賑わっています。

巨大な化学プラントや製油工場がある浮島町では、数多くある川崎市の工場夜景スポットの中でも人気がある場所です。複雑なパイプが幾本も入り組む巨大な東燃ゼネラル石油の工場を目の前にすると、まるでSF世界に迷い込んだかのような気分を覚えます。

漆黒の夜闇に青白く浮かび上がる幾何学的な工場は、「不夜城」という言葉にふさわしく、まるで夜も眠らない要塞であるかのような錯覚さえも感じます。

川崎マリエン展望台からは、工場だけでなく、倉庫群、遠方には市街地の夜景までをも見渡すことができます。

どこを切り取っても絵になる工場夜景が広がる川崎マリエンからの夜景の美しさは格別で「日本夜景遺産」にも登録されています。

水江運河沿いで地響きのような轟音、立ち込める水蒸気、巨大な煙突、燃え盛る炎が織りなす景色を眺めていると、異次元空間への入り口を見つけたような気分を覚えます。

川崎市では、工場夜景を運河や海から眺めることができるクルーズ船がたくさん出航しています。

海の上から眺める工場夜景は、陸上から眺めるものとまた異なる趣があります。