見る人を惹きつける写真の基本
見る人を惹きつける写真の基本は、「構図」「ネガティブスペース」「フォーカス」の3つです。この基本をおさえるだけでも、写真の質はずいぶんと洗練された印象になります。そのうえで、「テーマに関係のないものは写さない」「写真の中のもっとも強い線を水平または垂直に整える」の2つを意識してみましょう。さらに安定感のある上質な写真に近づくことができます。
グリッド線で構図を決める
カメラの画面に表示されるグリッド線をご存知でしょうか。縦横を3分割にする線で、この線もしくは交差する点に被写体を沿わせると、見る人の心にスッと収まるバランスのとれた構図になります。
また、写真の中のもっとも強い線をベースラインといいますが、この線を水平または垂直に整えるのにも、グリッド線が目安になります。
ネガティブスペースを意識する
ネガティブスペースとは、写真の余白のこと。被写体の周囲の空間を指します。画面の3分の2程度がネガティブスペースの目安です。この空間があることで、被写体がいっそう引き立ち、見る人の心に響く力を持つようになります。
主役となる被写体にフォーカス
写真に豊かな表情をつける方法
「ストーリーのある写真」に仕上げるには、写真に豊かな表情をつけることです。豊かな表情とは、アクセントとなるものを入れたり、アングルや色を変えてみたり、写真をよりおもしろくするためのもの。先にご紹介した写真の基本をおさえてさえいれば、表情をつける方法は自由です。感性のおもむくままに楽しむのがコツ。ここでは使いやすい3つの方法をご紹介します。
自然光や光源を探す
表情のある写真を撮るには、暗くてもフラッシュを使わないことです。のっぺりと平面的な写真になってしまうからです。自然光なら陰影の美しい写真になりますし、暗い場所では光源を探して被写体のシルエットを捉えるのもいいでしょう。明るさを調整する露出補正を使う方法もあります。
アングルを変える
よく見る写真というのは、正面からストレートに撮ったものが多いものです。見る人をはっとさせるには、アングルを工夫することです。下から見上げたり、高いところから見下ろしたり、奥行きや高さを感じさせると、ひと味違う写真になります。どのアングルから撮るとおもしろいかな?とワクワクしながら撮ってみましょう。
特定の要素を浮き立たせる
今すぐ撮りたくなるモチーフ集
「ストーリーのある写真」といっても、何を撮ればいいかわからないという方もいらっしゃるかもしれませんね。そんな方のために、身近にある今すぐ撮りたくなるモチーフをご紹介します。絵本の表紙のようなデザインだったり、何か語りかけてくるような野良猫だったり。いつも歩いている道も、もしかしたら「ストーリーのある写真」の宝庫かもしれませんよ。
シンメトリー
建造物などの人工的なものに多く見られる、左右対称、あるいは上下対称のシンメトリー。画面を2分割するシンプルな構図で、見る人に安心感を与えます。グリッド線を利用して、美しいシンメトリーを捉えてみましょう。
繰り返しパターン
点や線、模様、形、色などの要素が繰り返すパターンは、音楽のようなリズムを感じさせます。トントントン、タンタンタン、ポツポツポツ……。気づかないようで、身のまわりにはたくさんのリズムに満ちています。あなたの身近なところには、どんなリズムがあるでしょうか?
映り込み
ディティール
リーディングライン
視線を誘導する線のことを、リーディングラインといいます。真っすぐな道路や線路、ぐるぐると続く階段、曲がりくねった森の小道。その先には何があるんだろう?と想像をかきたてる写真になります。見る角度を変えて、いろいろな表情を探してみるのもいいですね。
見る人を魅了する「ストーリーのある写真」を
見る人を魅了する「ストーリーのある写真」を撮る方法をご紹介しました。
まずはテーマを決め、何を伝えたいかを掘り下げることが大切です。そこにフォーカスすることで、魅力的な「ストーリーのある写真」を作り上げることができるのです。“なんとなく撮る”を卒業して、あなただけの「物語」を見つけてくださいね。
「ストーリーのある写真」を撮るには、まずテーマを決めることです。テーマとは、あなたが伝えたいことです。たとえば美しい海を撮るとき、なぜ海を撮るのか、海のどこがどのように美しいのか、伝えたいことを掘り下げます。きらきらと光を反射する海が美しいと感じたのなら、それがテーマです。ストーリーのある写真は、テーマが明確であるほど伝わりやすくなります。