心を豊かにしてくれる旅をしよう
同じような毎日の連続に少し疲れてしまったときは、いつもと違う景色や空気に出合う旅に出かけませんか?一人でも、気の置けない友人や家族と一緒でも。日本にはまだまだ知らない場所がたくさんあるはずです。
農村や漁村に暮らすように旅する“農泊”
“農泊”という旅の形を知っていますか?
“農泊”とは、農村や漁村地域に泊まって、その土地の食事や体験を楽しむ旅のこと。人々の暮らしとともにある文化に一歩深く触れる、「暮らすような旅」がかないます。日本全国にはこの“農泊”という旅行スタイルが楽しめる地域がたくさん。今回はその中から個性豊かな5エリアをピックアップして、その魅力をご紹介します。次の旅先を決める参考にしてみてくださいね。
“農泊”とは、農村や漁村地域に泊まって、その土地の食事や体験を楽しむ旅のこと。人々の暮らしとともにある文化に一歩深く触れる、「暮らすような旅」がかないます。日本全国にはこの“農泊”という旅行スタイルが楽しめる地域がたくさん。今回はその中から個性豊かな5エリアをピックアップして、その魅力をご紹介します。次の旅先を決める参考にしてみてくださいね。
1.栃木県益子町―“陶芸の町”で心あたたまる芸術に出合う旅
“陶芸の町”として名高い栃木県益子(ましこ)町。江戸末期に窯が築かれてから今日まで、良質な陶土を使った豊かな質感の“益子焼”を生み出し続けています。現在益子町には約250の窯元と50の陶器店があるそう。ろくろや手びねりの陶芸体験ができる場所も多く、うつわ好きにとってはたまらない町です。
琴線に触れるアートに浸る宿「益子舘 里山リゾートホテル」
益子に宿をとるなら、“陶芸の町”らしさを感じられる「益子舘 里山リゾートホテル」へ。
ほっとくつろげる和室や露天風呂付きのお部屋もありますが、なかでも注目は「益子の森」×「益子の芸術」をコンセプトにした「アーティスティックルーム」。豊かな自然が育んできた益子ならではのアートが部屋を彩ります。
ほっとくつろげる和室や露天風呂付きのお部屋もありますが、なかでも注目は「益子の森」×「益子の芸術」をコンセプトにした「アーティスティックルーム」。豊かな自然が育んできた益子ならではのアートが部屋を彩ります。
緑を基調にしたアーティスティックルーム「朝靄ASAMOYA」には、陶器で表現された羽ばたく小鳥たちの姿も。隅々までこだわりのアートで満たされている特別な一部屋です。
大浴場や露天風呂の浴槽、湯殿のオブジェ、寝湯の枕にも益子の名陶芸家が手がけた益子焼が使われていて、ほっと温まりながら芸術を肌で感じることができます。益子焼に盛り付けられた見た目にも美しいディナーは、益子の旬の食材をふんだんに使ったもの。益子の自然と芸術に、心も体も満たされる時間が過ごせます。
大浴場や露天風呂の浴槽、湯殿のオブジェ、寝湯の枕にも益子の名陶芸家が手がけた益子焼が使われていて、ほっと温まりながら芸術を肌で感じることができます。益子焼に盛り付けられた見た目にも美しいディナーは、益子の旬の食材をふんだんに使ったもの。益子の自然と芸術に、心も体も満たされる時間が過ごせます。
ろくろを使って自分だけのうつわ作り「やまに大塚」
益子を訪れたなら、陶芸体験は欠かせません。陶器店やカフェが並ぶ益子のメインストリート「城内坂」にお店を構える「やまに大塚」は、約100人の作家さんの作品が揃う陶器店。敷地内の陶芸教室では、ろくろや手びねりでのうつわ作りや絵付け体験ができます。なめらかな土の質感を手で感じながら、自分だけのうつわを作ってみて。
「やまに大塚」では、作家さんたちの作品を購入することもできます。日常使いができるリーズナブルなものから、技術が光るアートピースまで。じっくり見比べていると、「これだ!」と感じるうつわと出合えるはず。益子旅の思い出にもなる素敵な作品を探してみませんか。
栃木が誇る絶品いちごの食べ比べも「吉村農園」
栃木といえばやっぱりいちご!これからのシーズンは、県内の農園でフレッシュないちご狩りが楽しめます。
