FUTAGAMI [3ページ目]
FUTAGAMI(フタガミ)は富山県高岡市、明治30年(1897年)創業の鋳物メーカー「二上」が平成21年(2009年)に立ち上げた真鍮の生活用品ブランドだ。「二上」は仏具の製造を主に行っていたが、デザイナーの大治将典とともに、シンプルながら真鍮の味わい深い触感を持つFUTAGAMIを作り出した。 真鍮は銅と亜鉛の合金で、黄銅と呼ばれることも多い。腐食しにくく、加工も比較的容易なため、古くからさまざまな用途に用いられてきた。素材の持つ味合い深さゆえに、美術工芸品や仏具などにも多く使われている。 その真鍮をメッキなどの表面加工することなく無垢の素材のまま、デザイナー大治将典は伝統的加工法そのままで、モダンなプロダクツを生み出すことに成功している。FUTAGAMIのプロダクツのデザインによって、国内外のデザインアワードを受賞した。 FUTAGAMIで製品化されている真鍮素材のものは、ランプシェードなどの照明器具から箸置きなどのキッチン用品まで幅広い。鍋敷きのデザインは、「太陽」「銀河」「月」「星」など、天体をモチーフとした物で統一されている。また箸置きは同じモチーフながら、ケースの形をかえることにより、箸置きの数を変えて選べるよう工夫されており、家族の人数によって選べるようになっている。細かい点ではあるが、ケースも含めてそういったデザインが施されていることによって、伝統工芸的な製品とは一線を画することとなっている。 「日食」と名付けられた栓抜きは、円と楕円を組み合わせたシンプルな物だが、製品の厚みとディティールが美しい。また二つの大きさの違う円を組み合わせたデザインの「三日月」という名の栓抜きは、「日食」と対比されるようなデザインと使い方が提案されていて興味深い。