河野さん「今日僕が持ってきたのは、半纏（はんてん）、お財布、靴下、カレンダーになります。まず半纏ですが、軽くて暖かいし、まるでお布団に包まれているようなやさしい着心地は一度着ると冬場は手放せません。これは九州地方で100年近く織物を作り続けている宮田織物さんのもので、綿入れ半纏といってすべて手作業で作られています。ここの半纏は長持ちするうえに、ほつれなどが生じた場合はお直しにも対応してくれるんです」

「次はお財布。うちのお店ではカップルやご夫婦が一緒に来られて、相談しながらお財布を選んでいく方が多くいます。それに日本では昔から“財布は人からもらうのが良い”なんて言い伝えがあったりしますよね。このお財布は名古屋の作り手、スタジオラコーズさんのものです。シンプルなデザインですがカードもしっかり入りますし、仕事上領収書をもらうことが多い僕でも満足できる収納力になっています。ここ数年は小ぶりなお財布が流行っていましたが、ポケットに入る中間サイズで機能面も充実しているお財布であれば扱いやすいし、もらってうれしい男性は多いのではないでしょうか」

「そして靴下。うちのお店では、もう何年も男性用ギフトとしてもっともお買い上げいただいているのが靴下です。女性用はお財布や洋服が人気なので妙にリアルな価格差が生まれているわけなんですが……（笑）。しかも一足だけというお客様がけっこういて。せめて二足あげてみてはどうかな、という気持ちで今日は二足持ってきました（笑）。これはどちらも奈良のブランドのもの。締め付けが少ないので履き心地がとてもいいんですよ」

「最後は日めくりカレンダー。日本には伝統行事や旬のものがたくさんあるので、すべてを記憶しておくことは難しいですよね。カレンダーはそんな日本の風習を思い出させてくれる、味わい深い存在です。これは味のカレンダーといって、食の月刊誌『味の手帖』が手がけています。味の手帖は老舗のお蕎麦屋さんや天ぷら屋さんのカウンターで売っていたりもする、歴史ある本なんです。なので特別なパートナーだけではなく、日ごろお世話になっている方への気の利いたギフトとしても向いているんじゃないかなと思います」

築地さん「今回用意したのはブランケット、ハンドソープ、ハンドクリームが2種類とキャンドルです。まずは、ブランケット。基本的に布製品は家にいくらあっても困らないもので、多くの方にとってもらうとうれしい存在なんじゃないかなと思っています。今日持ってきたのはラプアン カンクリのものになりますが、ブランケットは寝具目的以外にテーブルクロスやフローリングなど室内の敷きものとしても使える用途の豊富さも魅力です。ギフトにはやや高価、と感じるかもしれませんが、丈夫で長持ちするので10年、20年と使い続けることもできます」

「次はイギリス発のオーガニックブランド、オースティンオースティンのハンドソープとハンドクリーム。日用品なんですが、インテリアとしても暮らしに溶けこむデザインの製品はもらうとうれしいですね。特にオーガニック製品の場合、認証マークや文面などがパッケージにつくことが多かったりしますが、このブランドのように認証類はクリアしつつもシンプルに仕上げたパッケージのほうが受け取りやすいように感じます」

「あと、香りを楽しめるアイテムもギフトにいいんじゃないかなと思って持ってきました。個人的な意見にはなりますが、私はそのときの気分によって使い分けられる香り系のアイテムが好きで。特にハンドクリームは自宅や会社、車の中などさまざまな場所に置いていて、使いたいものを気分で選びます。このハンドクリームはドイツのナチュラルコスメティックブランド、スタジオボタニックのもので、柑橘系の爽やかな香りなので男性も使いやすいかと思います。フィンランドのブランド、ミースのフレグランスキャンドルはひとつひとつ手作業でていねいに作られている製品にもかかわらず、とてもリーズナブルなので贈りやすい品でもあります」

谷さん「僕はマフラー、カードケース、ポーチ、コーヒーツールを持ってきました。理由ですが、河野さんや築地さんのようなストーリーはあまりなく、単純に今自分が気になっているものになります（笑）。まずマフラーは、昨年菅田将暉さん主演のドラマを見ていたときに、カラフルなマフラーをすごくおしゃれに巻いているなと感じたことがきっかけです。僕と同じくらいの年齢の男性だと、多色使いのアイテムって身につけるのに勇気がいることもあると思うんです。でも、パートナーなどから提案されたら少し試してみようかなという気にもなりますし、普段自分で選ばないものでもつけてみると意外とよかったりすることもあります。そういった経験が僕自身にも何度かあったので、今回はこのマンタス エスカライのマフラーを選びました」

「次はカードケース。これは個人的に名刺入れとして贈ることをおすすめしたいアイテムになります。仕事で名刺交換をするとき、変わった苗字だとそこから会話が弾んだりしますよね。それと同じように変わった名刺入れだと、『どちらの名刺入れですか？』なんて話になることがよくあります。このフォートのカードケースは、よくある名刺入れと比べるとひとつ変わったアクションが加わるので『こだわっていておしゃれな人だな』と感じさせる効果があるんじゃないかと個人的に思っています（笑）。それに名刺入れは自分で買い替えるタイミングもなかなか少ないものなので、そういった意味でもギフトに向いているんじゃないかなと思います」