益子町にある「吉村農園」は、11種類ものいちごが味わえる農園。栃木生まれの定番「とちおとめ」や高級品種「スカイベリー」、希少な白いちご「ミルキーベリー」、大粒の「とちひめ」……さまざまないちごを一度に食べ比べられるのは、栃木ならではの体験ですね。
益子町にある「吉村農園」は、11種類ものいちごが味わえる農園。栃木生まれの定番「とちおとめ」や高級品種「スカイベリー」、希少な白いちご「ミルキーベリー」、大粒の「とちひめ」……さまざまないちごを一度に食べ比べられるのは、栃木ならではの体験ですね。
茅葺き屋根の建物で受付を済ませたら、さっそくハウスへ。マスクと手袋をつけていちごを摘んだらハウスの外のテーブルでいただく方式なので、コロナ感染対策にもきちんと配慮されていますよ。
摘みたてのいちごは、甘酸っぱくてジューシー。品種によって異なる風味を感じながら、心ゆくまで栃木のいちごを堪能できます。
摘みたてのいちごは、甘酸っぱくてジューシー。品種によって異なる風味を感じながら、心ゆくまで栃木のいちごを堪能できます。
2.京都府伊根町―“海の京都”で、海とともにある暮らしを体感
京都府伊根町は、“海の京都”とも呼ばれる風光明媚な漁業の町。人口約2000人の小さな町には、伊根湾に沿うように木造の舟屋が立ち並びます。約230軒の舟屋が作る景観は、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されています。歴史を感じる海の町で、ゆるやかな時の流れに身を任せて。
波音に心休まる舟屋ステイを「伊根の舟屋 雅」
伊根町ならではの舟屋は、見るだけではなく実際に中に入って泊まることもできます。「伊根の舟屋 雅」は、「雅」「風雅」「香雅」の3棟からなる舟屋を改装した温泉宿。一棟を一組で貸し切って泊まれるので、伊根の静かな暮らしを体験できます。
お部屋の露天風呂は奥伊根の天然温泉。舟屋をそのまま使っているからこそ、手を伸ばせば触れそうな距離に伊根の海を感じながら入浴できます。打ち寄せる波を眺めて、波音に耳を澄ませて、潮風を肌で感じて……。これ以上ない伊根でのひとときは忘れられない思い出になります。一棟には4人まで泊まれるので、家族旅行にもいいですね。
自分でさばいた新鮮な地魚を味わう幸せ「地魚刺身作り体験」
漁業で栄えた伊根町。となれば、そんな伊根の海の恵みを自分でさばいて味わう「地魚刺身作り体験」はいかがでしょう。かつては地元の人々も、とれたての魚を舟屋の調理スペースでさばいて食べていたのだそう。そんな舟屋での暮らしにならって、板前さんに教わりながらうろこを取っておろして盛り付けて……。
できあがったお刺身は、その日獲れたという魚の新鮮さはもちろん、自分でさばいたという愛着もあってとびきりおいしく感じられるはず。追加料金でご飯とお漬物を追加して、お刺身定食のようにいただくこともできますよ。きらめく伊根の海を眺めながら、ここでしか食べられないお魚の味を存分に味わいましょう。
古民家でいただく伊根ならではの海鮮ランチ「食事処 うらなぎ丸」
気軽に伊根の海鮮を味わうなら、伊根町の定置網漁会社・伊根浦漁業が運営している「食事処 うらなぎ丸」へ。築160年の古民家をリノベーションした店内で、その日に定置網にかかった地魚を使ったランチがいただけるお店です。
人気は、そのときどきに旬の魚介を贅沢に盛り合わせた「漁師のお造り定食」。新鮮だからこその歯ごたえや旨味を堪能して、伊根ならではの至福のランチタイムを。
人気は、そのときどきに旬の魚介を贅沢に盛り合わせた「漁師のお造り定食」。新鮮だからこその歯ごたえや旨味を堪能して、伊根ならではの至福のランチタイムを。
3.徳島県三好市―深く静かな山々に囲まれた秘境へ
せわしない毎日から離れてがらりと違う環境に浸るなら、日本の“秘境”と呼ばれるエリアを擁する徳島県三好市へ。深い自然とともにある集落の暮らしを体験したり、森林浴やアクティビティでモヤモヤした気分を忘れたり。心のデトックスをするにはぴったりの旅先です。
都会の喧騒を忘れて心静まる時間を「桃源郷 祖谷の山里」
日本三大秘境のひとつとしても知られる三好市の祖谷(いや)地域。山の斜面を切り開くようにしてつくられた集落には、茅葺きの古民家を貸し切って泊まれる宿「桃源郷 祖谷の山里」があります。
