川口葉子さんの好きなもの
川口葉子さん
川口葉子。カフェと喫茶を綴る文筆業。
最新刊『東京 古民家カフェ日和』(世界文化社)、『カフェノナマエ』(キノブックス)他。
最新刊『東京 古民家カフェ日和』(世界文化社)、『カフェノナマエ』(キノブックス)他。
万年筆
筆記具の美術館のような文具店「書斎館」のカフェへ行ったとき、「ドルチェヴィータ(甘い生活)」という名前のイタリア・デルタ社の万年筆にひとめぼれ。いったん書き慣れてしまうとボールペンよりもはるかに書き心地がよく、常用するようになりました。宿命的にインク沼にもはまり込んでいます。
取材時に酷使しているのはプラチナ万年筆の「#3776センチュリー」の3本。機能的でコストパフォーマンス最高、万年筆ビギナーの最初の1本としてもおすすめです。
美しさを愛でながら自宅で使っているのはなぜかイタリア製ばかり。デルタとアウロラが二大偏愛万年筆メーカーです。
取材時に酷使しているのはプラチナ万年筆の「#3776センチュリー」の3本。機能的でコストパフォーマンス最高、万年筆ビギナーの最初の1本としてもおすすめです。
美しさを愛でながら自宅で使っているのはなぜかイタリア製ばかり。デルタとアウロラが二大偏愛万年筆メーカーです。
箱庭的宇宙
子どもの頃から、小さなガラス瓶の中に無限の宇宙を閉じ込めたようなモノに惹かれています。最近購入したお気に入りは、路地裏の風景を模ったmondeさんの木工作品「路地裏bookshelf」。本棚にこれを紛れ込ませると、文庫本の背表紙に交じって異次元の世界が出現するのです。
木工作品「路地裏bookshelf」を作るmondeさんのTwitterです。
80年代の少女マンガ
70年代に少女マンガの新しい地平を拓いてきた作家たちが、その才能を存分に発揮して意欲的な作品を次々に発表したのが80年代でした。あの時代に流れていた自由で楽観的な空気とリンクしていたのかもしれません。
素晴らしい作家の名前を挙げればきりがないのですが、とりわけ愛していたのが萩尾望都さん、大島弓子さん、内田善美さんの3人。2016年、永遠の時を生きる少年を描いた『ポーの一族』(萩尾望都)の続編が40年ぶりに発表されたときには、名作少女マンガも時を超える!と思いました。
素晴らしい作家の名前を挙げればきりがないのですが、とりわけ愛していたのが萩尾望都さん、大島弓子さん、内田善美さんの3人。2016年、永遠の時を生きる少年を描いた『ポーの一族』(萩尾望都)の続編が40年ぶりに発表されたときには、名作少女マンガも時を超える!と思いました。
夏のハイボール
きっかけは真夏の午後、1927年竣工の芝川ビル(大阪)の一角に重厚なパブが開いているのをたまたま見つけ、涼を求めて入ってみたこと。目についた「竹鶴17年」のハイボールを注文して、炎天下にはじける炭酸とスモーキーなウィスキーの取り合わせに開眼しました。飲みながらバーテンダーにお話をうかがったら、芝川ビルはニッカウヰスキー創業者ゆかりの建物だったのでした。
最近は自宅でもよく作ります。ウィスキーは濃いめ。炭酸水をグラスの縁から静かに注いだら、素早く1回だけタテに混ぜて、炭酸が抜けるのを最小限に抑えるのがコツ。
最近は自宅でもよく作ります。ウィスキーは濃いめ。炭酸水をグラスの縁から静かに注いだら、素早く1回だけタテに混ぜて、炭酸が抜けるのを最小限に抑えるのがコツ。
屋上
忙しすぎて水平な散歩に行けないときは、階段を上がって垂直な散歩に出かけよう…で始まる『屋上喫茶階』という本を上梓したほど、屋上が好きです。
フードコートとして活用されているデパートの最新の屋上も魅力的ですが、雑居ビルの忘れられた屋上、広すぎて持て余されている昭和なデパートの屋上こそ、都市の余白である屋上の真骨頂だと思っています。
今年、名古屋の喫茶「River」を訪ねたら、お店のあるホリエビルの新オーナーが『屋上とそらfree』というフリーペーパーを発行している素晴らしい屋上者(おくじょうもの)で、ホリエビルの屋上を案内していただいて幸せなひとときを過ごしました。
フードコートとして活用されているデパートの最新の屋上も魅力的ですが、雑居ビルの忘れられた屋上、広すぎて持て余されている昭和なデパートの屋上こそ、都市の余白である屋上の真骨頂だと思っています。
今年、名古屋の喫茶「River」を訪ねたら、お店のあるホリエビルの新オーナーが『屋上とそらfree』というフリーペーパーを発行している素晴らしい屋上者(おくじょうもの)で、ホリエビルの屋上を案内していただいて幸せなひとときを過ごしました。
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『東京 古民家カフェ日和』のご購入はこちらから。
川口葉子さんの著書『時間を旅する40軒 東京 古民家カフェ日和』と、本に掲載されている古民家カフェの一部をキナリノでもご紹介しています。
イラスト:オカヤイヅミさん
イラストレーター/漫画家
1978年生まれ。
著書に『ものするひと』(KADOKAWA)『いのまま』(芳文社)『おあとがよろしいようで』(文藝春秋)など。
1978年生まれ。
著書に『ものするひと』(KADOKAWA)『いのまま』(芳文社)『おあとがよろしいようで』(文藝春秋)など。
オカヤイヅミさんのサイトです。