地元で過ごしてきた年数より、上京してからの年数が上回ろうとする。ふと東京の人に染まった気がして、危うくアイデンティティーを失いかけるときがあります。長らく帰省できなかったこともあってか、年齢を重ねる度にいろんなことを考えるように。やっとの思いで昨年末、故郷のある福島県・会津若松へ行ってきました。この気持ちを忘れないよう、地元のぬくもりをいつでも感じられるようにと連れて帰ったのが、この「赤べこ」。厄除けや縁起物のお守りとして愛されている郷土玩具です。
赤べこは400年以上の歴史をもつ会津張り子で、東北最古の玩具として古くから親しまれています。由来は諸説ありますが、約1200年前、奥会津の玄関口である柳津町の虚空蔵尊円蔵寺を建てた際に赤い牛が大活躍したという話から、赤べこを縁起の良いものとして捉えるようになったのだとか。赤色は魔避けの効果を意味し、黒い斑点はかつて流行っていた「疱瘡」(天然痘)を表しているなど、工房によってさまざまな意味が込められているそうです。
窓辺にちょこんとたたずむ赤べこ。地元の郷土玩具・起き上がり小法師と一緒に。
雪がしんしんと降り積もる磐越西線の車窓から。
多感な学生時代は、民芸品などに興味を示すさず過ごしてきた訳ですが、大人になるに連れ地元の良さを改めて知ることが多く、今回の赤べこもまた何か心が揺さぶられるものがありました。
大切な人と会えない日が続いても、きっと大丈夫──そんな風に言われている気がして。部屋に飾った赤べこを眺めては、今日も故郷に思いを馳せます。
大切な人と会えない日が続いても、きっと大丈夫──そんな風に言われている気がして。部屋に飾った赤べこを眺めては、今日も故郷に思いを馳せます。
この記事を書いた人
キナリノ編集部
編集 こじめぐ
ファッション担当/キナリノコエスタッフ。ボブ歴8年目のボーダー好きなアラフォー。健康のためにピラティスを始めたものの、何かと理由をつけて行っていない。
“べこ”とは会津地方の方言で“うし”のこと。