夜の帳が下りるころ、あたりは暗く静かな雰囲気に包まれます。利便性のためにきちんとネットは通じますが、ここに泊まるときばかりはスマホを置いて、自然に身をゆだねるのもいいかもしれません。
食事は地元の方が祖谷で受け継がれてきた郷土料理を作ってくださるプラン*や、地元の飲食店にケータリングを頼めるプランなどが選べますよ。山と共生する祖谷に暮らしているようなステイを体験してみませんか?
食事は地元の方が祖谷で受け継がれてきた郷土料理を作ってくださるプラン*や、地元の飲食店にケータリングを頼めるプランなどが選べますよ。山と共生する祖谷に暮らしているようなステイを体験してみませんか?
*…コロナ感染対策のため一時休止中となります。詳細は公式ホームページをご確認ください
植物でできた橋を探検気分で渡って「祖谷のかずら橋」
「祖谷のかずら橋」は、探検気分で訪れたい秘境スポット。祖谷川に架かる全長約45mの吊り橋は、なんとこの土地に自生するシラクチカズラというツルを編んで作られたものなんです。三年ごとに架け替えられており、とても丈夫にできているそう。とはいえ歩くとゆらゆら、そして足元の板の間からは川が見えて、ちょっとドキドキする場所。歩きやすい靴でプチ探検を楽しんで。
情緒あふれる町並みをサイクリング「うだつの町並みポタリングツアー」
三好市を訪れたら、少し足を伸ばして美馬市の脇町まで。藍の取引で栄えた「うだつの町並み」では、情緒あふれる町を巡るサイクリング「うだつの町並みポタリングツアー」ができますよ。ツアーで借りられるのは、おしゃれなイギリスの折り畳み自転車「ブロンプトン」。かわいい自転車に乗って、爽やかな町並み散策に出発です。
4.福岡県八女市―手仕事の町でクラフト散歩を楽しもう
久留米絣や提灯、手すき和紙など、さまざまな手工芸の文化が根付いている福岡県南部の八女市。白壁が美しい町並みは、かつては城下町として、そして廃城後は職人や商人の町として栄えたのだそう。地域が一体となって守る歴史ある建物は、八女ならではの文化を今に伝えるレストランやカフェ、ショップなどになっています。
手工芸の温もりに癒やされる「Craft Inn 手[té]」
八女に伝わる手工芸の魅力に浸れる宿「Craft Inn 手[té]」。藍染め・和紙・竹細工というこの土地ならではの工芸をテーマにした3種類の部屋があります。
こちらは藍染めをテーマにした「藍の部屋」。藍で染めた木のテーブルや久留米絣のタペストリーなどがやわらかな木の質感と調和し、心落ち着く空間を生み出しています。
こちらは藍染めをテーマにした「藍の部屋」。藍で染めた木のテーブルや久留米絣のタペストリーなどがやわらかな木の質感と調和し、心落ち着く空間を生み出しています。
伝統工芸・久留米絣のストール作りを体験「下川織物」
旅の記念に八女ならではのものを持ち帰るなら、「下川織物」でのストール作り体験はいかがでしょうか。好きな柄の久留米絣の生地を選んで横糸を抜くことで、フリンジがついたオリジナルのストールが作れます。
糸を染めてから織る久留米絣は、独特のやさしい風合いが特長。丈夫かつ水洗いできるので、気兼ねなく使えます。季節の変わり目に嬉しいストールを身にまとうたびに、八女旅の楽しい記憶が蘇りますね。
じっくりと八女茶の旨味を味わう玉露体験「八女市横町町家交流館」
八女といえば「八女茶」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。「八女市横町町家交流館(八女茶カフェ)」では、甘みと旨味を持つ八女伝統本玉露を味わうことができます。
お湯の温度や抽出時間を変えることによって何煎目も楽しめる玉露の風味を、和菓子とともにじっくり堪能して。お茶を淹れたあとの茶葉は、ポン酢をつけて食べてもおいしいそうですよ。
5.長崎県長崎市―美食と絶景に心潤う穏やかな海町・茂木へ
最後にご紹介するのは、長崎県長崎市の港町・茂木。このあたりでは、月が静かな海面に映って綺麗に見えることを「布引(ぬのびき)の月」と呼んでいるのだそう。自然に囲まれた穏やかな港町で、リフレッシュするひとときを過ごしませんか?