「最後にポーチとコーヒーツール。先ほど築地さんがおっしゃっていた布製品と同様に、こういったアイテムも受け取って嫌な気持ちになる方はほとんどいないものだと思います。ハイタイドさんのオリジナルブランド、ファーのポーチはS、M、Lとサイズ展開があるのでセットで贈ってもいいですね。グローカルスタンダードプロダクツさんのコーヒーツールは金物の産地、新潟県燕市で製作されているため、こだわりが強めな男性にはもちろんのこと、ご家族やパートナーと一緒に過ごす素敵な時間を想像できるギフトとしても最適です」

谷さん「僕は河野さんの靴下を見て、いつも履いている靴下より少し高級なものや機能性のあるものを妻からもらってうれしかったことを思い出しました（笑）。築地さんのハンドクリームにしても、以前トラベル用のスキンケアセットをプレゼントでいただいた経験があります」

築地さん「日々を少し贅沢にしてくれるような存在で、自分があまり買わないものをもらうとうれしいですよね。実際、お店でもそういった提案が多いかもしれません」

河野さん「贈られた側にとって、自分では想像していなかった姿と遭遇できる魅力がギフトにはありますよね。パートナーや周りの仲間などから貰ったものを褒められると、案外悪くないなと気持ちがよくなったりして。お店をやっていると、自分のスタイルを変えない頑固な男性がいると同時に、着るものに執着を持たない男性も少なからずいることを実感します。なのでパートナーや近しい関係性の方へのギフトであれば、難しいことは抜きにして自分が好きなテイストを贈ってとにかく褒めてみる、というのもひとつの手かなと思います（笑）」

谷さん「僕自身、デジタルガジェットは自分で選びたいというのがあって。カメラ機材やバッテリー類など、自分が好きでこだわっているものは貰うとうれしい反面、困ってしまうというのはあるかもしれません」

河野さん「好きそうだからそれをあげたくなる、というのはおそらくあるのだと思います。でも別に男性特有のうんちくというか、歴史が語れるような贈りものじゃなくても全然いいんですよね」

築地さん「贈る相手の好みがある程度わかるのであれば、『これが好きならこれも好きかも』と、物づくりのストーリーの延長線をライトに捉えるのも、ギフトを考えるうえで方法のひとつですよね。例えばサードウェーブのコーヒーが好きなら自然派ワインやビーントゥバーのチョコレートもきっと気に入るだろうとか、ニッチフレグランスも好きなゾーンに入るかも、といった具合に。ギフトは、『こういう人だからこういうものが好きそう』と、想像している時間も楽しかったりするので、その話も込みで相手と共有できるものを選ぶのがいいんじゃないでしょうか」

築地さん：「サプライズ、いいと思いますよ。以前、自分の好みを知ってくれている方から写真集を贈っていただいたことがあって。それはうれしかったです。でも、事前に相談があった場合でも自分のことを考えてくれている形跡が知れるので、どのみちうれしく感じますね」

河野さん：「サプライズはもちろんうれしいですが、続くと驚きよりも感謝と遠慮が大きくなってしまうので、たまにがちょうどいいです（笑）。ちなみに僕の家では、妻とお互いに『これがほしい』と伝えあってから買うのが基本の流れになっています」

谷さん：「された経験はほとんどないので、あればうれしいと思います。ただ、自分がこだわっていて詳しいゾーンなら事前に相談してもらったほうが安心するかもしれません。僕も妻へのプレゼントは事前になにがほしいか聞くようにしています。サプライズは相手の性格によるところも大きいので」

河野さん「お店でもなにをあげたらいいか、よくアドバイスを求められます。その際、パートナーやお世話になっている方へのギフト以外であれば消耗品に属するもの、時間が経つと消えていくものは比較的もらった人の負担にもならないのでおすすめすることが多いです。今日紹介されているものでいえばハンドソープやクリーム、靴下などがそれにあたります」

谷さん「そうですね。基本は河野さんと同じで消耗品を用意することが多いです。ただ僕の場合は周りに探りも入れていくタイプです。例えばお祝い事を迎えるスタッフの子になにかをあげるとき、『〇〇さんは最近どんなことに興味があって、なにが好きなのかな？』という具合に確認してから準備することもあります」

築地さん「お店だとシロクマの貯金箱、あとキャンドルやルームフレグランスなど、温かみを感じる商品はクリスマス時期になると特に人気です。ラプアン カンクリに関してはポケットショールが圧倒的で、11月くらいからお店での動きが大きくなる商品ですね。元々は女性へのギフトが多かったんですが、最近は男性に対しても増えていて。ユニセックス展開なのでパートナーと兼用できることなどが支持されている理由のひとつだと思います」

河野さん「クリスマスで特に、となるとやっぱり靴下。とにかく男性女性問わず人気のアイテムなので」

谷さん「うちはクリスマス時期になるとアスティエ・ド・ヴィラットやクチポールなどの食器類やカトラリーがよく売れています。あとはユニーク系といいますか、動物のスポンジとか（笑）。そこまでかしこまったギフトではなく、安価ながらもユーモアを感じさせるタイプのものも人気があります」

谷さん「本気でほしいと思ったカメラやイヤホン、携帯などは自分で買っちゃいますし……どうなんでしょう（笑）」

築地さん「少し高額になりますけど、ベッドルームやテラスなどに持ち運びができる充電式の照明なんかはうれしいですね。以前、田村菜穂さんというデザイナーが手がけた照明をプレゼントに選ぶ友人がいました」

谷さん「あ！結局自分で買いましたけど、マッサージ器はもらったらうれしいかも。頭皮用とか肩用ならそこまでハズさない気がします。あげた相手だけじゃなくてその人の周りの人も使えますしね」

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