茂木の海と食で心身の充電を「月と海」
茂木の美しい月と海をモチーフにしたホテル、その名も「月と海」。ベッドやソファからぼうっと水平線を眺めていると、悩んでいたこともいつの間にか忘れてしまいそう。一室につき一本ウェルカムシャンパンのサービスがあるので、お酒を楽しみながらゆっくりお部屋でくつろいでくださいね。
朝食は、海が見える館内のレストラン「波まち食堂mog」へ。旬の食材を使った体にやさしいメニューがおなかを満たしてくれます。茂木の穏やかな海と食で、ゆっくりと心身の充電をしてあげましょう。
フグを使った贅沢なすり身団子作り「ふぐ問屋・漁師飯なかざき」
長崎県は、実はフグの養殖生産量が全国1位*であることを知っていますか?茂木でもフグの養殖が盛んで、「茂木コミュニティセンター」ではフグの加工・販売を手がける「ふぐ問屋なかざき」さんが主催するフグのすり身団子作り体験も行われています。
コラーゲンを含むフグの皮をカットしたら、フグの身とキビナという小魚のすり身に加えて、パン粉をつけて揚げたらできあがりです。
コラーゲンを含むフグの皮をカットしたら、フグの身とキビナという小魚のすり身に加えて、パン粉をつけて揚げたらできあがりです。
*…出典:農林水産省水産統計「令和3年海面漁業・養殖業生産量」
カラッと揚がったすり身団子は、魚介の旨味とフグの皮の食感が楽しめる一品。フグ養殖が盛んな長崎ならではの贅沢な食べ方ですね。問屋さんに併設された食事処「漁師飯なかざき」でも、フグで出汁を取ったうどんやフグのから揚げなどがリーズナブルな価格で味わえますよ。
海町の思い出をガラスに閉じ込めて「ガラス工房 Amber」
「ガラス工房 Amber」で体験できるのは、長崎の海を閉じ込めたようなステンドグラスのオーナメント作り。厚みや色が異なる約40種類のガラスのなかから好きなものを組み合わせて、世界にひとつだけのオーナメントを作りましょう。
ハンダ付けや洗浄などを経て、1時間ほどで完成。青を入れることで、お部屋に長崎の海を少しだけ持ち帰ってきたような気分になれますね。オーナメントのほかにも、ピアスやネックレスといったアクセサリー作りも体験できます。
“農泊”のガイドブックを参考に次の旅先を決めて
いつもの旅よりも一歩その土地での暮らしに近付くことができる農泊。もっと知りたい方は、全国約100カ所もの農泊スポットをまとめたガイドブック『ニッポン感動田舎旅』をチェックしてみて。紙の本だけではなく、電子ブックでも購入できるので持ち運びにも便利。知っているようで知らなかった日本の魅力を、農泊を通じて体験してみませんか?
「次の旅はどこへ行こう?」――そう思ったときは、農泊ガイドブックを開いて、どこか懐かしい日本の農村や漁村へ。のどかな場所で日常を忘れて、のんびり心と体を癒やしてあげましょう。
この記事は農林水産省の農山漁村振興交付金を活用しています